デリシャスパーティプリキュア 第45話感想 “その言葉”を私は信じてる。だから、絶対できるって信じてる。

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最後にお礼を言わせて。みんな。お料理を救ってくれて本当にありがとう。フェンネルを最後まで信じてくれて――、ありがとう。

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「デリシャスマイル~! みんなあつまれ! いただきます!!」

Lead Character:がんばったひと

ゆい

Major Happening:大きなできごと

 ゆいは傷つき倒れたフェンネルを追いかける。彼の心は泣いていた。ただただ、ジンジャーが自分だけを見てくれなかったことに絶望して。
 そんな彼にゆいは改めておむすびを差し出す。心を結ぶ食べものであり、ジンジャーの好物でもあったそれを、今度こそは食べてもらえた。

 時は流れて――。
 おいしーなタウンとクッキングダムで同日にお祭りが催されたその日、両世界はおいしい笑顔で満ちあふれていた。この1年でゆいたちを取りまく人々との繋がりは大きく広がりを見せていた。シナモンの名誉は公式に回復され、マリちゃんはフェンネルに代わって後進の育成に乗り出した。収監されたブンドル団もそれぞれのペースで更生を目指しつつある。
 コメコメたちとのお別れはさびしいけれど、交わした言葉があれば思いは受け取れるはずだ。それに、絶対また会える。

 いつか世界中の招き猫を巡る旅がしたい、とゆいは言う。きっとまた、おいしい笑顔の輪はますます広がっていくのだろう。

Sub Questions:小さなできごと

ジンジャーの思い

 ゆいがジンジャーの気持ちを想像で語るのはこれで3回目。前2回はいずれも都合のいい想像をするなとゴーダッツに誹られるだけだった。それでもゆいは3回目を彼に語り聞かせる。フェンネルは何を思うだろうか。それもまた、彼の口からは何も語られない。
 死者は何も語らない。語らせない。思いを受け取るのはあくまで残された者の役目である。

それでも、思いはここにある

 「どうして? ジンジャーさんだって望んでないよ!」
 「お前がジンジャーを語るな!! お前に何がわかる? お前はただ、自分が信じたいものを都合よく信じようとしたにすぎない」
(第42話)

 「フェンネルさん! ジンジャーさんを大切に思っているあなたなら、ジンジャーさんの思いを受け取れるはずだよ!」
 「ジンジャーはもういない。貴様の思い込みだ」
 「そうかもしれない。でも、たとえもう会えなくても、交わした言葉から思いは受け取れる! フェンネルさん!!」
(第44話)

 「フェンネルさん! ジンジャーさんは、あなたの笑顔も守りたかったんだと思う。私もフェンネルさんの笑顔が見たい。今すぐじゃなくてもいいから――」

 結局、ゆいは何度言われても最後まで考えを改めませんでした。
 信じつづけました。
 ジンジャーを。ほんの数時間しか言葉を交わしていない人、人となりなんてほとんどよくわかっていない人。きっといい人。だけど、“きっと”でしかない人。フェンネルのほうが、ゆいよりもはるかに詳しく知っているはずの人。その思い。

 ゴーダッツが言っていたように、これは都合のいい想像でしかありません。
 真実ではないかもしれません。
 真実なんてゆいにはわかりません。確かめようもありません。

 それでも、ゆいは信じます。
 人の善性を。フェンネルにここまで慕われている人の、その優しい心根を。
 彼らの絆を。
 心と心とが確かに結ばれていることを。

 信じます。
 根拠なんて何もなくたって、信じます。

 「この言葉はね、バトンなの。娘を産んだとき思ったんだけど、この子もいつか私が感じたような幸せを喜び、そして同じように苦労もするんだろうなって。だからね、次の世代が壁に突き当たっとき、乗り越えられるようにお手伝いができたら。そうしてバトンを渡していけばきっとステキな明日が来るんじゃないかと思ってね」(第38話)

 そういう願いを込めて、ゆいのお婆ちゃんはたくさんの言葉を残してくれました。
 娘や孫の行く末が心配だったからではありません。頼りないと思ったからではありません。
 ただ、好きだから。自分が彼女たちのために何かしてあげたいと思ったから。幸せになってほしいから。

 お婆ちゃんは、その言葉たちが将来必要になるかどうかもわからないまま、それでもゆいたちのところにたくさんの思いを残しました。

 まるでブラペみたいですね。

 「言葉だからね。忘れられることも、役に立たないこともある。でも、ちょっとだけでもいいの。もしも何かの力になれれば、私がいなくなっても大切な子たちを支えられるかもしれないでしょう?」(第38話)

 意味ないかもしれない。喜んでもらえないかもしれない。正しく伝わらないかもしれない。
 それでもいい。
 結局のところは、自分が残したいから、残したんです。

 だからきっと、フェンネルのところにもジンジャーの思いは届けられているでしょう。
 ジンジャーという人が、フェンネルの慕っていたとおりの人柄だったなら。
 後継者に選んでもらえなかったことを20年も納得できずにいたくらいです。きっとフェンネルは生前のジンジャーにたくさん愛してもらえていたんでしょう。たくさんの幸せを分かちあってもらえていたんでしょう。

 だから、ゆいは信じます。
 フェンネルに何度否定されたところで自分の確信を曲げません。

 あなたは愛されていた。
 だったら、その人の思いは今、間違いなくあなたのところに届いている。
 言葉としてか、かたちとしてか、それ以外の何かでかそれはわからないけれど。それはきっと、ゆいよりもフェンネルのほうがずっと詳しいはず。

 フェンネルは何も教えてくれません。だから、ゆいには実際のところが全くわかりません。
 ジンジャーは本当に何かを残していたのか。彼に何を残してくれたのか。
 ただ、フェンネルはジンジャーの招き猫に何かを感じ取ったようです。
 クッキングダムの牢に収監されてからも、ほんの少しだけ、前向きに生きようとしている様子が見て取れます。

 「温かい・・・」

 この物語の幕引きはそれで全部。

 ゆいはついぞ敵がたの戦う事情を詳しく知ることがありませんでした。
 それでも彼女は成し遂げました。わからないからと諦めることなく、心の断絶を受け入れてしまうことなく、どうせ伝わらないと悲観することなく。
 彼女は、相手のことを知らないなりに、その相手の心を動かす言葉を伝えることができました。

 「ゆいは強い子だね」
 「強い?」
 「そう。仔猫がこんなに元気になって。ゆいのおかげだよ」
 「ゆい、強いの? どうして?」
(第2話)

 この世で一番強いのは、誰かのためにがんばる心。

私から伝える「ありがとう」

 「コメコメはもっともっとがんばって、ゆいみたいなヒーローになりたいコメ!」

 「すごいコメ! ゆいはいつだって誰かのためにがんばってるコメ!」

 「コメコメは早く大きくなって、ゆいみたいなヒーローになるコメ!」(『映画デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!』)

 初めて出会ったときから、ゆいはコメコメにとってのヒーローでした。
 コメコメの力ではどうすることもできなかった赤ちゃんのピンチに颯爽と駆けつけ、行き倒れ寸前のマリちゃんをなごみ亭まで担いで行き、戦う力なんて持っていなくてもレシピッピのため完全とウバウゾーに立ち向かっていました。

 その強さ。なんといってもその心の強さに、コメコメはずっと憧れていました。

 「・・・大きくなったらなんでもできると思ってたコメ。でも、字が書けるようになっても、化けるのが上手になっても、みんなが傷ついてるのに、――何にもできないコメ!! みんないっぱいいっぱい優しくしてくれたのに、一世みたいな力も無いし、コメコメは全然ダメコメ!」(第28話)

 自分の情けないところはたくさん見せました。最初はニンジンを買うことすら満足にできなかったコメコメ。いつかはくだらないことでパムパムとケンカしてしまったり、ここねと一緒にピーマン嫌いを発症してみんなの手を焼かせてしまったり。やがて身体も大きくなってやっとゆいの役に立てると思ったところで、現実には全然ゆいみたいな立派な立ち回りができなくて絶望したり。

 「ありがとう、コメコメ。私、知らなかった。でも、コメコメも知らないんじゃない? コメコメと一緒に食べて、一緒に笑って、私とっても幸せだよ!」(第28話)

 そんなコメコメを見ていても、ゆいはずっとコメコメにいつも助けられていると言ってくれたのでした。
 その頼もしさ。そして優しさ。
 だから、ゆいはコメコメにとって今でも変わらずヒーローなのでした。

 「――大丈夫コメ。ゆいが言ってたコメ。会えなくても、交わした言葉から思いを受け取ることはできるコメ。だから、コメコメはさびしくないコメ!」

 最後くらいはその強さと優しさにあやかってみせたいと思います。
 ゆいが安心できるように。自分がどれだけゆいを尊敬していて、ゆいからたくさんのものを受け取っていたのか証明するように。

 言葉はバトン。ゆいがお婆ちゃんから引き継いでいたように、今度はコメコメもゆいから引き継ぎたいと思います。

 だけど。

 「――コメコメ」

 ゆいが、コメコメの目の前で両手を広げて待っています。

 ゆいのお婆ちゃんはたくさんの言葉を残してくれていました。ゆいが心配だからではなく、ゆいが頼りないからでもなく、ただ、お婆ちゃんが残したいと思ったから。

 コメコメにとってゆいは尊敬すべきヒーローでした。
 だけど、そんなこととはまた別で、ゆいにとってコメコメはかけがえのない家族でもあったのでした。

 「コメコメがくれた幸せの味、私忘れないよ。今はお別れだけど、でも、また必ず会える。――ありがとう、コメコメ。またね」

 それはコメコメのためというより、単純にゆいが伝えたくて伝えた言葉。
 コメコメにとってももちろん嬉しい言葉ではありますが、あくまでゆいが言いたくて言っていることです。
 ゆいの思いはこのうえなくはっきりとコメコメに伝わりました。

 ブンドル団の首魁・ゴーダッツは敬愛する師匠に示してもらいたかった愛情を受け取り損ない、それでいじけて世界を揺るがす大事件を起こしました。
 ゆいの優しさを無碍にしてあえて私の個人的な思いを書くなら、「甘えんな」の一言に尽きます。師匠であれ、仮に親代わりであれ、いくら先達といえど結局のところ相手はひとりの人間です。モラトリアム前のお子さまじゃあるまいに、いい歳して他の大人に“完璧”を期待したところからすでに間違っていました。
 ゆいが諦めず繰り返し繰り返し彼に伝えようとしていたこと。彼は世を拗ねる前に、まず自分が師匠とともに過ごした記憶のどこかから、大切な人の思いを受け取れるよう、自分で努力するべきでした。
 たとえ客観的に証明できない事実であったとしても、自分自身の納得のために、まずはそうするべきでした。

 それはここね、らん、あまねの3人が1年かけてずっと取り組んできたことでもあります。
 彼女たちは立派にやり遂げました。

 今日、ゆいは自分に表現できるかぎりいっぱいの思いを込めて、コメコメに大好きの気持ちを伝えました。
 けれどそれはコメコメのためを思ってのことではありません。
 純粋に、ゆいがそうしたかったからそうしただけです。

 人と人との間で伝えあう思いなんてものは、そのくらい気を置かず交わされるくらいでちょうどいい。
 ここねたちなんて、そこを変に気負いすぎていたせいでディスコミュニケーションを起こしていたくらいなんですから。

 物語は今度こそここで終わり。
 けれど、ゆいたちはこれからますますもって「おいしい笑顔」の輪をもっともっと広げていくことでしょう。
 それは誰かのためを思ってしてあげるのではありません。
 あくまでゆいたちにとってそれが自分の幸せだから、自分自身のやりたいことを自分でやっていくだけです。

 きっと、それくらいが一番いい。
 みんながそのくらいのスタンスでお互い関わりあうことができたなら、それはきっと、みんなにとって最高に居心地のいい空間になるでしょうから。

 「かけがえのないお友だちに出会えて」
 「自分のことをマシマシに好きになれて」
 「たくさんの思いに触れることができた」
 「笑顔が広がって、『ありがとう』の心がつながれば、どんなことが起きても乗り越えられる。これからもずっとずっと、『ごはんは笑顔』を守りたい!」

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    コメント

    1. 亀ちゃん より:

      今日は記念すべきデリシャスパーティプリキュアの最終回でした
      で、ウバウゾーは最後の最後まで現れませんでしたが、クッキングが「これからは」と私個人としてはデリシャスパーティプリキュアの最終回において唯一シックリ着たセリフを発しました!!☆☆♬
      もちろんプリキュア的に感慨深さもあるセリフでした!!☆☆♬
      私のお母様も3回面白さを感じて、その内の2回面白いと言っては、その内の2回笑いました!!☆☆♬
      で、来週は水曜から節分もバレンタインもある2月に入って、ひろがるスカイプリキュアが始まりますね
      プリキュアの新番組予告において初めて1番最初に登場する敵幹部も登場し、姿はブタであることが判明しました
      いとこのお姉さんの次女も遂に4月から就学しますが、それでもいとこのお姉さんの長女が小1の時と同じように、プリキュア本編を視るには視るものだと思い込んでいて、感想を送ることをいとこのお姉さんのスマホにLINEで発信しました

      >で、プリキュアとは完全に無関係なことで言いたい雑談は久々に高校野球に関する話題で
      兵庫県から社(ヤシロ)高校が報徳学園とのアベック出場再びになったのに、今週の金曜では唯一意外性を感じました
      それでもその社高校は天理高校(昨秋の近畿地区大会では奈良県1位通過)相手に序盤戦で先制点を奪うと、後半戦は打線がつながって1イニングに7点を取り上げるなど点の取り合いの末に、6,7点差で地区大会における勝利を遂げたことが評価された形ですね!!☆☆♬
      天理高校は昨年の秋の奈良大会の決勝では打線が12点も取り上げて、準優勝の相手打線を2点ぐらいに抑えたことも大きく後押ししたと思います
      で、その兵庫県の社高校も含めて、今年の春休みに開催される甲子園に出場するすべてのチームは、再出場はむろん初出場のチームも
      めざせ甲子園における勝利☆☆
      の精神の下で甲子園における勝利を目指して頑張って欲しいです

      • 疲ぃ より:

         大丈夫です。第1話を観てのプレゼントキャンペーンは小学生まで対象です。高めに見積もって小学6年生くらいまでは純粋に自分のためにグッズを欲しがるファンがいるだろうとの公式のお考えです。なお、逆言うと中学生以上はプリキュアグッズなんか欲しがらないだろうという意味でもあります。(中身がシールとかレターセットとかだからって部分も大きいでしょうが)

    2. 与方藤士朗 より:

      ヒーローの出番です!

      ということで、自称ヒーローの私がゴーダッツ提督ことフェンネル被告の弁護人に就任するなら、東条英機被告弁護人清瀬一郎のように愛国心をもって、米国首席検事キーナンのような風貌で酒も飲みながら?、ブレイクニー弁護人の原爆投下発言を引合いに出しつつ、英国検事コミンズ・カーの如く品よく相手を追及する。

      「(フェンネル)被告はならず者では本来ない。だからこそ罰されるべきであるのは確かである。しかしながら・・・」

      うん、これで、クッキングダムのクッキング夫妻も、結構ビビろう。
      というか、そのくらいのツッコミどころは、ありましたわな。

      私がシナモンなら、「どの面下げて(以下略)」と、あのクッキング陛下に述べておりますよ。
      「そんなんだから、革命を起こされかけるのだ。ロマノフ王朝ロシア皇帝ニコライ二世みたいな運命を、あなたはたどりかけたのであるぞ!」
      ってね。

      なんてこと思いながら、最終回を楽しませていただきました。

      ・・・ ・・・ ・・・・・・・

      ↑ 私の開発した、三々七拍子です(苦笑)。

      それはともかくといたしまして、たくみ君の恋愛感情は、あまね君しか気づいてないようですな。
      そこで終わらせるのは、確かに、この手のアニメとしては、あっぱれです。

      「品田、顔、赤いぞ」~あまねん
      「うるせえ!」~たくみ

      先ほど某サイトで見逃し配信を観ましたが、そのようなやりとりがあったことが確認できました。
      まあ、ここね君もらんらんも、恐らく、わかっておるでしょうな(わっはっは)。

      ・・・ ・・・ ・・・・・・・

      いよいよへびのあし

      プリキュアの最終回の日に、ヒーローの出番ということで、国鉄の特急列車の真のヒーローはどの列車であったかを、私は、書き残すことにいたしました。
      それは、「つばめ」や「はと」ではなく、新幹線の諸列車でも、南満州鉄道の「あじあ」でもなく、この列車であります。

      設定3度とも、1年もたずに他の相性に変更された列車。
      特別急行「へいわ(平和)」号。

      今の御時世で洒落にならないが、これも、プリキュアで与えられた力があっての上で、書けている作品であると、自分では思っておる次第です。

      もいっちょへびのあし
      セクレトルーさん、最後はメガネかけさせてあげようぜ!
      何とかモーニングのあのメガネおねえさまに勝てないぞ!

      • 疲ぃ より:

         まあ人のよさと人の上に立てる器かどうかは割と別問題ってところはあります。
         とはいえ現実問題それでそれなりにうまく国を存続できているならそれはそれでよし。クーデターを鎮圧できたのは完全にプリキュアのおかげですが、ゆいたちにマリちゃんを引き合わせることができたのはクッキングの徳と運のたまものというところも無いではないのです。ほんと、結果論というものは全てを肯定します。結果から見るなら世に無駄なものはひとつたりともありません。(えっと、何の話でしたっけ?)

         あまね(とマリちゃん)はかなり早い時期から拓海の気持ちに気付いていましたね。マリちゃんと違ってあまねは今話まで焚きつけるようなことを言っていませんでしたが、さすがにもういい加減覚悟を決めさせてもいいだろうと思ったんでしょう。

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