
布団がふっとんだ! 枕もなくしてお先まっくら!

「名探偵はもりん! 謎のメニューを追うぞな!」
大きな出来事
メインキャラクター:うた
目標
喫茶グリッター開店当時の古いメニューにあった、黒塗りメニューの謎を解き明かす。
課題
妹のはもりが楽しそうに名探偵のコスチュームで出かけていってしまったのが心配だ。プリルンとメロロンも独自に調査を開始したらしい。
自分自身も謎のメニューに興味があったから彼女たちの調査には協力するのだが、様々にアプローチしてみてもなかなか有力情報につながらない。
解決
複数の情報源から、開店当時の喫茶グリッターには現在店に通っていない常連客がいたことを確認できた。彼はちょうどはなみちタウンに帰ってきており、話を聞くことができた。
黒塗りメニューの正体はお父さん迫真の「おもしろい一発ギャグ」(ただし全然面白くない)だった。元常連客はこの(全然面白くない)ギャグを聞いて勇気を持ち、お笑いの道に挑戦することを決めたのだという。
バトル
お笑い芸人を素体としたハリセン型ダークランダー。
苦戦
ハリセンによるツッコミの他、頭上から金だらいが降ってくる半分ギャグみたいな攻撃が厄介。なんといっても締まらない。
アイドルグータッチを決めた直後に金だらいにやられて、チョッキリーヌに笑われてしまった。
勝利
アイドルだろうがお笑いだろうが一生懸命やるのが大事だ、という信念のもと、恥じ入ることなくもう一度アイドルグータッチを繰り出してみせた。
ピックアップ
昔のメニュー

・・・名古屋かな?
喫茶グリッターは想像以上にがっつり食事させるタイプの喫茶店だったようだ。
それにしてもコーヒーのバリエーション少なすぎない? せっかくドリッパーもサイフォンもエスプレッソメーカーも取り揃えてあるお店なのに。
おでんハンバーグ

2012~13年ごろ、コンビニおでんの具材としてハンバーグが入っていた時期はあった。
また、静岡おでんで知られる静岡市は総務省家計調査においてハンバーグの年間購入額が日本一の都市でもあり、その関係で一時期おでんにハンバーグを入れることを推していた時期があった。静岡おでんは黒はんぺんと牛すじのダシを濃い口醤油と合わせた濃厚な味わいが特徴だから、ハンバーグとの相性もよかっただろう。
オートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエーグル

もちろん架空の料理名。
ChatGPTに投げてみると、「haute」=“高地”,「gelée」=“ゼリー寄せ”,「de」=“~の(前置詞)”,「gran」=“偉大な”までは翻訳してくれるが、「ヴァッサン」と「ディエーグル」に該当するフランス語の語彙が見つからない、おそらく固有名詞ではないかと回答してくる。
仮にこの2つを固有名詞として解釈するなら「Haute-Vassane gelée de Grandiégle」、つまり“大ディエールグ家伝来のヴァッサン高地風ゼリー寄せ”という料理だということになる。・・・じゃがいも使うの? ゼリー寄せに?
脱サラして芸歴(四捨五入で)20年、初の深夜レギュラー(通販)番組

ええっと・・・、顔! 若く見えるね!
ところで短く見積もっても最後に店に来たのが15年前だというなら、きゅーたろうとは面識が無いと思う。(きゅーたろうがうたの家に引き取られてからまだ10年も経っていない)
高橋留美子的な


余裕あるね、キミたち。
意外と活躍しない名探偵




1人大喜利をしている子もいますが、おかげで今話のノリはだいたい伝わりました。
おっけー。そういうやつね。
冒頭に出てきたやたらボリューミーな「クリームソーダランチ」とか「超特大ギガ盛り専用のお皿」とか、そこまで含めて今回全部ギャグね。なんでこんな中途半端に語頭と末尾だけ残して消しているのかとか疑問に思っちゃいけない。わかったー。
なら、今話最大の特徴は、意外とはもりが主人公していないところでしょうか。
『HUGっと!プリキュア』第38話の名探偵ことりは調査を通じて姉の強さやカッコよさを発見する物語がありましたし、『魔法つかいプリキュア!』ドラマCDの迷探偵ことはも自分が本当に大切にされていることを知ることができました。
『Yes!プリキュア5 GoGo!』第9話の名探偵こまちと『トロピカル~ジュ!プリキュア』第20話の名探偵みのりんは仲間内の疑心暗鬼を煽るだけ煽りちらかして事件解決には何も貢献していませんでしたが、「隠しごとはよくない」という教訓を描くにあたって中心的な役割を演じていました。
他に探偵ネタいつやったっけな・・・? ミステリテイストってもうそれだけでワクワクするやつなので、子ども向けアニメだと結構多いのよね。
これらの前例に比べて、名探偵はもりんの存在感は割と控えめです。
探偵としての手腕はうたが心配していたよりずっとお見事でしたが、今回の最重要人物である小原井ヒロシに辿りつく手がかりははもりが聞き取りをした蓮じい以外に、プリルンたちが調べたキラキランド出張所のパトロール日誌のなかにもありました。なんなら彼の自宅を訪問して、はなみちタウンを出ていった情報を掴んだプリルンサイドのほうが、一歩先を行った印象すらあります。
ちょっと穿った言いかたをするなら、はもりとは別に独自の調査をしていたプリルンたちが意外と負けず劣らずな活躍をしていたぶん、相対的にはもりの印象が若干薄く感じ。
一応、直接的にヒロシを確保したのがはもりの助手であるきゅーたろうではありました。
ただ、このあたりではもりの出番は終了です。一旦プリキュアのバトルパートを挟んで、解決パートの進行役を務めるのはヒロシ。そして最後にエピローグを締めたのはうたの歌でした。
「笑えるねえ。アイドルよりお笑い芸人のほうが向いてるんじゃないかい?」
「お笑いだろうがアイドルだろうが、大事なのはどんなときでも全力でやることだよ!」
今回のエピソードを総括するテーマを語ったのもうた。
「ダメよ、あなた。だってほら、今はうたが」
「そうか。今は僕じゃなくて、うたがお客さんを笑顔にしてるから」
「娘さんですか?」
「ええ。うちの看板娘――、看板アイドルなの!」
そしてお父さんが一発ギャグで店を盛り上げようとしていた役目を現在継承しているのも、うたです。

今話は実のところ、はもりではなく、うたを中心に据えた話づくりをしています。
キャラの濃さだけなら、ぞなぞな言ってるはもりが一番印象に残るエピソードではあったんですが・・・。じゃあ、どうしてはもり中心で展開するストーリーにしなかったんでしょうね? あんなにかわいいのに。
大事なのは
「こんなことしてる場合じゃない! グリッターのマスターにお礼を言わなきゃ! マスター!! ・・・休憩中? なんでやねーん!」

42歳男性がそのくらいのことでダークランダーを生み出せるほど絶望するな。
別に店休日ってわけでもないし、レギュラー番組1本だけならそこそこ時間の融通はきく身でしょうに。通販番組って1回の収録で3本とか4本とか撮るって聞くぞ。
こんなしょうもない心の闇から生まれたダークランダーは、意外や意外、なんかそこそこ強敵でした。主に金だらいが強い。ギャグ補正は強い。
何がヒドいって、敵も味方もカッコつかないところです。今回のバトル、みんなカッコ悪い。カッコつけようとした人から順に空から金だらいが降ってくる。


そんなギャグ時空が、それでも決着時だけはなんかいい感じに締まります。
「笑えるねえ。アイドルよりお笑い芸人のほうが向いてるんじゃないかい?」
「お笑いだろうがアイドルだろうが、大事なのはどんなときでも全力でやることだよ!」
さて。
これ、今回うたは何を念頭にこんなことを言ったのでしょうか?
ぱっと思いつくのは、やはりお父さんのこと。
お笑い好きだったヒロシが本気で夢に挑戦しようと思ったきっかけが、お父さんの一発ギャグだったそうです。
全然面白くないやつ。むしろこんなネタを堂々と披露できる度胸のほうが面白いくらい。
勇気をもらいました。若干「自分より下を見つけて安心したんじゃないか?」みたいな邪推をしたくなる気持ちがこみ上げなくもありませんが、少なくとも結果を見れば、ヒロシによい影響を与えた天下一品のギャグでした。
繰り返しますが、ギャグ自体のクオリティはとてつもなく低いものでした。もうね、本人が恥ずかしくなって引っ込めちゃうくらい。
だけど結果から顧みれば、これは人の人生を変えてしまうくらい素晴らしいもの。
面白いか面白くないかではありません。大事なのはあくまで、全力でやってみせたことそのもので――。
でも。これってバトルが終わったあとで語られる情報です。
先ほどのいい感じのセリフを語った時点のうたが知れる話ではありません。このときのうたはもっと別のことを頭のなかで思い描きながら、「大事なのはどんなときでも全力でやることだ」と主張していたはずです。
それこそが、名探偵はもりん。
雑多わちゃわちゃ群像劇
「ぞーなぞなぞな! その謎、我が輩が解いてみせるぞな!」

最初は不安しかありませんでした。
なにせ、最近ハマってるアニメのコスプレです。
これで本当にIQ1104とかになれるなら別ですが、中身は普通にいつものはもり。はもりはそこそこしっかり者ではありますが、それでもやはり、ごく普通の小学生なんです。お姉ちゃんとしては誰かに迷惑をかけてしまわないか心配です。
「こそこそ。大丈夫かな、はもり」
「こっそりサポートしましょう」
「あ! ズンドコ探偵の相棒ってタヌキなんだ。かわいい!」
実際、謎のメニューの調査をしていたはずが、なぜか絵真さんの家でおでんとハンバーグをご馳走されています。どういう経緯でそんなことになったのか、すぐ後ろをついていったはずなのに全然わかりません。
(むしろうた自身が不審人物として見つかってしまい)絵真さんに状況を聞いてみると、どうやらはもりは謎メニューの調査をしていることすら、まだ彼女に伝えていなかったようでした。
事情を理解した絵真さんははもりのために、「一番の常連客に聞いてみたら?」と、それとなく軌道修正してくれました。
「『お』で始まり『グ』で終わるメニューか。うーん。『お』で始まり『グ』で終わる・・・。あれは逃げた犯人を追いかけてフランスに行ったときのことだ。パリの路地裏の小さな食堂で食べた伝説の料理――、オートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエーグルのことでは!?」
何言ってんだお前。
せっかくのナイスフォローでしたが、残念ながら肝心の蓮じいさんが思いのほかポンコツでした。別にこれ自体ははもりの失点ではありません。しかしまだ妹を信じきれない以上、その監督役がポンコツでは心配するなというほうが無理。
見守るうたとしてはますます不安をかき立てられます。さて、どうしたものか。
「当時のパトロール日誌によれば、グリッターに頻繁に通っていたのがこちらの小原井ヒロシさん。会社員。趣味はお笑い。特技は卓球。好きな食べものはもつ鍋。嫌いな食べものはパクチー。犬派か猫派でいえば犬派」
何故か、うたははもりの見守りを中断しました。
忘れてはいけません。うたも結構なポンコツです。
それに――、なんかプリルンとメロロンと田中も独自に動いていたようです。彼女たちもまたポンコツの権化。はもりとどっちがマシかといえば、まあ、比べられるような大差ではありません。どっちも放っておいてはいけないでしょう。

渡る世間はボケばかり。
今回みんな真剣です。謎メニューを解き明かすというひとつの目的のため、みんなが知恵を出しあい、協力しあっています。ただちょっと、「本当に大丈夫かこの人たち・・・」という不安が拭えないだけであって。
プリルンたちの調査に協力した結果、どうやら小原井ヒロシという人物が詳しいことを知っている可能性が浮上しました。蓮じいさんに聞いてみても同じ見解。
ここで急にきゅーたろうが走りだしました。(時系列的にはありえないんですが)どうやらきゅーたろうはヒロシのことを覚えていたらしく、はもりやうたたちに代わって彼を見つけてくれたようです。
見ていて不安しかない探偵ごっこ。
みんな真剣だけど、みんなボケ。
なかなか進展しない調査。
だけど。
「その黒く塗りつぶされたメニューが何だか知ってるぞな?」
「ああ。これは俺が都会に行くきっかけをくれたメニュー。ずっと夢だったお笑い芸人に挑戦する、勇気をくれたメニューなんだ」
気がついたら、なぜか真相を知る人物に辿りつけていたのでした。

真相へ至る道すじをふり返って
「笑えるねえ。アイドルよりお笑い芸人のほうが向いてるんじゃないかい?」
「お笑いだろうがアイドルだろうが、大事なのはどんなときでも全力でやることだよ!」
今日の出来事を振りかえって、うたは改めて思います。
全力でがんばるのって、やっぱりいいなあって。
どう見ても名探偵と呼べるほどの捜査能力は持っていなかったはもり。だけど彼女は真相に辿りつきました。
絵真さんや蓮じいさん、プリルンやメロロンや田中、それから自分たちと、あとヒロシ。はもりの周りにいた人みんな、協力的だったおかげです。
あるいは、人事を尽くして天命を待つってやつ。はもりが一生懸命がんばったから、どこかで何かしらの奇跡が起きたのかもしれません。
チョッキリーヌは真剣な努力がギャグ時空に飲まれていくことをあざ笑います。
だけど、うたから見ると、滑稽な努力はしかし、それでもちゃんと実を結ぶんだなあと今日感心したばかりなのです。
たしかに、さっきバッチリ決まったと思ったアイドルグータッチは金だらいのうやむやでキャンセルされてしまいました。もしハタから見ている人がいたら、すごくカッコ悪いと思われたことでしょう。
でも、それがどうした。がんばる姿がちょっとマヌケに見えたからって、私たちが努力したことの価値まで毀損されるわけじゃない。
はもりの努力は報われました。いっぱい回り道していたけど、ちゃんと最後にはゴールに辿りついていました。
ただのコスプレ。ただの探偵ごっこ。最初は見ていて不安しか感じませんでした。でも、やりとげました。
そのはもりの努力を、輝かしい成果を、お姉ちゃんも見習いたいと思います。
最初のアイドルグータッチは失敗しました。
でも、もう一度やればいい。
それがもしまたカッコ悪い結果になったとしても、うまくいくまでがんばればいい。
お笑いだろうが、アイドルだろうが、全力でやることこそがいつだって一番大事なんだから。

お店に帰って、いよいよ真実を聞いてみれば、お父さんにもカッコ悪いことに一生懸命だったエピソードがあったんだそうです。
本人は恥ずかしくなって封印しちゃったそうですが、それに心打たれて、勇気が湧きあがって、すごく感謝している人も中にはいたようです。
喫茶グリッターにおけるお父さんの一生懸命な一発ギャグの精神は、かたちをかえて、今ではうたがみんなのために歌う歌というかたちで継承されていたとのこと。
キミも、キミも、私も、全力でがんばっているという点でみんなつながっていました。
「♪ ステキなお笑い 布団がふっとんでも きっと 絶対 笑顔で寒くないよ――」
今日も、とてもステキな発見があった一日でした。



コメント
もしかしたらきゅーちゃん、メニュー表から手の臭いを嗅ぎ分けたぞな?!
素直に『おいしいハンバーグ』とか、やめた理由は何か素敵なエピソードが……なんてこともなく。
プリキュアって別にそういうアホ100%なノリでもいいことを、今一度思い出させてくれてありがとうございますw
……ところで出張所の資料、凄まじい情報漏洩してませんかね。
ジョギははなみちタウンの出身みたいですから、実はその気になって探せば何か手掛かりを見つけられるんじゃないかなと。
私は「おとうふハンバーグ」派でした。他のメニューのガッツリっぷりからしてきっとびっくりするほど人気が出なかったんだろうなあ・・・、プリキュアがそんな世知辛い話するわけがありませんでした。
パトロール日誌は情報漏洩がどうとかよりまずあの薄っすい書類全部表紙つけっぱなしで保管しているところに「金持ってんなあ」という感想。普通古い書類をチューブファイルに移して表紙は使い回しますよねー。
今回のはもりの一連の行動、私が今年半年にわたって広島に出向いて四反田五郎という作家(晩年のヘルマン・ヘッセと文通していたことで有名な方・1926-2000)に関する資料を追って書籍をPODと電子書籍で出版するまでの過程と規模や内容の違いはあるにしても、まったく同じことをやっていたと言えます。
~8月初旬に何とか出版出来たところです。
この年でこれだけできれば、あっぱれ!
こちとらはある意味も何もプロですから、はもりと同程度のことしかできないとなったら正直非難轟々で済まない話になりますが、基本は、まったく一緒です。
実のところこちとら、国会図書館にさえもない資料まであたっておりましたから。
~それなのに広島県立図書館や広島市立図書館にはあるという同人誌や会報を調査していました。
まして、人の記憶というものはなかなかねぇ。自分の親の店とはいえ20年も前の話となれば、そりゃあ、あの漫画家のおねえさんになんて生まれてはいても幼少期でしょうから、いくら親と一緒に何度か来ていたとしても、覚えているやら、ってところ。~もっともあのマスターのギャグを実際見て強烈な印象が残っていれば、話は別。元警察官のおじいさんなんて、別にそういうものを見に来ていたわけでもなかろうから、そりゃあ、メニューを見ていたとしても覚えているとは限らないでしょう。
はもりの方が、ひょっとすると私よりある意味難易度の高いミッションをクリアしているのかもしれません。
今どきちゃんと自分の足で情報を集めるとか、自由研究としてまとめたらちょっとした賞をもらえそうなくらい根気の要る作業ですよねえ。えらい。
喫茶店のメニューなんて1年ごとに更新していてもおかしくないですしね。あのメニュー、カイトお気に入りのハーブティーも載っていませんでしたし、一目黒塗りを見てどのメニューの話だったか思いだせるお父さんお母さんにとっても相当印象深いものだったんでしょう。あの42歳男性以外注文してくれた人がいなかったとかそういう方向で。