俺はもっと亜人が安心できる世の中になるよう頑張るからよう、先生はひとりひとりの亜人をしっかり見てやってくれよ。
生まれたときからずっと汚いものから遠ざけられてきた子どもは、ただそれだけで大人になってもきれいなままでいられるものでしょうか。
性善説/性悪説の話ではありません。・・・あー、いや、そういう話でもあるんでしょうか。今回のお話はマイノリティの犯罪について。
先天的なハンディキャップが犯罪に結びつくとき、あなたはその原因を彼のハンディキャップに求めますか? それとも個人の性質に求めますか? あるいはもっと別の・・・?
とりとめなく
「完全にクマなんだが」 たぶんここでちゃんと否定しなかったひかりが悪いと思うよ。(投げやり)
「もしかしてクルツ君ってドイツ系かしら」 いろんな物語でよく見かける名前なので、オタクな人たちにはよく知られている名前かもしれません。ちなみに私はフルメタルパニック!で覚えました。スナイパーなのにクルツ(短い)。今度やるアニメでは彼のクライマックスが見られるでしょうか。
「いっそ催淫してムリヤリしゃべらせ・・・」 うん? ギャグにしても佐藤先生らしからぬ言動です。彼女は恋に恋するおイモさんであっても痴女ではなかったような。
「催淫されない?」 催淫されないのはともかく、クルツ君それどういう表情? もっとも、原作からして彼の正体は未開示らしいので答えは不明です。
「早紀絵先生あんなに深刻な顔して・・・。やっぱり不審者が恐いんだろうな。早紀絵先生は何かボクを疑っているみたいだし、疑惑の目をそらすためにも・・・。いや、優しくしてくれた早紀絵先生に恩返しをするために・・・」 自分の胡散臭さをまるっきり棚に上げて、ひたすら自分に都合のいい世界観を構築するスタイル。色々疑わしいクルツ君ですが、なんかもうこの子ただのナルシストにも思えてきました。
不審者に対してクルツ君の先制攻撃。なにこの作画枚数。そして宇垣さん不意を打たれたくせに何気に逐一的確に防御しているんですが。この人もまたただ者じゃないですね。
「校内に入るには受付で名簿に名前を記帳していただく決まりなんですが」 宇垣たちの土足を見てこの反応。鉄男は人間ができていると捉えるより、単におっとりしていると評した方が正確な気がします。その気質に加えて観察、考察、モラルがしっかりしているから人間ができているように見えるだけで。
結果として同じことではあるのですが、表面的な性質のルーツを見つけることは他者理解において大いに意義がある、かな、とか私なんかは思っちゃうわけです。
「校内は土足厳禁です。ちゃんとスリッパ履いてください」 たぶんただの作劇上の都合でしょうが、タイミング的に宇垣さんは佐藤先生が手をどける前から靴を脱ぎはじめていますね、これ。親子のような信頼関係が見て取れて、このカット好きです。(勝手な思い込みでしょうけれど)
「クルツはさしずめ対サキュバス用の決戦兵器」 えう゛ぁ。
「サキュバスにとってまだまだ酷な現状は国の課題でもあって・・・」 公務員ですねえ。個人の資質や他人の無理解にばかり原因を押しつけず、社会の枠組み(法律や土木)の面から解決を図ろうとする。
それが正しいとか間違っているとかいう話ではなく、普通の一個人とは違う視点で物事を捉えられる職業人が存在すること自体がステキ。
宇垣の貧乏揺すり。タバコを取り上げられたとき催淫されましたね。話題もいきなり色恋沙汰にシフトしました。親しい人との何気ないコミュニケーションにすらハンディキャップを負ってしまう、そのことこそがサキュバス最大の不幸かもしれません。
ですが宇垣さんや鉄男といった理解ある協力者たちの自制を得られるなら、その不幸はさりげなく回避することもできます。自制を必要とするというのもなかなかに不健全ではありますが。
ハンディキャップはあくまでその性質に直接起因するものではなく、社会との軋轢によって顕現するものです。
「だってこの手の話題になるとお前いっつも言い訳ばっかするだろう。催淫して恋人つくりたくないとか、本物の恋がわからないとか」 そう。第3話の感想でも書きましたが、そんなの恋愛感情を否定する理由にはなりません。だって彼女自身催淫と純粋な恋愛感情の区別を判断できないんですから。どちらにしたって相手があなたを好きになったことに変わりはありません。問題はその相手に対して、あなたがどう思うか。
「きっとそいつは万が一催淫されることがあっても、表には出すまいと気をつけていたんだろうよ」 あなたもね。
「お前が催淫しても悪くないと思えるなら、そりゃもう本当に好きってことなんだろうよ」 ええい、さっきから逐一的確に言語化してくれるおっさんだなあもう。感想文を挟む余地がない。
町と日下部さんのクルツへの反応差。他人の手を借りて生活することに慣れている町は基本的に人なつっこくて他人を疑いません。逆に他人との接触を避け続けてきた日下部さんは一歩引いた視点からものを考えることが得意です。こういう何気ないところからも彼女たちのバックグラウンドが透けて見えて面白いですね。
「これ盗撮じゃん。控えめに言ってサイテーだよ」 この死んだ魚の目をした友人はどうしていちいち佐竹君の笑いどころを食ってしまうのか。
「これはこっそり・・・ううん? 撮ったものですね! 卑劣な!」 今どきスマホのスタンバイを解除できないとか。どんだけわざとらしい萌え要素を積めば気が済むんですか、この子。
「こんなことをして男として恥ずかしくはないんですか!(画面真っ暗)」
喫煙室。最近じゃもうこういうスペースがある学校自体ほとんど無いんじゃないですかね。公機関はもうどこもだいたい敷地内完全禁煙です。私自身はタバコを吸いませんが、分煙環境さえちゃんと整備できればここまで極端に徹底する必要はないと思うんですけどね。
ところで鉄男さん、勤務中にどこからタバコを調達してきたんです?
「昔は今より亜人に対してトゲトゲしててな、世の中が。生活的にも精神的にも苦しい亜人が問題を起こすということがちょいちょいあった」
直球でノーマライゼーションな話題ですね。
ひとつ(下世話な)例を挙げるなら、発達障害児の問題行動の中でも特に厄介なもののひとつに、性衝動を我慢できないというものがあります。字面を見てきっと今あなたが想像したようなあれやこれやです。そのようなことをしてしまうのはもちろん知的な発達の遅れが直接の原因でもあるのですが、これについては別の要因もあります。往々にして彼らは性的な情報から必要以上に遠ざけられがちなんです。一般的な性教育を受けておらず、その結果として性衝動を持てあまして事件を起こしてしまったり、逆に自己流の自慰行為に際限なく耽溺してしまったりする子たちがいます。
彼らの通う学校が教育を怠るのではありません。家族が必要以上にナイーブになって拒否してしまうんだそうです。この子はどうせ所帯を持てないのだから性知識なんて必要ないじゃないかと。ヘタに興味を持たせて性犯罪にはしらせてしまったらどうするんだと。・・・逆なんですけどね。
極端な例では成人してなおエロ本のひとつも読んだことがない男性すらいるそうです。身体的には健常者と同様に成熟しているのにどうしろと。
全ての問題行動がハンディキャップに直接起因するというわけではありません。周囲の無理解がそれを助長していることも多々あります。もし私とあなたが正しい知識を持って正しい対応を取れたならば、きっと彼らにとっても私たちにとっても、この社会は今よりずっと過ごしやすいものとなるでしょう。
「国が手を打ったから? 補償制度とか」「それもあるだろうが、割と自然と世の中が丸くなったというか」 先ほどは公務員らしく国という大きな枠組みで亜人の問題を考えていた宇垣でしたが、ここでは民間レベルでの円満な解決を認めています。
できることなら本当はそれが一番。そういう解決の方がきっと当人も幸せですし、それに税金だって使わずに済みますしね。それを理解したうえで、それでもなお宇垣は公務員をやっています。
「だが残念なことに、先生には絶対奪えない仕事がある」 宇垣が公務員を続ける理由。そりゃ民間レベルで解決できるのが一番ですが、悪意あるサキュバスによる冤罪事件のように、それでもやっぱり国レベルでなければ対処できない問題だってあるわけです。
「俺はもっと亜人が安心できる世の中になるよう頑張るからよう、先生はひとりひとりの亜人をしっかり見てやってくれよ」 全ては向き不向き。一方に偏重することなく硬軟使い分けることが肝要です。
「好かれようとするより嫌われないようにするってことだな」 進んで憎まれ役を買って出る快男児のささやかな願い。
いつか彼も亜人ちゃんたちもみんな等しく健やかに過ごせる日々が訪れますように。
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