
私の指輪。私の家族。私の、帰る場所・・・!

「滋賀を走る」
大きな出来事
メインキャラクター:ララ
目標
自分が置かれている状況を理解する。
課題
目が覚めたら見知らぬ人間の家だった。そういえば魔女に導かれて地上に来た瞬間、人間の少女に鮮烈に殴られた気がする。きっと魔女のしもべだろう。逃げなければならない。
・・・それは誤解だったが、今度は大切な指輪が無くなっていることに気づいた。グレイスも茉里も興味なさそうだ。自分で探すしかない。
結末
【達成】
ララが部屋を飛び出して見知らぬ街のなかで困っていると、そのたびに茉里が探しに来てくれた。琵琶湖で溺れていたときなんか自分も飛び込んで引き上げてくれた。濡れた身体を気づかって温かい飲み物もくれた。
どうやら茉里もグレイスも、悪意を持ってはいないようだった。むしろいい人たちな気がする。
なお、指輪はまだ見つかっていない。
心の変化
【ポジティブ】
ひとまず茉里とグレイスに心を許しても大丈夫そうだ。
安心できたおかげか、本当の愛を探す使命感が改めて芽生えた。
キーワード
“光”と“愛”
「『いつか本当の愛に出会えますように』。その指輪にはそんな願いが込められているの」
「本当の愛?」
「それを探すのが私たちの役目。だからララもこれからは広い海へ出るの」
「やつらの光は依然として失われていくだけだった。民どもも、王家の者も、ローワンも。今は私の屋敷で眠っている。まあ、ほとんど死んでいるようなものだ。ララ、お前のせいで。お前が掟を破ったから、やつらは光を失ったのだ。お前が、たった1人の人間を愛してしまったせいでな」
「私のせいで、お父様は、城は、光を失った・・・。でも、魔女様は言ったわ。私になら家族を蘇らせることができるって」
「光を失ったならまた光を与えればいい。本当の愛を探せ、ララ。お前はプリンセスなのだ」
「特別な光輝くプリンセス――。お母様はそんな存在だった。この城に命を与える光もお母様が生み出したものなの。そんな力を、私たち姫君たちのうち、誰かが持っているかもしれない」
「手を見つめてたってダメ。愛から生まれる光なのよ」
「ララはこの胸の奥に、暖かくてこそばゆくなるような愛を感じたことはある?」
「選ばれしプリンセスが本当の愛を感じたときだけ、その胸の奥からみなぎる光が生まれる。私たち6人の姫君はみんな、その光を、本当の愛を求めてるの。このお城のみんなに光を与える使命が私たちにはあるんだから」
ピックアップ
縫い目

ララの舌には謎の縫い目がある。作画の癖かと思っていたが、劇中のセリフによると本当に縫い目があるらしい。

とすると、ララの姉(リサ)に同行しているこの人物(コータ)も、魔女の薬で人間になったということだろうか。さてはお前、リサのお気に入りだったチョウチンアンコウか?
礼拝堂とクロス


茉里の兄の気安い様子から見て、どうもこの礼拝堂は大津家の持ち物らしい。茉里もクロスを身につけている。公式サイトによると祖母が牧師をしているそうだ。
質素な礼拝堂に、キリストの姿が模られていないクロス。これらはプロテスタントの特徴だ。
飛び出し坊や

子どもの飛び出し事故対策として、自動車のドライバーに注意を促す目的で、全国各地の通学路などに設置されてきたキャラクター看板。2026年現在、生誕53年。
滋賀県東近江市の久田工芸が製造しており、最近ではクッキーなど町興しグッズも展開しているようだ。
平和堂

滋賀県内に84店舗、県外に86店舗構えるスーパーマーケット。大型の総合スーパーから中小規模の地域密着型まで店舗展開が多様、人口密集地にも郊外地域にも出店していて、あらゆる滋賀県民の胃袋を握っている。
ポイントカードは「HOPカード」、イメージキャラクターは「はとっぴー」。
ワイヤートラップ

いくら関係者以外立入禁止の私有地だとしても、毎日見回ることができない場所に罠を仕掛けることは鳥獣保護管理法違反です!
大津港シンボル緑地公園

なんか大きい白い柱2本と、他にもいっぱい立っているが、これは井上武吉制作『水面への回廊、琵琶湖』。公園内に36本立っている柱全部で琵琶湖へ導くひとつの「回廊」、全体でひとつのアート作品となっている。
大津港旅客ターミナル

琵琶湖の観光遊覧船が発着するターミナル。2階には琵琶湖を見渡すことのできる展望デッキがあり、市民の憩いの場として無料開放されている。
プリムラ

旅客ターミナルの公衆電話傍に飾られている鉢植えはプリムラ・マラコイデス。花言葉は「素朴」「気取らない愛」「運命を開く」など。まるで茉里の人となりと、ララのこれからを同時に示すかのよう。
今作はオープニングでもたくさんの花々を印象的に描写しているあたり、積極的に花言葉を演出に取り入れるタイプの作風だと思われる。
チェリオ 手作り風ココア

主に関西圏で大きなシェアを持つ清涼飲料水メーカー兼ブランド名。滋賀県東近江市に主力工場を持つ。
手作り風ココアはチェリオブランドのなかでもロングセラー商品のひとつ。ただ、調べてみると滋賀工場はペットボトル飲料専門のようだから、こちらはもうひとつの小牧工場の製品だと思われる。
受け取り損なって潰れてしまった缶がかわいい。
愛に縋って
「あれはこの国で一番大きな教会。神様の愛に一番近い場所だよ」
「くるま・・・!?」

王子に裏切られて死んだララは、それでも、彼を愛することをやめませんでした。
その業のせいで人魚の国の民や愛する家族たちが失われてしまった今でも、気持ちは変わりません。
滋賀の街並みは時折、王子との楽しかった想い出を思い起こさせました。
最終的には悲恋に終わったあの日々の記憶。
けれどそれはけっして苦いものではなく。不思議と、今もまるで苦くなくて。
あの日々の記憶は、ララの胸の内で今も、楽しかった想い出のまま、ずっと生きつづけていました。
「『いつか本当の愛に出会えますように』。その指輪にはそんな願いが込められているの」
「本当の愛?」
「それを探すのが私たちの役目。だからララもこれからは広い海へ出るの」
「連れてってやろうか? みんなには教えてない、とっておきの場所へ」
「見てみたくない? 月が一番大きく見える秘密の場所!」
「みんな嬉しいのよ。ララが姫君のひとりになったことが。どこか行ってみたい場所はある?」

楽しかった想い出といえば、もうひとつ。
そう。きっと自分は幸せでした。
みんなが自分を愛してくれていました。
だけどこちらの記憶はとても苦くて。
失って初めてその重みを理解したんです。
自分はあんなにも愛されていて、あんなに幸せで。
なのに、そのころは愛は身のまわりに当たり前にあふれているものとばかり思っていて。
だからあのころ、ララは内心罪深いことを考えていました。
「たぶん言っちゃダメだよね。・・・人間の世界を見てみたい、なんて」
なんて罰当たりな。
なんて親不孝で、なんて姉不幸なことか。
家族を捨てて人間への好奇心に邁進したララの愚かな行いは、結果、愛してくれていたみんなから愛の光を奪ってしまいました。
思うのです。
「帰りたい」と。
あの日々がどんなに貴重なものだったか、今にして思います。
王子との日々はとても楽しいものでした。ステキな想い出になりました。
けれど、それと同じくらい、海の底での日々も幸せだったのです。
失って初めて気づきました。
想い出になって初めて思い知りました。

悲しみの涙が、まるで王家の指輪のように美しく光ります。
そして涙は、容赦なく手の甲を滑り落ちて消えていきます。

「指輪! 王家の指輪はどこ!?」
半狂乱になって、ララは茉里の部屋から飛び出していきます。
あの指輪は、想い出の最後の残滓は、絶対に失われちゃイヤだ。
「私の指輪。私の家族。私の、帰る場所・・・! 何? 足が――。息が苦しい――。動かない。・・・私、海の世界にも、もうどこにも、帰れないの?」
幸せだったあの日々。
満たされていたあの愛。
気づいていなかった愚かな私。

失って初めて気づきました。
もう、帰ることはできません。
茉里という少女
「あんた、ほんまに何なんやねん。いきなり琵琶湖ダイブして溺れてるし。人魚やのに。そもそも人魚って何者?」
「あなたのせいでしょ! あなたのせいで、私は指輪をなくして!」
「はあ? 突っ込んできたんそっちやろ」
「大事なものなのに!!」
「私の部屋のもんだって大事や。それに窓の話も――」
まるで言葉の通じない人物でした。

茉里という少女はとにかく、自分の言いたいことだけ言います。
ララがどんなに混乱していても構いません。
どちらの話のほうが重要か、切羽詰まっているかなんてまるで気にしません。
自分は自分。他人は他人。
そっちの事情は聞いた。それはそうとしてこっちの都合もわかってほしい。
そちらは困っている。こちらも困っている。
そちらのペースはひどく乱れていて、こちらはマイペースだけれど、まあとりあえずこちらの話も聞いてほしい。
ひたすら一方的に救いを求めている今のララからしたら、茉里の会話のスタイルはまるで噛み合うわけがありませんでした。
あまりにも話が通じなさすぎて、最初は魔女のしもべかと思ってしまったくらいです。
きっと、こちらの気持ちなんて全然わかってくれないんだ――。
「おい、茉里。早くあいつを追え」
「何で?」
「何でもだ」
「そろそろ練習行かなあかんねん」
「おい! 私の言うことを聞け! 頼む、茉里! あいつはこの滋賀を崩壊させかねない、プリンセスなんだぞ!?」

いいえ。
茉里という少女はとにかく、本当に、ひたすら自分の言いたいことだけ言う子でした。
それは相手が誰であろうと関係ありません。
どんなに困っていても、切羽詰まっている様子だろうと、まるで態度を変えるということがありません。
ララに限らず。
グレイスに限らず。
友達がいないのにも納得がいくというものです。
この子はひどく――、わかりにくい子ですから。
「ん」
お互い全身ずぶ濡れで、あげく突然の雨にまで打たれて、茉里はとりあえずララの手を引いてターミナルで雨宿りすることにしました。
ずぶ濡れのララを放っておいて、茉里は自分だけさっさと着替えます。
練習帰りの茉里と違ってララは着替えなんて持って来ていないんだからしゃーない。
・・・そして、茉里はララに温かいココアを渡すのです。
いかにも雑な性格らしく最初は投げて渡して、
ララが反応できないことに気づくと今度は優しく手渡しして、
ララが缶ココアを知らないことに思い至るとプルタブを開けてあげて、
それでも困惑しっぱなしのララに、目の前で飲みかたを実演して見せます。

ここに至って、ララはようやく茉里の優しさに気がつきます。
容赦のない子です。
相手が困っていようが切羽詰まっていようが、とりあえず自分の言いたいことを言う子です。
相手に余裕がなくて、自分には余裕がある状況だろうと、あくまで対等に接しようとします。
自分は自分。他人は他人。徹底しています。
だけどそのうえで、ちゃんと相手の話は聞いているのです。対等に。
困っているなら助けてあげようと思うのです。親切なことに。
相手の感情に寄り添う気がないだけで、相手の気持ちを思いやろうとは思っているのです。実は。
なんだそれ。初見でわかるかよ、お前のコミュニケーションスタイル。
いやまあ、私も似たようなコミュ障なんですが。
愛はすぐそこに
「さっきはありがとう。・・・助けてくれて」
「ん? 別に」
「私、大馬鹿者ね。お礼を言わないなんて」
右も左もわからない滋賀の街でぬくもりに触れて、ララはようやく冷静さを取り戻します。
失われゆくことが恐ろしくて恐ろしくてたまらなかったものが、実はすぐ目の前にありました。
プリムラ・マラコイデスの花言葉。「素朴」あるいは「気取らない愛」。
失うまで気づくことができずにいた、姉たちや父親の愛。
なんて大馬鹿者――。あんなに後悔して、なのに、同じ過ちを繰り返そうとしていただなんて。
愛はすぐそこに。気がついてしまえば、実はほんの目の前にありました。

「ねえ、魔女様。朝はごめんなさい。逃げ出してしまって。一度は泡に消えてしまった私が愛の光を取り戻すことなんて、できないって思ったの」
「ふん。私は逃げたままでよかったがな」
思えばこの魔女も、ララが目覚めてからずっと優しく導いてくれていました。
口はものすごく悪いし、ひねくれているし、言行全然一致させる気がなさそうだけれど。
茉里とどこか似ています。
気がついてみれば、昔も今も、まるで当たり前のように、ララの周りには愛があふれていたのでした。
「ねえ、魔女様。見つかると思う? この滋賀でなら、本当の愛が――」
本当は何も失われていなかったことに気づいて気持ちが落ち着いたララは、ようやく視線が前を向きはじめます。
後ろから前へ。過去から未来へ。想い出から希望へ。本当の愛へ。運命を開け。
「『いつか本当の愛に出会えますように』。その指輪にはそんな願いが込められているの」
「本当の愛?」
「それを探すのが私たちの役目。だからララもこれからは広い海へ出るの」
愛されて育った姫君たちは、あえて愛に満ちた城を飛び出し、外の世界で本当の愛を探すのがしきたりです。
「ララはこの胸の奥に、暖かくてこそばゆくなるような愛を感じたことはある?」
「選ばれしプリンセスが本当の愛を感じたときだけ、その胸の奥からみなぎる光が生まれる。私たち6人の姫君はみんな、その光を、本当の愛を求めてるの」
この胸を暖かくしてくれる愛。
見つけました。



コメント