トロピカル~ジュ!プリキュア 第25話感想 授業参観って何のためにあるの?

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そりゃあ、俺たちも親にいいとこ見せたいしがんばるけどさあ。

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「桜川先生 パワーアップ大作戦!」

活躍したひと

桜川先生

トロピカってたもの

桜川先生

うまくいかなかったこと

 授業参観に桜川先生のお父さんが襲来。もしや立派に教師の仕事が勤まっていなかったら実家に帰されるのでは?と心配になった学級一同でサポートしようということになったが、桜川先生のドジは到底カバーしきれるものではなかった。

やりきれたワケ

 教え子に慕われている様子を見て桜川先生のお父さんは満足した様子だった。
 なお、別に実家に帰されるとかそういう話は全然なかった。

 アバンを見て「お、今日はさんごの当番回か」と思っていましたが、別にそんなことはなかったぜ!

 「もしかして、先生も授業参観に緊張してるんですか?」

 そもそもの話、授業参観というのは保護者による学校現場の視察です。商社から製造委託先工場への監査、国民からお役所への情報開示請求などと同じ性質のもの。保護者からしたら学校に大切な子どもを預けている立場なんですから当然の権利ですね。お父さんお母さんが見に来るのはあくまで学校設備や授業内容であって、自分の子どもではありません。(※ 本来はね)
 思い返せば、授業参観のときってちょっと変わった授業をしたり、直前の単元消化ペースを調整して見映えするタイミングを合わせたり、今思うと先生がたも色々工夫していましたね。ジャージ先生が珍しくネクタイを締めてきたりなんかも。
 私の通っていた小学校では給食の検食もやっていました。こちらも授業参観の日は普段見ないような珍しいメニューが出がちでしたね。帰って母から感想を聞いてみるとどうも毎回不評の嵐だったらしく、その後再び献立に採用されることはめったにありませんでした。

 ま、そんなわけで生徒が親の目を気にして授業に積極的になってくれる分には教師にとってたいへん都合のよろしい話ですので、生徒諸君には今後とも思いっきり緊張していただきたいところですね! 私は別に教職じゃありませんが!

少女時代

 「リンゴ畑・・・。引退・・・。大事な用・・・。お父さんは桜川先生にリンゴ畑を継いでほしいと思っているのでは?」

 今どきそんな跡継ぎとか深刻に考える農家いねーから。ただでさえリンゴは生食需要が少なくて儲からんのに。廃業だ、廃業! 継いでほしかったら消費者がもっと金払え!

 今日も今日とてみのりの推理は盛大に見当違い。
 基本的に物語読解のノリでやっているので、必要な情報が全部手元に揃っているのか疑わないんですよね。たとえば推理小説あたりだと謎解きパートまでに手がかりがきっちり全部開示されるわけで。そこが現実と物語の違いのひとつだということに彼女が気付く機会はあるのでしょうか。

 「というわけで! みんなにも協力してもらいたいの。最高にトロピカってる授業参観を先生のお父さんに見せたら、きっと考えなおしてもらえるはずだよ!」
 「そりゃあ、俺たちも親にいいとこ見せたいしがんばるけどさあ」
 「けど?」
 「桜川先生、ちょっとドジというか」
 「おっちょこちょいというか」

 うん。教卓に花を飾っているのがまず間違いなんじゃないかな。黒板隠れちゃうし。
 ちなみに白いバラのつぼみの花言葉は「少女時代」。先生、完全に子ども扱いですね。

 今話はまなつたちが先生の授業参観をサポートする変則展開ですが、実質的には普通にこどもにとっての授業参観のエピソードです。桜川先生が生徒側の代表扱いになっていること以外は本当にただの授業参観。親にカッコいいところを見せたい子どもたちが一生懸命がんばります。

 「がんばってね、エルダちゃん」
 「はあ。後ろから見られるのって落ち着かないわ」

 ところであとまわしの魔女さん宅のあなたたちまで「がんばる」って口に出すのはアリなんですかね?

「どうして?」の答え

 「もし父がそういうつもりだとしても、私、今は先生を続けたい。もちろんリンゴ畑は大切だし、いつか継ぐことになるかもしれないけど。先生になるのは子どものころからの夢だったの」

 桜川先生の語りには、まなつたちの心に響くものがありました。
 それはつまるところ、まなつたちが日頃から大切にしている思いだったからです。
 すなわち、「今、一番大事なことをやろう!」。

 (全部勘違いではありますが)未来のことまで考えるとお父さんの考えにも一理あることはわかります。どうせ将来リンゴ畑を継ぐことになるのなら、今からもうリンゴ農家を始めておいたほうが賢明なのかもしれません。それが自分にとっても一番正しいことなのかもしれません。

 「まなつは呑気すぎ。もっとプリキュアとしての自覚を持ってもらわないと」
 「自覚とか知らないし。あんな騒ぎを起こしておいて何勝手なこと言ってるの?」
 「勝手なのはまなつのほうじゃない。世界がピンチってときに部活とかしてる場合?」
(第2話)

 「ねえ。女王様は私に何をさせたかったの? 私、女王様の言うとおりプリキュアを見つけた。次はどうすればいい?」
 「あなたは、どうしたいのです?」
(第17話)

 「願い事ひとつひとつは小さくとも、毎年自分で叶えていけば、自分にとっての幸せへの道筋となるのじゃ」(第23話)

 「生徒会長にもきっとあるはずです。今一番大事って思うことが。胸の奥からこう、ぶわーって湧きあがってくる、真夏のキラキラした太陽みたいな気持ち! だから、部活の名前は『トロピカる部』です!」(第6話)

 だけど、正直言って未来のことなんか自分じゃ本当はピンと来ていない。
 未来が見えている人の言うことを聞いてみるにしても、それじゃやっぱり納得できない。わからない。
 できるなら自分にも見えるスパンで少しずつ積み上げていったほうがわかりやすい。
 それに何より、そっちのほうが絶対に楽しい!

 だから、今、一番大事なことをやろう!

 「授業参観、緊張しちゃうなあ」
 「わからない問題でも手を挙げなきゃ親にグチグチ言われたりとかするしさあ」
 「そうよねえ。参観日って、いいところを見せられるか不安になっちゃうよね」

 子どもにとってちょっと憂鬱なもの。授業参観って、そもそも何のためにあるんでしょうか。
 ↑でも書いたとおり、本来は学校現場の視察が目的です。ぶっちゃけ生徒自身にはほぼほぼ関係のない行事です。そのあたり理解している生徒はあんまりいませんが。保護者のなかにもときどき勘違いしている人がいたりしますが。(※ 何のためにセットで懇談会も開いていると思っているんだ)

 授業参観をやる意味なんて子どもにはわからなくて当然です。
 だって、実際意味なんてないんですから。大人の都合に巻き込まれているだけであって。
 みのりの推理と同じ。そもそも前提から見当違いなんです。大人がいつもいつも子どもの将来のことだけを考えてくれてるだなんて思うなよ?

 「みんなで最高の授業参観にして、トロピカろう!」

 だから、子どもが授業参観に向かう姿勢なんてものは、まなつみたいな考えかたで合っています。
 細かい話は知らない! でも、お父さんお母さんにちょっとカッコいいところを見せたい! それだけ!
 その姿勢が結局一番の正解。いつだって、今、一番大事なことを自分で考えて実行するのが一番自分のためになる。

 劇中ではいちおう桜川先生のためということになっていましたが、今回彼女も授業参観にお父さんが来て困ってしまうという立場として描かれていた以上、桜川先生もまたまなつたちと対等の子ども側の扱いです。桜川先生のため=子ども自身のためという構図で描かれています。

 「お父さん、私がちゃんと先生をしてるか見に来たんじゃないの?」
 「そうだよ。大事な用の“ついで”にな」
 「つ、ついで?」

 実際、桜川先生のお父さんの授業参観に大した意味はありませんでした。事前にあれこれ予想してみたことは全部検討違いでした。
 お父さんにとっての本命は熟女アイドルの追っかけ。そもそもが娘の将来のためを思って授業参観に来てくれたわけではなかったようです。ただの“ついで”でした。(※ そういえば最近地下アイドル界隈で密かに流行りつつあるジャンルらしいですね、熟女アイドル。e-maのど飴のweb広告でその存在を知りました)

 ただ、それでも褒めてはくれました。

 「さきはいい先生になったねえ。さきはがんばり屋さんだからねえ。空回ることもあるが、父さんはそれでいいと思う。みんなさきを支えてくれてた。それは、さきとみんなの間に信頼があるからだよ」
 「・・・うん!」

 きっかけこそただの早とちりでしたが、まなつたちが自分なりに考えて一生懸命がんばったことは、ここにこうして実を結びました。今、一番大事なことをやろうとしたことは、少しもムダにはなりませんでした。

 もし「どうして授業参観なんてものがあるの?」と聞かれたなら、
 「すまないが子どもには関係ないんだよ」が正解。
 だけど「せっかくだからお父さんお母さんにカッコいいところを見せたい!」と言うのなら、きっとそれがもっと正解です。

 「何が大事かは自分で決める! 今大事なのは! 大事なのは――!!」(第1話)

 だから安心して、これからも自分なりに今、一番大事なものを考えていってくれればいい。
 大人はきっと、そんな子どもの自発的な成長をいつでも喜んでくれるでしょう。

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    コメント

    1. 亀ちゃん より:

      今日は私が33の時最後となるプリキュア本編でした!!
      桜川先生が教諭人生を続ける熱意を感じました
      私のお母様も2回面白くて笑うほどでした
      で、黒板型のやられ役は2009年のフレッシュプリキュアの第6話以来でしたね!!
      しかしサウラーと同じように巧くつかえていませんでした!!
      サウラ―ももうちょっと黒板型のナケワメーケを巧く使いこなせていた場合、プリキュアに勝てるところでした
      で、キュアブルームの咲には妹がいる長女だけど、桜川先生は一人娘という対比が印象的でしたね
      次回は流星群なのです

      • 疲ぃ より:

         黒板って楽しいですよね。家になくて幼稚園にもなくて、学校でしか見られないもの。黒板があるだけでとりあえずもう学校って感じ。チョークとか黒板消しとか独特の使用感があるのもいいですね。想像力をかき立てられる良い遊び道具でした。
         ・・・まさか卒業したらほぼ見ることがなくなってしまうとは。

    2. 東堂伊豆守 より:

      ほぼ“名義貸し”顧問に成り下がっていた(何せ合宿への帯同すら許されないという体たらく)桜川咲教諭にようやくスポットライトが当たった今回のエピソード。
      ……なんですが、あくまでも「1年5組の担任」としてスポットが当てられた形で、「トロピカる部顧問」としてはフィーチャーされて無いんですよね……。2年の一之瀬みのりと3年の滝沢あすかをストーリーに絡ませる為に、申し訳程度のトロピカる部描写があったくらいで。
      ここら辺「半年も経って未だに桜川先生がプリキュアの正体に気づいていない――――ことに不自然さを持たせない為、桜川先生がトロピカる部に関わる機会を極力減らさざるを得ない」というシリーズ構成上の要求に引きずられて、トロピカる部顧問·桜川咲というキャラクターが飼い殺しにされている印象が拭えないんですよ、どうにも。
      ただ、プリキュアシリーズでたまに登場する「プリキュアチームに協力する一般人」ポジションに桜川先生を据えてしまうと……「教師ともあろう者が、教え子が“戦闘”に赴いているのを黙認していいのか?」「警察など然るべき官署に“世間を騒がす怪物”の事を通報すべきではないのか?」という疑問を回避出来なくなってしまう。……どうにも桜川先生の“教師”という肩書が、彼女を使い勝手の悪いキャラクターにしてしまっていることを否定出来ず、もしかするとプリキュア作品にとって部活顧問というキャラクターは鬼門だったのかもしれないな、と思えてしまうんですが。
      まあ、さすがに最終決戦辺り迄には、プリキュアの正体が桜川先生の知るところとなり“トロピカる部顧問·桜川咲、一世一代の大活躍”が見られるかもしれないんですが、……ただその場合でも“ドジっ娘ヒヨッ娘”桜川咲なんぞより“百戦錬磨の熟女軍団”保護者ズの方が活躍しそうな力(ポテンシャル)を感じるのよね……。
      うん、こうなったら「そこにいるだけで価値が有るキャラクター」1位の座を“女王のペット時々文鎮”くるるんと争おう、そうしよう咲(ヒドイ)。

      • 疲ぃ より:

         文化部の顧問なんて実際名義貸しでしかないのでだいじょーぶだいじょーぶ。
         桜川先生なんて担任なだけまだマシなほうです。部活以外のつながりがないと年に3~4回しか顔を見ないとかザラです。ウチの顧問の先生は演劇部が校内行事の照明操作を受け持っていることすら把握していませんでした。私は先生の名前すら認知していませんでした。

         そういえば桜川先生がプリキュアの協力者枠って認識はなかったです。
         これまでの例だと同級生か老人か妖精が変身したお兄さんかってところでした。働き盛りの大人だとフツーに社会とのつながりがあるので、プリキュアの秘密を共有する協力者にはなりえないでしょうね。
         これが男の子向けのアニメや特撮なんかだと“世界を守る”みたいな大義を掲げるので大人の理解者がいる場合も多いのですが、プリキュアはそういうことやらないですからね。プリキュア自身が日常最優先で戦いに使命感を持っていないので、そりゃあ常識的な大人は(当人のためにこそ)協力してくれない。

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