キミとアイドルプリキュア 第49話感想 キミと私、光と闇が溶けあう場所から。

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「キミと一緒に! キラッキランラン」

大きな出来事

メインキャラクター:うた

目標

 ダークイーネの前でファイナルライブを開催する。

課題

 ななたちも街のみんなも水晶に閉じこめられてしまった。
 うたの歌を聞いてくれる人はもうどこにもいない。

解決

 それでもうたはひとりで歌いはじめた。きっとキミが聞いてくれていることを信じて。
 不安な気持ちは正直ある。けれどうたが挫けそうになったとき、街にキラキラの光が灯るのが見えた。
 それを励みに歌いつづけると、みんなが水晶から解放され、うたを応援してくれる声が大きくなっていく。まるではなみちタウン全体がライブ会場になったような光景だった。

バトル

 ダークイーネとの直接対決。

苦戦

 ダークイーネを相手にうたひとりで戦っても勝つことはできない。
 なのにみんな水晶に閉じこめられてしまった。だからそれを知ったうたまで心が挫け、水晶に閉じこめられることになった。

勝利

 自分以外誰もいない世界という究極の闇のなか、うたはみんなが言っていた言葉を思いだす。
 今、この場にみんなはいないかもしれない。でも、みんなとつながっていた記憶や、これからの約束まで失われたわけじゃない。みんなと会えることを信じて、うたは歌いはじめた。

ピックアップ

クラッカー

 四畳半もなさそうな空間で鳴らすものではない。ちなみに風船はいずこ?

 というかパーティをやることがはもりに知られて、しかも会場が喫茶グリッターなのに、よく不参加にできたな!?

 ステージイベントでもこういうやつが見たかったなあと思うくらいのステキな配信があったので、こちらも要チェックです。

スンとした世界

 「わらわは人間どもが抱く闇から生まれ、ひとときも絶えず闇をこの身に受けつづけてきた。力にはなれど、その呻きは騒がしく、わらわを苛んだ」

 「闇はこのから広がり、全ての人間を飲みこむ。そして、争いも悲しみも苦しみもなく、静寂に包まれた、スンとした世界が完成するのだ」

 「スンとした世界」という言葉選びが若干間抜けに聞こえるのはさておいて、つまるところダークイーネの同期と目的はこういうことなんだそうです。
 最後ですし、この物語における「闇」とはそもそも何だったのか、もう一度確認しておきましょう。

 「メロロン。新しい友達が生まれたプリ! 一緒にお祝いするプリ!」
 「光は光。闇は闇。光と闇は溶けあわない」(第15話)

 「反省っティン。自分、なんて自分勝ティンなんティン」
 「自分もリン。またザックリした言葉で傷つけてしまったリン」(第27話)

 「ダークランダーはどこにでも現れる。いつ現れるかは予想できない――。どうしよう、今襲われたりしたら・・・」
 「不安を抱える女の子を襲うなんて――。・・・まさか、不安の闇に飲まれて?」(第44話)

 この物語における「闇」とは、不安や自己嫌悪といったネガティブな感情のことです。
 他の作品に出てくる“心の闇”ではあまり見かけない珍しい特徴として、本来それ自体には他者への攻撃性がない感情であることが挙げられます。
 チョッキリ団やダークイーネが増幅し、ねじ曲げることで、初めて街で暴れる怪物と化すことになります。

 「自分はなんてことをしてしまったんですぞ!? 誰か。誰か自分を――、止めてくれですぞ!!」(第17話)

 「俺は昔からザックリしてて相手の気持ちも考えられない・・・。それで何人も傷つけちまった。この間の、お前に『嫌いだ』って言ったみたいに。こんな自分嫌いだ」(第25話)

 不安だったら普通は暴れる気力すらなくなります。自己嫌悪なら攻撃対象は他人ではなく自分自身です。
 メロロンやカッティー、ザックリー、カズマ、街の人たち。いずれもみんな、心が闇に染まっただけの段階なら誰にも迷惑をかけません。無害といえば無害。ただ、ひたすら自分ひとりで苦しむだけです。

 そしてみんな、彼らの心が闇に染まったことに気付いてくれないのです。

 これを踏まえて、ダークイーネが言ったことをもう一度確認してみましょう。

 「その呻きは騒がしく、わらわを苛んだ」
 ダークイーネは苦しんでいたのです。最側近のチョッキリーヌにすら知られることなく、ひとり静かに。
 「争いも悲しみも苦しみもなく、静寂に包まれた、スンとした世界」
 だからダークイーネは望んだのです。自分も、それから世界中の誰も、みんな苦しみから解放されることを。

 ダークイーネの苦悶は世界中の人々の心が闇に染まるから続いています。だったら、彼らがこれ以上苦しまない世界をつくればいいじゃないか。そう考えたわけです。

 対症療法として正しい――、かのように見せかけておいて、ものすごくバカなことを言っていますね。

 「人間の闇はなくならぬ。さあ、お前が最後の光だ。闇に身を任せて楽になれ」

 自分で言っていることがおかしいとは思わないんでしょうか?
 闇は、なくならないんです。こんなことをしても。自分で言っているじゃないですか。

 挙げ足取りじゃありません。
 だって、チョッキリ団時代のカッティーやザックリーが幸せそうに見えましたか? むしろ自分が悪いことをしている自覚があって、しょっちゅう罪悪感に苦しんでいたじゃないですか。
 自ら洞窟に引きこもっていたメロロンは、プリルンにムリヤリ陽の光の下に引きずり出されたことを恨んでいましたか? むしろ感謝して、慕っていたじゃないですか。

 心が闇に染まり、ひとりで引きこもっていることは、それ自体が辛いことなんです。
 いやまあ、なかには私みたいにフツーに人と話すのが好きじゃなくて独りでいる時間を楽しんでいる人もいますが、そういうのは「心の闇」とは言わないでしょうし。
 何が「光」で何が「闇」かって、決めているのは大抵それぞれの個人です。自分にとってイイものだから「光」。悪いものだから「闇」。光を好む人だからこそ闇が苦しい。だから、心の闇に苦しんでいる人たちの思いは、闇に囚われているかぎり永遠に続いていきます。

 ダークイーネが考えたこの対症療法は、ダークイーネを救いません。
 おそらく、世界が闇に包まれたら、もっともっと激しく苦しみつづけるようになるでしょう。
 しかも永遠に。彼女の闇がもたらす世界では、誰もが水晶のなかで眠りにつくことになるわけですから、今度こそダークイーネを救ってくれる人はひとりもいなくなります。

 ダークイーネは論理的に間違っています。
 救ってあげなければなりません。

闇はなくならない

 「光を求めるかぎり闇はなくならぬ。人間が闇を生むのだからな」
 「わかってる。闇はなくならない」
 「怖くなることも、不安になることも、誰にだってある」
 「心キュンキュンできないときもあります」
 「そう。闇はあって当たり前なんだよ」
 「光と闇は一緒にいられる」

 プリキュア・キラッキラン・フォー・ユーが決まり、もはやプリキュアの勝利は揺るがない状況。
 ダークイーネの口を突いた呪詛のような捨てゼリフ。しかし、うたたちは絶対優位の立場でありながら、彼女のその言葉を正面から受け入れます。

 「光」だの「闇」だの抽象的な言葉で話しているから少しわかりづらいですが、実際にうたたちはそういう物語を歩んできました。
 うたも、ななも、こころも、プリルンも、もちろんメロロンも。みんなそれぞれ不安や自己嫌悪に苛まれたことがあります。それでもこうして、立ち上がって、前へ進んできました。

 「闇」とは何でしょうか?
 ネガティブな感情。永遠に心を蝕みつづける苦しみ。
 でも、だからといって、いつそれが必要ないものだって言った?

 「闇なんかじゃない! それはカイトさんが大切にしてきたものだよ。カイトさんはあなたを追いかけなかったことを今も後悔してる。カイトさんはあなたとの絆をとても大事に思ってる!」(第37話)

 強力なダークランダーを生んだ、積年の深い闇がありました。
 カイトのカズマに対する感情。

 カズマのしたことは第三者から見て甚だ身勝手で、まさしく裏切りと呼ぶべき残酷なものでした。
 カイトに非はありません。けれど、カイトは自分に非があったかどうかすらわからないまま、ひとりで苦しみつづけることになったのです。

 どうしてカイトが苦しまなければならなかったんでしょうか?

 「カズマはきっとこの街にいる。でも・・・。俺の思い、伝わるかな。俺は今も親友だと思ってる。だけどカズマは――
 「カイトさんはどうしたいですか?」(第42話)

 その答えをカズマに求めることに意味はありません。カズマのせいにしたところで何も解決しません。
 苦しんでいるのはカイトです。だから、カイトが何に苦しんでいるのか、どうして自分を苦しめることをやめようとしないのか、それを考えなければいけません。

 単純な話、カイトはカズマと仲直りがしたかったんです。いつかまた。たとえ何年後になろうとも。
 そのために、彼との友情を失った悲しみを、手放さずずっと抱きしめている必要がありました。
 どんなに理不尽な裏切りだろうと。自分に何の非も無かろうと。カズマと仲直りしたかったのは、カイト自身だから。

 「ダークイーネ、キミに教えてもらったんだ。光があるから闇がある。闇があるから光がある」

 1年間の物語を通して、うたが解き明かした「闇」の正体。

 それは、何かを変えたいと願う意志。

 その先にどんな困難が予想されようと、諦めることは選択肢にない。
 苦しむことになるのがわかっていても、それでも挑まずにはいられない。
 これを捨ててしまったら一生後悔する。自分が自分じゃ無くなってしまう。辛いけれど、切実で、自分にとって一番大切なもの。失ってはならないもの。だから未練がましくしがみつきつづける。
 絶対に諦めてはいけないもの。

 それは例えば、自分の歌で誰かをキラッキランランにできるという信念でした。
 例えば、ピアノは楽しいものだったはずだという憧憬でした。
 例えば、ガッカリしても捨て去ることのできない推しへの憧れでした。
 例えば、大好きな友達の力になれる実感が欲しいという渇望でした。
 例えば、この世で唯一の自分の居場所を守りたいという祈りでした。

 「闇」は不安や自己嫌悪といった感情として表れます。
 自分のやりたいこと、こうあってほしいと望むことがあるにもかかわらず、うまくいかないとき。あるいは失敗を怖れてそもそも前へ進めなくなったとき。それは私たちに襲いかかります。
 「闇」とは自分との闘いに臆する心。敗北し、傷ついた結果として表れる症状。

 だから。

 「闇も光も、そのままでいい。私はキミと一緒にいたい。一緒にいればキラッキランランだよ!」

 どうか負けないで。
 諦めないで。

 その闇を乗り越えることで、キミはキラッキランランになれる。

キミと歌を探そう

 「はもり。お父さん、お母さん。きゅーたろう・・・。誰もいないの? みんな・・・。――私、ひとりぼっち」

 自分ひとりでできることなんて限られています。

 「闇」の恐ろしいところは、周りへの疑念や自罰的な想いが募り、人を孤独にすることにあります。
 ひとりじゃ何もできないのに、ひとりになってしまう。
 ひとりになってしまったのに、ひとりじゃ何も変えることができない。
 そういうドン詰まり。

 もし、世界中のみんなの心が闇に染まってしまったとしたら、いったい誰が私たちを救ってくれるのでしょうか?

 「私が初めに見つけたんだよ、うたのキラキラを!」
 「だから絶対、輝きを絶やさないで。あなたはアイドルプリキュアのセンターなんだから」
 「最高のライブ、絶対やろう! 心キュンキュンしてます!」
 「約束しよう。ね!」(第48話)

 ひとりじゃできることは限られます。
 誰かに助けてもらわなければなりません。
 でも今、周りに誰もいません。
 だったら――。だけど、私はずっとひとりぼっちだったわけじゃない!

 心のなかのキミに問いかけます。
 私に何かできることはあるだろうか? ――ある。過去のキミが優しく答えてくれます。
 私はまた君に会えるだろうか? ――会える。未来のキミが力強く答えてくれます。

 「お婆ちゃん、持ってて! お婆ちゃんがショボッボボンボンになったら、うたがいつでもキラッキランランにするから!」

 「お婆ちゃんはそれをとても大事にしていたんだ。それと同時に、自分が長くないこともわかっていた。だから、幼いうたから受け取った想いを、未来のうたに託したんだろう。いつか、うた自身がそれを必要とするときが来ると思ったのだろうなあ」(第28話)

 離れていても、離れはしない。

 たとえひとりぼっちになってしまっても、誰にも助けてもらえないとは限らない。

 うたはアイドルでした。キミに歌やファンサを届けてキラッキランランにし、ファンであるキミから声援を受け取ってキラッキランランになる。キミと私の関係のなかでどこまでもキラッキランランを高めていく存在。
 たとえひとりぼっちになってしまっても、キミがここにいる。・・・もしそうなら、うたは、まずはひとりで立ち上がれます。

 「♪ 急接近 笑顔のユニゾン 応えてほしいな――」

 そんなのただの幻想。無理に絞りだした虚勢。
 実際にこの場にいない人たちの声なんて、何の支えにもなりはしない。

 うたの歌なんて誰も聞いていない。
 そんな冷たい現実を前にしたら、たやすく砕かれてしまうであろうキレイゴト。

 いいえ。

 いいえ。いいえ。いいえ。

 夢に現実を変える力はありません。
 それでも、現実を変えられる力を持つのは、夢だけです。

 「サンキュー!!」

 これは、喫茶店を営む愛情深い両親と、優しくていつもうたを喜んでくれるお客さんたちに育まれた、純粋培養の理想主義者である女の子が、現実に打ち勝った物語。

 「小さいころからずっとなんですよ。お客さんに歌うのが大好きで。うちの“看板娘”? ――“看板アイドル”かな。うちの子ホントかわいい」(第1話)

 「うたちゃんはたくさんの人を笑顔にしてきた。彼女は、アイドルなんだ」(第43話)

 たくさんの人に愛され、たくさんの人に歌を褒められ、たくさんの人にそのアイドル性を認められただけの、どこにでもいるごく普通の中学2年生。
 これといって特別なところはありません。誰かに誇れるような特技もありません。
 ただ、たくさんのキミに支えられているだけ。
 自然体でそれができていることこそが、レジェンドアイドルですら持ちえなかった、うただけの天性の才覚。

 アイドル。偶像。みんなの憧れになれる人。

 うたの小さなその背中は、今、何百、何千、何万という、たくさんの人が支えてくれています。

 「ダークイーネ。私、あなたの“キミ”になりたい! いいかな?」

 キミが支えてくれるなら、私はもっとキラッキランランになれる。
 キミをもっとキラッキランランにしてあげられる。

 どうかな?

 「キュアアイドル――。大切な“キミ”が、キラキラを取り戻すきっかけをつくる存在。それがアイドルだって、改めて感じて」

 この物語は『キミとアイドルプリキュア』。
 私と、そしてキミとが一緒にいてはじめて、キラッキランランに輝きだす物語。

 たくさんのキミがいてくれるほど輝きを増し、だから、ひとりぼっちの暗がりで、誰にも知られずうつむくキミも取り漏らしはしない。
 キミの事情を私は知らない。だけど、キミが一緒にいてくれたら、私は嬉しい。
 だから助ける。
 探し出して、見つけて、陽の光の下へ連れ出して、キミが笑ってくれるまで手をつないでやる。
 どんどん余計なおせっかいを焼いてやる。

 私のために。もしかしたら、キミのためにも。

 だから救われろ、ダークイーネ。
 その行いが許されるかどうかとは関係なく、ただ、世界をもっとキラッキランランにするために。

 「私とキミのステージ――。今、始まる!」

 天性のアイドルの物語は、これからもキラッキランランに続いていきます。

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    コメント

    1. ピンク より:

      1年間お疲れ様でした!
      アイドルプリキュアは実質的な解散ということになるんでしょうか。しかし数年後、プリルンたちが再び行き来できるようになったようで、もしかすると??

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