
伊織くん。昨日の“千紗ちゃんの彼氏”っていう話、今度詳しく聞かせてね。

「チケット争奪戦」
エピソードトラッカー
主人公:千紗
「私、ここのみんなは友達同士で争うような人じゃないって信じてるから(目薬)」
目標
平穏に、普通に暮らす。
課題
伊織の近くにいると大抵ろくでもない騒ぎに巻きこまれる。
近くにいなくても何故か伊織が原因のトラブルが発生する。
結末
【失敗】
女子会といい、学園祭チケット争奪戦といい、千紗が望むかたちで事態が収束することはなかった。千紗も多少は介入を試みたのだが、伊織も他の面々も一切止まることがなかった。
心の変化
【ネガティブ】
特に青海女子学園の学園祭に伊織たちを連れていくことになる事態だけは避けたかったのだが、千紗の力ではどうにもならなかった。むしろ抵抗を試みればみただけ事態が悪化するという徒労感を味わった。
キーキャラクター
伊織
最初のころはPaBの珍騒動に巻きこまれる被害者ポジションだったはずだが、最近はむしろ騒動の中心になっている。
PaBの先輩たちは飲みたくない人を無理に飲み会に誘うことがないため千紗は平穏無事でいられた。しかし、伊織が起こす騒動には何故か千紗もしばしば巻きこまれる。
その原因の大半が実は千紗が言いだした“つきあっているフリ”、もしくは日頃の千紗と伊織相互の親切心に由来していることに、千紗は気付いていない。
梓,奈々華
伊織が律儀に“つきあっているフリ”を継続する動機をつくった元凶。
梓は千紗の心情を慮って伊織に“つきあっているフリ”の期間延長を命じた。奈々華は千紗のことを思って伊織に具体的な行動を起こすことを求めている。なお、当の千紗はそんなことが起きているとは想像もしていない。
ピックアップ
「お礼に今度もうちょい色気のある下着買ってやるからな」
「貸しにしとく」

いずれもミスコン出演中の千紗に伊織がスーパーボールを使ってスカートめくりをかました件についての話。
一応伊織から「あれはお前の魅力を引き出すためで、つまりかわいい千紗を見せたいという――」(『ぐらんぶる』第4話)という弁解(実質褒め言葉)をもらえたため、この時点ではまだ千紗も許すつもりでいた。
なお、千紗がなぜ許してくれる気になったのか肝心の伊織はイマイチ理解していない。
青海女子学園
ケバ子と梓が所属している大学。ちなみに伊織や千紗を含む他のPaBメンバーが通っているのは伊豆大学。
PaBはインカレサークルであり、伊豆大学以外の大学に通う学生でも入会を認められている。なお、奈々華は社会人なので厳密にはPaBのメンバーではない。
うわばみ

伊織は前話で奈々華が「すごい飲んで」いるところをバーで見ているわけで、このシーンは明確な設定矛盾。(本来このエピソードは原作では前話より前の時系列のため)
原作に忠実な作風のアニメだとこういう齟齬が残ってしまいがち。
「青女の幼馴染みからなんだが――」

この幼馴染みというのは御手洗のカノジョのこと。伊織たちの妨害のせいで未遂に終わったが、一応セックス直前までいった関係。「お兄ちゃん」と呼ばれている。
とっくにバレているのに今さら「幼馴染み」呼びしてごまかしているあたり、御手洗の卑屈な性格が表れている。
伊織と千紗の“つきあっているフリ”についての解説
1期第4話に始まった関係性なんですが、これが地味に今話やこれから先の出来事の前提として長く関わってくる話なので、一旦ここで状況を整理します。
そもそもどうしてそんなことになったのかのあらすじ
そもそもの発端は伊豆大学の春祭で千紗がミスコンに出場することになったところから始まります。

もちろんあの性格の千紗が自分から出たいと言いだしたわけではありません。先輩命令で同日開催のミスターコンに出場させられそうになった伊織と耕平が、自分たちの代わりに千紗にミスコンに出てくれるよう懇願したのでした。ミスコンもミスターコンも上位入賞者には賞金が出ます。それをPaBの活動費に充てたかったわけです。
千紗なら確実に優勝できるから、そっちで賞金を稼げるなら自分たちは出場しなくて済むというのが伊織たちの算段でした。(とはいえ結局出るハメになったのですが)
千紗には別にバカ2人のために一肌脱いでやる理由なんてなかったわけですが、伊織たちが「千紗なら優勝できるくらいかわいい」と心から信じていることに気付き、まんざらでもない気分になって、出場してあげることにしました。
実際、伊織のサポート(スカートめくり)もあったおかげで千紗はみごとミスコンに優勝しました。

ところが、伊織と耕平は優勝した千紗を褒め称えるでもなく、むしろそっちのけで別の女子のために力を尽くしていました。ケバ子です。当時所属していたテニスサークルでピエロ扱いで笑われていた彼女の屈辱を、伊織たちが代わりに復讐してあげていたのです。
せっかく伊織たちのために自分のキャラじゃないことをがんばった千紗にしてみれば、釣った魚にエサをやらないみたいなその状況は面白くありませんでした。憂さ晴らしのため、千紗は表彰式で「伊織は自分のカレシだ」という真っ赤なウソを公言しました。(男よけのためでもありました)

ウソの反響は予想以上。伊織は嫉妬にかられた大学の同期生たちによって袋叩きにされました。
ただ、そこまでされても当の伊織は自分がひどい目に遭っている理由(千紗の傷心の理由)をまったく理解していませんでした。そこで、見かねた梓が「千紗がいいと言うまでカレシのフリを続けること」と伊織に命じたのでした。

各人の認識
伊織
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
知らないこと
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
伊織は千紗がどういうつもりで交際宣言をぶちかましたのかまったく理解していません。
深く考えないまま、先輩である梓から「千紗がいいと言うまでカレシのフリを続けること」と命令されたことを忠実に守っています。犬か。
基本的に、伊織の千紗への接しかたは実妹の栞とほとんど同じです。お兄ちゃんです。とても気安い態度でありながら、意外と気を使うべきところはちゃんと気をつけているものの、とにかく相手が女性だということを全然認識しようとしません。
そもそも千紗がミスコンに出てくれた理由自体を深く考えたこと自体がないため、彼女の複雑な乙女心を理解する(千紗にも乙女心があることを理解する)のはもはや不可能でしょう。
こういう、男性側に恋愛感情が全然無いのに女性側だけヤキモキするハメになる構図も、千紗に暴力系ヒロインっぽい印象を感じさせる要因のひとつですね。
千紗
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
知らないこと
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
怒りにまかせて交際宣言をぶちかました言い出しっぺですが、数日後に伊織と一緒にダイビングを楽しんだ時点でとっくにわだかまりは解けています。
ただ、その後も都合がいいときだけ伊織をカレシ扱いして便利な盾として扱っています。
千紗は梓が伊織に出した命令を知らないはずなので、おそらく伊織がいつまでも否定しないことに甘えてなんとなく続けているんでしょうね。こういうちゃっかりしたところ、千紗の末っ子気質を感じます。甘え上手というか。自然体で無償の善意を受け取れるというか。伊織がお兄ちゃんモードになってしまうわけです。
なお、千紗にミスコン出場を懇願したのも、その千紗を放っといてケバ子の復讐にかまけていたのも、伊織と耕平がコンビでやらかしたことなんですが、千紗は耕平には何も言っていません。
その後も言及が無いあたり、千紗は自分のなかで伊織と耕平の扱いが違っていること自体、自覚していないものと思われます。
ケバ子
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
知らないこと
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
ケバ子はミスコン時点でまだPaB所属ではなかったため、当事者でありながら伊織と千紗の間で具体的にどういうやりとりがあったのかよく知りません。
後に千紗と仲よくなって、実際の千紗が伊織のことをなんとも思っていない(むしろ嫌悪感すらある)ことを確認できました。
その一方で伊織に対しては自分自身が片想いしている都合、千紗のことを本当はどう思っているのか問いただすことができずにいます。そのせいで何かあるたび千紗と伊織の関係について再び疑いを持つハメになります。
なお、奈々華が重度のシスコンであることは認識していますが、他人に危害を加えうるような凶暴な存在だとは思っていません。
通っている大学が違うので、伊織が普段どういう友達とつるんでいるのかもよく知りません。
意外と口が軽いのは、伊織が冗談抜きで命の危機に晒されていることを知らないせいです。
奈々華
知っていること
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
知らないこと
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
奈々華はPaBメンバーではなく、また大学生でもないので詳しい経緯をよく知りません。
ウワサ自体は割と早い段階で耳に入っていたんですが、一度目は信じていなかった様子でした。そのうえで、むしろ千紗と伊織の仲が最近険悪そうに見えることを気にしていたあたり、やはり伊織には好印象があるのでしょう。
第1話で千紗と伊織を婚約させようとしていたのを見るに、いつか誰かに千紗を任せなきゃならなくなったときは伊織に任せたい、くらいのことは考えていそうです。今話でも(圧の強さの割に)意外と好意的でしたしね。ただ、千紗が自分のもとから離れていってしまうことが我慢ならないだけであって。
梓
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
梓は唯一この件の全容を把握している人物です。
もしかしたら伊織よりも伊織の本心に詳しく、千紗よりも千紗の本心に詳しいかもしれません。
ミスコン当時千紗が何に怒っていたのかもちゃんと理解していましたし、その後千紗が伊織にだけ仕返ししたのを見て、梓も伊織にだけ追加の命令を下して関係修復(と今後の発展)を後押ししました。
耕平とPaBメンバー
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
知らないこと
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
耕平はコメディシーンでは伊織とコンビを組んで大活躍する割に、恋愛がらみでは割と蚊帳の外になりがちというか、彼自身そういう話に疎くて見当違いな解釈をしがちです。
PaBの面々も気のいい人たちではありますが、男むさく男女の機微に疎いため、千紗の気持ちを理解できていませんでした。
奈々華が危険であることはみんな理解しています。だからこそ今回ケバ子が口を滑らすまで奈々華にはあまり情報が入っていなかったのでしょう。
大学の同期生たち
知っていること
- 千紗と伊織が(表向き)つきあっていること
- 千紗と伊織の実際の関係が“つきあっているフリ”であること
- “つきあっているフリ”のせいで伊織が大学でたびたび命を狙われていること
知らないこと
- 千紗がミスコン後に不機嫌だった理由(伊織がケバ子にかまけていた件)
- 伊織が“つきあっているフリ”を継続している理由(梓の命令があったため)
- 奈々華がシスコンバーサーカーであること
- 千紗が耕平には特にペナルティを科していない理由
千紗の伊織に対する態度が露骨に塩対応なので、ただの“フリ”であることは大学でも早々にバレています。それはそれとして“フリ”でも千紗と距離が近いのは羨ましく、隙あらば伊織を粛清対象としますが。
“つきあっているフリ”でしかないのに、なぜか2人ともいつまでも関係を解消しようとしないせいで、定期的に疑惑が再浮上しているという一面もあります。
千紗の受難
「とりあえず千紗と交流がないやつは帰れ!」
こう言われて当然のように場に残った野島たちの面の皮の厚みよ。
お前らがいつ千紗と接点を持った?

あったわ。これだわ。1期第7話。
追試の打ち上げで伊織の部屋に集まったとき、うっかり千紗が乱入してしまったんだったわ。
それだけ。
えーと。
お前らがいつ千紗と接点を持った?
ちなみにこのとき野島たちが伊織の部屋に押しかけてきたのは、伊織が千紗とつきあっているだけでなくひとつ屋根の下で同棲までしているという疑惑を検証するためでした。追試の打ち上げとやらは大義名分でしかありません。
その意味では案外、伊織と耕平以外のバカに付け入らせる隙をつくった遠因は千紗の交際宣言にあったといえます。
いやまあ、フツーにこじつけすぎですが。

それにしても今話はいつになく千紗が周りに困らされる展開が続きました。
女子会では梓と奈々華によるセクハラを受け、チケット争奪戦では望んでもいないことの審査員をやらされ。特に後者は終わったあと完全にグッタリしていました。
珍しいですよね。千紗がここまでバカ騒ぎに巻きこまれるの。
いつもは雲行きが怪しくなった瞬間、真っ先に退避しているのに。
こうなったのは伊織のせいです。
千紗は今回もちゃっかり逃げようとしていたのですが、今回だけなぜかきっちり伊織に先回りされ、逃げ道を塞がれてしまったんです。
いつもなら伊織がいたとしても逃げきれるはずなのに。

なぜか?
「本当におつきあいしているならどうしようかと思っちゃった」
「どうされていたのかは聞きたくないですね・・・」
「じゃあ伊織くん。そういうことなら――、青女祭で千紗ちゃんがナンパされるなんてことはないよね?」
件の“つきあったフリ”の余波で、伊織は奈々華から圧をかけられていたからです。
伊織がいつになく本気だったからです。
「うおお、俺の命がかかっている! 絶対に失敗はできない!」
普段であれば邪魔者が多い大学での説得は一旦諦め、家に帰ってから再度駆け引きを仕掛けることもできたでしょう。
ところが今回は確実に大学内で権利を得なければなりません。奈々華は千紗が伊織を男よけに使っていると認識しています。家で、奈々華の目があるところで千紗に頼みこむことはできなくなってしまいました。
それも、失敗することはできないという条件付きで。

先ほどは別視点から「こじつけ」と書きましたが、そんなわけで、千紗の交際宣言がまわりまわって千紗自身を苦しめているのはやはり一面の真実なんですよね。
それにしても、どうしてここまで憔悴するはめになったのか?
「いや待て。ここは千紗に選ばせるのはどうだ。千紗もそれでいいよな?」
一応、伊織の提案で場の主導権は千紗に預けられていました。(もっとも、これは別に優しさなどではなく、野島たちを選ぶくらいなら自分を選んでもらえるだろうという傲りによるものでしょうが)
それなのに千紗はせっかく与えられた主導権をまったく生かせず、終始伊織たちに振りまわされてしまっています。
「やめて! やっぱりこういうのはよくないと思う。仲のいい友達同士がこんなことで争うなんて。友達って対等であるべきでしょ? 一部の人だけ得しようなんて、そんなの絶対変だよ。私、ここのみんなは友達同士で争うような人じゃないって信じてるから」

一番最後だけ、渾身の演技で場を納めようと積極的になっていましたが、これも無残に失敗しています。
これが梓だったらうまいこと男どもの思考を誘導して、ほどほどに自分に都合のいい結末に持っていけたんでしょうけどね。
千紗は潔癖すぎました。
バカどもは殺しあってでもチケットの同行者枠をゲットしようと必死だったのに、千紗は最初から最後まで「自分ひとりで行きたい」としか主張していませんでした。それじゃあ誰も納得させられません。
梓はこういうとき、必ず自分だけでなく周りも喜ぶアイディアを出しています。野球拳とか。脱衣麻雀で下着から脱ぐとか。あと奈々華と3Pとか。
このあたりが場慣れしている梓と千紗の違いですね。
潔癖性向といえばケバ子も似たようなものですが、前話で化粧を落としても伊織をハメることを諦めない覚悟を見せていたように、あちらにはいざとなったら大幅に譲歩できる根性があります。
惚れた弱みといえばそれまでですが、それほどに譲れないものがあるかどうか、なりふり構わず踏みだせるかが千紗との大きな違いです。
じゃあ、千紗がどうしてこの交渉下手っぷりで今まで平穏に暮らせていたのかといえば、それは彼女が“妹”だから。

奈々華のシスコンは、間接キスで恍惚としたり洗濯物の匂いを嗅いだりといったクリティカルな場面を目撃しなくても充分に過剰なものですが、それでも千紗は疑問を抱かず受け入れています。
(正気のときの)奈々華の言動を見ていればなんとなくその理由がわかります。奈々華は千紗周辺にトラブルのきざしを感じ取った際、いつも先んじて周りにいる人たちに働きかけ、積極的に予防措置を取るようにしています。
たとえばミスコン直後、千紗が妙に不機嫌そうだったときは伊織と仲直りさせようとしていました。今回も、学園祭にナンパのリスクがあることを認識するとすかさず伊織を脅しつけてカレシ役を全うさせようとしていました。
あれでちゃんとお姉ちゃんしているんですよね。だから多少スキンシップが過剰でも保護欲の一環として納得できるわけで。
PaBメンバーもあれで懐の大きい出来た人たちばかりなので、(伊織や耕平など明らかに性根がお祭り男と見て取れるなら本性を暴きにかかりますが)心底あのノリを拒絶している千紗のことは無理に飲み会に巻きこみません。
そして、大学には伊織がいるわけです。
栞への接しかたを見てもわかるように、あの男もお兄ちゃん役には慣れています。ちょっとやそっと理不尽な目にあわされたくらいでは相手を嫌いになりませんし、多少の無茶振りがあった場合でも基本拒絶することがありません。極力応えようとします。焼酎4リットルイッキ飲みとか。
千紗っていつも誰かに守られている子なんですよね。
追い詰められる前にいつも誰かが助けに来てくれる。勝手なことを言っても極力聞いてもらえる。
だから、今話みたいに本来保護者ポジションであるべき人に暴走されるとされるがままになっちゃうんです。

普段は周りが気づかってアレコレお膳立てしてくれるから、自分から何かするということに慣れていない。

ミスコンのとき耕平には特に何のペナルティも与えず、伊織にだけカレシ役を押しつけたのも、甘えられる相手を目ざとく嗅ぎ分けた結果なんだと思いますよ。
ほら、耕平ってああ見えてとっさの機転が利かないタイプなので。千紗が苦手なシチュエーション、だいたい耕平も苦手分野。
そんなわけで、今話は不運が重なって千紗が受難に陥ったというより、もともと千紗の日常のなかにあった脆弱性が顕在化したもの、と認識したほうが正確だったのでしょう。

『ぐらんぶる』の物語は千紗が一人立ちしていく姿を描くものでもあります。


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