
いつでも私を――、私たちを呼んで。どこにだって飛んでいって、何でも話を聞いて、見つかるまで一緒に探すから。

「メロロンのともだち」
大きな出来事
メインキャラクター:メロロン
目標
友達が欲しい。
課題
現状、メロロンにとって友達と呼べる人はプリルンだけだ。周りには他にうたなどもいるが、友達と呼べる関係になれているとは思わない。この状況下で、プリルンが他の子たちとどんどん仲よくなって、もしメロロンから離れて行ってしまったとしたら、メロロンはいよいよひとりぼっちになってしまう。
メロロンだって本当はうたたちと友達になりたかった。でも、そのためにはどうすればいいのかがわからない。
解決
自分もかつては友達をつくるのが苦手だったのだというななが共感してくれた。ななは自分から一歩踏み出す勇気によって、友達をつくれるようになったのだという。メロロンもそうしてみたいと思えるようになった。
ただし、メロロンの“一番大事なもの”を封印するハートキラリロックによってメロロンは閉じこめられ、今話では実行に至らなかった。
バトル
司書のお姉さんを素体とした本棚型クラヤミンダー。
苦戦
普段メロロンはプリルンと一緒に変身しているが、この場にいるのはメロロンとななだけだった。
勝利
ななに勇気をもらって、メロロンは初めての単独変身を試み、成功させた。
2人ではさすがに戦力不足だったが、間もなく他の3人も合流した。特にプリルンはメロロンが単独変身しているのを見て、自分でもそれに挑戦してみせた。
ピックアップ
一番うしろのキミ

キュアウインクと同じく髪を片側だけお団子にしている。お母さんが推しと同じ髪型に揃えてくれたんだろう。ファッションは自己表現の一環だ。自分はどういう人間なのか、どういう人間になりたいのかという思いを服や髪型に込める。
「一歩踏みだす win win ウインク」。不安そうながらもちゃんと自分で手を挙げて、しかもその勇気が実を結ぶことができて、隣にいるお母さんも嬉しそうだ。
図書館の本

管理バーコードはあるのに分類ラベルがない。これでは(管理システムにアクセスできる職員ならともかく)利用者にはどこに本を戻したらいいのかわからない。
たまに利用者に自分で棚に戻させず、読み終わった本は司書や職員が集めて棚に戻すシステムの図書館があるが、その発展形だろうか?(※ たぶんヤボなツッコミ)
アラベスク

小学生が読んでいることを考慮するなら、おそらくブルグミュラーが書いた『25の練習曲』No.2の「アラベスク」のことだと思われる。
右手で軽やかな分散和音を正確に弾き、左手では5指がそれぞれに跳ねるようなスタッカートを求められる。また、わずか1分程度の短い曲のなかに3部構成のストーリーがあるため、表現力を磨くこともできる。
部下をやめさせないための本

みんな手遅れになってから学びはじめるんだ。
「相手の声で聞き上手になる! 奇跡のマネージング」。本選びだけは適切かもしれない。
単独変身

オモチャとしても単独変身用のプリキュアリボンが(キラキライトの付属品として)販売されている。ただしデザインは劇中のものと異なる。2人変身用と見分けがつかなきゃいけないから仕方ないね。
変身バンク自体はほぼ2人変身バージョンからの使いまわし。見比べてみるとよくぞここまで違和感なく編集できるものだと感心する。ただ、テンポの関係で一部のシークエンスが前後している箇所もある。そこにまた編集の腕前が感じられて(ry
メロロン(第17話時点)のキャラクターレポート修正
ハートキラリロックに封印したメロロンの「一番大事なもの」そっちだったの!?
してやられました。うたとの関わりかたからして最終的に自分で友達をつくる流れに進んでいくものだとは予想していましたが、まさかあの時点でメロロンがプリルンとの関係以上に重く考えていたとまでは想像していませんでした。
そう考えるとあのときの「内緒メロ」(第17話)カッコよすぎでしょ。ちゃんとした自分だけの夢を持っていて、恋心の延長線上ではなくあくまで善意でプリルンに譲ったってことじゃん!
せっかくなので(面白いので)、以前書いた分析シートを修正します。
なお、元のシートから変更がない部分は一部省略しています。
A【最終的に目指すことになる理想】(B+C+a1+a2)
「え。メロロンの大事なものも封印するプリ? メロロンは何を封印するプリ?」
「・・・内緒メロ。さあ、ねえたま。鍵をかけるメロ!」(第17話 / プリルン,メロロン)
自分自身の願いにはフタをして、アイドルプリキュアの助けになりたいプリルンのために身を捧げる。
【修正】メロロンのプリルンに対する独占欲は、本来は友達をつくれるようになる学びの場を守るためのものでした。ただ、状況の目まぐるしい変化に振りまわされて、メロロン自身がまた臆病になってしまっただけで。
ハートキラリロックが封印した、メロロンにとって一番大事なものとは、プリルンを見習って自分を変えたいと願う意志でした。プリルンの一番でありたいという思いはそれを成し遂げるために必要な前提条件です。
だから「プリルンに友達との絆を守らせなければならない」という願いを叶えるためなら、「友達をつくりたい」という自分の夢を諦めてもいいと思える構図が成立してしまったわけです。まず前提が守られなければ、どのみちメロロンの夢は叶いませんから。
a1【尊敬もしくは軽蔑している人】(b1+b2+c1+c2)
「何してるプリ? こっちのほうがあったかいプリ! メロロンのリボン、取れそうプリ。結んであげるプリ!」(第12話 /プリルン)
【修正】自分が諦めていたことをあっさりやってのけた、プリルンを尊敬している。
【修正】プリルンは別に、メロロンを気づかって外に連れ出してくれたわけではありません。単に自分がメロロンと遊びたかったから、自分が楽しい思いをしたかったから、日陰からメロロンを引っぱり出してくれたんです。
その自然体な友達づくりが、メロロンにとってはなおさらまぶしく思えました。
a2【自分の好きなところ】(b3+b4+c3+c4)
「メロロン、ねえたまの願いを叶えられるメロ。これは伝説のハートキラリロックメロ。ふたりの願いを叶えてくれるメロ」
「・・・これでキュアアイドルを守れるプリ? すごいプリ!」(第17話 / メロロン)
ハートキラリロックを持って生まれてきたところ。
B【絶対に諦められないもの】(b1+b2+b3+b4)

【修正】「やっぱりメロロンはねえたまと一緒がいいメロ。お願いメロ。メロロンもねえたまのところに行かせてメロ」(第12話 / メロロン)
【修正】プリルンを見習って、自分も友達をつくれるようになりたい。
【修正】メロロンはプリルンに出会い、友達と一緒にいられる喜びを噛みしめました。プリルンみたいになりたいと思いました。ところがチョッキリ団の襲撃により、メロロンは自分を変える努力を始める前に、周りの妖精たちとも、お手本とするべきプリルンとも分断されてしまったのです。
メロロンは自分を変えたいと思うからこそ、その原点であるプリルンの隣に固執します。
b1【誰の役に立ちたいか】
「ねえたま、どこか行くのメロ? なんで何も言ってくれないメロ? メロロン、ねえたまの気持ちが知りたいメロ!」(第16話)
【修正】自分に変わりたいと思えるきっかけをくれた、憧れのプリルン。
【修正】メロロンがプリルンを慕うようになったきっかけは、彼女が多少強引にでも自分を陽の当たる世界に連れ出してくれたことです。
メロロンはもともと、自ら引きこもりつつも本心では寂しがっていました。そのねじれた心の扉をこじ開け、最初の友達になってくれたのがプリルンです。あのときメロロンは、こんな自分でも変われるかもしれないという光明をプリルンに見出したんですね。
b2【誰に支えられているか】
「メロロンはとってもさびしがり屋さんプリ! なのに、知らないところでひとりぼっちでいるプリ。――だから。だから、プリルンが傍にいたいプリ!」(第12話 / プリルン)
いつもひとりでいた自分の本心を見抜き、一緒にいてくれるプリルン。
b3【嬉しかった想い出】
「無事じゃないメロ! すぐにメロロンもみんなみたいに――。プリルン?」 「大丈夫プリ。ふたりでいれば怖くないプリ。どんなことがあってもメロロンはプリルンが守るプリ。プリルンはメロロンのお姉さんになるプリ!」(第15話 / メロロン)
自ら孤独を選んだ自分をプリルンは陽の光の下に連れ出してくれた。
b4【傷ついた記憶】
「プリルンもメロロンと一緒プリ。プリルンはアイドルプリキュアにハートをズキューンと撃ち抜かれたプリ!」(第15話 / プリルン)
プリルンの心がアイドルプリキュアに独占されていることを実感した。
C【努力する理由】(c1+c2+c3+c4)
「あなたのぬくもり。今も、あのときも、私を強くしてくれるのはあなた――。だから大丈夫メロ。ねえたまと一緒にいると、メロロンがんばれるメロ!」(第17話)
【修正】プリルンと一緒にいれば、こんな自分でも変われる気がするから。
【修正】メロロンの最大の弱点は自己評価の低さです。友達がいないことに苦しんで、友達をつくれるようになりたいと願っていたのに、自分なんかじゃできっこないと諦めていました。
その不可能を可能に変えたのはメロロンではなく、プリルンです。だからこそメロロンはどんな苦難のなかでもプリルンと一緒にいられたら一歩踏みだす勇気を持てるんです。彼女が自分を変えるために一番必要だったものは、その勇気でした。
プリルンと一緒にいる権利さえ守ることができれば自分はいくらでも強くあれるのだと、メロロンは考えています。
c1【みんなに広めたい思い】(b2+b3)
「暗い暗い氷を溶かしたのは暖かなあなた。すくって口にすれば、あなたの胸で甘くほどける――」(第15話 / メロロン)
プリルンへの感謝の思いはポエムになって自然と外にあふれ出す。
c2【許せないと思うこと】(b1+b4)
「メロロンはあなたたちにライバル宣言するメロ! ねえたまと一番の仲よしはメロロンメロ! わかったメロ!?」(第12話 / メロロン)
プリルンを自分以外の誰かに奪われてしまうこと。
【修正】プリルンはステキなねえたまです。みんながプリルンの魅力に気づいちゃっても、それはしかたがないことです。ただし、独占はしたいと思います。
だって、他の人たちはプリルンがいなくても友達をつくることができるかもしれないけど、メロロンにはまだプリルンが必要だからです。もしお手本であるプリルンと離れてしまっては、メロロンはどうすれば自分を変えることができるのかわからなくなってしまいます。
c3【感性が鋭くはたらく対象】(b1+b3)
「しょうがないメロ。ヘアアレンジならやらせてあげてもいいメロ」
「・・・任せろ!」(第15話 / メロロン,うた)
自分を本気で気づかってくれている人の優しさ。
c4【自分でやりたいこと】(b2+b4)
「分かれたふたつの命。夢に見たあなたの面影。運命の糸は動きだし、ふたつはまたひとつになる――。早く会いたいメロ。ねえたま」(第12話 / メロロン)
いつもプリルンの一番近くにいるのは自分でありたい。
わからず屋会議
「それでは始めましょう。“プリルンのわからず屋”会議です。――『ねえたまのわからず屋メロ!』という言葉にはメロロンの思いが詰まっていると思うんです。その言葉の本当の意味を探れば、メロロンの気持ちがわかるはずです」
急にアニメ感想ブログみたいなこと言いだすじゃん。
“わからず屋”と“欲ばり屋”の違いにこだわるところとか、過去の言動に立ち返ってその人個人の価値観を考察しだすあたりなんて、まるっきり私みたいなメンドクサイオタクが普段やっているアプローチそのまんまじゃん。「国語の授業で誰でも習うやつ」ともいう。
なお、現実の人間の言葉選びはもっとずっといいかげんというか、プロの脚本家がひとつひとつ時間をかけて推敲しているフィクションのセリフと違って、割とみんなその場その場のライブ感だけで話していることが多いです。このアプローチで他人の気持ちを推し測ろうとするのはあんまりオススメしません。適切な語彙、毎回パッと出てくるとは限らないですしね。
プリルンくらい大雑把に考えるほうがむしろ正解率高いと思います。私も(わざと言質を取って嫌がらせするとき以外)やらないようにしています。
さておき、せっかくですから私も感想ブログらしい考察をしてみましょうか。
「メロロン。どうしてあんなこと――。どうして――。友達――。むぐむぐ。おいしいプリ!」

この日、珍しくメロロンはプリルンの言葉を封殺していました。
いつもなら心底楽しそうにプリルンを餌付けして感想を聞きたがるところなのに、今日はムスッとした顔で、プリルンが何も言えなくなるよう矢継ぎ早にタコさんウインナーを口へ放り込んでいました。よっぽど聞きたくない言葉だったようです。
そりゃあまあ、面と向かって「私はあなたたちの友達じゃない」だなんていうからには、ただごとじゃないのはわかりますけどね。それにしてもメロロンは何に怒っているんでしょうか?
プリルンのように正面から聞きに行っても心の壁を張られるだけなので、ここは彼女の言葉以外のところから汲み取ってあげる必要があります。
「♪ メロロン おててをつないで 友達になろう」
「・・・急に何メロ。なんでそんなこと言うのメロ? 言ったはずメロ。メロロンは友達じゃないメロ」

これも当然警戒。険しい顔をしています。
「それじゃあ、今から友達になってください。――ごめんね。私、ちゃんと言えてなかった。メロロンと出会って、楽しかった毎日がもっと楽しくなったんだ。メロロンがキュアキッスになってくれて、すっごく心強かった。一緒にいられてうれしいんだ」

ところが、意外にもこちらは照れ顔。どうもうたたちと友達になるのが嫌だというのではなさそうです。
「私もです! メロロン。友達になってください」
「うん。私ともお友達になってほしい」

ここもまんざらじゃなさそう。
「プリー! メロロン。5人は一緒プリ。みんなお友達プリ!」

機嫌が悪くなるのはここ。またしてもプリルンのセリフ。
メロロンの視点から見ると、ここでプリルンがうたたちのいるほうに移動して4人で微笑みかけています。プリルンを取られたとでも思ったんでしょうか?
「そんなの無理メロ。メロロンにはねえたまだけメロ。ねえたまの――、わからず屋メロ!」

泣き顔。
泣くんですね。怒るんじゃなくて。
でもまあ、以上ふりかえってみても、やっぱり今までどおりプリルンを取られるのが嫌なんだって解釈でも意味が通ってしまいます。
実際、わからず屋会議を主催したこころも新しい発見を見つけることはできませんでした。
わからず屋会議、空振り?
いいえ。このなかにひとりだけ、メロロンの本心にたどりついた人がいます。
「・・・本当にそうなのかな?」
ななでした。
今回、ななはひとりだけ、他のメンバーが知らない追加情報を握っていました。
「えっと。アイドルプリキュアとズキューンキッスは仲よし?」
「質問ありがとうね。うん。みんな仲良しだよ。ね?」
Pretty Holicの対決イベント。・・・意外と長々やってるなこのプロモーション。このときななは内気な女の子に寄り添うため、ひとりだけ客席側に下りてステージを見上げていました。
そのとき、見えたのです。いつもの仏頂面とは違う、何か悩みを抱えていそうな複雑な表情を浮かべていた子の顔が。

「・・・キッス?」
どう見ても友達扱いされたことそのものが気に入らない顔ではありませんでした。
怒っているというより、むしろ悲しそうでした。辛そうでした。
そんな顔をしていた子が、そのあと楽屋に戻ってくるなり言うわけですよ。「私はあなたたちの友達じゃない」って。
不思議な話ですね。
友達になるには
「わからず屋」と言うからには、メロロンは何かプリルンが言うことを聞いてくれなかったことを不満に思っているわけです。おそらくは過去に何回も。
それは何かといえば、そりゃまあ当然、メロロンひとりのものでいてくれなかったことでしょうね。
じゃあ、メロロンが飛び出していったのってやっぱりそれが原因?
考えれば考えるほどそっちが結論っぽく見える手がかりばかり集まっていきます。
2つを除いて。
ひとつ。うたたちに「友達になろう」と言われたとき、意外に嬉しそうな顔をしていたこと。
ひとつ。トークショーで全員口々に「みんな仲よし」と言いあっていたとき、怒るのではなく悲しそうにしていたこと。
で、この2つが今回特にメロロンらしくないように見える部分なんですよね。
少し考えかたを変えてみましょう。
もしかして、いうほどプリルンは関係ないんじゃないか、と。

だって、今回メロロンの様子がいつもと違っていたの、プリルンに対するリアクションのときじゃなかったじゃん。うたたちを含むみんなに対してだったじゃん。
もしかしたら積もり積もったものが今爆発しただけなのかもしれません。でも、それならそれでうたたちに向ける表情が前話までと違っているという疑問点が残ります。もしこちらが正解だったとしても、一旦切り分けて考える必要があるでしょう。
ぶっちゃけ、こころの主張ほど「わからず屋」という言葉にメロロンの思いの核心はこもっていなかったんです。
あれはただ行き場を失った感情が暴発しただけのもの。いわゆる八つ当たりです。これだから文脈から人の感情の機微を解釈しようとするアプローチは恐い。
「それじゃあ、少しお話しようか。小さな女の子のお話。その子はね、小さいころにピアノを始めたの――」

ただし、正しく理解するためのヒントはたしかに文脈のなかにあります。大事なのはひとつの仮説に固執しないこと。視点を広く持って、いくつもの可能性を検討すること。
一旦「わからず屋」問題から視線を外してみれば、今話でメロロンが何を気にしていたかは案外シンプルに見えてきます。
「仲よしだ」と言われることに違和感。むしろ「友達じゃない」と思う。でも、「友達になろう」と言われるのは嬉しい。
「その子はね、小さい頃にピアノを始めたの。弾いていると夢中になれて、すぐにピアノが好きになった。それでピアノ教室に通いはじめたんだけど、一緒になった子たちに話しかける勇気が出なくて、自分から友達をつくることができなかったんだ」
「それって、もしかしてあなたのことメロ?」
「うん。――そんなある日、うたちゃんに出会ったの」

簡単な話ですね。
メロロンは、まだ自分では友達になったという実感がないまま、周りから一方的に友達認定されてしまうことに違和感を持っていただけです。
どうしてそんな変なところに引っかかるのかといったら、つい最近までメロロンにはプリルン以外の友達がいなかったから。
でも、プリルンだって別に「友達になってください」から始めて、陰キャ特有の手続きをいちいち踏んでメロロンの友達になった子じゃありません。むしろ距離感のぶっ壊れたあの陽キャ、初手からグイグイ突っ込んでいって、半ば力尽くでズリズリ洞窟の外に引きずり出していました。
プリルンみたいな友達が好きなら、特にメロロンみたいな子の場合、うたたちのことだって好きになっていいはずです。
だって、楽だから。向こうから勝手に距離を詰めてきてくれて、向こうが勝手に友達認定してくれる。変に気を使う必要なんてなし。こっちは相手が決めた距離感に合わせてつきあえばいいだけ。
幸い、プリルンもうたたちもみんないい子で、向こうのペースに身を委ねていても悪意に晒されることはありません。至れり尽くせりです。
でも。メロロンはそれじゃ嫌だったわけです。
「うたちゃんは私に勇気をくれて、それから、私の毎日は変わっていった。知らない子にも話しかけてみようって思えた。・・・私ひとりじゃ一歩を踏み出せなかった。本当は、ずっとみんなと友達になりたかったのに」

メロロンは自分で友達をつくりたかったんです。
・・・どうしてそんなこと思ったんでしょうね?
プリルンがお姉さんになってくれたのがきっかけなんでしょうか。本当はプリルンも怖い思いをしていて、辛そうにしていたのに、プリルンはメロロンのお姉さんになってくれました。メロロンがひとりで震えていたから。
対等になりたいって、あるいは、いつかプリルン以外と仲よくなるときは対等な友達でありたいって、あのとき思ったのかもしれませんね。
ともかく、自分で友達をつくりたいって気持ちが強いからこそ、自分の知らないところで勝手に友達認定されることには違和感しかないし、友達になろうって言ってもらえるのは嬉しいけれど、それだけだとまだ友達じゃない。せめて、ちゃんと自分のほうからも友達だって言うまでは。――そういうふうに考えるわけですね。
・・・あ。
ひとつ、プリルンの失言が見つかりました。
「メロロン。5人は一緒プリ。みんなお友達プリ!」
それこそ「わからず屋」発言の直前のセリフ。
うたたち3人は「これから友達になろう」って言っていたのに、プリルンだけ「みんな友達だ」って勝手に話を進めちゃってたんですね。これはたしかにわからず屋かもしれない。
ふたりの世界より外にある世界
「大変! 止めなくちゃ」
「でも、メロロンひとりじゃ変身できないメロ」
「大丈夫。私がいるよ!」

メロロン初めての単独変身。
バンクの都合で絵面は単独変身になりましたが、ストーリー的には今回むしろななとのバディです。メロロンがひとりで戦えるようになったというより、プリルン以外の仲間とも背中を預けあえるようになったというニュアンスを強調してバトルが描かれています。
「ウインクバリア! ・・・このままじゃ――!」
「させない!」
「アイドル! キュンキュン!」
「お待たせ」
図書館で、ななはメロロンに「一緒に進もう」と言いました。
なながメロロンに教えた一歩踏みだす勇気はうたから教わったもの。それに、今回はななが教える立場にまわりましたが、本来ななはまだ成長途中。小さなころ勇気のおまじないを教わったはずなのに、つい半年前にはまたコンテストで躓いてしまいました。ななの勇気とて未だ万全ではありません。うたの助けはまだ必要です。もちろん、そのうたもまだまだ未熟なのですが。
「もしも探しているものが見つからないときはいつでも私を――、私たちを呼んで。どこにだって飛んでいって、何でも話を聞いて、見つかるまで一緒に探すから」
絆はうた→なな→メロロンとすでにつながっていて、あとはメロロンが友達として認めてくれるのを待つばかり。
それはもちろん、プリルンにだって同じことが言えるわけで。
「プリルンも一緒プリ! ・・・プリ!? メロロンが変身してるプリ! プリルンも行くプリ!」

プリルンの姿を認めてメロロンの表情が暗くなります。
どうやら単独で変身したことを後ろめたく感じているようです。せっかくふたりの絆を確かめられる大切な変身だったのに、これではまるでメロロンのほうから「プリルンはもう必要ない」と言っているようなものです。
一方、プリルンのほうはそういうことを気にする性格ではありません。メロロンが単独変身しているのを見て、そういうのもできるのかと、さっそく自分でもやってみます。・・・これで、メロロンがプリルンに必要とされる理由がまたひとつ消えました。
でも、ここからがプリルンのズルいところ。
「お姉様・・・」

緊張した面持ちで、メロロンが無事変身を果たしたプリルンに声をかけます。
屈託ない笑顔で言葉を返すプリルン。
「キッス。私はどこにも行かない。どんなときだって、キッスが絶対、大好き!」
ちょうど、今メロロンが抱いていた不安を打ち砕く力強い言葉。
「今までちゃんと言ってなくてごめん! ずっと私の傍にいて、キッス!」
そして、なんか先ほどの失点をちょうど取り返す言葉。
「わからず屋」のときのは言葉選びを間違えて地雷を踏んじゃっただけなので、この言葉がさらっと天然で出てくること自体はおかしくないんですが、それにしてもタイミングがいい。あのわからず屋会議の流れで出した結論が本当にそれでいいんか? うーん、こやつめ。
それも、メロロンの手を引っぱりながら言うんです。
まるで初めて友達になった日のように。暗い洞窟のなかから陽の光の下へ連れ出してくれたあの日のように。まるで、あの日からずっとそう思っていたんだよと背中で訴えかけるように。
なんでこの子はこんなに演出がうまいのか。


メロロンが本当は自分で友達をつくりたい子なんだといっても、とはいえ根っからの引きこもり気質。小さなころのななが同じピアノ教室の子に声をかけるだけでも相当な勇気を必要としたように、いきなりまったく新しい友達をつくりに行けるわけではありません。
なんならうたたちに友達宣言できるかどうかすら怪しい。今までが今まででしたしね。
というわけで、メロロンにはやっぱり、まだまだプリルンが必要です。
世界でいちばん安心できる場所。世界でいちばん尊敬できる人。その隣、その陽だまりのなかで、自称・闇は少しずつ光と溶けあっていくのでしょう。

まあ、次話でさっそくプリルンなしで試練に立ち向かわないといけなくなったわけですけどね。プリキュア伝統の“離れていても、離れはしない”メソッドの出番です。



コメント
>ところがブンドル団の襲撃により
チョッキリ団の襲撃、ですかね。
前にここでコメントした「メロロンの代償=プリルンと結ばれる未来」説は、大真面目に当てるつもりで考えたんですけど……見事、更に一歩先を行かれました。
今思うと、そもそもリボンが灰色になってないことに気づくべきだった気はします。
そういやキュアキッスって、浄化後キラルンリボンを手にするバンクがプリキュアの販促にあるまじき物憂げな表情ですけど、あれも何か思うところあったんでしょうか。
ご指摘ありがとうございます。訂正しました。
あの段階で「一番大事なもの」と言われたら、そりゃプリルンがらみだと予想しますって・・・。少なくとも後払い式なことに気付ける余地があったというのはそれはそう。
いやはや。アラベスクと来ましたか。
私は思わず、1980年代初頭に日本でブレイクした旧西ドイツの女性グループをすぐに思い出してしまいました。本国ドイツではそれほど人気は出なかったようですが、なぜか日本ではブレイクしました~中学生のころ比較的よく聞いていました。
でもまあ、あの平静末期の少年少女らがまさかそのアラベスクの曲を弾くとは思えないしなあと、すぐにそれはないなと思いましたが(汗汗)。
メロロンはさて何をあのハートきらりロックに封印したのか。いろいろ考えながら見ていくに、アマチュアのような「和して勝つ」というより、私のような男社会の特にプロに徹した人間のような「勝って和す」世界との親和性があるようにも見えましたが、どうもそれも違うかな、と。ただ、彼女のあのキャラであれば、後者との親和性は悪くないのかもしれませんが、あまり露骨なことを描くわけにもいかないでしょうから。
そうそう、チョッキリーヌの場合は、あまりにおバカさんですな。ある意味フランシーヌ以上に。~実は人のこと全く言えたものじゃない元学習塾経営者です~苦笑。
あのような状況になってあの手のビジネス本を読んでも、間違いなく効果は薄いです。
私自身も経験しております。
何だかんだで気休めが得られるのが関の山かな~経験者は語る(苦笑)。
これは何も部下をやめさせないとか上司との対応とか謝罪のノウハウとか苦情対応とか、そういう特定のケースに限らず、どの局面から見ても同じです。資金繰りがどうとか、商圏をどう設定するとか(ランチェスターの法則関連は、私にはその後作家としてやっていくうえで役に立っていますが~苦笑)。
日曜朝のプリキュアでビジネス本が描かれるというのは、子どもたちにはどんな印象を与えていくのやら。こういう大人社会をちらりと描いていくことも、個人的には大いにやっていただきたいと思っています。
メロロンの場合は本人以外すでに和しているので、やろうとさえ思えばどちらも容易ではあるんですよね。
メロロンの性格的には勝ったときの勢いで和しにいくのもアリでしょうし、逆に和したことによる勝利で成功体験を得て自分の価値観を固定化してみるのもいいでしょうし。・・・告白かな?