ちえりーらんどについて私が知っているいくつかのこと

朝礼（最重要）

朝からちえりちゃんはかわいいなあ！
昼でもちえりちゃんはかわいいなあ！
夜ももちろんちえりちゃんはかわいいなあ！
今日もちえりちゃんはかわいいなあ！

※ とても楽しい言葉なので、いきなりこんなもの読まされても何が何だかわからない・・・って人でもとりあえず1行ずつ日本語入力ソフトに登録しておきましょう。瞬発力が大事です。

ちえりーらんどについて

　バーチャルYouTuber・花京院ちえりが経営している、という設定の遊園地。

　電脳世界に所在するが、ときどきマインクラフトの世界やよみうりランドにも出現する。
　園内至る所に並べられた多種多様なゴミ箱や、アトラクションの列に並ぶまででも数時間かかる長い通路、恐怖と吐き気に彩られた観覧車「くたば輪」、豪華4階建てのハリボテ従業員寮などが特徴。
　「従業員いつでも募集中！」と、やたら耳に残るフレーズを鬼ループしているウェルカムソングも特徴といえば特徴。客を呼べ。

　なお、園内で働く従業員の時給は200円。イベントなどがあると記念に3円まで減給される。その他、ちえりちゃんの笑顔などが主要な報酬として定められている。
　一方で、優れた貢献を収めた者には大幅な昇給も約束されている。最高記録は牛巻りこの時給500円。
　以前は花京院ちえり含むアイドル部の配信がある時間帯以外は全て勤務時間だったため、実働約20時間×週7日の労働環境だった。現在は花京院ちえりの配信時間中だけが勤務時間という方針に大幅転換。

　主な業務は園内のゴミ箱並べ。とっても楽しいお仕事です。
　花京院ちえりが好きなブルーのポリバケツはもちろん、何かと便利な足つきゴミ箱、取っ手付けたにゃんゴミ箱、最大重量100kgの筋トレ用ゴミ箱など、多種多様なラインナップあり。さらにはプライベートでも自由に並べられるよう、ホワイトボード付きゴミ箱などが用意されている。よみうりランド版ちえりーらんどではペーパークラフトのミニチュアゴミ箱も販売された。
　なお、花京院ちえりはとてもきれい好きなので、せっかく並べたゴミ箱にゴミを入れることを許していない。

　ときどき脱走する従業員もいるようだが、全て漏らさず花京院ちえりの手で園内へ連れ戻されている。また、その際は“もこ田めめめ（3）”などと名前の後ろに脱走回数がカウントされる決まり。
　花京院ちえりに構ってほしくてわざと脱走を繰り返したり外部へタレコミしたりする者もいるようだ。主なタレコミ先となっている電脳少女シロもその事情はよく理解しており、以前花京院ちえりに労働基準監督署をプレゼントしたことがある。

　福利厚生の一環として、従業員がケガをしたときは業務提携先のカルロ総合病院へ送られる。なんと代金は無料。代わりに治療後は料金相当分の無償労働を課されるようだ。
　なお、カルロ総合病院は頭部を電球に挿げ替えるなど奇異な治療行為が日常的に行われていることで知られている。

　ときどき社員旅行が催されることもある。
　行き先はPUBGの島。花京院ちえり手ずから順番に銃殺してもらえるという楽しいイベント付き。茶番に夢中になりすぎてうっかりエリア死しちゃうこともしばしばだ。

　2021年7月現在、従業員数は10万2000人以上いると見られている。
　それもそのはず、ちえりーらんどに遊びに来たお客さん全員が新たな従業員になるからだ。ちえりーらんどに出口はない。

従業員について

　頭には「GO!GO!ちえり！」と書かれた猫耳（※ 取ってつけたにゃん）付きでピンク色の帽子を被り、上半身は「従業員」と書かれたピンクのTシャツ、下半身は男女とも黄色いスカートと厚めの黒ストッキングを履いている。
　花京院ちえりの配信中は両手にペンライトを持って全力で応援するのが恒例。

　年齢・性別については主に30代男性。いちおう女性従業員もいないことはないらしい。

　やたらめったらノリがよく、配信中は花京院ちえりが喜んでくれそうなコメントをたくさん書き込んでいる。声を揃えて朗々と朝礼をすることもできるし、喜んでくれると思ったならキザ男を演じて口説いてみせたり、猫と張りあって自分のできるところをアピールしたりもできる。
　30代男性のアイドルオタクが一糸乱れぬ統制で「今日もちえりちゃんはかわいいなあ！」などと復唱しているところを見ると若干の恐怖を感じないこともないが、花京院ちえり書き下ろしのかわいいイメージイラストで想像したなら、まあまあかわいらしい光景ではあるだろう。大丈夫、大丈夫。

花京院ちえりについて

　一言で紹介するなら、かわいいバーチャルYouTuber。

　ちえりーらんどを経営しているお嬢様でもあります。

　年齢は17.003歳（※ 2021年7月現在）。
　誕生日は3月16日。
　老舗バーチャルYouTuberプロダクションの.LIVE（どっとライブ）に所属。また、非公式ユニットであるTr!ck track（とりとら）にも所属。
　推しマークは🍒。パーソナルカラーはチェリーピンク（#eb6e9f）。ファンネームは従業員、もしくはちぇりすと。
　好きなものはホラー全般、アイドル全般、かわいいもの全般。
　持ち歌は『GO!GO!ちえり!』、『ちえりは転がる』の2曲。いつものパターンなら今日のライブで2曲ほど追加される見込み。

　ホラーゲームを中心としたゲーム実況のほか、3Dフルトラック配信でのかわいさに定評があります。
　アイドルオタクゆえのかわいい身ぶりへの理解、経験の豊富さによる機材習熟と舞台度胸、ジムで鍛えた身体能力、それになによりかわいくあることへの貪欲な目的意識。出演機会が増えるたび加速度的にかわいくなっていきます。

　ひたすら真面目で責任意識が強く、公平と規律を重んじ、周りへの気配りも欠かさない性格。物理的にも人間性的にも潔癖症のきらいあり。それでいてどちらかというと内向的なほう。
　結果、自己目標が実現不可能なレベルに跳ね上がってしまいがちなため、必然的に重度の緊張しいでもあります。そのぶん周りから甘やかしてもらうことで帳尻を合わせている部分も。もちろん、実際そうしてもらえるだけの努力と献身を尽くしていて慕われているおかげでもあります。
　同様の事情から、自分の好きなもの嫌いなものについて話す場面では話題を選びすぎて言葉に詰まりがち、一方で、自分以外の誰かを褒めるときは目に見えてリラックスしています。剥き身の自分でいるよりは多少キャラクターを演じていたほうが安定するタイプ。

　バーチャルYouTuberとしての花京院ちえり最大の個性は“かわいい”ことです。
　それは言わずもがなの事実であり、そういうキャラクターロールであり、視聴者から最も期待されていることであり、本人の目標でもあります。
　誰かと比較してかわいいとか、そういう話ではありません。むしろ彼女は老若男女生物秘生物問わず「みんなかわいい」と豪語する立場です。
　あくまでバーチャルな存在でしかない“花京院ちえり”は、“かわいい”ことを自らの存在理由として位置づけることで、現実に存在することを可能としているんです。

　今となっては多少古い捉えかたになりつつあるのかもしれませんが、バーチャルYouTuberと、それを演じている中の人とはそれぞれ別人です。
　あんなアニメキャラ然とした見た目の人間が現実に存在するわけありませんし、彼女たちの語る言葉が中の人のプライベートそのものだとも誰にも担保されていません。本質的に、そして構造的に、バーチャルYouTuberは中の人に自分とはどこか異なるキャラクターを演じさせたものを楽しむためのコンテンツです。

　花京院ちえりのパーソナリティも、もちろん中の人のそれそのものではありません。“花京院ちえり”とは、アニメキャラと同じくコンテンツとして誰かに創作され演じられている、非実在のキャラクターです。
　演じられるキャラクターとしての必然から、“花京院ちえり”は中の人と区別可能な存在でなければいけません。また、（少なくとも彼女がデビューした2018当時の風潮では）キャラクターコンテンツたるバーチャルYouTuberにはアニメキャラ同様の明確かつ鮮烈な個性が求められていました。
　その、キャラクターとしての花京院ちえりを花京院ちえりたらしめている第一の個性が、“かわいい”ということなんです。
　もちろん、↑で書いたように他の誰かと比較してかわいいという意味ではありませんし、まして花京院ちえりを演じている人物がかわいくないという意味でもありません。（※ 私はその人物の顔も名前も知りませんけれども）　そもそも花京院ちえりの言を採るなら、あらゆる全ての人が等しくかわいいはずです。

　そういう長々とどうでもよさげな前提を踏まえたうえで、花京院ちえりは自らの“かわいい”ことを存在理由（レゾンデートル）にしているという意味です。
　花京院ちえりは“花京院ちえり”として存在しているだけでとりあえずかわいいんです。
　私たちは花京院ちえりがかわいいから彼女を“花京院ちえり”として認知するんです。
　また、中の人は花京院ちえりを“花京院ちえり”たらしめるためにかわいく演じあげてくれています。

　だからこそ、花京院ちえりのことを誰もが“かわいい”と思ってくれています。
　誰かと比べてどうかとか、どういうところがなのかとか、そういう細かい話をすっ飛ばして、“花京院ちえり”は“かわいく”なければならないから、必然的に、絶対的に、言わずもがなの事実として、花京院ちえりはかわいいのです。

　つまるところ、花京院ちえりの“かわいい”とは、花京院ちえりと、その視聴者、さらに中の人、3者が協同してつくりあげた一種の虚構という意味でもあります。
　3者の誰が欠けても花京院ちえりの“かわいい”は成立しません。3者とも花京院ちえりがかわいいことを心から信じてこその“花京院ちえり”です。
　いわばお芝居です。茶番です。素人演劇にして身内ネタ、一個の演劇空間上での出来事です。

　従業員ネタはここから派生しました。

　花京院ちえりというキャラクターコンテンツにおいて、視聴者が彼女をかわいいと認知することはもはや必須の行為であり、すなわち視聴者ひとりひとりが主要登場人物として見なされるべき重要な役割を担っているわけです。

　「今日もちえりちゃんはかわいいなあ！」です。
　これをなくして花京院ちえりは語れない。

　バーチャルYouTuberは本来のキャラクター設定と、にじみ出る中の人のパーソナリティ、そして視聴者との交流のなかで勝手に増えていくキャラクターイメージが混合されることで、他に類を見ない強烈なキャラクター性を確立していくのだと、2017年の昔からずっと語られてきました。

　花京院ちえりにとっての従業員はまさにその一部。
　かわいいちえりちゃんは、「ちえりちゃんはかわいいなあ！」と熱狂する視聴者の存在自体をも自らのキャラクター性の一部として取り込んで、ますますかわいさをパワーアップさせてきました。今や10万人の従業員を率いるかわいさの権化です。新興宗教じみてるとか言っちゃいけない。

　今夜、花京院ちえりのファーストライブが執り行われます。

　なんか知らんが「高収入従業員」とやらがブラックちえりちゃんに囚われている体で催されるようです。
　ありえません。
　私たちの時給は200円です。
　一番の高給取りですら牛巻りこの時給500円だったはずです。
　最近なんてイベントのたびに3円まで減給されています。みんな大喜びです。
　誰だよ、高収入従業員。

　今や、私たち従業員ですらも私たちの知らないところで勝手に追加設定が盛られるまでになりました。
　まるで私たち自身が“花京院ちえり”になったようです。
　やったことはやり返される。そういえばこれまでの配信でもそうでした。ちえりちゃんに無茶振りしたらこっちも巻き込まれるのが常でした。キザ従業員にされたり。ょぅι″ょ従業員にされたり。
　なんだ、いつものことじゃないか。

　きっと今日も愉快な一日になることでしょう。
　これまでもそうだったように。
　昨日も、今日も、きっと明日も変わらずちえりちゃんがかわいくありつづけるように。

　だって、私たちがそう信じるのだから。私たちがそのためにがんばるのだから。
　ちえりちゃんが応えてくれるのだから。そのためにたくさんがんばってくれるのだから。

　だから、今日もちえりちゃんはかわいいなあ！

　楽しみに夜を待ちましょう。
　ハッシュタグは #めるへんちぇりっく城 。
　ペンライトとドリンクの用意をお忘れなく。