スタートゥインクルプリキュア 第11話感想 いろいろ想像しているときって楽しいでしょ?

サザンクロスは人々に進む力を――イマジネーションをくれる星座なんだよ。

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→ TVerアーカイブ配信(放送後1週間限定)

(主観的)あらすじ

 プリキュアがノットレイダーたちに負けてしまいました。おまけにロケットはボロボロ、発着地点もまどかのお父さんに捕捉され、さらにララたちが宇宙人であることを遼じいに知られてしまいました。 私がはしゃいでいたせいだ・・・。ひかるは自分のことを責めてしまいます。 落ち込むひかるに、遼じいは不思議なお話をします。サザンクロスはただの目印じゃない。昔の人は遠くの空の下に大切な人や新たな大陸の姿を思い描きながら旅をしていた。それはサザンクロスがみんなに前へ進む力――イマジネーションをくれたおかげなんだ。

 プリキュアを追撃してきたノットレイダーの幹部3人は力を合わせていつもより強いノットリガーを繰り出してきました。プリキュアたちもそれぞれ持てる力を出しきって迎え撃ちますが、まったく歯が立ちません。  ノットレイダーたちは地球を乗っ取るつもりだと言います。ひどい話。けれど、どうやら彼らにも何か事情があるようです。それを理解できないひかるに対してノットレイダーたちは、何もわかってない、想像力が足りていないと罵ります。  返す言葉のないひかる。

 しかし、そこでひかるに代わってララたちが言い返します。ひかるのおかげでプリキュアになれた。ひかるのおかげで新しい世界に出会うことができた。ひかるの想像力はみんなを結びつけてくれたんだ。  それを聞いて、遼じいの言っていたことの意味がひかるにもわかりました。ひかるは宇宙のことが大好きでした。宇宙のことはまだあまり知らないけれど、だからこそいっぱい想像をふくらませて、どんどん好きになっていったのでした。  だから、大好きな宇宙をメチャクチャにされるのはイヤだなと思いました。

 ひかるのイマジネーションはみんなを前へ進ませ、自分をも前へ進めて、いっしょにサザンクロスをつくりました。  プリキュア・サザンクロスショット。4人で力を合わせたイマジネーションのキラメキはものすごい奔流となって、ノットリガーを吹き飛ばします。

 前話の感想文で私が書いたひかるの課題とは微妙に異なる視点から解決が描かれました。
 ひかるに大きな過失がなかったのはそのとおり。だからそれをバネには成長できないというのもそのとおり。仲間と協力しあう必要があったのも(新しく協力技が出るとわかっていたので)もちろんそのとおり。ただ、みんなとイマジネーションを重ね合わせるというよりは、みんなの成長を鏡としてひかる自身のイマジネーションを再定義していくという流れでしたね。
 なるほど。そこにサザンクロスがかかってくるのかー。
 たしかに舞台を地球に移してカッパードの主張にどう立ち向かっていくのか疑問ではありました。まあ浄化展開のときに改めて語られるんだろうなと思って、今回は先送りにするんだろうなと深く考えていなかったわけですが。ここをちゃんと解決する前提で先週考察していたら、もしかしたら今話の展開も予想できていたのかもしれません。

 さっきから何をウダウダと書いているのかっていえば、つまるところ想像力をふくらませるのって本当に前に進むことと同じなんだなあって話ですよ。先週の私は想像力が足りていなかった。もう少しだけ考えることをやめずにいたら完全な展開予想ができていたかもしれない、と。
 ・・・まあ別に元々そういう趣旨のブログじゃないんですけどね。それでもあと一歩足りてなかったと突きつけられてしまうと、やっぱりちょっと悔しいという気持ちがあったりなかったり。

足りない。足りない。足りない。

 「みんなでつくったのに・・・」
 「私のせいだ・・・」
 
ひかるは打ちひしがれていました。
 負けたからです。フワを、みんなを守りたいと思ってプリキュアになったのに、大切ないろんなものを守りきれなかったからです。

 何が悪かったんでしょうか?
 誰も教えてくれません。誰もひかるを責めてくれません。なにせ、そもそもこれといって大きな失敗はしていなかったんですから当たり前です。
 じゃあ、どうすればよかった?
 どうしようもなくなって、ひかるは今回の敗北とは全然関係ないことで自分を責めようとします。
 「私、はしゃいでたかも」
 そんなことで自分を責めたって、何かが変わるなんてことないでしょうに。

 「宇宙行ったり、ララたちと一緒にいたから、私、はしゃいでたかも。新しい友達ができて、宇宙にも行けて、とってもキラヤバー!な毎日で。みなみじゅうじ座――サザンクロスは天文台からは見えないけど、宇宙なら見えるかなって、みんなを誘ったの。でも、そのせいで・・・」
 
相変わらずこの子は自分の行動意図を説明することがヘタクソです。ヘタクソすぎて自分ですら論理がつながっていないことに気付けません。
 「でも、そのせいで・・・」
 そのせいで、何だというのでしょう。プリキュアが負けてしまったこととサザンクロスを見たかったこと、そのつながりを彼女は説明できるでしょうか。ちゃんと自分が納得できるように。

 ひかるが自分を責めている内容に正当性なんてありません。
 隣で聞いているだけでもすぐにわかります。だって彼女の言っている内容ときたら――。宇宙に行けて嬉しかった。新しい友達ができて嬉しかった。だからみんなでサザンクロスを見に行きたかった。それだけです。喜びの気持ちしか酌みとれません。そのあとで何かがあったようではありますが、これだけを聞くかぎり、ひかるに反省すべきところなんてひとつも見当たりません。そもそもひかる自身が全部を肯定的に受け止めているんですから。
 「案外、呼ばれたのかもしれないよ」
 だから、遼じいも彼女の言葉全部を肯定的に受け止めてあげることにします。
 「サザンクロスはね、ひかるにぴったりな、想像力を――イマジネーションをくれる星座なんだ」
 みんなでサザンクロスを見に行きたかったって? ――それは良いことを考えたものだね。とてもひかるらしい、ステキな思いつきだ。
 ひかるがなぜか自分を責めてしまっている内容をそっくりそのまま、褒めてあげることにします。

 プリキュアは負けました。
 ひかるは大切に思っているものを守れませんでした。
 もっと強くならなければなりません。今の自分から変わらなければなりません。
 けれど、自分の悪いところがどうしても見当たりません。変わらなければならないのに、どう変わればいいのかわかりません。

 そこで行き詰まっているひかるに対して、遼じいはひとつ、忘れがちな視点を教えてくれたのでした。

私はステキ

 プラネタリウムで遼じいが教えてくれたお話の意図を、ひかるはその場で正しく理解できたわけではありません。理解するようになるのはもう少し後、ノットレイダーとの戦いの最中です。
 ひかるは強くなるきっかけをつかむより前に牡牛座のプリンセススターカラーペンに誘われて、前回負けたプリキュアのままもう一度出撃します。  
 「乗っ取るって、住んでる人たちのこと考えないの!?」
 「だからあんたはお子ちゃまなのよ。何もわかってないくせに。さっきの言葉、そっくり返すわ!」
 
その結果、前回と同じようなことを言われて前回と同じように圧倒されてしまいます。

 やはりひかるは強くならなければなりません。
 プリキュアとして負けないように。大切なものを守れるように。
 でも、どうしたら?

 「考えたこともなかろう。宇宙の最果て、暗く凍える場所に追いやられ、闇に潜んで生きてきた我々を!」
 「あんたは宇宙のこと、何にもわかってない!」
 「ホント勢いだけだっつーの! 実は想像力ないっつーの!」
 
はしゃいでいたことで自分を責めても何も変われませんでした。誰もそのことでひかるを責めませんでしたし、そもそも自分でもそれの何が悪いのか思い当たりませんでした。だから変われませんでした。
 ひかるにとって都合のいいことに、ここでノットレイダーたちがひかるの問題点を指摘してくれます。想像力が足りない。
 ひかるの過失ははしゃいでいたことではなく、想像力が足りていなかったこと・・・なのでしょうか? それをどうにかすれば今度こそ強くなれるでしょうか。ちゃんと大切なものを守れるようになるでしょうか。
 「私は・・・。私は・・・」

 「そんなことないルン!」
 
いいえ。
 ノットレイダーたちの言い分をそのまま飲み込むわけにはいきません。こういうの、現実にもよくある逃げ道ではありますが、絶対に受け入れてはいけない考えかただと私は思います。
 「スターは遠く離れた宇宙からフワを呼んだルン。イマジネーションの力で。すごい想像力ルン。スターの想像力のおかげで、私、プリキュアになれたルン!」
 「スターが、ひかるがいなければ、私はみなさんと楽しくお話しすることもありませんでした!」
 「ひかるのイマジネーションはね、みんなを思って、結びつけてくれるんだ。みんなを新しい世界に連れて行ってくれるんだよ!」
 宇宙に行ったこと。新しい友達ができたこと。ひかるが嬉しいと思っていたこと両方とも。それは、ひかるのイマジネーションこそが巡り会わせてくれたものでした。ならば安易に卑下するべきではありません。

 人は幸せになるために生まれてきたんだと私は思います。
 実際に幸せになれるかどうかは知りません。世のなか理不尽なことにあふれていますし。
 ですが、それでも私たちは幸せになるために生まれてきました。なぜなら私たちは自分のためにならない努力だと感じるとやる気が出なくなるものだからです。努力するからには幸せな未来をつかみとりたいと願うものだからです。
 ひかるはフワと出会って宇宙へ行きました。ララたち新しい友達とも出会いました。
 だったら、それらのきっかけとなったイマジネーションはひかるにとって絶対にステキなものです。
 だからこそ、ひかるはそれらを守るためにプリキュアになりました。 「はしゃいじゃった」とか、「足りていない」とか、そういうふうに安易に否定していいものではありません。自分を幸せにしてくれたものを否定する考えかたは、自分がこれまで感じてきた幸せを丸ごと否定してしまうようなものです。

 「案外、呼ばれたのかもしれないよ」
 
遼じいはひかるの悲しい嘆き全部をむしろ肯定的に受け止めました。それだけ幸せだったんだなって、ちょっと聞けばわかる内容だったからです。
 人が成長するのは自分の失敗を反省するときだけではありません。
 自分の大切なものに気付いて、それを守りたいと願うときだって、人は強くなれます。ひかるも第1話からずっと続けてきたことじゃないですか。

 ひかるは強くならなければなりません。
 大切なものを守るために。
 今の自分が幸せだからこそ、それを壊されないように。
 だったら、今の自分を否定するかたちで強くなろうとするのでは本末転倒です。

みちびきの星

 「昔、人々は南の空に輝くサザンクロスを目印にして旅をしていた、そう教えたけどね。ただの目印じゃないんだよ。旅人はね、サザンクロスを見ながら遠くで待つ大切な人や、新たな大陸を思い描いたんだ。サザンクロスは人々に進む力を――イマジネーションをくれる星座なんだよ」
 
遼じいはイマジネーションを「進む力」と表現します。
 旅人は何のために旅をするのか。それは行き先でしか叶えられない望みがあるからだ。
 どうして旅しなければならないのか。そうしなければ行きたいところへ進めないからだ。
 ならば、これからあの方角へ進みたいと願う思いは、その先で望みを叶えている自分を想像することによく似ている。

 遼じいはひかるがサザンクロスによく似ていると言います。
 「スターの想像力のおかげで、私、プリキュアになれたルン!」
 「スターが、ひかるがいなければ、私はみなさんと楽しくお話しすることもありませんでした!」
 「ひかるのイマジネーションはね、みんなを思って、結びつけてくれるんだ。みんなを新しい世界に連れて行ってくれるんだよ!」
 
そのとおり。ひかると出会ったことで前へ進むことのできた友達がこんなにいます。必ずしも当初から望んでいた道行きだったわけではありませんが、みんな出会えてよかったと幸せを感じています。
 みんなと出会ったり、フワやお互いを守りあったり、宇宙へ行くロケットを修理したり。ひかるが考えて、ひかるがはじめたことをみんなで叶えようとする努力は、みんなを楽しい毎日へと導きました。

 「考えたこともなかろう。宇宙の最果て、暗く凍える場所に追いやられ、闇に潜んで生きてきた我々を!」
 「あんたは宇宙のこと、何にもわかってない!」
 「ホント勢いだけだっつーの! 実は想像力ないっつーの!」
 
だったらなおさら、ノットレイダーたちの言い分に惑わされてひかるのイマジネーションの価値を疑うわけにはいきません。
 このイマジネーションはみんなを楽しい毎日へ導き、ひかるにも嬉しいことをたくさんくれました。自分やみんなを幸せにしてくれたという点において、ひかるにとって自分のイマジネーションはかけがえのないものです。
 「私、想像してたんだ。宇宙を。ずっと。ずっと。ずうっと。想像してたんだ。だから大好きなんだ。宇宙のこと、わかってないかもしれない。けど私、大、大、大好きなんだ!」
 
だからこそ、ひかるは自分のイマジネーションを、これからも自分が幸せになれるかたちで使いつづけなければなりません。

 「構わんさ。このような過酷な環境の星に価値はない。消えたところで痛くも痒くもない」
 「ぬくぬくとした環境で生きるお前が知ったようなことを!」
(第10話)
 この論理において、前話言い返せずに終わっていたカッパードの主張への反論が成立します。
 「どんな理由があっても、大好きな宇宙を、星座を、星を、地球を奪うなんて、私、イヤだ!」
 
ひかるは宇宙のことが大好きです。必ずしも現実に実在する宇宙空間だけの話だけではありません。ひかるが心のなかに思い描いた想像上の宇宙も含まれます。ひかるは宇宙の全てを知っているわけではありませんが、むしろ知らないからこそ想像の余地が残る“宇宙”という概念そのものを愛しています。
 惑星ケンネルや惑星クマリンでのことのように、ノットレイダーがそれを壊そうとするのなら、それは充分にひかるが戦う理由となりえます。宇宙の敵はひかるの敵であり、なんといってもひかるのイマジネーションの敵だからです。ノットレイダーに宇宙を壊されては、ひかるは宇宙について自由に想像をふくらませることすらできなくなります。

 なかなかに開き直った暴論っぷりですが、そう悪い考えかたでもないでしょう。
 これは自分の幸せに直結する思想です。これを貫くのなら、もう惑星クマリンのときのように部外者だからと言いよどんでしまうおそれはありません。星々を乗っ取ることさえやめてもらえればカッパードたちを救済する道も開けるでしょう。シンプルな思想ほど運用次第。

 今話はイマジネーションを“進む力”と定義し、これを原動力としてひかるを再起させました。好きなことを好きなままにやりとおせばきっと幸せになれるという、ある種子どもの特権のような発想。
 次話、大人担当のララがまたなんかままならないことに捕らわれるようです。

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『スタートゥインクルプリキュア 第11話感想 いろいろ想像しているときって楽しいでしょ?』へのコメント

  1. 名前:東堂伊豆守 投稿日:2019/04/15(月) 21:29:27 ID:589fc6ab0 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ショートしちゃってた意味不明の機械の正体はともかく、あのパーツが破壊された描写は「4人のイマジネーションが無残に破壊された」象徴なのか、あるいは「イマジネーションが盾となって4人を守ってくれた」という意味だったのか(実際ロケット本体の損傷は免れているんですよね)。
    ところで、「星奈ひかるのイマジネーションが3人の少女達を導く原動力になった」という構図が打ち出されたことで、ひかる/キュアスターの"ジャンヌ・ダルク"化("戦闘のプロ"とは別の意味での戦士化)が進んできた感じがしました。「神のお告げ(一種のイマジネーション)によりフランス軍を率いて戦うようになった」ジャンヌと同じ立ち位置になってきた感じが。
    自信喪失したひかるに3人の仲間が与えた言葉も"親友への激励"というより"自分達を導いてくれた救世主への賛美"といったニュアンスになっていて、更にこの上ひかるによる"救済"がノットレイダー達の苦難まで守備範囲にするとなるとーーーーーーまさか最終決戦で"殉教者"になったりはしないよね……?
    ……ともかく、どうも東堂いづみセンセイはプリキュアシリーズが15年間に渡って守り続けてきた"日常生活圏専守防衛ヒーロー"路線から本格的に訣別するつもりらしいーーーーーー印象がありますね。まあそもそも、これまでのプリキュア達も地球規模・宇宙規模の脅威と戦ってきていた訳で、にもかかわらず「地球のため、みんなのため、それもいいけど忘れちゃいけないことあるんじゃない?」などと言い張るのは"欺瞞""偽善"ではないのか?という疑念を制作者自身が拭えなくなってきたのかもしれません。
    更に話は変わって……、遼じいは「サザンクロスに導かれて新天地に向かったいにしえの旅人達の中にも少なからず"raider"がいた」という事実を意識した上でひかるにサザンクロスの話をしていたんでしょうか……?今話でノットレイダー達もまた「自然の恵み豊かな星でのぬくぬくとした暮らし」というイマジネーションを支えにここまで懸命に生きてきた、と呈示された訳ですが……はたして。

  2. 名前:疲ぃ 投稿日:2019/04/18(木) 22:54:23 ID:589fc6ab0 返信

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     リボンの中身はほら、居住スペースが増えた分メカの設置スペースをどこかに移さないといけなかったので・・・。
     演出意図としては“みんなの大切なものを自分のせいで壊してしまった”とひかるが自分を追い詰めてしまっている表現だと思いますよ。一旦つくったものを視聴者がどう受け取るのかについてはこちらの自由に委ねられているでしょうが。

     ジャンヌ・ダルクは戦士というより象徴という認識です。彼女は剣を持つでも指揮をするでもなく、旗手を担うことを好んでいたと聞きますし。実質的に軍を運営していたのは彼女を神輿にしていた貴族(職業軍人)たちです。処刑されることになったのも彼女自身が原因というより周辺の政治的事情に巻き込まれたものなので、本人の資質とは関係ないんじゃないですかね。
     ひかるの場合は周りに求められて先導するようになったのではなく、彼女自身がまず先に立っていたところに周りが集っていったかたちなので、そもそもジャンヌ・ダルクとは状況が逆だと思います。