
エクレールもいるし、るるかさんもいる。4人で一歩を踏み出せば、一歩の勇気が答えになるから!

「名探偵キュアアルカナ」
大きな出来事1
メインキャラクター:るるか
目標
キュアエクレールのプリキュアマコトジュエルを破壊し、彼女が大王になる展開を食い止める。
課題
守ろうとしている当のくれあからも、これまで協力してくれていたマシュタンからも、あんなやみくるからも、誰からも反対され孤立している。
結末
【失敗】
キュアエクレールが大王になって世界をウソの影で覆う、という予言の解釈がそもそも間違っていた。くれあに止められ、るるかの試みは完全に失敗に終わった。
心の変化
【ポジティブ】
るるか自身、本当はこんなことしたくなかった。
期せずまたくれあと一緒にいられる未来を手に入れ、るるかにとっても望ましい結末となった。
大きな出来事2
メインキャラクター:くれあ
目標
るるかとまた一緒にいたい。
課題
るるかはキュアエクレールが大王になると確信している。
これまでるるかの推理が間違っていたことはなかった。しかし、それが本当ならくれあは再び記憶を失い、るるかと一緒にいられなくなってしまう。
結末
【達成】
あんなとみくるがるるかの推理をばっさり否定しているのを見て、さらにるるかのパートナーであるマシュタンからるるかのことを頼まれたことも受け、ようやく踏ん切りがついた。
くれあもるるかの言うことを真っ向から否定し、自分の望みを叶えるために彼女に立ち向かった。
心の変化
【ポジティブ】
くれあは初めて自分の意志で一歩を踏み出すことができた。
結果として、自分の願いも、るるかの本当の願いも、両方まとめて叶えることができた。
バトル
エクリプス・シャドウとのバトル。
苦戦
キュアエクレールの力が圧倒的とはいえ、エクリプス・シャドウも強力。一度はキュアエクレール含め3人とも変身解除に追いこまれた。
再変身して今度はエクリプス・シャドウを追い詰めたが、デッチ・アゲインが彼女に更なる力を供給する。
勝利
るるかの推理を否定する決意を固めたくれあがエクリプス・シャドウのまとうシャドウの力を破壊し、るるかに語りかけてその本心を引き出した。
ピックアップ
デッチ・アゲインとエクリプス・シャドウ


瞳の形が同じ菱形。エクリプス・シャドウはデッチ・アゲインからシャドウの力を供給されているのだから、その点では不思議なところはない。
ただ、「大王になる者、瞳に星を宿す。それが我ら種族の伝説」というのであれば少し話が違ってくる。

デッチ・アゲインのハンニンダー召喚バンクシーンでは瞳ではなくモノクルに星が浮かぶ。デッチ・アゲイン自身の瞳にはおそらく星は秘められておらず、つまり怪盗団ファントムのなかで彼だけ種族が異なるということになる。
ならば何のために「大王」を巡る争乱に介入しに来たのか?
菱形の力(シャドウの力)はそもそも大王になる資格たりえないのに。
「なあに。あの王様はすぐに消えるよ」

このセリフでだけデッチ・アゲインはわざわざ「大王」を「王様」と言い換えている。
そもそも彼は「俺も最近知ったんだ。アルカナ・シャドウの見事な推理でね」として、これまでキュアエクレール=大王説をるるかの受け売りとしてしか語っていない。
この場で「大王」もしくは「王様」と呼ばれうるのはくれあ、もしくはるるかのみ。このシーンにおいてデッチ・アゲインはるるかの勝利を確信しており、逆にその後るるかがエクリプス・シャドウではなくなる展開は完全に予想外だった。
つまり、彼が「王様」と呼んでいたのはくれあのことで間違いない。
では、どうしてデッチ・アゲインはくれあをあえて「王様」と呼んだのか?
本当は最初からくれあが「大王」だとは考えていなかったのではないか。
星形の輝き


星形あるじゃん。エクリプス・シャドウをつくるためにデッチ・アゲインが持ち出した石は本来ウソノワールのものだというから、それで説明がつくといえばつくのだけれど。
ただ、それでもエクリプス・シャドウの瞳は菱形。デッチ・アゲイン側の力。再強化して初めてエフェクトに星が表れるようになった。
そもそもの話、ノストラダムスの大予言ネタで七の月の日食(エクリプス)が出てくるなら、そのエクリプス・シャドウこそが大王であるべきだ。
デッチ・アゲインはるるかを利用して彼女を「大王」に仕立て、星形の力に自身のシャドウの力を混ぜ込むことで、本来自分に資格のない大王の力を我がものにしようと目論んでいたのではないか?
だからこそ、るるかの体を離れてもシャドウの力単体で活動できる仕掛けにしていたのではないか。
だからこそ、作戦が失敗したとき1人だけ異様に悔しそうにしていたのではないか。
2000年問題

「1999年が終わりを迎えしとき、全てがゼロになる。そして、真実の石を持つ者が新たな歴史を創る」
1999年はノストラダムスの大予言だけでなく、2000年問題でも騒がしかった。
現代のコンピューティングでは日付を扱う際、内部的に YYYY/MM/DD の形式で記録するのが常識だが、1900年代中期の古いコンピュータシステムではメモリ容量節約のため YY/MM/DD の形式、つまり年を下2桁だけで記録することが多かった。
この場合、コンピュータは2000年1月1日を1900年1月1日と混同してしまう可能性がある。そして1900年代末、こういった古いシステムを使い続けている現場はまだ多数残っていた。
このまま2000年を迎えたら、電車の運行管理から銀行残高の記録まで、コンピュータで管理しているありとあらゆるシステムが誤動作しまう可能性が危惧されていた。
現実には、2000年1月1日にコンピュータの誤った挙動はほとんど確認されなかった。
2000年問題が杞憂だったからではない。ただ、世界各国が国を挙げて、数年がかりで古いコンピュータシステムを更新しきっただけだ。間に合わせたのだ。
全人類が協調して世界的危機に取り組み、人々のいつもの日常を守ったこの事件の顛末は、実にプリキュア的な物語だったといえる。
そういえば設定上、今の人間って心にマコトジュエル(妖精を信じる思いの力)を持っていないことにされてるんだっけね。
自己批判、他者批判
「くれあー! 今でしゅ、変身するでしゅ! くれあのきらめきを見せるでしゅ!」
「・・・うん。みんなを助けてウソを止める! それが私のきらめき!」(第26話)
いっそシュシュタンがくれあを言いなりにして操縦している悪者なんじゃないかとすら思えた、キュアエクレールの初変身シーン。(もちろん実際には全然そんなことなかった)
あのとき、くれあはみんなを助けるべき個人的な理由も、ウソノワールと対決するべき理由も持ち合わせていませんでした。
ただただ、「優しい」という、ふわっとした博愛的な感性のみによって変身を果たしました。
プリキュアシリーズ全体を通してもきわめて珍しい、個人的な動機の欠如した初変身。
例外は運命に囚われていた『ふたりはプリキュア Max Heart』のシャイニールミナスや、そもそも人間性を持たずに生まれた『ヒーリングっどプリキュア』のキュアアースくらいなものでしょう。
今話、彼女の変身物語はようやく一旦の決着を迎えます。

「イヤでしゅ! くれあは大王なんかじゃないでしゅ!」
「やめて、シュシュタン。るるかの推理は外れたことがない・・・」
かつて、探偵テストではるるかだけが合格し、くれあは名探偵たる資格を与えられませんでした。
くれあはるるかの助手になることを選びました。
自分よりもるるかのほうが優れている。自分ではなく、るるかこそが正しい真実に辿りつくことができる。当たり前のようにそう信じていました。
・・・真実は本当にその通りだったでしょうか?
るるかが探偵テストに合格できたのは、ルーシーちゃんの事情を見通したうえで、それでも真実を明らかにすることができたから。
くれあが合格できなかったのは、ルーシーちゃんを傷つけてしまうことを怖れて、その場で真実を口にすることができなかったから。
別に、くれあの推理力が劣っていたわけではありません。
2人の明暗を分けたのは、ただ、一歩前へ進むことができたかどうかだけ。
なのに、くれあは自分よりもるるかのほうが正しいところを見通していると、盲目的に信じています。
るるかの語る“真実”に従うなら、せっかく取り戻した自分の記憶をまた失ってしまうというのに、それでもるるかに反論しません。無抵抗に、粛々と受け入れようとしてしまいます。

それって、優しさ? 本当に?
「それが、るるかが私を倒そうとする理由?」
「倒すんじゃないわ。るるかは、あなたの心のマコトジュエルを砕こうとしているのよ」
「エクレールのマコトジュエルがなくなれば、プリキュアの力も、探偵の記憶も、また消えちゃうでしゅ!」
「そうよ。パティシエ・帆羽くれあとして生きてもらう」
「それが――。それが、るるかの優しさなの!」
他方、るるかもまた「優しさ」から暴挙をはたらこうとしていました。
くれあを不幸にすることがわかりきっている行い。
ただ、大王になるよりはマシだろうというだけの次善策。妥協の産物。
正しいといえば正しい。くれあのことを思って決断したのも間違いない。
でも。それって本当に、優しさ?
「優しさなんかじゃない!」
るるかの「優しさ」を公然と否定する声が上がります。
くれあではありません。
あんなとみくるです。るるかと同じ、「名探偵」です。

大切な友達を自分の手で傷つけてしまうことを覚悟で辿りついた、るるかにとっての真実。
あんなたちはその並々ならぬ覚悟を、優しさになっていないという一点に依って否定するのです。
同じ「名探偵」。異なる「真実」。「優しさ」に対する考えかたの違い。

くれあは――、あんなたちを支持しました。
彼女たちの手を取り、再びキュアエクレールとなって、るるかに対峙します。
もう、無批判に彼女の言う真実を受け入れることはありません。
「忘れたくない。だって私、名探偵になれたんだから! こんなにもきらめいてる仲間に巡り会えたんだから!」
くれあの言葉に、ようやく彼女自身の思いが篭もりはじめます。
これは誰かを助けるための戦いじゃない。
自分自身を助けるための戦い。自分が大切に思うもの、自分が大切にしたい人を守るための戦い。
「あなたは仲間だからキュアエクレールを守ると言った。でも間違ってる。仲間だから――。仲間だからこそ、私の手で、キュアエクレールを止めるの!」

凄絶な形相のるるかが、くれあの目にはなんだかかわいそうに見えてきました。
るるかとあんなたち、どちらの名探偵の語る「真実」が正しいのか、くれあにはまだ確たるところがわかりません。
けれど、ひとつだけくれあにもわかる真実がありました。
るるかは辛そうだ。
るるかの語る「真実」は、るるか自身をとことんまで不幸に追いこもうとしている。
るるかの「真実」に傷つけられるのは、実はくれあだけじゃない。

「るるかを止めて。あなたなら止められる。・・・ねがい。・・・お願い、キュアエクレール」
あのマシュタンまで泣いている。
るるかを止めてほしいと願わせてしまっている。

くれあにとって、真実を選び取る根拠はそれで充分でした。
「やめて! 私はアルカナと一緒にいたい! シュシュタンと、マシュタンと一緒に、みんなと――、みんなと一緒にいたい!」
名探偵としてこんなに情けない顔は他にないかもしれません。
迷っています。
答えは確信できずにいるままです。
相手はるるか。天才探偵の呼び名を欲しいままにしている才媛。自分なんかと違って早くから才覚を示してきた本物の名探偵。
彼女が信じる「真実」なら、もしかしたら本当は正しいのかもしれません。自分がまだ知らない、あるいは理解しきれていない、その結論に至るしかない根拠がまだどこかにあるのかもしれません。

くれあは決定的な証拠を持っていません。
るるかが間違っていると思ったのは、ただ、彼女の語る真実が「優しく」ないからというだけです。くれあにとっても、るるかにとっても、マシュタンや他の誰にとっても。
るるかの「真実」は誰も幸せにしないからというだけで、それを否定しようとしています。
正しいでしょうか?
これは正しいことでしょうか?
名探偵として、これが本当に正しさを追求しようとする行いでしょうか?
わかりません。
くれあにはわかりません。
間違っているかもしれません。
どれが正しいかなんてわかるはずがありません。

だけど、これはどうしてもくれあ自身が自分で決めなければいけないことでした。
自分のために。自分の大切な記憶を守るために。自分にとって大切な、るるかを守るために。
迷いはいつまでも消えないけれど、それでも、この一歩だけは自分で踏み出さなければいけませんでした。
「るるかと一緒にいたい!」
それが、今のくれあにとっての「真実」。
プリキュアたるための個人的な動機。

過ちの果てに
るるかは孤立してしまいました。
「話聞いてなかったの!? ミラージュの書の予言どおりに七の月に大王として覚醒した! エクレールを止めないと、世界がウソの影で覆われる!」
どんなに言葉を尽くしても、くれあも、あんなとみくるも、全然納得してくれようとしませんでした。
論理的な根拠を示せているのはるるかのほう。
予言書が決定的な証拠だとする自分の推理が不完全だという指摘はもっともだけれど、他の3人はそもそも論拠を示せていません。
それは優しさじゃないから。
自分で見つけた答えじゃないから。
他の可能性だってあるはずだから。
記憶を失いたくないから。
これからも一緒にいたいから。
ひたすら感情的な言葉を並べて、ただくれあを守りたいがためだけに、るるかの導いた「真実」を否定してきます。

るるかだって、くれあのためにこうすることを決めたのでした。
くれあをこのままにしておくことはできない。いずれ世界をウソの影で覆う大王になってしまう。そんなの優しいくれあが望むわけない。
完璧な理想の未来なんて今さら辿りつくことができない。くれあは星形の輝きを纏ってしまった。るるかのせいで。るるかがプレゼントしたトップオブリリーフレグランスのせいで。
全部自分のせいなんだから、自分で幕引きするしかない。
自分にとってどんなに辛いことだろうと。心を鬼にして、思考を凍てつかせて、体を散り散りに引き裂いてでも、一番くれあのためになる選択をしなければならない。
それなのに。
「無理なの。一緒にいられなくても、ただあなたが笑顔でいてくれれば、それでいい」

るるかの幸福を徹底的に破壊した先の未来にだけある、小さな小さな救いを、それを享受するはずのくれあが頑として否定します。
「私は忘れたくない。キュアット探偵事務所で過ごした日々を。あなたが認めてくれた私を!」

るるかにはくれあの言っていることがよくわかりません。
くれあが失うことになる記憶は、名探偵としての記憶。つまりるるかと一緒に学び育ったころの記憶だけ。全てを失うわけじゃありません。ただ、あの幸せだった日々が失われるだけです。
記憶を失っていたころのくれあが不幸だったようには見えませんでした。パティシエ・帆羽くれあはけっして不幸な少女じゃないはずです。あのころに戻すだけです。
なのに、どうしてくれあは記憶にこだわるのか。
「あなたが認めてくれた私」? そんなもの、るるかが認めなくたって、くれあの魂は最初からきらめいていたはずなのに。
「そう。二度と忘れない。教えて、あなたの本当の答えを」
「私」? 私がいったい、くれあが記憶を失うかどうかの問題にどう関係するというのか。
そこまで迫られて、ようやくるるかは理解します。
くれあがいったい何を問題にしているのか。
優しい彼女は、るるかが不幸になることを拒否しているのでした。
思えば探偵テストのときもそうでした。ルーシーちゃんが可愛そうだからと、真実を語る口をつぐんだのがくれあでした。
るるかだって、別にルーシーちゃんのことがどうでもいいから謎を解いたわけではありません。きっとうまくいくと信じたからこそ真実を明かしました。
けれどあのとき、ルーシーちゃんの心に一番寄り添えていたのは、きっとくれあのほう。
その優しさを尊敬していました。
自分にはない美徳だと思っていました。
肝心なときに一歩踏み出せないのも、一歩引いてしまうのも、それはそれで、彼女のきらめきだろうと。
なのに、今日の彼女は踏み込んでくるのです。

一歩。また一歩。
るるかがくれあの求めるところを受け入れるまで頑として譲らず、どこまでも距離を詰めてくるのです。
彼女をそこまで追いこんだのは、彼女の絶対に譲れないものを置かそうとしたのは、るるかでした。

「私も、――私も一緒にいたい!」
私は幸せになっていいのでしょうか? くれあのために自分を犠牲にしなくてもいいのでしょうか? くれあが幸せになって、るるかも幸せになれる、そんな都合のいい奇跡を信じていいのでしょうか?
そんなくだらないことを考える余地すら与えず、くれあはるるかが一緒にいてくれることを有無をいわさず要求します。くれあ自身の幸せのために。

くれあの本当の「優しさ」は、かつてるるかが感じたものとは少し違う形をしていました。
るるかが孤立することになったのは詰まるところ、るるかだけが論理的だったからでも、他の3人が感情的だったからでもありませんでした。
くれあや、あんなたちは――、「真実」を追求することで何が起こるかを考えて行動していました。
名探偵にとって「真実」とは、誰かを救うことができるもの。みんなを幸せにするものでした。
るるかだって名探偵。それがまったくわからない人間ではなかったはずですが、どちらかというと陰気なタイプ。友達と接したり、友達の気持ちを考えるのはちょっと苦手。だからこそ、「優しい」くれあに憧れを抱いたわけで。
くれあを幸せにするために、るるかの幸せも必要になるとは思いもしていませんでした。
ウェイクアップタイム。
プリキュアとして生まれ変わったるるかが、初変身を飾ります。

キュアアルカナ・シャドウだったころと比べて、笑顔は屈託なく、子どもらしくはじけていて。

涙をこらえる日々は終わりました。

うつむく日々も終わりました。

空を見上げて、希望を信じていいのです。

るるかが微笑むことを咎める人はどこにもいません。
むしろ、くれあたちはるるかが笑うことを喜んでくれています。
「真実を照らす白き光 名探偵 キュアアルカナ!」

それはもともとくれあに見出し、憧れていた優しい光。
そういう名探偵になりたいと望む、るるかの夢。
名探偵の「真実」とは
「優しさなんかじゃない!」
「そんなこと」「させない!」
「私たち、名探偵が!」
くれあがるるかに何も言い返そうとしなかったとき、代わりにあんなたちが奮起しました。
だって、名探偵とはそういうものだから。

「名探偵はいろいろな事件を調べて解決し人々を助ける、みんなの憧れ、希望! 私はそんな名探偵になるために探偵テストを受けに来たんです!」(第1話)
それがみくるの、そしてあんなの憧れた名探偵。
誰かを助けてこその名探偵。
誰かを幸せにしてあげられるからこそ、名探偵は真実を解き明かします。
「重ねた推理じゃない! 決定的な証拠がミラージュの書だなんておかしいでしょ!?」
「うん。自分で見つけた答えじゃない! くれあさんが大王だったとしても、本当に世界がウソの影で覆われるの!? きっと解決方法が見つかるよ!」
慈英島での事件もそうでした。
論理を積み重ねた果て、ふたりが見つけた「真実」は幼い姉妹に不都合なものでした。彼女たちが傷つくであろうことを考えると、本当に真実を明かしていいものかどうか、迷います。
けれど、実際にはうまくまわりました。姉妹の心情を慮った家族は彼女たちを許し、慈しみました。
名探偵が見つけだす真実には、思いもよらない奇跡すら起こす、マコトの力がありました。
名探偵が推理の果てに見出す「真実」の力を、あんなたち名探偵は信じます。
真実が誰かを傷つけてしまうことはないと。
誰かを傷つけてしまう「真実」なんて、そんなもの本当の真実ではないと。自分で見つけた答えが自分を不幸に追いやるなんてありえないと。まだその先があるはずなんだと。

「諦めない、負けない」はプリキュアの合言葉。
るるかが熟慮の果てに見出したはずの「真実」を、あんなたちはあっさりと否定します。
あんなたちは名探偵だからです。
今示すことができる答えは感情論でしかないかもしれません。
けれど、るるかの「真実」が示す悲観的な未来よりはずっといい。
なにせ、くれあを救うことができる。るるかも救うことができる。
ふたりとも傷ついて、大切なものを失ってしまう未来より、こっちのほうがずっといい。
もちろん、非論理的であることは認めなければなりません。
るるかの熟考に見合うだけの、もうひとつの「真実」にはなっていません。
だけどそれも、明日があるから。
「エクレールもいるし、るるかさんもいる。4人で一歩を踏み出せば、一歩の勇気が答えになるから!」
一歩一歩、前を向いて着実に歩んでいけば、いつか「真実」にもたどりつけるから。
焦らなくていい。まだ諦めなくていい。
それで自ら不幸へ至る道を歩むくらいなら、未解明でも別の真実があることを信じたい。
世界は謎に満ちています。それってつまり、可能性にあふれているということです。
だから、怖がらないで。謎は謎じゃない。
名探偵にとって、謎は願いを叶えていくチャンスでもあるのです。
「私のせいで、ごめんなさ――」
「大丈夫! ウソを止めよう!」
「ええ! 私たちの力で!」
「うん。それが、名探偵だから!」


かくして、片や自分の意志で自発的に行動するのが苦手な子、もう片方は誰にも相談しないせいでどんどん沼に嵌まってしまった難儀な子。2人のこじれにこじれた関係性は、名探偵の活躍によって無事に元に戻りました。
あんなとみくる、2人の名探偵を「奇跡のふたり」と呼ぶ声もあります。まあ、そもそも自分でも変身バンクでそう名乗ってもいます。
今話ほどその肩書きを実感する、ヒロイックなエピソードもないのではないでしょうか。
いや、ほんと。あのくれあに自発的にるるかを救わせるためにはどうしたらいいかなんて、私には全然思いつきませんでしたし。



コメント
まず間違いなく村山さん脚本なことと、想定されうる尺の短さで、くれあを焚き付ける理由付けに薄々察しはついてました。プリキュアの友情は絶対的正義なり。
『ミラージュの書や、今回出てきた伝承=デッチ個人が何らかの目的でそれっぽく吹聴してる御伽話』説で一旦考え中です。
おそらく彼、ラスボスになるでしょうし。
あとウソノワールたちが盲信するミラージュの書がそういう代物なら、自分で考えて答えを出す名探偵との対比に丁度いいかなと(一応日常回のマコトジュエル探しはニジーたち自身で考えてるようですが)
第13話でウソノワールを撤退させたタイミングのよすぎる予言の件もありますしね。
あとは自分で探すべき「真実」をどこまで拡張するのか。何のために真実を求めるのか、不都合な真実にどう向きあうのか、みたいなところまで突っ込んでいくのかどうかですかねえ。
今回、明智あんな/キュアアンサーと小林みくる/キュアミスティックの「1999年世界に実在する筈の無い、存在そのものが“嘘”(よってその行動及びその結果も本来起きる筈のなかった“嘘”)のプリキュア」コンビがやったことって―――自分達好みの「諦めないから絶対勝つ」ナラティブを非実在プリキュアの“嘘のように強い”パワーでごり押しして、「帆羽くれあ/キュアエクレール“大王”による世界の破壊を、森亜るるかがくれあの記憶を奪って“無害化”することで食い止める」という1999年の“真実”をねじ曲げて、「1999年世界の平和もるるかとくれあの思いも、全てが守られる」という“嘘”で1999年世界を“覆う”―――ことだったんじゃないんですかね?
なんか明智あんなさん、「ウソを止めよう」とか言っておきながら、そのアナタ御自身が「世界を(自分達に都合の良い)嘘で覆」っているんじゃございませんこと?
結局、かつてキュアアルカナ・シャドウに言われた「嘘もまんざら悪いものじゃない」という言葉の正しさを、(口先ではその言葉に反発していた)明智あんな/キュアアンサーが行動で証明してしまった……というのが今回の決着だったように思うんですが。
(逆に言えば、自分の“嘘”に関する持論の正しさを、どんな手を使ってでも貫き通す気概に欠けていたのが、森亜るるかの失態だった……ということなのかも)
“真”の1999年においては「“大王”による世界の破壊を、2人の少女―――森亜るるかと帆羽くれあの願いを犠牲にすることで食い止める」展開になるはずだった。
しかし明智あんな/キュアアンサーと小林みくる/キュアミスティックの尽力によって「世界の平和」と「2人の少女の願い」の両方を救うことが出来た―――いや、本当に「2人の少女の願い」は犠牲にならずに済んだのでしょうか……?
アンサーとミスティックが1999年世界を「世界の平和の為にるるかとくれあの願いが犠牲にならない」という“嘘”で覆った結果、それ以後の世界は「明智あんなが2013年から2027年まで過ごした世界」=「“真”の1999年の延長線上にある世界」とは“異なる”世界になってしまった可能性があるんですよ。
もしそうだとすると、明智あんなの「自分が生まれ育った世界に帰る」という願いは、その世界が“嘘”による歴史改変で消滅してしまった以上もはや決して果たされることが無い願いになってしまい、また小林みくるの「明智あんなから依頼された「あんなを彼女が生まれ育った世界に帰す」任務を完遂する」という願いも果たされないことになってしまう。
つまり「2人の少女の願いを犠牲にして世界が救われる」という展開自体は変えられておらず、ただその犠牲になる2人の少女が「るるかとくれあ」から「あんなとみくる」にすりかわっただけ―――なのかもしれないんですよね……これが“歴史の修正力”ってヤツなのか、はたまた“等価交換”ってことなのか?
そういえば、るるかとくれあが花崎まふる所長と出会ったときの描写から、2人は「頼るべき者のいない子たち」(おそらく孤児)らしいことがほのめかされているんですが、もしあんなが生まれ育った世界を失ってしまったのなら、彼女もまた孤児ということになるわけで―――ひょっとして本作の「探偵」の資格要件に「孤児であること」が入っている、とか……?
その場合「本当」とは何か、「ウソ」とは何かがテーゼになるんでしょうね。
第11話で怪盗から予告状が届く前からも首飾りは人気だったという話を受けて「よくわからないけど、みんなの思いが集まってキラキラ輝いているから、ですかね」と答えているあたり、るるかと同じで、客観的な真贋関係なく人がどう思っているかを価値基準に置いているところがありますし。本人はまだそのあたりの価値観を自分のなかで整理しきれてなさそうではありますが。