トロピカル~ジュ!プリキュア 第23話感想 縦に横に、重ねていく願い事。

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明日の朝、出発前に泳ごう! ローラのお願い、絶対叶えるんだから!

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「南乃祭り! 教えて、ローラの願いごと!」

活躍したひと

ローラ

 陸に上がった人魚。努力家で志も高いが、妙なところで実力にムラがある。人間の足を手に入れたばかりなこともあって実はカナヅチ。プライド高く逐一弱点を克服しようとするため、作劇上余計にヘッポコな部分が目立ってしまう難儀な子。

トロピカってたもの

南乃祭

 南乃島近くの小島・はての島に行き、そこで石に願い事を書いて海に投げ入れるというお祭り。神頼みというよりは一年の抱負を誓うニュアンスが強い。祭りは毎年行われるため、1年ごとに小さな願いをいくつも重ねていくことで、いつか大きな幸せを手にする未来につながっていくという。

うまくいかなかったこと

 ローラが秘密にしていた「バタ足で泳げるようになりたい」という願い事がみんなにバレそうになった。

やりきれたワケ

 結局バレたが、むしろそのおかげで泳げるようになるまで練習に付きあってもらえた。

 “ハレの日”“ケの日”という民俗学で語られる概念があります。江戸時代までは広く一般に普及していた言葉のようです。
 “ハレの日”とはお祭りの日。お祝い事の日。つまるところめったに訪れない非日常のこと。
 “ケの日”はその反対、いつもの変わらない日常のことです。

 人生の大部分は“ケの日”とされていました。お祭りがある日の対称概念ですから、基本的には質素で退屈でしんどいものと捉えられていました。“ケの日”は“ケガレ(※ 穢れ、汚れ、あるいは気枯れ)”の概念にも通じるとされ、毎日少しずつ俗世の垢にまみれ、もしくは生きる気力を摩耗する日々なのだともいわれていました。
 その鬱憤を晴らすかのごとく、“ハレの日”は盛大に祝われました。上等な服を着て、豪華な食事を食べて、普段はやらない特別な儀式を執り行いました。みんな、この日ばかりは仕事や心配事を忘れ、楽しむことだけに没頭することができました。

 多くの人が年に数回の“ハレの日”を楽しみにして、辛くてしんどい日常を耐え忍んでいました。
 「毎日がお祭りだったらいいのに」という冗談はよく語られるところですが、そうはいきません。“ハレの日”は非日常です。生活を維持するためのあれやこれやから解放されるからこその、特別な、そして楽しい一日なんです。人間はむしろ“ケの日”がなければ生きていくことができません。
 「だったらいっそお祭りなんてやめてしまえばいいのに。お祭りをやるための負担をなくしたら、少しは普段の日常も楽になるんじゃないの?」反対にそういった意見もあるでしょうが、それも違います。“ケの日”は“穢れ”であり、“気枯れ”なんです。穢れはどこかのタイミングで払い、気力も定期的に補給しなければ人生が辛くなっていく一方です。そこをリセットするための“ハレの日”。

 「祭りは毎年ある。1年くらいで叶う願いがええ」

 「願い事ひとつひとつは小さくとも、毎年自分で叶えていけば、自分にとっての幸せへの道筋となるのじゃ」

 「石に書いた願い事はね、時間が経つとだんだん波で削れていって、この海に還るんだよ」

 南乃祭はまさに“ハレの日”のあるべき姿に忠実なお祭りといえるでしょう。
 “ハレの日”は日常と区別される貴重な非日常ですが、その非日常は日常を継続して営むためにこそ存在しています。疲れを癒やし、気力を充実させ、また次の一年を実り多き日々にするため決意をみなぎらせる。日常が大切なものだからこそ、非日常も大切にするんです。
 日常と非日常は表面上明確に区切られているようで、その実、根底ではつながっているというわけですね。

tropicaる spirits

 「ねえ、見て!」

 見上げた夜空には視界から溢れんばかりの天の川。
 「小さな願いをたくさん重ねると幸せの道標になる」と、とみ婆は言っていました。まさしくそんな気がしました。だって、こんなにも美しいんですから。小さな星々が無数に集まってできたこの光景は。

 「今、何か来た。この星空みたいに、胸の奥から何かがぶわーっ!って湧きあがってくる感じ。これって――、トロピカる精神!」

 ふと、出会ったばかりのころ、まなつが言っていた言葉が思い出されます。

 「『トロピカるぞー!』っていうのはね、常夏の太陽みたいにキラキラ眩しい幸せな気持ちが、胸の奥からこう、ぶわーっ!って湧きあがってくるような感じ!」(第1話)

 あのとき、たしかに心惹かれました。無限のバイタリティをほとばしらせているかのような少女に。彼女こそがプリキュアなのかもしれないと直観的に思いました。
 半ば強引にメイク体験をさせられました。きっとトロピカるからって。彼女が塗ってくれたリップはちょっと泳いだだけであっさり取れてしまいましたが、なんだか妙に心に残る出会いでした。

 トロピカる。

 「みんな、行こう! 今行かなきゃ明日になれば誰かに買われちゃうかもしれない。私は“今、一番大事なこと”をやる!」(第6話)

 彼女はいつも衝動的でした。それでいて、いつも誰より真剣に考えていました。自分のやるべきことを。自分がやりたいことを。
 胸の奥にぶわーっ!と湧きあがってくる衝動が「トロピカる」ということならば、それはまさしく、道標でした。
 衝動的でありながら、それでいて進むべき未来への道程を着実に歩んでいく。南乃島に生まれたトロピカ娘の原点が、確かにここにありました。

 そんなまなつが言います。

 「ああっ!! 今朝ローラと一緒に泳ぐって約束したのに、泳いでない!」

 ・・・うん? それってそんなに大事なこと? 本当に今すぐやらなくちゃいけないこと?

 でも、彼女が言うのならきっとそうなのでしょう。
 トロピカる精神とはすなわち、「今、一番大事なこと」に取り組むやる気。たとえひとつひとつは小さな取り組みに見えたとしても、それら全てが未来へ繋がる道標。きっとその先には大きな幸せが待っている。

 で、どうして一緒に泳ぐ約束がそれほどまでに大事なことだと思ったの?

 トロピカ娘がやらなきゃと感じたのなら、そこには絶対に大事なことが隠れているんです。

やり残したこと

 「ローラ。おまたせ!」
 「ローラちゃんも泳ぎたくなったらいつでも言ってね」
 「はい。でも、大丈夫です」

 今日も今日とて楽しい一日でした。ジェットボートに野菜の収穫体験、おいしいゴーヤーカレーを食べて、島を駆けまわり、浴衣を着て、お母さんの若かりしころのロマンスを聞いて、そして南乃祭に参加! 何もかもが楽しくて、ずっとみんな笑顔でした。

 ただ、早朝だけを除いて。

 「ごめんね、ローラ。あとで一緒に泳ごうね」
 「いいわよ別に」
 「そんなこと言わないでさあ」
 「・・・人間の姿じゃどうせ上手に泳げないし」

 早朝、みんながスクーバダイビングに興じているあいだだけ、ローラがつまらなそうにしていました。泳げないからです。
 ぶっちゃけスクーバに水泳技術なんてほとんど関係ないんですが、そこはそれ。ローラという子は変なところで遠慮しいでした。ワガママなように見えて人並み以上にプライドが高いこの子は、自分に非があると思うことに対して極端に謙虚なのでした。まずは自分が納得できなければ周りの譲歩を受け入れようともしませんでした。ありていにいって、メンドクサイヤツでした。

 だから、彼女は願います。

 「バタ足で泳げるようになる」

 最低限それだけできれば、次に今日みたいなことがあったとき、今度はみんなと一緒に笑いあえるはずだから。

 だからこそ、トロピカ娘が彼女の秘めた願いを知ってしまったとき、黙って見守るなんてお優しいことをしてあげるはずがありませんでした。

 今、一番大事なことをやろう!

 それがトロピカ娘の信条。
 「次」じゃねーんですよ。「今度」じゃねーんですよ。だって、あの子が笑えていないのはまさに「今」なんですよ。
 一緒に泳いであげたい。できるならスクーバだって体験させてあげたい。だけど彼女は自分が納得するまで周りに迷惑をかけることを良しとしない気高い子。その割にトラブルメーカーだけどそのへんは一旦脇に置いとく。泳げるようになるまで一緒に泳いでくれないというのなら、泳げるようになるまで一緒に練習してあげたい。
 今、そういうことを私がやりたい。

 「いいって、別に。帰ってからでも」
 「ううん。ダメだよ! 明日の朝、出発前に泳ごう! ローラのお願い、絶対叶えるんだから! 大丈夫! ローラも絶対できるようになるよ、バタ足!」

 まなつはまなつで頑固な子でした。「今」と決めたら絶対に後まわしにしない子でした。
 かくしてローラはまなつのペースに巻き込まれます。トロピカる精神に感化されます。

 「できてるよ。やったね、ローラ!」
 「ま、こんなものかしら」
 「叶ったね、ローラのお願い」
 「――うん!」

 そうして、「次」でも「今度」でもなく、「今」ローラは笑顔になるんです。

 「ねえ、見て! 小さな願いをたくさん重ねると、幸せの道筋になる――」
 「幻想的」
 「これは願いも叶うな。いや、叶えてみせる!」

 見上げれば夜空に溢れんばかりの天の川。縦にも横にも広く散らばっていて、とても一目では全容をうかがい知ることができない、大きな大きなアートになっていました。

 とみ婆は「願い事ひとつひとつは小さくとも、毎年自分で叶えていけば、自分にとっての幸せへの道筋となるのじゃ」と言っていました。だけど、こんなにもたくさんの願い事、ローラひとりの力で叶えていけるものなのでしょうか?
 きっとNOです。
 人並み以上の努力家である彼女ですら未だ全然至らないところが山ほどあります。大抵の人間ができるであろうバタ足すらろくにできない始末。いつもやってる地道な努力が幸せへの道標だというのなら、そこまでたどり着くには一体どれほどの時間がかかるのやら。

 だけど今日、ローラの願い事がまたひとつ叶いました。
 ローラひとりではここまでできなかったであろう早さです。まなつが手伝ってくれました。
 小っ恥ずかしいことに、お祭りの石に書いた願いを知られてしまって、だけどそれが逆に功を奏したかたちです。

 きっと、自分の努力によって縦に願い事を重ねていくのは大切なこと。
 だけど誰か、一緒に願い事を叶えてくれる友達が横にいてくれてもいい。
 縦にも横にも広げることができれば、いつかあの天の川みたいに大きな幸せを描ききることだって不可能じゃないはず。

 今話はそういう物語でした。
 我らがかわいいがんばり屋さんたちは、これまでも、これからも、みんなで一緒になって毎日を笑顔いっぱいにしていきます。

コメント

  1. ピンク より:

    結局頼まれたこと以上の仕事しとるエルダちゃんw

    てっきり「みんなと一緒に過ごしたい」的なやつかと思ってましたが、そういうニュアンスの願い事を書いたのはローラではなくまなつでしたね。
    考えてみたら、どっちにしろ既に半ば叶ってるようなもんですけど。

    • 疲ぃ より:

       業務に対する自主性があってたいへんよろしい。(※ 割とマジで)
       子どもメイドのエルダは丁稚奉公みたいなものでしょうから、そもそも仕事とプライベートの境界が曖昧なのかもしれませんが。

       私もその手のが出てくると思って見ていました。でも、劇中で語られた、小さな積み重ねで未来を紡いでいく考えかたのほうがなるほどステキだなと思いましたね。

  2. 亀ちゃん より:

    昨日は2週間ぶりにいとこのお姉さんの次女に感想を送って、いとこのお姉さんなどの大人の家族には解説をLINEした亀ちゃんです
    昨日のトロピカル~ジュプリキュアはローラ・アポロドロース・ヒューギヌス・ラメールなどが2つ以上シックリ着たセリフを発したという感じですね
    「ダメったら、ダメ!」は幼稚園児向けのアイドルアニメ・プリパラにて、主人公の妹が主人公の父親に対して、獣的フレンズな女子アイドルがウサギ型のマスコットを食べようとしているので「だから、ダメったら、ダメ!」と言い放ちます
    これは幼稚園児向けのアニメ的に感慨深かったですね!!☆☆♬
    それから「嫌よ」と言い放ったのもシックリ着ました
    キュアベースボールギャンブラーと女子寮の寮長(キュアバドミントンギャンブラー)が二人三脚で次々と敵を何とかしていくプリキュア小説にて、64人が参加するアマチュアバドミントン大会の1回戦ではキュアベースボールギャンブラーが女子寮の寮長か、キュアバドミントンガデスとして覚醒予定の女子寮の寮長のお姉様のどっちかと1回戦で当たるクジを、手探りで見極めながら触れて行き、結局は、女子寮の寮長のお姉様と1回戦で当たりました
    その後試合はキュアベースボールギャンブラーが先制点を奪うと、挙句の果てにはキュアベースボールギャンブラーが初戦突破となりました
    その際、キュアベースボールギャンブラーは女子寮の寮長に奮闘をたたえる握手を求めようとしますが
    「嫌よ!誰が○○○ちゃん(キュアベースボールギャンブラー)なんかと」と断固として拒みます
    こっから始まったと思うとプリキュア的に感慨深いですね
    でもってまなつのお母様が意気込んでいる願い事書いた石を海に放ると、素敵な出会いとはまなつのお父様との出会いではなく、南の島の海に生息するタコだったこともわかりました
    変わっていますが、当時から水族館在勤であるまなつのお母様らしかったですね!!☆☆♬
    でもって、前週のトロピカル~ジュプリキュアは私のお母様がどっかのシーンを見て面白いと口にしました
    チョンギーレというカニ型敵幹部の名前の由来も発想が面白いと口にしたほどでした

    • 疲ぃ より:

       私としてはまなつのお父さんが地元民だったというのが意外でしたね。
       夫婦別居してまで僻地で仕事するのはよほどその土地への愛が強くなれればできない、ただの地元愛だけでは到底やっていけないことだという先入観があったので。「たまたまその土地に生まれたから」よりは「生まれに関係なく自分でその土地を選んだ」のほうが納得できるというか。だから、てっきりあおぞら市に住んでいるお母さんのほうが南乃島出身なんだろうと思いこんでいました。
       よくよく考えたらこれ、私の個人的な田舎コンプレックスですね。

  3. 東堂伊豆守 より:

    これまでのところ、一之瀬みのり嬢のパーソナルクエストがひたすら「書を捨てよ。街に出よう。山にも海にも」という形で推移しているわけなんですが……もはやみのり嬢が文芸の世界に回帰することはないんでしょうか?あるいはリアルワールド体験を肥やしにした“文芸少女·一之瀬みのりVer.2”へと進化することになるのか?
    正直どちらの着地点を採用しても「一之瀬嬢の未来は“みのり”多きものになり得る」と予感させて、彼女のパーソナルクエストを締めくくることが出来そうには思えます。
    殊に、あの“セピア色の黒歴史”に出てきたロングヘア娘とみのり嬢をもういっぺん対峙させる(=みのり嬢を過去と対峙させる)必要性は、正直あんまり感じられないんですよね……。
    一方で……未来へと進むためには、過去=白鳥百合子との対峙が避けられないらしい、かつての“熱血体育会系お節介焼き”復活がパーソナルクエストとなっている様子の滝沢あすか嬢。
    ……なんですけど、そんなことよりあの白鳥さん?あなた“クールビューティーな策士”みたいなフリして実は滝沢あすかと似た者同士の熱血バカ(語弊)だったの?!返せ!ワタシの期待を返せ百合子ォ!!(何を期待していたんだお前は)

    • 疲ぃ より:

       今年はみのりに限らずさんごもあすかも着地点の見えないストーリー展開で来ているので、そのあたりはまあ、うん。初回の第4話を見るかぎりは物語世界に浸る方向へ回帰しそうではありますが。得意の推理がモロ物語文読解スタイルなところからも未練ありありな雰囲気を感じますし。

       白鳥生徒会長は最初っからああいうキャラだったでしょうが!
       熱血バカにケンカ売られたからって真っ向から煽り返すヤツがクールキャラなわけないだろォ!

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