スタートゥインクルプリキュア 第5話感想 生真面目ガール vs. 萌えパパ。

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香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め。

(主観的)あらすじ

 香久矢まどかは由緒正しい家柄に生まれたお嬢様です。人の上に立てる人間になれ。家族に隠しごとをするな。厳しいお父さんの躾けに従って彼女は文武ともによく学び、生徒会長として役員会をよくまとめ、現在は“観星中の月”としてたくさんの生徒たちに慕われています。

 また、そのお父さんは内閣府宇宙開発特別捜査局局長という肩書きで宇宙人を厳しく取り締まる仕事をしています。まどかにはひとつ迷っていることがありました。最近同じ学校のひかるが宇宙人と何か関わりを持っているように見えるのです。お父さんの手前、無視することはできず、まどかはひかるに事実確認をしてみます。  ・・・ますます迷うことになりました。ひかるは確かに宇宙人と関係を持っており、けれどその宇宙人・フワたちが悪い子にも見えず、さりとてお父さんを裏切ることもできず、まどかはどうするべきか困りはててしまいました。

 迷うまどかとひかるたちの前にノットレイダーが現れます。ひかるたちはプリキュアに変身して迎撃に向かい、フワのことはまどかに託されます。まもなくまどかとフワのところにもノットレイダーの魔の手が。
 ずっと迷いつづけてきたまどかはそこで、自分自身の結論を出します。フワを守る!

 4人目のプリキュア・キュアセレーネはこうして誕生しました。
 お父さんに隠しごとをすることになってしまったことは心苦しく思いますが、まどかは自分なりの考えでお父さんから教わったことを実践していこうと決めました。

 早いもので春映画のシーズンですね。予告を見た感じ、どうも今年は3D作画ではないっぽい? そういえばポケットモンスターの方でフル3D映画をつくっていますもんね。3Dスタッフはそちらにかかりきりなんでしょうか。
 私は・・・今年どのくらい時間を使えるだろう。年末くらいからずっとそんな感じだったんですが、今いよいよ生活環境が大きく変わるところなので、例年より感想文が控えめになるかもしれません。観に行くのは間違いないですけどね。

 さて、香久矢まどか。プリキュアシリーズ・・・というかフィクション作品全般で定番の、家の都合と自分の本音との間で揺れ動くタイプのキャラクターですね。この子の面白いところは、お仕着せられた型から脱しつつも、お父さんの教え自体は変わらず大切にしているところです。こういう子、私は好きです。
 お父さんだってなにも自分の娘が憎くて厳しく接しているわけないんですから、たとえ窮屈に感じられたとしても、そこには絶対に優しい思いが込められているはずなんです。けっして安易に拒絶していいものじゃありません。
 まどかはまだちょっと未熟で、これからもたくさん悩みそうな子ではありますが、そういう大切なことには最初から気付けているようです。賢くて、優しくて、いい子ですね。

 ついでに、どうでもいいことですが・・・
 「姫ノ城家第21代当主、この桜子、負けるわけにはいきませんわ!」
 
え、この子中学生でもう家督を継いでいるの?(たぶん違う)

お父さんの教え

 「内閣府宇宙開発特別捜査局の局長である前に、香久矢家の家長だ」
 なんだかおカタそうでぶっきらぼうな人でしたが、こういうセリフが出てくると「悪い人じゃなさそうだな」と思ってしまう私はチョロい人間です。

 まどかのお父さんの教えは整理するとおおむね2つに大別されます。

 「香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め」
 
1つは、人の上に立てる人間になれというもの。
 この目標を達成するために、「行動で示さなければ部下はついてこない」だの「香久矢家の一員たる者、常に落ち着き、平常を保たねばならない」だの、「あえて地元の学校に通わせたのは一般の――普通の人々の気持ちを知るため」だのと、細かい訓示や指示も出されます。まどかが勉強でも弓道でも良好な成績を積み重ね、生徒会長を務めているのもこの一環のようです。

 ポイントは“香久矢家”においては“定め”であり、“君”にとっては“務め”だと表現していることですね。
 けっして家格を守るためにまどかに英才教育を施しているわけではありません。むしろその逆。このお父さん、冷たい雰囲気に反して意外と娘思いな人です。
 まどかが将来人を率いる人間になるのは本人が望むと望まぬとに関わらずおそらく確定事項。だからこそ、そのときになって困らないよう今からたくさんのことを教えておいてあげなければならない。そういう考えかたのようですね。あくまで娘個人が将来幸せになれるようにするための教育です。
 言いかたがホント冷たいので、当のまどかからはちょっと誤解されてそうな雰囲気もありますが。

 「香久矢の家に秘密はない。なあ、まどか」
 
さてもう1つは、家族に隠しごとはするなというもの。
 このお父さん、こう見えてやたらと柔軟な人ですね。いや、いくらなんでも業務上知りえた機密情報を平然と家族に漏洩すんな。娘がうっかり口を滑らした瞬間バッドエンド直行ですよ。
 こんな人が「たかだか学校事で心乱されている場合ではないぞ」とか言うんです。そりゃあもちろん、その意図は「そんな小さなことで悩まなくてもいいんだよ」というアドバイス以外の何物でもないでしょう。言いかたが悪すぎますが。

 忙しそうなくせにいちいち弓道場に顔を出しているのも、見たところ家族間の隠しごとをなくそうとしてのことっぽいですね。まどかの弓捌きを見て、「今日は心が落ち着いているな」「今日は何か悩んでいるみたいだな」と判断しているわけです。
 要は普段なかなか子どもと話す時間を持てない親に限って、やたらキャッチボールしたがったり釣りに誘ったりするアレと同じです。ちなみに私の父親は2人きりの散歩に連れていくタイプでした。気まずいったらありゃしない。
 それにしたってやっぱり言いかたってものがあると思うんですよね。「なあ、まどか」って威圧か。

 実のところ、彼がまどかに要求しているのはこの2点だけです。
 まどかが気にしていた――
 「対象を匿う人間も視野に、宇宙人に味方する者に容赦はするな」
 
この発言はまどかに向けた発言ではありません。 彼は自分の娘にこんな冷徹な判断を要求してしません。「局長である前に家長だ」との発言どおり、この人、気軽に機密情報を漏洩する割には仕事とプライベートの切り分けがしっかりしているみたいですね。(※ 気持ちのうえでは)

 総じて、娘の幸せと家族の信頼関係を第一に考える真っ当なお父さんだと思います。
 ただまあ、ちょっと言いかたが悪すぎたり、家族の前で堂々と仕事モードの顔を見せたりするせいで、実質以上に厳めしい印象を与えてしまうだけであって。
 ・・・今年のポンコツ枠は紫ではなくそのお父さんでしたか。

まどかの迷い

 「私はこの観星中学の生徒会長として全てを把握する義務があります。星奈さん。何か隠していませんか」
 
改めて書きますが、今回まどかが宇宙人のことで散々悩むハメになったことは、実はお父さんの指示でも何でもありません。
 宇宙人を確保するのはあくまでお父さんの仕事。まどかにはちっとも関係ないことです。

 「当然だ。上に立つ者が率先して動く。行動で示さなければ部下はついて来ない。よく覚えておきなさい」
 
ただ、人の上に立てる人間になる教育の一環で主体的に行動しろと教えられていたから、自己判断で行動しただけ。
 「香久矢の家に秘密はない。なあ、まどか」
 
ただ、隠しごとはよくないと教えられていたから、誰に頼まれなくてもことさらにひかるの秘密を追求しようとしただけ。
 本来、前者は人を率いるときに心得ていたほうがいいテクニックでしかなく、後者もあくまで家族として交わした約束ごとでしかないはずなのに。生真面目なまどかは教えられていたことの適用範囲をちょっと拡大応用しすぎて、いつの間にか自分のなかで「これはお父さんに指示されたことなんだ」と曲解を進めてしまいます。
 「説明は不要です。どんな理由であれ、私はあなたがたのことを秘密にするわけにはまいりません。・・・父を裏切ることはできない」

 どうしてそんなことになってしまうのかといえば、言いつけられたことの意図を自分で咀嚼していないことが原因です。お父さんがどうして「率先して動く」「秘密はない」と教えたのか、その根底にある狙いまで理解できていれば、こんなにひとりで思い悩む必要はありませんでした。(いえまあ、そもそもお父さんの言いかたが悪すぎたのが最大の原因なんですが)
 教えられたことの意図を考察せず、込められた思いを推し測らないまま、どんな場面でもただ教えられたままを実践するだけ。
 そんなの、自分でものを考えていないのと同じことです。一種の思考停止です。

 「・・・わからないルン。地球人の考えは、私にはわからないルン」
 「ララちゃんなんか、ララちゃんなんか・・・大き――」
(第4話)
 ひかるとララも一度似たような状態に陥ったことがありました。
 相手の行動にちゃんとした意図があることを想像せず、理解できない行動を理解しないままどんどん我慢して、溜め込んで、あげくの大爆発(寸前)。
 そういうの、ただひたすら自分を不幸にしてしまうばかりのドツボです。

 「私の言うとおりにすれば間違いない」
 
ほら。考えなくていいって言われちゃうの、なんとなくイヤな感じするでしょ?

 「お父さんのことはわかったけど、先輩はどう思ってるんですか? フワが悪い宇宙人だと思う?」
 
だから、どんなときでも、どんな教えを授かっていたとしても、いつだって自分で考えることだけはやめてはいけません。

教えの実践

 お父さんは将来あなたが人を率いる立場になったときのために処世術を教えてくれました。
 お父さんは今あなたがひとりで悩まなくて済む、隠しごとのない家庭をつくろうとしてくれました。
 将来あなたが辛い思いをしなくて済むように。
 今のあなたが辛い思いをしなくて済むように。

 「・・・守らないと。この子を、守らないと!」
 
だから、むしろあなたが心の赴くまま、フワを守りたいと思ったことを自分で実践することこそお父さんの本意。
 親というものはいつだって子どもの幸せを願ってくれているものです。子どもを幸せにしてあげたくて、ときに厳しくも真剣に、たくさんのことを教えてくれるものです。
 裏切りだなんてとんでもない。あなたが思うように生きられるなら、それこそが親にとっての本意。教えられるかぎりのことを教えた甲斐があるというもの。
 「お父さまは上に立つために人々の気持ちを知るようにとおっしゃいました。知ったからこそ、私は――フワを、みなさんを、放ってはおけません!」

 「お父さま。・・・ごめんなさい」
 
もちろん今話時点のまどかはまだお父さんの気持ちを理解できたわけではありません。そもそもお父さんの心情自体まだ明確に描かれてすらいません。
 ただ、こうして視聴者視点から眺めている分には、まどかは自分のお父さんのことをもっと信用していいと思うんです。言いかたが悪すぎていちいち誤解を助長させてしまうポンコツっぷりはともかくとして。

 「乱れているな。香久矢家の一員たる者、常に常に落ち着き、平常を保たねばならない。朝とは違う。学校で何かあったのか? あえて地元の学校に通わせたのは一般の――普通の人々の気持ちを知るため」
 「香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め。たかだか学校事で心を乱されている場合ではないぞ。私の言うとおりにすれば間違いない」

 
このくだり、やたら厳めしい言いかたをしていますが、意訳すると「朝から様子が変わったってことは学校で何かあったのかな? 心配だよ。でもパパの知ってるまどかは人一倍がんばり屋さんだから大丈夫。きっと自分で思っているほど深刻なことじゃないはずだよ。パパを信じて」くらいの意味合いでしかないと思うんですよね、絶対。

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    コメント

    1. ピンク より:

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      ほほう、まどか父にそういう見解をする人がいたとは……。
      自分は普通に「なんかまたお堅い人が来たな」くらいの認識でした。
      一般市民のことを云々という台詞で、いつか絶対ララたちと分かり合えるだろうと確信しましたけどね。

      ついでに「世襲制じゃないのに一人で何娘の将来を好き勝手言ってんだバーカ」と思ったことも、若造の一意見として添えときますw

    2. 疲ぃ より:

      SECRET: 0
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       たしか初見時点ではもうちょっと嫌な人って印象だった気がするんですが、2回3回見直していくうちに「あれ、言ってること意外と教育的?」「というか政府高官のくせにとんでもないこと言ってるなこの人」「・・・あのさぁ」という具合にどんどん萌えキャラなイメージに変わってきちゃいまして。次の登場回で私はこの人のことをまともな目で見られるんだろうか・・・。

       ちなみに私は大学を出るとき「親の敷いたレールってやつがあればこんな苦労しなくてよかったのにー」とか思っていたダメ人間です。
       

    3. 東堂伊豆守 より:

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      そーいや「MMR マガジンミステリー調査班」もプリキュアと同じ講談社なんだよなあ……。
      かくいう私も結構陰謀論の類いは好物だったりするので(信じているわけではない……つもり)どうにも内閣府宇宙開発特別捜査局局長・香久矢冬貴氏の言動には裏があるように勘ぐってしまうんですが……。
      いくら冬貴氏が「香久矢の家には秘密はない」と言っても、奥方が「お仕事のお話をなさってもよろしいの?」とたしなめている以上、やはり職務上の"つみき事項"を家族に話すのはイレギュラーなことであるはずなんですよね。にもかかわらず娘の前で宇宙人捜索状況を話した、ということは……娘のまどかに宇宙人への興味を持たせて"自発的に"宇宙人の調査をさせる為ーーーーーーなんじゃないかなあ、と。
      そもそも、宇宙人ララ達とコンタクトした星奈ひかるが……まどかと同じ観星中に通っているのは単なる偶然なのか?
      もしかすると、現在消息不明のひかるの父親は「宇宙人に味方する者」として特別捜査局に追われている身で、娘のひかるも特別捜査局の監視対象とされているのではないか?そのひかるの動静をフォローし、彼女に父親もしくは"父親と通じている宇宙人"が接触してくる機会を押さえる為にーーーーーー局長の娘まどかが生徒会長を務める観星中にひかるを編入させたのではないか……?
      そうだとすると、山狩りの最中にまどかと出くわした香久矢局長がやけにあっさり引き下がったのも腑に落ちてくるんですよね。まどかが"宇宙人支援者"星奈ひかるのグループに合流したことを確認出来れば十分だったから……!
      ……ええ、わかったますとも。スカリー捜査官に「あなた疲れてるのよ」とか言われそうな話をしているってことは。
      とにかくーーーーーーまどかと冬貴氏、この二人が「どちらの信念・主義主張が正しいのか」という形でぶつかり合うのは、あんまり良い結果にならなそうな感じがしますね。冬貴氏の峻厳さの奥底にはどのような思いがあるのか。殊にーーーーーー冬貴氏は"香久矢家の跡取りとして"どのような青春時代を過ごして、現在の人格を培ってきたのか。そういった人間・香久矢冬貴の本質に娘のまどかが迫れるか、が、この父娘が真に和解する上でのキーになる、ように私には思えるんですが……さて。

    4. 疲ぃ より:

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       私はソッチ方向に頭よさそうなキャラが出てきたときくらいですかね、陰謀論を検討するの。俯瞰的な視点の人とか、腹芸が似合いそうな人とか。その意味だとまどかのお父さんよりはまだお母さんの方かなー。著名なピアニストなら世界中のセレブリティとコネクションを持ちやすいですし。
       “正しい / 正しくない”でぶつかりあうのはよろしくないでしょうね。どうやらまどかさんお父さんのことが大好きみたいですし。物語全体としても多様性の否定につながりかねませんし。
       大人の人をひとりの人間として見るストーリーは子ども向けアニメでは珍しい作風のように思います・・・が、そういえば『HUGっと!プリキュア』でガッツリやっていましたっけね。某社長とか某ネズミとか。

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