キミとアイドルプリキュア 第41話感想 がんばるキミを、私が応援したい。

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ちよ先輩は学校のことをたくさん考えて、生徒みんなのことを心から思っている優しい人です。そんな姿を見て、私、心キュンキュンしてます!

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「心キュンキュン守ります!」

大きな出来事

メインキャラクター:こころ

目標

 アイドルプリキュア研究会を解散させようとするちよに対抗し、自身が生徒会長になる。

課題

 次期生徒会長の立候補者であるちよには学校をより良くするための具体的なビジョンがあり、そのうえでアイドルプリキュア研究会は学校に不要だと断じられてしまった。存続意義を訴える説得も試みたが失敗している。
 ちよ自身は生徒会長にふさわしい人格者であり、一方こころにはあくまで研究会の存続だけを考えて立候補したという自覚がある。こころに全校生徒のため何かをしたいという意欲は無い。

解決

 こころは生徒会長選挙を辞退し、ちよを応援することに決めた。
 幸い、一連の流れからちよが誰かを応援することの価値を理解してくれたため、アイドルプリキュア研究会の解散は撤回してもらえた。

バトル

 ちよを素体とした演台型ダークランダー。

苦戦

 これといった苦戦シーンは無かったが、チョッキリーヌがダークイーネに自分の価値を証明しようと士気を高めていたこともあり、粘り強く戦っていた。

勝利

 要所要所で味方に助けられつつ、こころが何度もキュンキュンレーザーを撃って敵を追い詰めた。バトル終盤ではうたたち4人でキラキライトを握ってこころを応援した。

ピックアップ

“成果”

 ちよのように生徒会の立場から部活動の“成果”にこだわる生徒は珍しいだろうが、教師の立場からなら現実にこういう指摘がなされることも充分ある。
 公務員の業務は営利活動ではないからだ。一般企業なら収益というわかりやすい指標で個別の業務を評価することができるが、公務員の場合はそれができず、なおかつ一般市民からの監視の目があるため業務評価をしないというわけにもいかない。このため、あらゆる活動を行う際に真っ先に「評価を客観的・定量的に算定するにはどうしたらいいか?」が議論の俎上に上がる。

 別に(公務員でも何でもない)生徒の活動を評価したいわけではないのだが、学校活動としての事業評価や顧問教師の業務評価はどうしても必要になるため、この公務員流の発想が部活動にもしばしば適用されてしまう。
 多くの学校で運動部だけやたらたくさんあって文化部の創設はなかなか認めてもらえないのも、運動部であれば地区大会の実績などで評価を行いやすいからだったりする。私が中学校で所属していた部活は大会がなくなったことを理由に廃部にされたし、友人がメンバーを集めて申請した創部は目標設定が困難なことを理由に却下された。

 まあ、それでもアイドルプリキュア研究会くらいわかりやすく活動実績を文書や成果物としてまとめてあれば、普通は認めてもらえるものなのだが。
 “成果”を重視する立場の人はあくまで事務手続きとしてそれを必要としているだけであって、別に潰したくてわざわざイチャモンつけに来ているわけではないので。

ファンブック

 ななもそうだけど、隙あらば自分だけファン活動の対象外にしようとするのいい加減やめなさい。

応援することの“成果”

 「どうして研究会を廃止したいんですか? 教えてください」
 「いいでしょう。――アイドルプリキュア研究会は何ひとつ成果を出していません! 成果、ゼロ!」

 ちよのスタンスを考えるとむしろ少数派は積極支援しそうなもので、若干のご都合主義を感じなくもありませんが――。ともかく、アイドルプリキュア研究会解散の危機です。

 この子がどうしてそんなにも研究会を潰したがっているのかといえば。

 「結局、私にはわかりませんわ。応援する成果が何なのか」
 「さっきから成果成果ってそればっかり」
 「成果って何?」
 「たとえば運動部なら大会優勝などの成果が得られるでしょう。ですが、あなたたちにはその成果がありません。ただ応援をしているだけじゃありませんか」

 こういうことなんだそうです。

 現実的に考えてその主張にどれほどの正当性があるかといえば割と謎。ですが、物語としてのテーマははっきり示されました。
 要は応援するという行為の価値を示せという話ですね。

 「はぐたんが来てくれて大勢の人と出会えた。すごい人ばっかりだなって。けど、そんな人も迷いながら生きてる。生きるって苦しい。思いどおりにならない。めちょっくなこといっぱいある。でも。だから、私は応援したい。フレフレ――。その気持ち、『ひとりじゃない』って抱きしめたい」(『HUGっと!プリキュア』第48話)

 応援することの価値は過去シリーズでも何度も語られています。
 たとえば連帯できること。連帯を通じて自信を持てるようになること。頼もしい人たちとともに未来を信じられるようになること。隣人愛とはすなわち自己愛で、応援すれば自分の愛が伝わっていって、誰かが救われてくれて、やがて自分のところにも誰かの愛が返ってくる。そうしたらみんなのことと同じように、自分のことまで愛せるようになる。プリキュアの物語は夢と友情と自信とでできています。

 「私、アイドルプリキュアになんてなれない・・・。私――、心キュンキュンしてません」(第6話)

 こころの物語は失望から始まりました。
 推しに失望したのではありません。推しみたいにはなれそうにない自分自身への失望です。

 「かわいい。カッコいい。ふたりみたいになりたい。戦うとしたって、一緒のステージに立ちたい。“好き”は止められないんです!」(第7話)

 でも、心のキュンキュンは諦めようとしても諦めきれるものではありませんでした。結局のところどこまでいってもこころはアイドルプリキュアのことが好きで、好きである限り一生懸命がんばろうという気持ちが萎えることはありませんでした。無理に心にフタをしようとしても、溢れそうになる心を持てあます結果にしかなりませんでした。

 「そこまでがんばれる何かを好きになれることがこころの才能だよ。『好きこそものの上手なれ』。お父さんがこころによく言ってたものね。今のこころみたいに好きになる気持ちを追いかけたら、ステキな世界がもっともっと広がる」(第26話)

 その初期衝動はきっと、ダンスをがんばったことを、今は亡きお父さんに褒めてもらった瞬間から始まっています。
 一馬力で自分を育ててくれたお母さんが喜んでくれたから今日まで続いています。

 推しを応援することで得られる無限のエネルギーは、今やこころという人間の核心と呼べるところまで大きく育っています。

 推しみたいになれそうにないと弱音を吐いていた、あのころのこころはもういません。
 今がそうじゃないならこれから成ればいい。推しを応援していられる限り、こころはどんな努力だって無限にできちゃうんです。いくらだって自分を高められる。そんな自分の未来に対する明るい展望が、発展途上な今のこころに絶対的な自信を与えてくれました。

 そこまではいい。
 今話の問題提起はその先にあります。

 こころはみんなのためにがんばることが好きでした。
 研究会のみんなのために手間暇かけてグッズを自作してみたり、あるいはもっと広くアイドルプリキュアファンみんなのために、サイン会を開いてみたり、ファンクラブを立ち上げてみたりと、誰よりも熱心にみんなが喜んでくれることを企画してきました。

 それって何の役に立ってる?

 こころ自身の推し活エネルギーは自分の成長に間違いなくつながっています。
 でも、他のみんなにとっては?

 グッズをつくったのはこころです。ファンブックをまとめたのもこころです。そりゃあ、みんな喜んではくれるでしょう。
 でも、こころ自身の推し活って基本的に自給自足なんですよね。何でも自分でつくるし、何でも自分で企画しています。だからこそ推し活は自分の成長につながるという論理が成立しているわけで。

 こころの周りにいるみんなは――、こころが用意してくれたものをただ享受してしまっているわけです。
 こころと違って、成長するきっかけにはできていないわけです。

 そんな推し活、こころに依存してただ応援しているだけの活動って、いったい何の役に立ってる?
 学校の部活動なんですよね? “成果”というと仰々しいですが、部活動って本来生徒ひとりひとりが自主的に学ぶためにある場ですよね?
 全部こころがお膳立てしちゃっているなら、この研究会にみんなを参加させることに、いったい何の意味があるんですか?

 「お、応援はステキです! 心キュンキュンなんです!」

 応援は遊びじゃないんです。
 こころが一番よくわかっているはずのことですが。

みんな幸せになりますように

 「雨、止みませんね。傘は持っていますの? ――でしたら、こちらをどうぞ。私はもうひとつ持っていますから。風邪を引いてしまっては勉強もできませんわ」

 ちよは学校のみんなのためなら何だってできる人でした。
 学級委員長で飽き足らず、全校生徒みんなのための生徒会長へ。対立候補であるこころにすらも分け隔てなく。自分自身はどんな苦労もどんな苦難も背負いこんだって一向に構わずに。

 つまりはもうひとりのこころでした。
 こころにとってのアイドルプリキュア研究会が、ちょうどちよにとってのはなみち中学校だったわけです。

 ちよのことを知れば知るほど、こころのなかに迷いが生まれます。
 当然です。自分だって、好きなもののためならあのくらい一生懸命になれちゃう人間なんですから。

 研究会を守るために生徒会長になることにしました。
 でも、あちらも全校生徒みんなのために生徒会長を目指しています。人数の多寡でどちらの行いが尊いか、なんて卑怯な判定はしません。でも、どちらにせよ、こころが目的を叶えようとしたら、ちよが目的を叶えられなくなるんです。
 それは果たして正しいことなんでしょうか? ――同志として。

 「どうなるんだろうなあ。・・・こころちゃんが選挙に勝ったら、どんな生徒会長になるんだろうなって」
 「え? 『どんな生徒会長に』?」

 もしかしたら、今、自分はものすごく失礼なことをしているのかもしれません。

 もし、自分が推し活の邪魔をされたら何を思うでしょうか?
 それはまさしく今の自分の心境です。当然、絶対に邪魔されたくありません。全力で阻止しようとします。
 ただ、必ずしも相手のことを憎むとは限りません。こころの推し活は基本的に自己満足です。初めて襲われたときのザックリーみたいにこちらの邪魔したいだけの相手ならともかく、ちよは明確な信念を持って研究会を廃止しようとしています。あちらにとっては自分こそが立ち塞がる邪魔者だというのなら、とたんに自分のやっていることが正しいのかどうかわからなくなってしまいます。

 果たして自分に、あの人の前に立ちはだかっていい権利があるでしょうか?

 「ダンスは世界を救うんですよね?」
 「ああ。その通りだ」
 「そのために大事なことは何ですか?」
 「それはスピン! もっと早く、もっと回る!」
 「違います! スピンの先に何があるんですか? 何のためにスピンするんですか!?」(第39話)

 先日、迷走する寸田先輩の前に立ち塞がったときとはわけが違います。あのときの自分は尊敬する寸田先輩に立ち直ってほしくてあえて対決を挑み、実際、結果として寸田先輩はいい方向に進んでくれるようになりました。
 あのときと今回とではどうしてこんなにも違うのでしょう。どちらも、こころにとって尊敬すべきステキな先輩であることに違いはないのに――。

 「私がみんなのためにできること・・・」

私にできる、心キュンキュンなこと

 「『キュアキュンキュン大好き。毎日応援してるよ』・・・嬉しいなあ」

 いったい何の呼び出しかと思って向かってみたら、うたたちがファンレターを仕分けてくれていました。みんなが一生懸命書いてくれた応援のメッセージが心に沁みます。

 思えば、自分が一番最初に失望したときも、うたが応援の歌を歌ってくれたおかげで元気が出たものでした。
 自分にアイドルプリキュアが務まるかはさておいて、自分の気持ちにフタをしなくていいんだ、憧れは憧れのままにしていてもいいんだって気付かされて、心が救われました。

 「応援は素敵だよね。こころが言ってたみたいに」
 「うん。応援してもらえると力が出る」
 「それに、こころを見ていて思った。応援するほうもキラキラしてるって」
 「だからアイドルプリキュア研究会はすっごくステキだよ! 負けないで!」

 お父さんが褒めてくれたから、がんばることの喜びを知りました。
 お母さんが喜んでくれたから、またがんばろうって思えるようになりました。
 アイドルプリキュアと出会って、この人たちみたいになれるまでがんばろうって思いました。
 研究会を立ち上げて、みんなのためにがんばってグッズをつくる楽しみを覚えました。
 毎日ファンたちのことを思って、この人たちが喜んでくれるように何でもやろうっていつも考えるようになりました。

 こころは推し活が好きです。一生懸命がんばることが好きです。
 それ自体はごく個人的な楽しみ。もしかしたら独りよがりですらあるかもしれない。
 でも。こころがこういう子になったきっかけは、周りの人たちとの関係性のなかにありました。
 みんなが喜んでくれるから、みんなが応援してくれるから、ひとりでも黙々とがんばれるこころは、だけどもっともっとがんばって、もっともっと楽しく活動できるようになりました。

 ああ、そうだ。
 これが“成果”だ。
 ひとりじゃできないこと。研究会じゃなきゃできないこと。みんなと一緒だからできるようになること。

 「手柄を上げな! 私がダークイーネ様に認められるためにね!」

 今話の対立軸。
 チョッキリーヌはダークイーネからの評価が欲しくて戦っているんだそうです。

 今話のこころの行動原理と少し似ているかもしれません。でも、一番大事なところが絶対的に異なります。

 こころの推し活は基本的に自己満足。何よりも自分の楽しみのために努力するんだという行動原理が根底にあります。
 だけどそのうえで、みんなとその楽しみを共有できたらもっと楽しくなれるんだという偉大な真理を知ってもいます。

 「私がアイドルプリキュアを応援したくなるのは、キュアアイドルやキュアウインク、キュアズキューン、キュアキッスがステキだからです! 前に進む姿がキラキラ輝いてるからです!」

 これからも応援しつづけたいと思います。何よりもまず、そうすることが自分にとって楽しいことだから。
 そのうえで、応援できる自分のことを誇りたいとも思います。応援されるともっともっと楽しくなって、もっともっとがんばりたいって思えるから。

 応援って、私も、キミも、みんなを幸せにするものだから。

 「それと同じように輝いてるのがちよ先輩です! ちよ先輩は学校のことをたくさん考えて、生徒みんなのことを心から思っている優しい人です。そんな姿を見て、私、心キュンキュンしてます!」

 自分のためにがんばるのが好きです。
 みんなに喜んでもらうためにがんばるのも好きです。
 みんなががんばっているのを見るのも、やっぱり好きです。

 だから、私とみんながいるこの空間は、誰もが好きなだけがんばれる場所であってほしいです。

 だから、こころはこれからもがんばっているみんなを全力で応援していきます。だってそれって、すっごく楽しいことだから。

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    コメント

    1. ピンク より:

      ちよさんはああ言いましたけど、応援されたからこそアイドルプリキュアは公式ストアやパシフィコ横浜という、傍目から見ても分かりやすい結果が出てますよね?

      「所詮中学校の研究会があっても無くてもアイドルに影響は無い」って感じでしょうか。
      そもそも本人たち全員が出入りしてる超イレギュラーはさておき、SNS全盛期の今はこういうファンの声が与える影響って馬鹿にならなそうですけど。悪評の方が簡単に広まりやすいので。

      • 疲ぃ より:

         たぶん学校の課外活動だから、学校ないし生徒にとっての価値提供を問いたかったんでしょうね。ちよさんアイドルプリキュア研究会を潰す以外はものすごく生徒視点でものを考えているのに、あそこだけ妙に教育委員会的な物言いをするのがちょっと謎。彼女の考えがいまいち想像できなかったので、エピソードテーマから逆説的に読み解くことにしました。

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