仲間を信じ、助けあう想像力。それこそがあなたたちの力です。
(主観的)あらすじ
プリキュアも4人に増えたということで、そろそろみんなでララのロケットを直して、宇宙に散らばるプリンセススターカラーペンを探しちゃおう!
・・・と、思ったのですが、なんだかララは不満そう。ロケットの修理は自分の仕事だから邪魔しないでほしいとのことです。
けれどララはララでどうやら修理に苦戦している様子。手伝うのがダメならと、ひかるはララの気分転換のため遼じいの天文台へ遊びに連れていくことにしました。
天文台には大きなもの、たくさんのもの、きれいなものがいっぱいありました。地球よりずっと進んだ文明を知っているララたちもこれには目を丸くします。なのにふとしたことでララはまた自分の仕事を思いだしてしまい、焦り、息抜きだと言って仕事の邪魔をしようとするひかるのことをまた煩わしく感じはじめます。
肩を怒らせ帰ろうとするララを遼じいが引きとめます。そうして遼じいはララにプラネタリウムを見せてくれました。本来はバラバラに散らばっている星々をつないで描く星座。それは、まだ出会ったばかりのララやひかるたちのようじゃないか。4人がこれからどんな星座を描いていくのか楽しみだと。
ノットレイダーの襲撃。
ノットレイダー随一の天才科学者だというアイワーンはプリンセススターカラーペンを闇に染めてつくったダークペンを使い、遼じいを怪物に変えてしまいます。
想像力を塗りつぶされ、星座なんて無価値だと言わされてしまう遼じいの姿を見て、ララは怒ります。けれどひとりではどんなにがんばってもノットレイダーに勝てず、彼を助けられません。ひかるたちも同様にピンチ。
だから、ララはひかるたちと協力することにしました。4人で連携して、ついにアイワーンの手からプリンセススターカラーペンを取り返し、遼じいも元の姿に戻すことに成功します。
信じることの大切さを知ったララ。ひかるたちとならいっしょにロケットの修理をしたい、そう思うようになりました。
天文台に蔵書してある本、著者を含めてまたしてもググってヒットしないものばかりでした。第4話の板書も合わせて、もしかしたら今作はこういう細かいところまで全部フィクションで統一していく方針なのかもしれません。それならそれでいいのですが・・・『COSMIC LAWS』だと??? (たぶん伏線ではない)
さて。ララは自分を大人だと自認するだけあって、責任感の強い子です。ひかるの世話になることを選ばずテント暮らしを続けているように、基本的に自分のことは全部自分でやろうとします。(おにぎり? あれはおいしいからしかたない) たとえ手に余る問題であっても関係ありません。それは彼女にとって“できてあたりまえのこと”だからです。
一方でひかるは自分が子どもであることをわきまえて行動します。拒否されたこと、自分にできないと感じたことは素直にやめます。やめる代わりに、またすぐ自分にできることを探そうとする子です。ちっちゃい子どもが何度失敗しても次から次に新しくお母さんの手伝いを見つける、みたいな光景とダブって見えてかわいい。
このコンビ、大人と子どもという立ち位置が対照的で、それでいて親子関係ともまた違う不思議な噛み合いかたをしていて、なんかいいですよね。面白いです。
今回活躍の少なかった先輩コンビも同じく対照的な組み合わせになっているっぽいので、彼女たちが魅力的になってくるのはまどかの問題がもう少し本格的に描かれはじめてからかな? こちらも楽しみですね。
キラやばー!なお手伝い
「いいからいいから。すごく楽しい場所にララを連れてってあげる。たまには気分転換もしなくっちゃ!」
「プリキュアが4人も集まったんだから、今日は記念にいっぱい楽しんじゃお! おー!」
あの第3話を経てこれです。ひかるにとって一番重要な点はララを気分転換させてあげることでしょうに、この言いかたではまるで自分が遊びたくてララを巻き込んでいるみたいに聞こえます。
たぶん、ひかるのこの性分だけはこれから1年経っても変わらないでしょう。
彼女は子どもらしい子どもです。良くいえば周りのひとを心から信頼していて、悪くいうなら周りに甘えています。いちいち詳しく説明しなくても自分の気持ちは察してもらえると思っています。良いことをすれば必ず相手に良い結果を与えられると無邪気に考えてしまう子です。
どうしてまた急に天文台に遊びに行こうと思ったんでしたっけ?
プリキュアが4人集まった記念? いいえ、そっちはもちろん建前です。この子は「邪魔するな」と怒られた直後に自分が楽しむことを考えるほど空気の読めない子ではありません。
そうではなくて、これはあくまで彼女なりにララを手伝おうと考えてのことでした。
「さあ、みんなでロケット修理して、宇宙へレッツゴー!」
当初、彼女はえれなとまどかを呼んでララのロケット修理を手伝うつもりでいました。
ふたりを呼んだのは単純な理由。
「ララちゃんってすごいよね。ロケット操縦して、修理までできちゃうんだもん」
「いい大人ルン。できて当然ルン」(第2話)
自分ひとりではララの助けになれないとわかっていたからです。それでもララを手伝ってあげたいから、学校でも屈指のすごい実力を持つふたりに協力を求めました。
「みんな邪魔だから出てってルン!」
だけど、それでもララに断られてしまいました。
「私の星では13歳で大人ルン。だから、ロケットを直してプルンスたちを連れていくっていう、大人の責任があるルン」
「そっか。――これ、夜食にしてね。外に出てるのわかったら叱られるから帰るね」(第2話)
ひかるにとってララは冷静な判断ができる大人です。事実はどうあれ。そのララがえれなとまどかすら邪魔だと判断するなら、それはきっと間違いないことです。
「・・・オヨ―!」
けれどそうはいっても、やっぱりララひとりではどうにも苦戦している様子。放っておけません。直接修理は手伝ってあげられなくても、他に何らかの手段で彼女を助けてあげたいと考えます。たとえばこのあいだ喜んでもらえたおにぎりのように。
そこで思いついたのが、今回の気分転換のはずでした。
「いいからいいから。すごく楽しい場所にララを連れてってあげる。たまには気分転換もしなくっちゃ!」
「プリキュアが4人も集まったんだから、今日は記念にいっぱい楽しんじゃお! おー!」
そういう流れからの趣旨説明がこれ。そりゃララもイライラします。
「まあまあ。そんなに急がなくたって、今日くらいここでゆっくりと――」
「ひかる! どうして邪魔するルン!?」
「邪魔なんかしてないよ。ここへ遊びに来て、息抜きになればララのためになると思って」
「私のため・・・?」
「私、ララの力になりたいんだ」
言わんとすることはわかります。善意だということも。
でも、肝心のひかるがどうしてこういう手段を選んだのかがまるでララに伝わりません。だから腹が立ちます。第3話でケンカしたときと同じように。
“わからない”=“大嫌い”。理解できないことが胸にわだかまると、不思議とどうしても相手を丸ごと許せなくなってくるものです。
「――ロケットの修理は私の仕事ルン!」
これ、単純にひかるに悪癖があるだけだと考えてしまうのもよくないっていうのが難しい問題なんですよね。
たとえひかるほど説明下手じゃなかったとしても、時と場合次第で充分に説明しきれないことって現実にはいくらでもあります。それこそ前話に出てきたまどかのお父さんだってそのパターンで誤解されているクチでしょうし。会う人全員、話すたび毎回、いちいち1から10まで全部説明なんてしていられません。
けれどその一方で幸いなことに、現実には意外と理解できないことが残ることなく、ちゃんとお互いに通じあえていることもごくあたりまえにあります。
お互い想像力をはたらかせて、相手の意図を推察しようと努めるから。
おそらくひかるの説明下手は今後もさほど大きく改善することがないでしょう。この子の性格からしてこればかりはどうしようもない。
けれど、じゃあひかるは今後も誤解されてばかりの子になるのかというと、それはきっと違います。
そんな未来をつくる鍵を担うのが、『スタートゥインクルプリキュア』のテーマのひとつ、想像力。
宙に想う
「おや、もう帰るのかい。・・・ひかると何かあったな?」
何も言わなくてすら全部察してくれる人がいます。 プリキュアシリーズにおいて“大人”と称されるのは本来こういう人たち。まるで魔法のように子どもの心を透かし見て、今この瞬間にぴったり合う優しい言葉をかけてくれる人。
ララも一面においては立派な大人ですが、このあたりについては完全に子どもですね。
「ごらん。星の数がどんどん増えていくから。肉眼では見ることができないちっぽけな星たちもね」
遼じいは老練巧みにララをプラネタリウムへ迎え入れ、ひとつ大切な考えかたを伝授してくれます。
「ひとつひとつの星はバラバラだが、それがつながってひとつの輝きをかたちづくる。――ほら、みなみじゅうじ座だ」
先ほど、ひかるじゃなくても気持ちを通じあえないことはいくらでもあると書きました。
だってしょうがないじゃないですか。世のなかには数え切れないくらいたくさんの人たちが暮らしているんです。会う人みんな、話すたび毎回、充分に手間を費やすなんてこと不可能に決まっています。
それでも、なかにはわかりあえる人もちゃんといるはずです。星座をかたちづくる星々は実際には距離も大きさもそれぞれ全然違うはずですが、それでも地球から見たらお互いつながりあって、ひとつのかたちを成しています。そういう特別な絆を結べる関係でなら、不可能なんてことはない。
「星座とはまるで人と人のつながりのようだね。君たち4人まだ出会ったばかりなんだろう。これからどんな星座をつくっていくのか、私は楽しみだよ」
要は赤の他人の気持ちを推しはかるのは大変でも、せめて友達同士でならお互いの気持ちを想像してあげることも不可能じゃないはずだと。まずはそこから始めてみたらいいんじゃないかというわけですね。
今作のプリキュアが守ろうとしているものは宇宙まるごと全部で、それに比べたら星座ひとつなんてちっぽけなものかもしれません。けれど、いきなり宇宙全部じゃ途方もないと感じるのなら、まずはみなみじゅうじ座のなかでお互い理解しあうことから挑戦してみるのも悪くありません。
「私、ララの力になりたいんだ」
ララにはひかるがいきなり気分転換に誘った意図がわかりません。意味わからなすぎてイライラします。
でも、ララにもひかるが善意でこうしてくれたんだということくらいなら想像することができます。
ララの知っているひかるは以前からこういう子でした。
「実はペンダントから音がしたんだ、向きを変えたら」
「何かヒントないかなって、商店街のスタードーナツに行ったの。いろんな噂が集まるお店だから」
「そしたらホタルの話が出たから何かあるかもって思って」(第3話)
ハタから見て意味わからないことだらけでも、本当はちゃんといっぱい考えていて、誰かのためになろうとがんばってくれる子。
ララは知っています。ララならわかってあげられます。多少説明不足なところがあったとしても、ひかるは何か自分のためを思って行動してくれたんだって、ララなら想像することができます。
ひかるを信頼することができます。友達として。
「みんな! 力を貸してほしいルン!」
絶対に認めるわけにはいかない言葉がありました。
「星座など何の価値もない・・・」
友達との特別なつながりの価値を教えてくれて、しかもこれからもっとステキな未来になると信じてくれた人の想像力を汚す言葉。
想像力から信頼がはじまりました。
想像力のおかげで友達を嫌いにならずに済みました。
だから。
「ロケットの修理、みんなにも手伝ってほしいルン――」
満天の星空のもと、ララはこれまでの自分よりもっとステキな未来を想像してみます。
「仲間を信じ、助けあう想像力。それこそがあなたたちの力です。4人で力を合わせ、残り10本のペンを集めてください。この宇宙を闇から救うために」
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