キミとアイドルプリキュア 第40話感想 キミが聞き惚れたなな色は、きっと私だけの本質。

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やりたいこと、たくさんやりたい! 今はうたちゃんたちと一緒にたくさんのキラキラを見つけたいの。ひとつの色だけじゃない、私だけのなな色の旋律を奏でるために!

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「聴いてください! なな色の旋律」

大きな出来事

メインキャラクター:なな

目標

 お母さんから「フランスで一緒にピアノを習わないか」と提案された。お母さんから見て自分には「ななにしか出せない色」があり、フランスにいればそれを磨くことができるのだという。
 フランスに移住するか日本に残るかを選択しなければならない。

課題

 心情としてはお母さんと一緒に暮らしたい気持ちも、うたたちと一緒の暮らしを続けたい気持ちも両方ある。
 お母さんが言う「ななにしか出せない色」というのがどういうものなのかわからないため、技術的にもフランスに移住する必要性に判断がつかない。

解決

 メロロンが「アイドルプリキュアのことは一旦忘れて」と助言してくれたことで、判断基準から心情的な動機は排除できた。
 「ななにしか出せない色」については実際の虹を眺めることで、「ななにしか出せない色」とは何か、その正体を自分なりに整理することができた。

 結論として、ななは日本に残ることを選んだ。
 「ななにしか出せない色」とはつまり、自分の体験や興味といった、あるがままの自分の心の動きの集合体だと理解したからだ。だから、今の自分にとってやりたいことがたくさんある場所を選ぶことにした。

バトル

 絵描きを素体としたイーゼル型ダークランダー。

苦戦

 ななが渡仏中のため4人でのバトル。1人欠けているせいか単純にパワー負けしてしまった。

勝利

 帰国したななが合流し、七色に輝くウインクバリアで敵の攻撃をはねのけ、勝利した。

ピックアップ

手づくりマスコット

 クリエイティブ系のファンがいること自体は当たり前の話だが、それにしてもプリティストア開店後もものづくりの情熱が冷めないというのはなかなかすごい。こころの場合、元々の趣味特技はあくまでダンスであり、公式グッズが出ないから自作を始めたみたいなところがあったのだからなおさら。

ピアノコンサート

 ショパン作曲『舟歌(バルカローネ) 嬰ヘ長調 Op.60』。
 バルカローネとはヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来する音楽形式。劇中で演奏された冒頭部は穏やかな河の水面に月が映っている、静謐な情景を表現している。
 この曲はショパン晩年の最高傑作と評される名曲であり、また、技巧的にも音楽表現的にも演奏が難しいことでも知られている。ななのお母さんがピアニストとしていかに優れているかを端的に表す選曲だといえる。

ななの手料理

 フランスで入手が難しそうな食材は刺身くらいだろうか。
 豆腐はロングライフ製品が流通しているし、ネギもこのくらい少量であればポロネギで代用できるだろう。絹さやは調べてみるとむしろフランス発祥の野菜らしい。刺身にしても、日本食材店を探せば冷凍物のサクが取り扱われているそうだ。
 なんにせよ、これだけの品数をつくれるようになったのはサバ缶カレーから考えると飛躍的な成長といえる。

お母さんの住居

 古い建物が多いせいで騒音問題に敏感なパリ中心部、しかも窓付きなのに、夜中にピアノ演奏可能なうえ、デカい絵が複数枚飾られていたりテーブルの天板が大理石だったりする、このリビングダイニング・・・。いったいいくらかかっているんだろうか?
 長期ツアー中ってことは、たぶんあちらでの本拠ってわけじゃないよね。ホテル?

ななにしか出せない色?

 「どうしよう? ママと暮らせたら嬉しい。それに、今こっちに住むのはきっと貴重な経験になる。でも・・・、私は・・・」

 お母さんはいつも難しい問いかけをしてきます。

 「ななのピアノの旋律を聞いているとね、ななにしか出せない色を感じるの」

 始まりはただ、久しぶりにお母さんにピアノを聞いてほしいという、いかにも子どもらしいおねだりでした。
 だって、直接会えたのなんて本当に久しぶりだったんです。少しくらいワガママを言ってみたくもなります。

 ほんの少し前まで、ピアノを嫌いになりかけていました。
 演奏自体は楽しくても、人に聞かせるとなると期待をひしひしと感じ、プレッシャーに押し潰されそうになっていました。みんなを満足させることにばかり一生懸命で、自分自身が楽しむことなんてすっかり忘れていました。

 「ななちゃんピアノ弾けるの!? はもりも弾けるよ、きらきらぼし!」(第3話)

 そんなななを救ってくれたのははもり。
 心の底から楽しそうにピアノを弾いて、ななの演奏も同じように楽しそうに聞いてくれたあの子のおかげで、ななはもう一度ピアノのことを好きになることができました。

 今は、だから、うん。私はピアノを弾くのが好き。
 お母さんは自分よりはるか高みにいるプロだけれど、それでも、聞いてほしい。臆さず聞かせたい。大好きなお母さんの前でピアノを弾くのって、きっとすごく楽しいことだから。

 そう。ななは自分が楽しむためにピアノを弾きました。
 お母さんが楽しんでくれたら、ひとりで弾くよりもっと楽しいって思って、笑顔でピアノを弾きました。

 彼女の指先から生まれる旋律を聴いて、お母さんはななの変化に気付いたのでしょう。
 最初は普通に楽しむだけのつもりだったはずが、自然と真剣な目に変わっていきました。

 「やっぱり家族と離れるのは・・・」
 「ママ。私、ママのピアノを聞くとここがあったかくなるの。ママがフランスに行って、たくさんの人が同じ気持ちになれるなら、応援する!」

 ああ――。私も、この子のピアノを応援してあげたい!

 男子三日会わざれば刮目して見よ、と古い中国の格言にありますが、女の子にとってもそれは同じでした。

 「ピアノばかりじゃなくてもいいのよ。今のななにはいろんな友達と遊んで、世界に触れて、自分を知る。それが一番大切なんじゃないかなって思うの」(第9話)

 かれこれ半年以上も前、ななにそんなことを言ってあげたことがありました。

 あのときななはどうしたでしょうか?
 やっぱり、困らせちゃったでしょうか?
 何日も何日も悩むことになってしまったでしょうか?

 でも、結果としてこの子はあのときの言葉を上手に自分の血肉に変えて、お母さんの想像のはるか上を行く成長をしてくれていたようです。
 今のななには、ななにしか奏でられない特別な旋律が備わっていました。

 それが、何よりも嬉しい。

 お母さんとして。ひとりの音楽家として。

 「私の色って何? どんな色? ママはああ言っていたけど、私にはわからない――」

 ・・・でも。

 わからないものですね。
 ななにはむしろ、半年前より今回の言葉のほうが難しかったようです。

 答えは最初から、それこそ半年以上前のあの言葉に、ちゃんと示されていたというのに。

ひとりじゃ見つけられないもの

 日本にいるうたたちに電話をかけてみると、意外な子から、意外なアドバイスがありました。
 ほんの少し前までずーっとツンケンしていて、3ヶ月ほど前ようやく仲よくなれたメロロン。

 「キズナのリボン、キズナのリボン・・・。どこにあるのメロ、『キズナのリボン』」
 「その本を探してるんだね。一緒に探そう」

 「メロ? ここ、さっき探したのに・・・」
 「私もあるよ。ひとりじゃ見つけられないこと」(第29話)

 答えたメロロンの脳裏にあったのはそのときの想い出。

 うたたちみんなと打ち解けられたのは、それこそ、ななが一緒に本を探してくれたのがきっかけでした。

 ひとりじゃ見つけられないものがある。
 そんなときは、友達と一緒なら見つけられることもある。

 純粋な好意だけをひたすらぶつけてくるうたやこころと違い、ななは論理の子で、実利の子でした。
 うたたちの好意もあれはあれで暖かいものでした。ひどく心を溶かされてしまいました。
 でもななは、友達がいるとどういうときに助かるのか、どうしてうれしいと思えるのか、きちんと言語化してくれて、おかげで似たような主義志向のメロロンの心によく響きました。

 だから、ここでななが必要としている言葉を言ってあげるのは、メロロンの役目。

 「ななはどうしたいのメロ? どうするかはななの自由メロ。アイドルプリキュアのことは一旦忘れて、よく考えるメロ」

 あのななが悩んでいるのなら、それはどちらの選択肢もななにとって良い選択であるということ。
 きっとどちらも捨てがたくて、だからこちらを頼ってきた。

 引き留めてほしい。あるいは、突き放してほしい。
 どちらでもいい。

 ひとりじゃ見つけられないものもある。
 どちらもななひとりで選びきれるものではなかったから、いっそ自分以外の誰かに選んでほしかったのです。

 だから。
 メロロンはその逃避的な思考を摘んであげました。

 ひとりじゃ見つけられないものもある。
 情緒的な思考がななの論理性の邪魔をしてしまっているなら、それを排除してあげるのが友達の役目。
 大丈夫。ななは賢い子。余計なものに惑わされずじっくり考えられたなら、あの子はきっと、自分にとって一番いい選択ができるはず。

 「メロロンはななと会えなくなってもいいプリ?」
 「メロロンは――。ななと会えなくなったって、さびしくない。別にさびしくなんか、ないメロ・・・」

 その結果、なながどういう決断をするのか、怖くないといえばウソになるけれど。

未完成なロールモデルと、そして、だから私は

 「ごめんね。明日も先生のレッスンがあるの」
 「なんだか不思議。ママはあんなにピアノが上手でプロなのに、まだ先生から教わることがあるんだ」
 「プロだからこそ今の自分に満足しちゃいけないの。お客さんに最高の演奏を届けたいから、毎日自分の旋律を磨きつづける。それが私の仕事だって思ってる」

 ななにとってお母さんは目標でした。

 お母さんが世界的なピアニストだからこそ、自分もピアノをがんばろうって思えました。いつかピアノを極めたら、自分もお母さんみたいになれるって、そう信じて。
 だからこそ、聞いてくれる人たちの期待に完璧に応えられるようにならなきゃダメだって、一時期は自分で自分を追い詰めてしまっていたわけですが。

 なのに、意外も意外。

 お母さんのピアノって完璧じゃないんだそうです。
 まだまだ磨きあげられる余地が残っているんだそうです。
 あんなにたくさんの人をキラキラの笑顔にできる人なのに・・・。

 そこはアイドルプリキュアも同じだろ、日々精進の成長コンテンツだろと、視聴者の立場からはツッコミを入れたくなるのですが――。そういえばななって5人のなかでも特にアイドルとしての自己評価が元々低めなので、たぶんナチュラルにそのことには思い至らないんでしょうね。1000万再生とかしてても未だに。

 そんなんだから、お母さんがななのどこに光るものを見つけたのか気付けません。
 久しぶりに会ったお母さんがピアノを聞いて目の色を変えたんですから、論理的に考えさえすれば、どこを評価されたのかなんてある程度目星がつくでしょうに。

 「なな、おいで。――ほら、見てごらん。1、2、3・・・。七色の虹っていうけど本当だね」

 真剣な顔でピアノに囓りついている娘相手に、いくら旅先で虹を見つけたからってわざわざ声をかけるか? と思わなくもありませんが、このお父さん、どこまで考えてものを言っているのか微妙に計りきれないところがあります。たぶん、ちゃんとヒントのつもりで虹を見せたんでしょう。

 雨上がり間近の空、雲間から差しこむ陽の光を彩って、目の前いっぱいに虹のアーチが広がります。
 日本では七色とされる虹。フランスでも七色。アフリカや中国では五色とされることが多いですし、反対にロシアやネパールでは八色とされるのだとか。
 それはただ、光の屈折によってもたらされるだけの物理現象。実際には明確な七つの色として空に浮かんでいるわけではない、無数の色が入り交じった無限のグラデーション。

 しかし、いずれにせよ圧倒的な存在感でそこにありつづける虹を見上げて、ななはひとつの答えに辿りつきます。

 お母さんが何を思って「ななにしか出せない色」と表現したのかは知りません。どうして自分に「なな」という名前を贈ってくれたのかもわかりません。
 でも、言われてみれば確かに、ななの色は七色でした。

 それはけっして完成しているとはいえない、乱雑で奔放な思いの集合体でしかないけれど、今の自分にとって一番自分らしいところといえば、間違いなくその部分。

 「ママ! あのね。私、ママとピアノ弾きたい!」

 第一色。

ななの七不思議

 「私はママとピアノを弾きたい」
 「でも、うたちゃんたちとも一緒にいたい」
 「みんなと一緒にいろんなことしたい」
 「パパともっと料理もしたいし」
 「学校の行事も頑張りたい」
 「他にも。もっと、もっと!」

 虹は七色といいますが実際はもっと無数の色のグラデーションで、見る人によって五色だったり、八色だったりもします。
 この場でななが語った夢は5つ。だけど実際にはもっともっとたくさん、尽きることなくたくさん、やってみたいことがあります。

 「それは、うたちゃんやこころちゃん、プリルンやメロロンに会えたから。プリキュアになったからだと思う。昔の私だったらザックリーさんのことを考えるだけで、『何かできるかも』なんて、きっと思えなかった。みんなと出会って、一歩踏みだす勇気をたくさんもらったから、話してみようって思えた」(第25話)

 全ての経験と、全ての興味、全ての好奇心が、ななの全てでした。

 ななは変わりました。変わっていきました。様々な経験を経て。様々な興味に目覚めて。様々な好奇心に突き動かされて。

 お母さんはななに、いろんな友達と遊んでみて、いろんな世界に触れてみて、自分を知ってほしいと言ってくれました。
 その言葉どおりにいろいろ試してみたら、むしろそれこそが自分らしさだったんだなって気付くことになりました。

 「はもりちゃんが『楽しかったことや好きなものの絵を描く』って言ってたから、マネしてみたんだ。みんなと出会ってから毎日が新鮮で、いろんなことが楽しく思えるようになった。だから、これからもみんなといっしょに新しいページを開いていきたい。そう思って描いたの」(第9話)

 これこそ、お母さんがななの演奏のなかに見出したなな色の正体。

 昔と違って、変に上手に弾こうとしない、変に失敗を怖れない、変に聴衆の顔色を窺わない。ただ自分が楽しめるようにピアノを弾いて、一緒に聞いてくれているみんなにも楽しんでもらえたらと願う、笑顔いっぱいの演奏会。
 ななは身のまわりの全てが楽しくて楽しくてたまらない子になっていました。

 ちなみに私が今作で一番衝撃を受けたシーンはこれです。

 うっかり汚してしまったハンカチをきれいにしたくてアワアワしているザックリーを見て、尊みを感じたななが突然歌いだしたシーン。

 「私、欲ばりかな? いつかママとピアノも弾きたいし、みんなとも一緒にいたいなんて」

 いいえ。むしろそれこそがなな色。

 あらゆるものに興味を持ち、観察し、自分を成長させる糧としてどんどん吸収していく、怪物みたいな少女。win-winを志向するだけの善良さたまたま持ち併せていたから、ギリギリ許されているともいう。
 狂気と紙一重の貪欲さこそが蒼風ななの本体です。

 お母さんは要するに、もうインプットは充分だからアウトプットに切り換えてもいいんじゃない?と言っているわけですが、なな本人はまだまだまだまだまだまだまだまだインプットし足りないようです。

 「やっぱり家族と離れるのは・・・」
 「ママ。私、ママのピアノを聞くとここがあったかくなるの。ママがフランスに行って、たくさんの人が同じ気持ちになれるなら、応援する!」

 幼いころ、彼女はこの貪欲さによってお母さんの背中を押してあげました。

 胸を熱くする人の数を最大化したい。自分と同じキラッキランランを世界中と共有したい。
 そのリクエストに見事応えてみせたお母さんは、それこそななにとって一番のアイドルでした。

 今、今度はお母さんがななをそのような目で見ています。

 なな色の旋律を世界中の人たちに聞かせてあげたい。
 一日も早く彼女のピアノを磨きあげ、プロのステージに引っぱり上げてやりたい。
 ただ、本人がなな色をまだまだ肥大化させられると言うから一旦待っているだけであって。

 「ありがとう、なな。ななは私のことをアイドルだって言ってくれるけど、私にとってのアイドルもあなたなのよ。これからも聞かせてね、なな色の旋律」

 どういうつもりか、名前と顔を変えてすでにアイドルデビューしていたらしい娘の奇行を温かい目で見つめつつ、お母さんはいつかななが本格的にピアニストとしてデビューする日を夢見ます。

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    コメント

    1. ピンク より:

      なながお母さん宛に披露するピアノ、コンクールの課題曲とかではなく中学校の合唱曲を選ぶのはちょっと意外でした。
      うたとの思い出ですからすごく良いチョイスだと思いますが。これもまた、いい意味でピアノ1本じゃなくなった表れってことになるんですかね。

      • ブルー より:

        ピンクさん、確かにです!
        ななって初めはピアノ、ピアノ!!って感じだったけど、今はプリキュアも、学校も、友達も...みたいに変わったんですよね。
        ちょっと成長?ピアノから遠ざかっている?どっちもどっちで、キミプリ作った人すごく考えてらっしゃってる...
        なんか、プリキュアって幼稚園児とかの子向けでしたよね?
        内容が深くて、幼い子は内容理解できているのでしょうか?

      • 疲ぃ より:

         ピアノを弾く楽しさを思いだしたきっかけの曲だからっていうのもあるでしょうね。
         お母さんからは第9話(なな不思議回)で「いろんな友達と遊んで、世界に触れて、自分を知る。それが一番大切なんじゃないかなって思うの」と言われていたので、あらゆる意味でちょうどいいアンサーです。

    2. ブルー より:

      ピンクさん、確かにです!
      ななって初めはピアノ、ピアノ!!って感じだったけど、今はプリキュアも、学校も、友達も...みたいに変わったんですよね。
      ちょっと成長?ピアノから遠ざかっている?どっちもどっちで、キミプリ作った人すごく考えてらっしゃってる...

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