名探偵プリキュア! 第5話感想 自分の目からは、自分に見えるものしか見えない。

この記事は約10分で読めます。
スポンサーリンク

さすがに名探偵みくるでも天気までは読めないよね。

TVerで最新話無料配信中!(おおむね放送終了後1週間限定)
dアニメは毎週水曜日に最新話追加!
YouTubeチャンネル限定コンテンツも配信中!

「名探偵の大ピンチ!」

大きな出来事

メインキャラクター:あんな

目標

 みくる抜きで事件を解決する。

課題

 たったひとりで1999年にタイムスリップしてしまったが、それでもみくるがいるところに自分の居場所があると思っていた。実際にはみくるには学校があり、別の友達もいて、あんながいなくても楽しそうに過ごしている。遠目に見ていてひどく不安な気持ちをかき立てられる。

 代替手段として、探偵の事件解決に自分の存在意義を求めようとした。しかし、巡りあわせの悪さも手伝い、別の事件を追っているみくるとの情報共有を怠ったため、決定的な手がかりを掴めない。

結末

【失敗】

 ニジーが銅像を盗み出す方法を確立するまでに正体を見破ることができず、また、ハンニンダーの撃退にも失敗したため、マコトジュエルを奪われてしまった。ポチタンにも無理に力を使わせてしまった。

心の変化

【ネガティブ】

 今回のそもそもの原因はあんなが意地を張ってしまったことにある。銅像やマコトジュエルを盗まれてしまったこと、ポチタンを衰弱させてしまったことに、あんなは責任を感じることになった。

バトル

 ツバメの銅像を素体とした2体のハンニンダー。

苦戦

 1つの同じ銅像から生まれた2体のハンニンダーはチームワークに優れていた。

敗北

 ただでさえ足並みが乱れているあんなとみくるでは為すすべなく、これが私たちのアンサーだ!も受け止められてしまい、プリキュアは完敗した。ポチタンの犠牲によって辛うじて痛み分けに留まった。

ピックアップ

海外とのメール

 イギリスでは世界に先駆けてSMSがサービス開始しており、日本のように携帯電話からEメールを送る習慣が根付く土壌がなかった。世界的にもイギリスに追従する流れが支配的であり、このため当時は日本と海外との間で携帯電話を使ってテキストメッセージを送りあうことは実質ほぼ不可能な時代だった。(加えて日本のSMSがこれまた独自仕様だったため、サービスが始まっても海外とのやりとりはできなかったし、国内で流行ることもなかった)
 もっとも、キャリアメールがガラパゴス的進化を辿ったからこそ、この独自の文化に注目したApple社の仕掛けによって、スマートフォン時代に日本の絵文字文化が世界的ブームとなった側面もあるのだが。

 また、そもそもこの当時の電子メールにはUnicodeのような便利な仕組みがなく、日本で使われていた文字コードはJIS規格。日本語圏外から送られてくるメールは文字化けするのが当たり前の時代でもあった。だいたいみんな海外からのメールは一律迷惑メール扱いとしてフィルターをかけていた。

 おそらく今話のゲストキャラたちはそれなりの苦労をしながら、パソコンのメールアプリでメールをやりとりしているんだろうと思われる。
 もっとも、そもそも学校に携帯電話を持ち込めない時代だったわけで、そこ深掘りしたところで別にどうしたという話でもないが。

生徒会長

 また惑わせるような(造形の凝った)キャラの追加投入を!
 大昔に『フレッシュプリキュア』や『スイートプリキュア』で見た流れ!

 名前は金田れいというらしい。

七つ道具(現在5つ)

 プリキットミラールーペにはまだストラップを通していないらしい。だからミラールーペだけバトル中に落ちたのか。
 きっと、みくると一緒にストラップを通したかったんだろう。

入校許可証

 日本の学校が今のように部外者の侵入を厳しく取り締まるようになったのは、1999年前後に酒鬼薔薇事件など社会的反響の大きな事件が相次いだことを受けて、じわじわと広がったもの。当時この手の許可証を発行して入場管理している学校はそう多くなかったはずだから、この学校は先進的というか、結構なお金持ち校だと推察される。
 まあ、そもそも理事長とかいる私立の中高一貫校だしね。

 キュアアルカナ・シャドウじゃなかった!

さびしい

 「みくる、大丈夫かなあ。今日から中学2年生でしょ。新しいクラスで緊張してないかな」

 けっしてみくるを侮っているわけではありませんが、まるで母親みたいな心配をするあんな。

 「さすがに名探偵みくるでも天気までは読めないよね。あ、みくるのぶんしか持ってきてない・・・。雨が降る前に届けて、早く帰ろう!」

 ちなみに本当に侮っていません。

 タイムスリップしたばかりのときあれこれ世話を焼いてくれたこと、「名探偵になりたい」という夢を本気で叶えるために努力していること、元の時代に帰りたい気持ちにフタをしていたことを見破り依頼させてくれたことなどが理由で、あんなのみくるに対する評価はすこぶる高いものになっています。
 視聴者目線では割とドジっ子な印象が強いみくるですが、あんなからするとむしろ自分のほうが未熟でうっかり者という認識です。

 話しているときの表情からしても、あんなは侮っているのではなく、心のどこかでみくるにそういう隙があってほしいと思っているのでしょう。

 第1話、はじめての変身のとき、怪盗団ファントムに決死の啖呵を切ったあんなの手は震えていました。
 そのときみくるが手を差しのべて、言ってくれたんです。「一歩の勇気が答えになる!」(第1話)
 あんながみくるに教えた言葉が、今度はみくるからあんなへ。

 あのとき、みくるのなかに確かに自分の言葉がありました。みくるの手のひらの先に確かに自分の存在がありました。
 自分の勇気が誰かを奮い立たせ、その勇気が今度は自分に返ってくる。こんなに頼もしいことはありません。

 みくるのいるところが、あんなの居場所でした。
 1999年。自分の住んでいたマンションがまだ影もかたちもない時代にひとりぼっち。それでも、あんなの隣にいるときは安心できました。

 「本当に平気?」
 「大丈夫。ジェット先輩がいるし」
 「でも、ずっと研究室にこもってるし・・・」
 「それに、ポチタンもいるし」
 「ポチー!」
 「昨日からああだけど」

 いざ離れるまでは自分では平気だと思っていました。
 でも、そうじゃありませんでした。

 「傘忘れちゃった」
 「私、持ってるから一緒に帰ろう」
 「ありがとう!」

 みくるの隣にはあんな以外の友達がいました。
 あんなが傘を届けなくても、みくるは困っていませんでした。

 そりゃそうです。
 なにせみくるは名探偵。自分なんかよりよっぽどしっかりしていて、そのうえ努力家で、どんな問題も全部自力で解決できちゃう子なんですから。

 傘、要らなくなっちゃいました。

 そんなふうにあんなの心にぽっかり穴が空いてしまったタイミングで、今話の依頼人が登場します。
 真理子さん。留学中の妹と仲よしだという大学生のお姉さん。

 「キュアット探偵事務所の明智あんなです。真理子さん。名探偵に任せて! この事件、はなまる解決してみせます!」

 お姉さんをみくるの代わりにしようだなんてわけじゃ全然ありませんが、とにかくこのときのあんなは自分にも何かができることを証明したい気分でした。

 みくるは自分が思っている以上にしっかりしている。
 みくるのために自分ができることはない。
 だからせめて、みくるのいないところでなら自分にもできることがあることを証明しよう。

 みくると対等でいられるように。
 尊敬するみくるを、これからも同じ足並みで追いかけつづけていられるように。

 「困っている真理子さんが放っとけなくて、思わず依頼引き受けちゃった。みくるに言っておかないとね。・・・みくるの邪魔しちゃ悪いからね」

こわい

 「ひとりで依頼を引き受けた!? なんで相談してくれないの?」
 「・・・みくる、学校だし。なんか悪いかなって」
 「わかってるでしょ? 私には学校も探偵もどっちも大切だって。ひとりで調査してうまくいかなかったら? 依頼人に迷惑がかかるでしょ!」

 だから、これはまったくの正論。

 まともに言い返すことができません。だって、自分でも悪いことをしてるって自覚はあったから。
 みくるだって勝手にひとりで依頼を受けています。でも、あんなから見たみくるは立派な名探偵。みくるならきっとうまくやるはずです。その違いは果てしなく大きい。
 せめてこの依頼を解決して、自分にもちゃんとできるんだってところを証明するつもりでした。でも、現実にはまだ解決できていません。結局自分の無力さを再確認しただけでした。

 みくるに、まるで聞きわけのない子みたいに叱られてしまっています。

 事実、このときのあんなは聞きわけのない子そのものでした。自分がみくるより劣っていることを自覚しながら、みくると並び立てることを証明するため、背伸びして依頼を引き受けてしまったんですから。
 あんなもみくるも、お互いの確認を取らないまま依頼を受けてしまっています。しかし、その意味は、重みは、それぞれ違うんです。少なくともあんなのなかでは。そしてきっと、目の前でお説教しているみくるのなかでも。

 名探偵みくるに自分の過ちを暴かれてしまって、さて、何者でもないあんなはこれからどうしたらいいでしょう?

 「恵子はこの学校の高等部の2年生で、交換留学でロンドンに行ってるんですけど――。最近おかしなことがあって。『街で恵子を見た』ってよく言われるんです」

 「そこで、と言ってはなんですが――。みくるさんにお願いがあります。事件を解決してほしいんです。幽霊騒ぎを」

 今話のギミックは2つの事件。ミステリ小説ではこれまた定番の類型のひとつですね。ミステリ、改めて見てみると引き出し豊富だな。
 この類型では一見無関係そうな2つの事件がお互い密接に絡みあい、それぞれの調査で得た手がかりがもう片方の事件の解決に役立つ、というのが基本的な流れです。大抵、探偵役が2つの事件の関係性に一早く気付いて、他の登場人物たちを驚かせます。

 「探してる恵子さん、ロンドンにいるって言ってたけど、寝てたのかも。こっちが朝8時だとしたら、4月のロンドンは夜中の12時だから。私に話してくれればすぐにわかったのに!」

 みくるの名推理があんなの劣等感を過剰に刺激してしまっていますが、”2つの事件”類型はそもそもこういうものです。もしあんなに時差に気付く発想力があったら、彼女が受けたほうの事件はそもそも事件にすらなっていません。夕方くらいにもう一度電話をかけるだけで解決します。

 「あ、恵子さん! 私が探してた人!」

 今回あんながみくるのことを過大評価しているので状況を正しく認識できていませんでしたが、実際のところ立場としてはあんなもみくるも大して変わりません。

 みくるは恵子の姿をしたニジーのことを通りがかりの一般生徒だと思い込んでしまいましたが、もしあんなが掴んでいる情報を知ることができていたら、本来彼女が学校にいること自体がおかしいのだと気付けたはずです。
 もし、みくるが手に入れた「彼女が夜中に銅像の前にいた」という情報に加えて、あんなが得ていた「彼女は学校の外でもたびたび目撃されていた」という情報を組み合わせて、もう少し調査することができれば、ニジーが何を企んでいたか、事前に解き明かせていたかもしれません。
 そういう足を動かすタイプの謎解きは、みくるよりもあんなのほうが得意とするものですしね。

 物語の構造としては、今話のあんなとみくるは普通に対等です。
 これまでと同様、あんなはみくるを必要としていますし、みくるもあんなを必要としています。その関係性に何の変わりもありません。
 ただ、あんなの目に見える世界がちょっと事実と異なるように見えてしまっていただけであって。

 「恐怖は思考を停止する」(『スタートゥインクルプリキュア』第1話)、あるいは「素直な言葉は力になる」(『魔法つかいプリキュア!』第49話)といいます。

 今話、あんなが推理に失敗し、マコトジュエルを奪われてしまった根本的な原因は、「このままだとみくるの隣にいられなくなる」という恐怖によって冷静な判断ができなくなり、真っ先に相談するべきみくると言葉を交わせなくなってしまったことにありました。

いやだ

 「オープン! ・・・あれ? オープン! ――オープン! そんな。どうして?」

 プリキュアの奇跡はそこまで都合のいいものではありません。

 プリキュアの力とは夢の前借り。自分の夢を叶えようと一生懸命がんばる女の子には力を貸してくれますが、そもそも自分のことすら信じられない子に夢を叶える力など最初からありません。
 あんなはみくるが勇気を貸してくれたおかげでプリキュアに変身することができました。もっと人間的に成長した後ならいざ知らず、みくるの隣に他の友達がいたというだけで動揺してしまう弱いあんなに、プリキュアの夢見る力を行使する資格があるでしょうか。

 さて、何者でもないあんなはこれからどうしたらいいでしょう?

 無力なら無力であることを認めてそのまま諦めてしまうのもひとつの生きかた。

 でも、そんなの嫌なんでしょう?

 あんなが弱いせいでポチタンが倒れてしまいました。
 せっかく元の姿に戻るために溜めていた時空の力を、今回あんなたちを守るためにまた放出させてしまいました。

 頼れる人が誰もいない1999年の過去の世界。
 大好きで、頼もしくて、尊敬もしている、せっかく出会えたみくるとの距離が離れたままというのも辛いだけ。

 守りたい誰かがいて、大切な誰かがいるなら、弱いままでなんかいられません。
 自分を変えなければどうにもならないなら、自分を変えたらいいんです。
 もう一度恐怖を乗り越えられるように。もう一度素直に言葉を交わせるように。

 「見事だろう? 息の合ったハンニンダーの攻撃。それに比べて惨めだね。君たちはまるで足並みがそろってない」

 最初にあんなをプリキュアにしてくれたのは、みくるが貸してくれた勇気でした。

 そしてみくるは今も変わらず、あんなと足並みを揃えたがっています。

 やりたいことも、やりかたもはっきりしているのに、それがうまくできなかったのは、ただのすれ違いのせい。

 真実を見定めることです。
 みくるに対する行きすぎたリスペクトを一旦落ち着かせて、自分もちゃんと必要とされているという自尊心を回復させること。
 小林は案外スットコドッコイなんだという客観的な事実を冷静に見つめ直すこと。

 思い込みって怖いね。私たち視聴者には当たり前に見えているものが、あんなの目には見えていません。

 これは、友達と対等でありたいと願う少女が、実際に対等であるという事実が見えなくなってしまった物語。

よろしければ感想をお聞かせください

    どういう記事が読みたくて来ましたか?

    読みたかった内容の記事でしたか?

    コメント

    1. ピンク より:

      普通に「メール? エアメールのことかな」で処理してました。

      大学生で、なんなら中学生でも時差の知識がまるっきり無いとは思えませんが、お姉さんとあんなは余程焦ってたんでしょうね。
      ついでにニジーも。変装のモデル本人より、その家族友人に目撃される可能性の方が高いと思いますよ……。

      • 疲ぃ より:

         あー。たしかに1999年当時だと「メール」のつく言葉といえばエアメールみたいなところはあったかもしれません。
         自分でやりとりする相手がいなかったのでエアメールをメールと略す文化があったかどうかまではわからないですが。

         推理ものは登場人物や“想定読者層が”知っているであろう知識の範囲を推理するところから始まるみたいなところはあります。割とここが一番難しいまである。
         だからといってここを全年齢向けにすると今度は『レイトン教授』シリーズみたいに推理というよりパズルになっちゃう部分もあるので本当に難しいですね。

    2. 東堂伊豆守 より:

      えーと取り急ぎ生徒会長の名前につきまして。
      この生徒会長さんのお名前は「金田れい」ですね。「依田ゆみ」と「浅間りえ」は小林みくるのクラスメイトの方で。
      なんか「金田“零”つまり金田一耕助モチーフ!探偵由来の名前!」とか「キュアエク“れい”ル!本名とコードネームにつながりがある!」などと話題になっているようですが……真犯人に自決されて「しまったあ!!」とか絶叫する殺人防御率最低プリキュア・キュアエクレールが爆誕してしまうのか……?。

      • 東堂伊豆守 より:

        今回印象に残ったのが、リモートビューイングでキュアアンサー&ミスティックVSニジーの戦況を見守るキュアアルカナ・シャドウ/森亜るるかが心配そうな表情を思いの外はっきりと出していた点でした。てっきりポーカーフェイスを決め込みながら「この程度の試練を乗り越えられぬ者にプリキュアを名乗る資格はない。貴方たちの底力を見せて頂戴」とか独りごちていそうなスパルタ教官タイプだと勝手に思い込んでいたもんで。
        なんか、想像していたよりも冷酷非情ではないお優しい方のようなんですが……ああなるほど、ということはあの高飛車お供妖精・マシュタンが憎まれ役鬼軍曹ポジションを引き受ける、ということなのか。(この推理の賞味期限、果たしていつまで……)

      • 疲ぃ より:

         ご指摘ありがとうございます。修正しました。
         私が確認した日曜午前時点だと公式サイトがまだ更新されていなかったんですよね。単純にスタッフロール順で判断しちゃいました。金田一耕助ネタなのに引っかかりはしましたが、まあ今までもゲストキャラに有名どころの名前使ってるしな・・・と。

         るるかの反応は、そもそも名探偵プリキュアは歴史上数人しか現れなかったレベルの貴重な存在だからということで。
         マシュタンが下士官役を務めるのはまあ、たぶん仲間になったあとも続くんじゃないかなあと。私はああいうキャラが傍にいるなら本人は素朴な性格だろうと想像していました。

    スポンサーリンク
    タイトルとURLをコピーしました