名探偵プリキュア! 第19話感想 制作陣以外は大真面目にやってる物語。

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ちょっと! ゆみのしおりどうすんのよ! 列車止めてよ!

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「迷宮トレインにご招待!?」

大きな出来事

メインキャラクター:プリキュア

目標

 ゴウエモンに盗まれた修学旅行のしおりを取り返す。
 犯行現場は特急電車の車内であり、次の停車駅まで30分かかる。ゴウエモンが電車から脱出可能になるまでの30分の間にしおりを取り返さなければならない。

課題

 ゴウエモンは電車をからくり迷路に変え、逃げまわっている。追いかけるには車両ごとに用意された謎解きをクリアしていかなければならない。

結末

【達成】

 全ての謎を解いてゴウエモンに追いつき、ハンニンダーも浄化して、しおりを取り戻すことができた。

心の変化

【なし】

 無事に事件を解決し、何の憂いもなく修学旅行を満喫することができた。

バトル

 修学旅行のしおりを素体としたハンニンダー。

苦戦

 足場の不安定な電車の屋根の上でのバトル。敵味方とも、うっかり足を踏み外したら電車から落ちてしまう危険性がある。

勝利

 むしろハンニンダーが電車から落ちてしまった。素体にされたしおりの回収が危ぶまれたが、幸いハンニンダーは飛んで戻ってきてくれた。

ピックアップ

なんだよ今回の脚本!?

 脚本:千葉美鈴

 『わんだふるぷりきゅあ!』において、主に猫屋敷まゆの当番回を担当した脚本家。
 怪物が出るから山には絶対に近づくな、と釘を刺された直後、怖がりのはずのまゆがノータイムで山を登りはじめるという奇行を描いたのがこの人。臆病かつ好奇心旺盛というまゆの矛盾した性質を掘り下げ、その変人的な魅力を存分に引き出した主犯格といえる。(なお、気ぶり猫屋敷は主に成田良美の仕業でまた別の文脈)
 第26話「暑すぎてヤバい!」の担当でもある。

 ・・・なら納得するしかないかー。

 総じて、論理的にはスジが通っているがどいつもこいつも物わかりよすぎるし発想がほんのり斜め上だしツッコミ不在、という独特のグルーヴ感に個性が表れる作風だと思う。

修学旅行

 普通は1年かけて旅費を積み立てるものだが、転校から2ヶ月しか経っていないあんなはどうしたのだろうか。キュアット探偵事務所が賄ってくれたんだろうか。

 ちなみに、私の出身校は小中高いずれも修学旅行といえば秋だったから、この時期に修学旅行のエピソードが出ることに違和感がある。しかし調べてみると、関東では春に修学旅行に行くのもよくあることらしい。いわれてみれば花見シーズンの弘前公園で地元以外の制服を着た集団をよく見かけたわ。

「まいど、車内販売でございまーす。ああ麗しの車内販売!」

 ライライサイダー120円はおトク感あるわね。いや、1999年の物価だとそれほどでもないか。

改札ばさみ

 実際、地域によって切り口が違っていたらしい。駅によっては時間帯ごとに切り口を変えて不正乗車対策を行うこともあったそうな。
 なお、はさみを入れるタイプの切符は「硬券」と呼ばれる厚紙だった。

 自動改札機を導入する都合から、1999年当時にはすでにほとんどの駅で現在のような薄い切符になっていた。
 自動改札機が無い路線であっても、発券機は同じ規格である都合、硬券はほとんど見られなくなっていた。また、はさみを入れるのではなくスタンプを押して改札を通す仕組みに置き換わっていた。
 改札日時が文字情報として記録されるため、そもそもスタンプのほうが管理しやすいという事情もあったのだとか。

食堂車

 これも1999年当時にはほぼ過去の遺物と化していたもの。
 2000年に国内最後の1路線が通常営業終了となり、以後はごく一部の観光列車で行われる完全予約制のサービスになっていく。

寝台車

 食堂車やラウンジカーと合わせ、クルーズトレインの象徴ともいえる設備。要は睡眠用の個室。
 寝泊まり飲食が必要なほど長時間の列車旅をするくらいなら最初から新幹線や飛行機に乗ればいいため、現在ではそれ自体を楽しみに乗る観光列車以外に需要がない。

モブ顔

 「ノーマル顔」ともいう。(『ポケットモンスター』のノーマルタイプのポケモンにこの顔立ちのキャラが多く存在することから)
 むしろ最近はノーマル顔呼びが主流で、「モブ顔」は地味で化粧っ気のない顔に対する蔑称として使われがちかもしれない。

 地味で特徴のないキャラクターを象徴する昔ながらのアイコンだが、これはこれで愛好する者も多い。特につぶらな目がかわいいと(一部のフェチ界隈で)もっぱらの評判。

写ルンです

 1986年発売のロングセラー使い捨てカメラ。27枚撮りで2000円前後と安価で、1999年当時の修学旅行生はみんな持っていた。フィルムを手巻きしたりフラッシュランプを出し入れしたりと、ガジェット感ある操作性も楽しい。
 カメラ付きケータイの急速な普及に伴い、一時は消滅の危機にあった。

 2015年ごろ若者を中心に人気が再燃。以後、現在に至るまで安定した需要があるとのこと。
 面白いことに、何か画期的な機能が開発されて需要が復活したわけではないらしい。若者世代はデジタルカメラネイティブゆえに写真の善し悪しについてこだわりが強く、フィルムカメラのレトロなテイストに独特の味わいを感じ、愛好しているのだとか。
 一応、SNS共有向けに現像データをスマホ転送で納品するなど、時代に合わせたサービス展開は随時更新されている。

 1999年当時の空気感ただよう小道具ではあるが、現代のプリキュア視聴者層にとっても一回り上のお姉さんたちが持ち歩いているのをたまに見かける、現役の憧れアイテムであるのかもしれない。

なんなんだよもう!

 脈絡なくいきなり修学旅行ネタが始まったと思いきや、硬券、食堂車、ラウンジカー、寝台車を順に巡る、1999年当時ですらとっくにレガシーだったクルーズトレイン シチュでの謎解きオムニバス。(そして修学旅行自体の描写は30秒で終わらせる)
 シリーズ構成や作画陣も合わせ、やりたかったからやったという空気をこれでもかと強く感じる、趣味に走ったエピソードです。やっぱ名探偵なら一度くらい豪華列車で事件に巻きこまれないとね!

 「私の、私の料理が消えましたの! トリュフとフォアグラの濃厚デミグラスソース和え、極上生オクトパスですわ!」

 すごいですよね。小道具ひとつ取ってもツッコミどころしかない。
 なんで世界三大珍味のなかから、タコとの相性が比較的マシそうなキャビアだけあえて抜くんだ。
 というか生の魚介とデミグラスソースを合わせることがあるかよ! 動物性の脂質が固まって分離するわ!
 それ以前に、そのサイズのタコを丸ごと皿に載せて出すわけないだろ!

 「ええー!? 列車の中にレストラン!」
 「豪華列車の食堂車。映画や小説の探偵ものでよくあるシチュエーションだよ」

 みくるも小説のなかのシチュエーションを実際に体験できて嬉しそうだし!

 「クロッシュのなか、内側を見せてください」
 「あなたは新鮮なタコの吸盤を利用して、クロッシュの裏にタコを貼り付けたんです。クロッシュを持ち上げても見えないように」

 メタ空間であることをいいことに、トリックでまでボケてくるし!

 そして劇中の誰ひとりとしてツッコまないし!

 「ない! ない! どこにもない! 居眠りしてる間に懐中時計がなくなったんだ。胸のポケットに入れたはずなのに!」

 ラウンジでの謎解きはそこそこマジメかと思いきや、今度はセリフ外でボケてきます。

 ラウンジの利用客は2人だけ。2組2人。
 窓の外はあいにくの雨。なおかつお喋りしているわけでも、何かお酒とか飲んでいるわけでも、本を読んでいるわけですらありません。
 おまけに窓の外はあいにくの雨模様。全ての窓のカーテンが閉められています。

 お前ら何しに来たんだよ?

 「あなたは『寝ている人が眩しくないようにカーテンを閉めた』と言いました。でも今日の天気は雨。眩しいはずがありません。カーテンを閉めた理由が別にあるんです 」
 「ご夫人の席からは被害者の男性の姿を直接見ることはできません。でも、窓ガラスに姿が映っていれば見えてしまう。だから犯行を目撃されるのを避けるためにカーテンを閉めた」

 食堂車と同様、やっぱりトリックでもボケてくるし。

 現在ラウンジカーは、寝ていた男性の席だけに限らず、全ての窓のカーテンが閉められています。ということは、少なくとも誰かが閉めてまわったに違いありません。
 閉めた理由は定かではありませんが、冷気が中に入ってきて寒かったとか、雨音を少しでも防ぎたかったとか、わざわざ閉めることを不審がられない程度には何かしら道理があったのでしょう。
 ラウンジの利用者は2人だけ。無人の席が多数あります。自分がいる席以外のカーテンを閉めること自体には何のおかしさもないのです。

 犯人がテキトーなことを言ったせいでムダに疑われてしまった(あげく自白した)だけで!

 「部屋が3つある」
 「このどれかにゴウエモンが隠れているはずね」

 寝台車の謎解きに至ってはもうね。

 プリキットミラールーペのおかげで3択にすらならないんですもんね。

 ただし映像上、ゴウエモンはどこかの暗がりに隠れていることになっています。
 豪華列車といえば屋根の上で格闘戦だろ!と脊髄反射で考えるオッサンオバサン諸君なら彼が窓から出て屋根の上へ登った可能性を疑うことはなかったでしょうが、はて? 屋根の上にそんな謎スペースがあるものでしょうか?

 ありませんでした。

 状況的にゴウエモンが布をかぶる必然性はどこにもないはずですが、どうやら視聴者にフェイントを噛ましたいがためだけに、あえてこんなことをしていたようです。

 こんなわけのわからない行動すらうやむやのまま許されるから、メタ空間って好きよ。

ギャグ全振りバトル

 画像はプリキュアふたりがやたらかわいかった1シーン。

 今回のバトルの流れはこうです。

 ハンニンダーに吹っ飛ばされたみくるが列車から落ちる危険性を実感する。

 吹っ飛ばされたハンニンダーに巻きこまれたゴウエモンも落ちる危険性を実感する。

 ハンニンダーがトンネルに頭をぶつけ、列車から落ちる。

 あんなとみくる、修学旅行のしおりが回収できなくなって焦る

 ハンニンダーが(ゴウエモンすら知らなかった飛行能力で)飛んで戻ってくる。

 再会を喜びあうハンニンダーとゴウエモン。あんなとみくるも安堵。

 それはそれとして隙だらけなので浄化。

 「トンネルだ!」「立ってたら危ないよ!」
 「ハンニンダー!」
 「おい! 伏せろ!」
 「・・・ハンニンダーが落ちた!?」

 丁寧なフラグ立てと、それをガン無視した自爆行動っぷりに猫屋敷の味を感じます。
 意外と自力でどうにかできてるたくましさまで含めて。

 いやまあ、でも実際このシチュエーションで(ギャグとして)列車から落ちた人、私初めて見ましたよ。シリアスな死亡シーンならまだしも。

 今話のバトルはどこをどう切り取ってもギャグでしかないわけですが、各人それぞれの動きを辿ると案外ふざけてないからタチが悪い。

 「気をつけろよ。俺が走る列車から逃げられないとか言ってたが、お前らだって列車の上では動きにくいってことだ」
 「うぐぐ。たしかにそのとおり」

 「危ねえだろ! 落ちたら大変だぞ!」
 「気をつけてね」
 「絶対、逃げてやるからな!」

 舌戦はプリキュアバトルの華。プリキュアと敵幹部が戦いながら口でも争うのはいつものことです。
 口をきくことができない怪物はこの間蚊帳の外になりがちで、今話に限らずこの時間を使って体勢を立て直すこともしばしばです。

 たまたま体勢を立て直したタイミングが悪く、ひとりだけ話を聞いていなかったハンニンダーがうっかりトンネルに後頭部をぶつけてしまうのも仕方ないことですね。

 幸いハンニンダーはご都合主義的に空を飛べたため、ゴウエモンと感動の再会。

 列車から落ちたハンニンダーを心配していたのはプリキュア側も同じだったのですが、それはあくまで修学旅行のしおりを回収できなくなってしまうことが理由。
 あんなとみくるにとってはしおりを回収することこそ第一なので、ハンニンダーの帰還を喜ぶより先に浄化してしまいます。

 結果、まるで人でなしみたいな流れでハンニンダーにトドメを刺す展開に。

 いやあ。登場人物全員何ひとつふざけてないのに、冗談みたいな展開ばかり畳みかけてくる話って、いいですよねえ。
 ツッコミのお仕事が全部視聴者に丸投げされているのもまたいい。今回のエピソードは私たちが心のなかでツッコみまくって初めて完成します。積極的に参加しましょう。

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    コメント

    1. ピンク より:

      私も中学の修学旅行はこれくらいの時期でした。
      しかし小中高ともに生徒がそんなバリバリ動く行事だった記憶が無い(先生がうるさかった覚えはあるw)んですけど……学校によるのか、単に私が班長とか実行委員とは無縁の生徒だったからなのか。

      とりあえず現地ついてからは、怪盗団ファントム騒ぎからしばし離れ、のびのび楽しめたようで何よりです。
      プリキュアってよく行事の真っ最中に敵が現れたりしますけど、やっぱそういうのって可哀想ですし。でも学校描写が少ないとそれはそれで寂しいジレンマもありますね。

      • 疲ぃ より:

         私のところでは自由行動の計画表と行き先の事前レポートだけ班単位でつくらされていた記憶があります。修学旅行のしおり自体もおぼろげながら手書きだった印象があるので、たぶん学年会の役員で書いていたんでしょうね。

    2. 与方藤士朗 より:

      この回の修学旅行電車は国鉄の165系電車をモデルにしていました。これはもともと急行用電車ですが、修学旅行用電車は他にもあるにはありました。
      いずれにせよ国鉄はいかに労使紛争があっても修学旅行用電車だけはきちんと運転していました~そこはさすがに国鉄一家でした。最後の最後まで。

      さて165系電車ですが、この回の内装は現在名古屋に保存されている165系電車の先頭車をきちんと再現していました。ただし、窓側のテーブル(栓抜き付)を再現していたら完璧でしたが、それはまあ、いいとしましょう。内装は確かに、JR化後のものでした。つまり私が20台で塾講師をしていた頃、いわゆる大垣夜行で運用されていた165系電車のものでした~逆に言うと、昭和40年代の中央線の急行アルプスなどの頃のものではないということです。さすがにあの時期で新幹線はともかく在来線急行でグリーン車やすでに亡くなっていた犯室ビュフェを描いていなかったのは当然と言えばそうです~個人の趣味としては、その前の東海型153系のほうが好きですが。

      ある意味あんなは、この時代に転移して国鉄車両に乗車できたことはすごい体験です~OB戦とはいえ、私が岡山県営球場で阪神小山投手からヒットを打つ巨人の青田・川上・千葉のクリーンアップを見ることができたレベルのものです。

      • 疲ぃ より:

         昭和のストライキはどこも将来世代には迷惑をかけないことで方針が一致していたイメージがありますねえ。いやまあ、それこそ国鉄のソレが源流でしょうけど。地方から上京してくる社会人一年生組も配慮してもらっていた気がします。

         栓抜きとか再現されても逆に子どもが理解に苦しむ・・・、いや、プリキュアシリーズってそういうところ嬉々として盛り込むところがあるか。「一緒に観ている親に聞けばいい」ってスタンスで。・・・今の親世代って栓抜きを見なれているだろうか?

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