
要するに、各キャラクターへの理解を深めるために毎年自分用につくっているメモです。今回から名前が変わりました。
あんまり読む人のことを考えた文書ではありませんが、まあ、1年間のセリフを振り返るついでにでも。
咲良うた(キュアアイドル)
【原体験・過去】 ――全ての思考や感情の出発点
a1【誰の役に立ちたいか】
「うたが歌うと、聞いてる人みーんなキラッキランランプリ!」
「え? ――それが本当ならすっごくうれしいな。私が歌って、聞いた人が笑顔に、キラッキランランになってくれるなんて!」(第1話 / プリルン, うた)

自分の歌を聞いてキラッキランランになってくれる人たち。
うたは「歌いたいから歌う。それが咲良うた」と言いますが、ではその「歌いたい」という気持ちがどこから来ているのか、を掘り下げるとここに行き着きます。
うたが歌うのは、大抵の場合誰かのためです。ときどきテンションが上がって(誰に聞かせるでもなく)歌いはじめることもありますが、たとえば第43話「うたの歌」で歌うことを制限されたとき一番苦しんでいたのが、不安に苦しんでいる友達のために歌ってあげられないことに対してだったりと、うたは自分の歌で誰かをキラッキランランにすることが好きなのです。
長年喫茶店で歌ってきた経験に裏付けられた「自分の歌は誰かをキラッキランランにできる」という自信。
そして自分以外の誰かの喜びを自分の喜びとして受け取れる、純粋な人の良さ。
この2つがうたのありかたを支えている根幹です。
a2【誰に支えられているか】
「いいんだよ。子どもなんて失敗するのが仕事みたいなものだ。大人になってから失敗しないように、今失敗しておくんだよ。これから失敗しなければ全然オッケー」(第21話 / うたのお父さん)

失敗を許容することの大切さを教えてくれ、いつも見守ってくれる両親。
うたの両親、特にお父さんはいつもこんな感じで、失敗してもいいんだという話ばかりします。
それでいて、当のうたはそこまで失敗が多い子ではありません。アイドルとしての活動ができているくらいには優秀で、相談できる仲間たちも多く、メンタル面も強い子です。第21話のこのシーンに至っては、そもそもうたの過失によって挫折したわけですらありません。
それでも、うたの両親は「失敗してもいい」という話を繰り返しうたに伝えます。
実際、これらの言葉はうたの心によく響いています。
本当は失敗を経験する機会が少ない子ほど、こういった教えが貴重で、大切なのかもしれませんね。
a3【嬉しかった想い出】
「お婆ちゃん。歌うとショボッボボンボンな気持ちがキラキラ――、じゃなくて、もっと、そうだ! キラッキランランになるんだね!」(第28話 / うた)

気持ちが落ち込んでいても、いつかまた明るい気持ちに転じるし、歌えば能動的にキラッキランランな気持ちをつくることもできるという発見。
「キラッキランラン」誕生秘話。意外にも、お婆ちゃんが教えてくれた言葉というわけではなく、小さなころのうたが自力で編み出したものでした。
お婆ちゃんはただ、友達とケンカして落ち込んでいた(ショボッボボンボンな)うたを元気づけるためにプリンをくれただけ。プリンを食べて実際に心がキラキラになる体験を経て、うた自身が「歌うことでも心をキラキラにできる」「しかも自分だけでなく、目の前の人までキラキラにできる」ことを発見したのです。
ちなみに、このときうたが使ったスプーンマイクは後年のお婆ちゃんの闘病生活を支える役目を果たしました。
a4【傷ついた記憶】
「いくらがんばってもムダメロ。だって、ねえたまは誓いによってもう願いを叶えたメロ。だからねえたまがあなたたちのことを思いだすことは絶対に無いメロ」(第20話 / メロロン)

プリルンの記憶を取り戻そうとあらゆる手段を講じ、しかし結局記憶が戻らなかった絶望。
プリルンが自分と過ごした想い出を失っていると知ったとき、うたは思いつくかぎりあらゆる手を尽くして、彼女の記憶を呼び覚まそうと手を尽くしました。しかし、ハートキラリロックを使った代償は絶対的で、奇跡を起こさない限りどうにもなりませんでした。
冷たい現実を突きつけられたときの絶望。
その後、うたは“不可能”という現実を一旦受け入れたうえで、それでも足掻き、歌による奇跡を起こします。
うたにはもともと諦めずに自分の思いを貫こうとする傾向がありましたが、この挫折と再起の経験以降、彼女はその信念をますます強めていくことになります。
A【絶対に諦められないもの】(a1+a2+a3+a4)
「プリルン、言ってたでしょ。私の歌が絵真さんをキラッキランランにしたって。それならもう一度絵真さんをキラッキランランにしたい! 私の歌で!!」(第1話 / うた)

自分が歌えば誰かをキラッキランランにできるという確信を、自分に否定させたくない。
まだ変身する力も持たなかったころのうたをマックランダーに立ち向かわせたのは、ある種狂気的な信念でした。
「歌の力で誰かをキラッキランランにしたい」。そして、「自分の歌でなら実際にキラッキランランにしてあげられる」。その両方を確信していなければできない行動です。
それが真実であることを保障する根拠はあまりに薄弱。
ただ、自分が喫茶店で歌うとお客さんみんなが喜んでくれたという経験則と、出会ったばかりのプリルンが自分の信念を一緒に信じてくれたこと。それだけ。
うたをプリキュアにせしめた信念はあまりに夢想的で、だからこそ、彼女は誰より固く奇跡の到来を願い信じる、強い心の持ち主だともいえました。
【現在の価値観・行動原理】 ――現状に対して抱く能動的な意志
b1【みんなに広めたい思い】(a2+a3)
「私ね、夢見つけた! 大好きな、歌うこと。誰かにキラッキランランになってもらうこと。それをウインク、キュンキュン、3人で! アイドルプリキュアとしてやっていくこと! それが今の私の夢!!」(第11話 / うた)

一緒にいると毎日キラッキランランになれる友達と一緒に、たくさんの人をもっとキラッキランランにしてあげたい。
本質的に夢想家であるうたは、ななのピアノやこころのダンスと違い、自分らしさを確信させてくれる具体的なスキルを持ち合わせていませんでした。
歌うことなら好きだし、得意。だけどそんなの誰にでもできる。将来の職業イメージに結びつかない。ななやこころと比べたときの自分はあまりに空虚で、将来の夢を考えたとき、うたは一度アイデンティティの危機を迎えます。
アイデンティティの回復のためにうたが見出した答えは、「友達に認めてもらえている自分」。
初めてプリキュアになったとき、プリルンがいてくれたのと同じです。自分ひとりで自分を信じきれないなら、みんなが信じてくれる自分を信じたらいい。
b2【許せないと思うこと】(a1+a4)
「闇なんかじゃない! それはカイトさんが大切にしてきたものだよ。カイトさんはあなたを追いかけなかったことを今も後悔してる。カイトさんはあなたとの絆をとても大事に思ってる!」(第37話 / うた)

夢を叶える過程での苦悩や挫折を、自分を傷つけるだけで無意味だと言われること。
うたの最大の強みは、根拠が無いことを誰よりも固く信じられることです。
現実として、カイトの心からは強力なダークランダー(=心の闇の化身)が生まれています。その現実を目の前にしてなお、うたは「これは闇ではない」と断言するのです。
全ての物事には複数の側面があるもので、「カイトがカズマとの親交を失ったことを後悔している」という事実は、裏返せば「カイトが今もカズマとの絆を大切にしている」と見ることも可能です。ほとんどこじつけのような曲解ですが。
けれど、うたはそれを本気で信じることができるのです。そして、その信じる意志が自分以外の人たちの心まで動かす、夢想が現実世界に影響を及ぼす、奇跡を呼んでみせました。
b3【感性が鋭くはたらく対象】(a1+a3)
「You & I。キミと私。キミがいるからこそ、私もいる。あのヤスさんもそんな“キミ”のひとりなんだね」(第36話 / うた)

自分以外にもいる、誰かをキラッキランランにしたいと願う人の行動。
うたは生まれてから今この瞬間まで、何者でもない普通の女の子でした。ただほんの少しだけ、自分の歌の力を信じているだけの。
彼女は夢想家でありながら、同時に現実が見えています。自分と同じことができる人はきっとたくさんいると。
それでいて、彼女は現実を見据えながらも、夢見ることを諦めません。それでも自分にはみんなをキラッキランランにできる特別な力があるのだと。
その2つの論理を重ね合わせると、うたの目には“本当は自分だけでなく誰もがみんな、誰かをキラッキランランにできる力を秘めている”という新たな世界の姿が見えてくるのです。
b4【自分でやりたいこと】(a2+a4)
「歌って、カイトさん!」(第42話 / うた)

大変な困難に挑む人を応援し、心のキラキラを絶やさない手伝いをすること。
うたの信念は挫折に屈しません。「失敗してもいいんだ」という真実を、彼女は両親から事あるごとに教えこまれています。
うた自身の経験則から見ても、あらゆる失敗は取り返しがつくというのは事実でした。
だから、うたは自分に何があっても絶対に諦めませんし、周りの人が諦めようとすることも認めません。
カイトが道に迷ったとき、うたは「カイトさんはどうしたいですか?」とまず確認しました。その回答、彼にまだカイトとの友情を諦めたくない意志があることを認めた瞬間に、彼女は強く、頼もしく、彼の背中を押すのです。うたとはそういう人間です。
B【努力する理由】(b1+b2+b3+b4)
「諦めちゃダメだよ! こんなときこそ笑顔にっこり! はなみちタウンがキラッキランランじゃないなら、私たちでキラッキランランにしようよ!」(第45話 / うた)

自分がキラッキランランになることと周りがキラッキランランになることは不可分であり、だからこそみんなをキラッキランランにしてあげたい。
つまるところ、うたの特筆すべき点は、夢想家にして凡人であるということです。
凡人のはずなのに、夢を諦めたことがありません。
彼女は自分の非凡さの理由を、“一緒に信じてくれた友達がいること”に見出しています。あくまで自分が特別なわけではないというふうに考えています。
誰だって自分と同じことができるはずだ。
そして、誰だって自分と同じ夢を見ているはずだ。
今はただ、心がキラッキランランじゃないから立ち上がる意志を損なっているだけであって。
みんなをキラッキランランにしてあげたいと願います。
そうすればきっと、みんなも自分のキラッキランランを手伝ってくれる、頼もしい味方になってくれるはずだから。
【夢への道筋】 ――過去と現在を統合した自己分析
c1【尊敬もしくは軽蔑している人】(a1+a2+b1+b2)
「サインを書くとき、黙って下ばかり見てたでしょ。目の前にファンがいるのにただサインを書いていた。ファンは君のことが好きだからそれでも喜んでくれると思うけど。考えたほうがいいかもね、それでも“アイドル”って言えるのか」(第23話 / カイト)

ファンをキラッキランランにすることに真摯で、そのための方法論や心構えについてたくさん考えているカイト。
うたとカイトはファンに接する姿勢が対照的です。
カイトは本質的に、自分がファンの心にキラキラを届けられることを信じていません。カズマとの友情を育むのに失敗した経験があるからです。だから彼はファンサに冷静な方法論を持ち込み、アイドル活動に私生活を侵食されてしまうほどの無理をしながら、“間違いのない完璧な方法で”ファンを喜ばせてきました。
対して、うたにはそのような挫折経験がありません。プリルンとの断絶すら奇跡の力で乗り越えてきました。だから彼女は、自分がファンにキラッキランランを届けられることを無邪気に信じつづけます。事実、ファンは彼女が自然体で接してくれるだけで喜んでくれます。代わりに、うたはアイドル活動において客観的な方法論を養う機会を持ちません。
だからうたは、自分には無い技術を持っている、磨くための努力をしつづけている、カイトのことを強く尊敬しています。
c2【自分の好きなところ】(a3+a4+b3+b4)
「♪ 私 やっぱり歌いたい ハートが止まらない! 今も こんなにキラッキラン あふれてくるんだ! ・・・みんなの思いを聞いて、わかったよ」(第43話 / うた)

結局のところ、単純に自分自身がキラッキランランになることが好きだという自己愛。
うたはポジティブさの塊のような少女です。なにせ、これまでどんな挫折もなんだかんだんで乗り越えてきましたから。
全く失敗しなかったわけではありません。失敗しても乗り越えてきただけです。
特別な才能があったわけではありません。うたの自己評価はむしろ凡人です。
うたが今キラッキランランでいられるのは、そもそも彼女を取りまく全てがキラッキランランだったから。うたを支えてくれる仲間がいて、うたを信じてくれる友達がいたからです。
だからこそ、うたは自分の周りにいるみんなのために歌うことを至上の喜びとします。みんなのキラッキランランは、うたにとってのキラッキランランそのものです。
C【こうなりたいと本気で目指す夢】(A+B+c1+c2)
「私は――、この前のカイトさんのライブ見て、やっぱりアイドルってすごいなって思った。アイドル・咲良うたになったら、もっとたくさんの人をキラッキランランにできるのかなって。そうなったらすごく嬉しいなって」(第43話 / うた)

「自分が嬉しいから」という理由でみんなをキラッキランランにしようとする今の姿勢そのまま、どんどん規模を拡大していきたい。
うたは根っからの夢想家です。理想主義者です。
自分を取りまく現実がどんなに過酷であろうと、うたが信じる理想とは一切関係ありません。
夢を追いかけるうたの行動原理に、冷たい現実は一切影響を及ぼすことができません。
それでいて、彼女の夢は、理想は、堂々と現実を変えようと干渉してくるのです。なんて一方的で、なんて傲慢なことでしょうか。
しかし、事実として彼女はいくつもの挫折を経験してなお、理想を捨てないままここに辿りつきました。誰にも文句は言わせません。
彼女は天性のアイドル(偶像)です。
誰もが「こうだったらいいな」と夢想することを体現していく、イデアそのものです。
あらゆる人にとって究極のモデルケース。その生き様そのものが、彼女を応援するみんなに勇気を与えます。
そうありたいと、彼女自身も願い、努力しつづけています。



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