オクトパストラベラー体験版 ちょっと長ったらしい感想

※ この記事では物語の感想ではなく、ゲーム内容全般について語ります。

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 プロジェクト名で体験版出すとか前代未聞。
 とはいえバグらしいバグもなくしっかり遊べる仕上がりになってるので、正確には体験版出す段階なら正式タイトル決めましょうぜってツッコミですが。
 むしろこのタイトルカッコイイのでこのまま正式採用しちゃいましょう。そうしましょう。

体験版概要

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 製品版主人公8人中、体験版ではオルベリクプリムロゼの2人の導入部分を遊べます。
 それぞれの拠点となる街と攻略するダンジョンが1つずつに、シナリオクリア後のおまけで探索できるダンジョンが1つ収録されています。どちらの主人公でもすべて探索することができます。
 また、シナリオクリア後にはいくつかミニクエストが用意されています。それぞれこれといったインパクトもなく数分で終わるような小粒なイベント群なんですが、往年のサガシリーズのようなフリーシナリオっぽい空気は感じられました。

 画面は人物やモンスターなどが2Dドット、ワールドはドット感のある3Dポリゴンで描かれています。カメラは完全固定のサイドビュー。ちょうどスーパーファミコン世代のRPGに今風のリニアな奥行き表現が施された感じですね。
 エフェクトや光源処理は3Dで演算されており、ドット風味のワールドやキャラクターを鮮やかに、そして目まぐるしく彩ってくれます。ドット絵風ということで、今どきの3Dゲームと比べるとどうしてもアクションの絵面が地味になってしまうのですが、その地味さをライティングで補っているかたちですね。
 ・・・ただ、まあ、そのせいで遠景にある宝箱の色味まで変わってしまうのはなんとかしてほしかったです。脇道に興味を持たせる絶好のアイコンなんですから、多少嘘をついてでも遠くから判別できるようにしてほしいところ。

 音楽もスーパーファミコン世代を思い起こさせる内部音源っぽい音色が主軸。もちろん当時とは音の解像度が段違いですが。全体的に明るく爽やかな曲調が多いです。しかも今どき珍しいメロディラインの主張が強い楽曲ばかり。鼻歌で歌えます。その意味でもスーパーファミコン世代っぽい。
 ボイスは特定のイベントのみフルボイス、普段はかけ声などで構成されるパートボイス制です。好みは分かれるかもしれませんが、たぶんこれBGMを生かすための設計ですね。
 このゲームは環境音に頼ることができない絵面を採用しているので、代わりに常時BGMを流して雰囲気づくりをしているのですが、ボイスってときどきBGMとケンカするんですよね。どっちメインで聞けばいいかわからなくなるというか。フルボイスが当たり前の今どきのゲームではBGMのメロディラインを控えめにすることで調和させているわけですが、このゲームではその逆にボイスを減らすことでBGMを引き立てているんですね。

 戦闘はターン制のコマンド型。素早いキャラもトロいキャラも公平に1ターン1行動です。ただし行動順や命中率の変動はあるので、結果的には行動回数に差が出る感じ。
 詳しくは後述しますが、通常攻撃で弱点を突いて防御を崩し、その隙に思いっきりコストをかけた強烈な一撃を叩き込むのが基本的な戦い方になります。これがド派手なライティング演出と相まってなかなか爽快。
 逆にチマチマ通常攻撃でのダメージを重ねて敵の耐久力を削りきる、ドラゴンクエストライクな戦略でプレイすると、敵がやたらと固くてイライラしてしまうかと思います。

 主人公のひとり、オルベリクは戦士系。2属性の通常攻撃を使い分けられるので敵の防御を崩すのが容易。あと防御にチャージポイントを注いで敵の大技を防いだり味方を庇ったりできるのも特徴。
 「試合」コマンドで街の人を辻斬りして回復アイテムを巻き上げられるので、ガンガンガブ飲みしながらガンガン剣技をぶちかましましょう。強力な装備や換金アイテムすら何度でも巻き上げられるので、現状の仕様のままだとバランスブレイカーになりそうな予感。

 もうひとりの主人公、プリムロゼは魔法系。HPは少ないもののSPが多いので、遠慮なく特技を使うことができます。・・・とはいえ体験版だと高コストな特技を持っていないので実質的には経戦能力の高さが特徴ですね。ダンジョンでSP回復アイテムを使う機会は一度もありませんでした。
 「誘惑」コマンドで街の人を連れ歩くことができます。戦闘にも役立てられるので、そこらのおじいちゃんをダンジョンに連れ込んで肉の壁にしましょう。ダメージソースとしては正直期待できないので、割とマジで肉の壁としての用途がメインだったりします。

 導入シナリオはそれぞれだいたい1時間程度、全マップを踏破してもそれぞれ2時間程度で終わるでしょう。ちなみにLV15でレベルキャップが設定されています。

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戦闘について

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 ネット上の感想を見ていると、「ザコが硬い」という意見が散見されます。
 オルベリク編で(村人を除いて)最も弱いと思われる「山のラットキン」のHPが約650
 LV2オルベリクの剣の通常攻撃が約45ダメージ、ブレイク時でも約70ダメージ
 なので、ボタン連打で倒そうとすると1体あたり12ターンかかる計算になります。「山のラットキン」は最低でも2体編成で出現するので、合計24ターン。うん、確かにやってられませんね。

 ですが実際のところ、このゲームは通常攻撃をダメージソースとする戦い方を前提にしていないように思います。
 というのも、このゲーム、特技のダメージ倍率が非常に高いんですよね。(以下、テキトーに算出した数字なので信憑性は割とアレ)
 全体攻撃付きの「横一文字斬り」で通常攻撃比約2倍
 翌ターンファストアタック付きの「一番槍」で約3倍
 単体最高火力の「十文字斬り」に至っては5倍近くのダメージを叩き出します。
 また、「ためる」を使うと3ターンのあいだ物理攻撃力を0.3倍加算します。(これだけ加算)
 さらにこのゲームには「ブースト」という、毎ターン加算されていくリソースを1~4ポイント消費して一時的にダメージ倍率を増加させるルールがあり、これを利用すると1.7倍→2.5倍→3.3倍とダメージ倍率が乗算されていきます。
 それから敵の防御を崩してスタンさせる「ブレイク」というルールを利用すると、さらに約1.5倍ダメージが乗算されます。

 これを最大限に利用すると、ブレイク1.5倍*(1+ブーストMAX3.3倍*「ためる」0.3倍)*(ブーストMAX3.3倍*「十文字斬り」5倍)で、ざっと通常攻撃の49倍ほどのダメージ倍率を叩き出せるんですね。
 さすがにラットキン相手にここまでする必要はありませんが、初手通常攻撃でブレイク→ブースト2掛けの「十文字斬り」の手順で、通常攻撃で12ターンかかるこのザコ敵を2ターンで撃破できる計算になります。
 (実際は複数体出てくるので、実戦的には「横一文字斬り」でブレイク→ブースト2掛け「横一文字斬り」→ブースト1掛け通常攻撃で各個撃破の方が効率いいでしょうが)
 別に固くなんてありません。ザコ1体あたり2ターンならドラクエと同じくらいです。

 また、このゲームは特技の消費コストがきわめて安く、LV2オルベリクの最大SP36に対して「横一文字斬り」がコスト4、「十文字斬り」がコスト6となっています。
 また、SP回復アイテムもこの手のRPGにしては珍しく安価で店売りされており、SPを50も回復できる「SP回復のプラム」が60通貨(ザコ戦1グループ分のリザルト+α)で購入できます。HP回復アイテムも同様。
 さらには宿屋の利用無料、レベルアップのたびにHPとSPが全快するという至れり尽くせり仕様で、もう遠慮なくガンガン消費していけと言わんばかりの仕様となっています。

 ちなみにもうひとりの主人公・プリムロゼの特技構成もほぼ似たようなものとなっており、少なくとも体験版の範囲ではオルベリクと同じ戦術でプレイすることを期待されているようです。

 さて、こんな仕様にも関わらず、それでもこのゲームは「ザコが硬い」と言われます。
 それはなぜか、少し考えてみましょう。

 結論からいうと導線が良くないんですよね。

 オルベリク編では最初、チュートリアル的に村人と1対1の戦闘を2セット行うのですが、これがまず機能していません。
 1人目の村人は「攻撃が得意」と設定されており、通常攻撃と強攻撃を交互に繰り出してきます。2人目の村人は「防御が得意」と設定されており、初手に防御力上昇スキルを使ったあと防御を繰り返します。
 そういう設定がなされてはいるのですが・・・この2人、オルベリクのどんな攻撃でも1撃でブレイクされてしまうので、普通にプレイしていたらそもそも一切行動させないまま倒せてしまうんですよね。

 2戦が終わると次は3人グループの山賊と戦闘を行うことになります。
 こちらはまあまあ歯ごたえがあってチュートリアルとしての用を全うしているのですが・・・ある意味こちらこそがプレイヤーを誤誘導している戦犯。
 構成はブレイク耐性が1の敵2体と耐性2の敵1体。いずれも剣が弱点。全員が全体攻撃の「横一文字斬り」を弱点としているのが問題でして、先のチュートリアルで「ブレイク」のルールを理解していると、この戦闘はほぼ完封できてしまうんですよ。
 きわめて低コスト、特にHPの消費がほとんどない状態で強敵に勝ててしまうので、学習力のあるプレイヤーほど「このゲームは敵をブレイクすることでなるべくHP/SPリソースの消費を抑えて戦うゲームなんだな」と誤解してしまうんです。
 ですが先ほども書いたとおり、このゲームはむしろHP/SPリソースの回復コストがきわめて安く、ガンガンSPを消費することを推奨しているゲームバランスです。

 なお悪いことに、その後のザコモンスターもほぼすべてが低コストで完封できてしまう構成になっており、「このゲームは敵をブレイクすることでなるべくHP/SPリソースの消費を抑えて戦うゲームなんだな」という誤解を助長させてしまっています。
 せっかく高倍率の特技が用意されているのにも関わらず、むしろそちらを使わないことを推奨するような導線になっているわけです。

 そもそもゲームプレイヤーというものは「サクサク進むがリソース消費がある場合」と「ストレスフルでもリソースを消費しない場合」を選択できるとき、後者を選びがちだといいます。そして自分でそちらを選んだにも関わらず、ストレスフルなゲームバランスに文句を言うとも。(たしかcivilization6開発者インタビューで読んだネタ)
 そのうえであたかもリソース消費を抑えることを推奨するような導線が引かれていては、そりゃあ当然めっちゃ貧乏性発揮しちゃいますよね。ちなみに私はラストエリクサー使えない派です。

 「ザコが硬い」というのは、要するに、プレイヤーをわざわざ時間がかかるようなプレイスタイルに誘導してしまっているのが原因だと私は考えます。

 このゲーム、ボス(と一部強敵)戦だけは完封を許さないゲームバランスになっているんですよ。ブレイク耐性が6もあったり、回復アイテム無しでは到底HPが持たないほどのダメージを受けたり。
 シナリオクリア後に挑める酒場前の女性なんて、弱点属性が火ですよ。アイテムを使わなきゃブレイクすらさせてくれません。(まあ村長からかっぱらえばいいんですが)
 たぶん本来はこっちが意図したゲームバランスなんだと思うんですけど、そこのところどうなんでしょうか。

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 オールドスクールなRPGのザコ戦には本来4つの意味があります。
 1つ目は、手持ちの回復可能なリソース(HPやSP、消費アイテムなど)と交換して、キャラクターを成長させる(経験値を得る)こと。
 2つ目は、適度にプレイヤーのリソース(HPやSP、消費アイテムなど)を損耗させて、ボス戦に至るまでの道中攻略に戦略性を持たせること。(ただしこれに関してはゲームプレイヤーからのウケが悪いため、あえて実装されないことが多々あります)
 3つ目は、ゲーム進行に合わせて追加されていくルール(ステータス異常や敵の特殊行動など)を、ボス戦より先にプレイヤーに事前学習させること。
 4つ目は、キャラクターの成長に合わせた戦術の見直しや新特技の運用について、プレイヤーに練習の機会を与えること。
 オクトパストラベラーの場合、1つ目はともかくそれ以外がうまく機能していないように思います。
 せっかく爽快かつ戦略性に富んだゲームシステムなんですから、プレイヤーがもう少し早くその魅力に気付けるようザコ戦(とチュートリアル)の構成を見直してくれると嬉しいのですが・・・。

テキストについて

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 オルベリクもプリムロゼも、敵討ちを主軸としたわかりやすいストーリーラインが敷かれています。
 敵討ちはプレイヤーにキャラクターの心情を理解させやすい反面、物語が陰鬱になりやすい難点もありますが、その点についても配慮がされていますね。
 オルベリク編は仇を友人とすることによって、恨みではなく疑問解消のためのポジティブな冒険譚になっています。村の少年との交流がちょっとしたヒーローもののような仕掛けになっているのもグッド。
 プリムロゼ編はガッツリ直球の敵討ちですが、プリムロゼを情け深く心優しい女性として描くことで、陰鬱さを軽減させています。壁に囲まれた街→薄暗い地下道→明るい日差し差す開けた砂漠、という視覚効果を最大限利用することで、これからの自由な冒険に期待させる演出もナイス。

 特にオルベリク編のシナリオがよくできているんですよね。
・ 祖国と主君を失い生きる目的を失いながら、ただ剣の腕を買われて村の用心棒として生きてきたオルベリク ←→ 仕事にあぶれて生きる目的も見つけられず、唯一得意な剣の腕を悪用して生きてきた山賊の頭
・ 本来家族を守ってくれるべき父親がいない現実を受けとめ、強くなろうとする少年 ←→ 父親でもないのに、命がけで少年を助けに来てくれたオルベリク

 ――など、物語そのものは王道ながら、人物の対比や伏線とその回収がきれいに整理されていて、読んでいて気持ちがいいです。
 山賊の頭も悪党ながら悪に徹しきれないロマンチストというキャラがステキ。ベッタベタなキャラ付けではあるんですが、やっぱりこういうのド直球にカッコいいですよね。少年の勇気に敬意を払い、オルベリクの生き返ったような目を素直に賞賛する。良い敵役です。オルベリク編の爽やかさ、ヒーローっぽさに一番貢献しているキャラだと思います。

 読み物ではなくゲームプレイ上の観点からしても、ゲームらしい配慮が行き届いています
 たとえばイベント途中で次の目的が示されると、最後にもう一度繰り返してプレイヤーが迷わないようにしてくれています。
 たとえば街の人のセリフが1ページに収まるよう整理されていて、プレイヤーが無用なストレスを感じないように気を配ってくれています。
 たとえば演出的なメッセージウエイトが無かったり、セリフを伴わない動作のみの演技が最小限に切り詰められていたりと、極力イベント中もプレイヤーに待ち時間を与えない構成となっています。(3Dポリゴンだとそうでもないんですが、ドット絵だと妙にストレス溜まるんですよアレ)

 やはりRPGはテキストが肝のゲームですから、ここが高品質だとすごく楽しいですね。

 ただ、気になることがひとつ。割と難癖に近いことではあるんですが。
 基本的にはゲームらしい配慮が行き届いた良いテキストではあるんですが、それでもドット絵ゲームとしてはまだイベントが長いです。
 オルベリク編のオープニングイベントはゆっくり目に読み進めると、プレイアブルになるまで約7分15秒、テキスト約1400字。
 ボス戦前イベント3分30秒、テキスト約900字。
 ボス戦後イベント3分30秒、テキスト約1000字。

 このあたりはプレイヤーの嗜好で許容範囲が大きく異なるのですが、スーパーファミコン世代のRPGと比べてしまうとちょっと気になる長さだと思います。特にこのゲームはどうしても往年のサガシリーズを思い出してしまうので、あのやり過ぎなくらい切り詰めていたテキストと比較しちゃって余計に、ちょっと。
 特にボス戦前イベントは負けてしまうと何度も同じテキストを読むことになるため、この長さはさすがにストレスフル。
 試しに一通り書き出してみたら削れない情報がこれでもかと詰めこまれているのがよくわかったので、なかなかこれ以上は圧縮できないのもわかるのですが。(特にオルベリク編オープニングは勉強になりました)
 対策は・・・素人の私だとスキップモード実装しか思いつかないかなあ。

 それから携帯モード時の画面サイズと吹き出しの画面占有率の兼ね合いを考えると仕方のないことではあるんですが、クリック数がものすごく多いです。
 オルベリク編オープニングイベント7分15秒に対してクリック数76回。(約10.5回 / 分)
 ボス戦前イベント3分30秒に対してクリック数54回。(約15.5回 / 分)
 ボス戦後イベント3分30秒に対してクリック数52回。(約15回 / 分)

 今回私はジョイコンを使って各シナリオを2周ずつプレイしたんですが、正直ちょっと指が痛くなりました。(でも分離コントローラーで遊ぶRPG最高! 至高!
 特に今どきの3Dポリゴンゲームは演出力が上がった分、イベントは映画のようにオートプレイで進行することが多いため、これほど頻繁にAボタンを押す体験は久しぶりでした。ちょっと懐かし・・・いや、フリーゲームでもっと頻繁なの最近も色々と経験してるか。
 できればオートプレイ機能をください。

 色々とネガティブな意見も書き連ねましたが、久しぶりに高品質なオールドスクールRPGを堪能させていただきました。発売を超楽しみにしています。
 書いた不満もぶっちゃけ改善されなきゃそれはそれとして受け入れられるレベルです。それらを飲み込めるくらい全体的なプレイ体験が秀でていましたから。何やらユーザーの意見を積極的に聞いてくれるメーカーだと聞いたもので、ちょっと気合いを入れて書いてみただけです。

 うん、アレだ。
 要するにアレだ。
 発売日はよ。

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