きっとグレンも、国や王家ではなくて、自分の心に従って死んだんだって。それは、無念ではあっただろうけど・・・。もし生き残っても、彼は苦しんだと思う。私は・・・私も、私の心を信じて戦う。どんな状況でも、私は私を信じるわ。
(主観的)あらすじ
王国軍の軍備増強は急務。建前上は帝国側についているアネットの叔父から家宝の斧を借り受けたり、マリアンヌの先祖である13人目の英雄から魔法の剣を継承したり、各方面を当たって英雄の遺産を集めてまわりました。
また、フェリクスの父親であるフラルダリウス家当主・ロドリグ卿から援軍を送られることになりました。これに合流するため、シンファニカたちは“煉獄”と呼び慣わされる地へ赴きます。
ところが旗揚げしたばかりの王国軍は未だ敵国の間者を排除する体制が充分に整っておらず、この合流計画は逆賊・コルネリアに筒抜け。煉獄の谷はディミトリを殺すための罠となっていたのでした。
(こんなにディミトリの話ばかりしてるくせに、実は支援値トップはシンファニカじゃなかったりする)
感想
谷での待ち伏せといえば『暗黒竜と光の剣』のレフガンティ。縦長のマップが印象的でした。初めてドラゴンナイトが登場するマップでもありましたね。窮屈なマップなので、うまいこと弓兵を届かせられないと後方の柔らかいユニットたちが無残なことになってしまったものです。かといって初期位置に引きこもっていると村を略奪されてしまうという。私のファイアーエムブレム初プレイはあそこで積みました。
今回のアリルの谷も道は細いわ弓兵多いわ増援しつこいわおまけに敵将突撃してくるわで、なかなかしんどいマップでした。いえまあ、経験値配分を考えなければディミトリやフェリクスあたりを突っ込ませればそれで終わるんですけどね。(シンファニカは最近微妙にヘタれてきた)
さて、“煉獄”という概念は、宗教という文化的発明の本質として、基本的には大抵の宗教において認められることがありません。
宗教は本来、人間の心のありよう、あるいは人間と自然の関わりかたについての哲学から発展していくものだからです。宗教における神様とはあくまで人間が人間という存在を理解するために創造した精神活動の仮託先であって、金銭や浄罪などの具体的利益を自動的に生みだしてくれる便利なロボットではないんです。
「その伝承から、炎によって罪を焼き、清める――煉獄という考えが生まれました」
「・・・愚かな話だな。犯した罪が、そう容易く消えるはずもない」
「ええ。・・・それに、聖典にも神話にも、煉獄の記述はどこにもありません」
宗教も神様も、あくまで人間が発明した、人間の手による被造物なんですから、人知を越えた奇跡なんて起こせませんよ。
仮に人間がそんな便利な道具をつくれたならとっくに量産しているはずです。一家に一台、レッツ浄罪!
そう。
「・・・死者の言葉を安易に語るな。それは彼らの口を借りただけの、お前の言葉だ」
神様に限らず、人間のつくったものが、その人の知りうる知識、感じうる感性を越えるなんてこと、絶対に無いんですよ。
よく「マンガの天才キャラが作者の頭脳を越えることはない」とか言われるのと同じことで。
「父上は、あの女の首を掲げるそのときまで、無念と憎悪とに囚われたままだ・・・。そして今なお、苦しみつづけている。こうして問答している間にも、ずっと!」
だから、ロドリグが想像する父王の言葉が結局のところロドリグ自身の言葉でしかないのと同様に、ディミトリを苛んでいるその呪縛だって、ディミトリ自身が自分を苦しめているだけにすぎません。
死者は何も語りません。ただ、死者を偲ぶ私たちが何かを思うだけ。
今のディミトリは死者のために戦っていますが、残念ながらその結末を父王たちが知ることはないでしょう。彼らの目は、耳は、とっくに土の下に埋められているんですから。
ディミトリの心に響く父王たちの怨嗟の声は、この5年間の地獄のなか、ディミトリを生にしがみつかせてくれました。ありがたいことです。
けれど、それらが生みだされた目的は、今やとっくに果たされ終わったんじゃないでしょうか。
もう、これ以上ディミトリが自分で生みだした彼らの声を聞く必要は無いんじゃないでしょうか。
だって、これからのディミトリのことはシンファニカが、ロドリグが、級友のみんなが、守るんですから。
「死んでしまった者と、今を生きている民。大事なのはどちらだとお思いで?」
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