キミとアイドルプリキュア 第30話感想 闇を知る私と、きっと光そのものなキミとのカンケイ。

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「プリキュア! キラッキラン・フォー・ユー!」

大きな出来事

メインキャラクター:メロロン

目標

 プリルンとずっと一緒にいられる未来を諦めない。

課題

 メロロンはプリルンの願いを叶えるため、ハートキラリロックに「プリルンとずっと一緒にいる未来」を捧げていた。このため、うたたちと和解し、彼女たちにプリルンを奪われそうだという恐怖心から解放され、プリルンもうたたちも含めた5人での幸せな未来を思い描けるようになると、その瞬間彼女たちから強制的に引き離されてしまう。

解決

 メロロンは自らの幸せな未来を諦めなかった。
 うたたちは自分と友達になりたいと言ってくれている。ならば、自分が幸せになるための唯一にして最大の障害は自分自身の心。メロロンは自分が諦めさえしなければ、本当はいつだって幸せな未来を掴みに行くことができた。

バトル

 バカップルを素体とした錠前型ダークランダー。

苦戦

 人の心のキラキラを闇に変えるマックランダーやクラヤミンダーと異なり、ダークランダーは人の心の闇をそのまま増幅して生みだされるのだという。

 新たな脅威を前に、プリキュア側はメロロンがハートキラリロックに囚われて全力で戦えない。

勝利

 メロロンが自分の心の闇を克服し、ハートキラリロックの代償から解放された。その結果5人相互の絆が確かなものであると改めて確認され、証として新アイテム・キラッキランリボンバトンを獲得した。

ピックアップ

出生の秘密

 キラキランドの妖精たちは「ビッグキラキラリボンのキラキラをたくさん浴びたキラキラの樹から生まれてくる」(第14話)という設定があったはずだが、どうやらメロロンはビッグキラキラリボンから直接生まれてきたようだ。

 メロロンがハートキラリロックを携えて生まれてきた特別な子だから出生も特別だったのか、それとも単に製作スタッフがノリと勢いでこういう画を描いちゃったのかは正直なんともいえない。
 ただひとつ言えることは、プリキュアの場合、セリフで語っていない設定は今後重要情報として扱われることがまず無いという傾向だけだ。

バカップル

 第15話でもハートキラリロックのおまじないをやっていたふたり。
 あれから4ヶ月近く毎週同じことをしていたらしい。週末デートが毎回同じ場所とか、そりゃ飽きるだろ。ただでさえ結構恥ずかしい儀式なのに。

 第15話では女性側リードでおまじないをしていたはずだが、今回ノリ気なのは男性側。
 たぶん、儀式にかこつけてお互いの気持ちを告白しあえるところに味を占めちゃったんだろうなあ。この男、派手なファッションの割に案外照れ屋なのかもしれない。そういえば「永遠(とわ)に」(第15話)なんていう気取ったワードセンスをしていたし、実はアニオタだったりするんだろうか。オタクって自分が恋愛当事者になると意外にスピリチュアル系を重用するよね。(ド偏見)

 前話であの流れをやっておいて、封印した「一番大事なもの」自体はプリルンがらみで合ってたんかい!

 それにしても、今年も重要イベントのたびに広末悠奈演出が唸る唸る。

「闇」の定義

 一言に「心の闇」と言っても、シリーズ(作品テーマ)ごとにそれが意味するものは全く異なります。
 以下、(第27話の感想文でも似たようなことは書きましたが改めて)自分用の備忘録。

 「キラキランドの者は皆、光にあふれ、闇を知りません。闇。それはキラキラを消してしまう暗い気持ち。メロロンは生まれながらにそれらを感じ取り、誰とも分かちあうことなくひとりで抱えて過ごしていました。だからこそ大切なものを失うことの重みも理解できる」

 まず、「闇」とは心のキラキラ(光)の対となる概念であるようです。
 心に闇があるとキラキラが消えてしまう。これが、以前メロロンが語っていた「光と闇は溶けあわない」(第15話)という言葉の真意だったようです。
 その一方で、ザックリーが浄化されたとき「闇が光に――。すごいメロ」(第25話)とも言っていました。つまり当初はメロロンも知らなかっただけで、光にもまた闇を消す力があることがわかります。
 光と闇はお互いに打ち消しあう関係です。

 「自分たちのなかの真っ暗闇をダークイーネにふくらまされティン」(第27話)

 ピカリーネ様はキラキランドの妖精たちが光にあふれ、闇を知らないと言っていますが、その実カッティンとザックリンは心に闇を抱えていました。

 「おいしい木の実見つけティン! 全部ひとり占めっティン!」
 「カッティン。ひとり占めはひどいッポ」

 「ザックリン。似顔絵描いたからあげるタム!」
 「別に要らないリン」
 「ひどいタムー!」(第27話)

 2人は当時、妖精たちの道徳観念に反する行いをしがちで孤立していましたが、別に悪気があってそうしていたわけではありませんでした。
 つまり、行いそのものは結果として闇に類するものでしたが、能動的に光を打ち消そうとする意志があるわけではありませんでした。2人が自覚的に闇らしい行動原理を持つようになったのは、ダークイーネに見出されてチョッキリ団に取りこまれてからのことです。
 ピカリーネ様が「闇を知らない」と言っているのはその言葉どおり、メロロン以外の妖精たちはあくまで闇を認識していないというだけのことであって、妖精たちも闇に類することを行いうることまでは否定していないのでしょう。

 「まぶしい街だね、相変わらず。でも、光のなかにも闇がある」

 この認識はジョギのはなみちタウンに対する評とも矛盾しません。

 「僕の一番大切なもの。それは君に決まってる」
 「わあ! 私も嬉しい! これでずっと一緒です!」
 「ああ。永遠に」
(第15話)

 「さあ、今週もおまじないするぞ!」
 「ジョー君。何度も恋のおまじないするなんて、私のこと信じてないの? 私を不安にさせるジョー君なんて嫌い!」

 お互いを愛しあっていたはずのバカップルであっても、ひとたびボタンをかけ違ってしまうと突然の破綻が起こりうる。
 光と闇はお互いを打ち消しあう性質を持ちながら、ひとつところに共存しあう関係でもあるということです。一個の人の性質が光なのか闇なのかを決めるのは、どちらが優勢かという違いだけ。表向き光だろうと闇だろうと、本来どちらの因子も合わせ持つ。
 表面上まぶしく見えるはなみちタウンや、闇を認識できない妖精たちですら実際には闇を内包しているわけですから、2つの力関係はいつどこでひっくり返ってもおかしくない、危うい関係のうえに保たれていると考えられます。

 では、「光」とは何だったでしょうか?

 「ねえ、アイドルプリキュアって何なの?」
 「キラキラーっと闇を照らすプリ」
 「『キラキラーっと闇を照らす』・・・って、キラッキランランな人ってこと? キラキラして、ランランして、ニコニコーって感じ?」
 「プリ!」(第1話)

 ピカリーネ様によると「光」とは心のキラキラのことらしいので、その定義はうたが言うキラッキランランとそっくり同義です。

 「ありがとうね。うたちゃんが歌ってくれると元気になるよ」

 「うれしいプリ! プリルン、キラッキランランプリ! ・・・あのときもプリ。歌を聞いた人もキラッキランランになってたプリ。うたが歌うと、聞いてる人みーんなキラッキランランプリ!」
 「それが本当ならすっごくうれしいな。私が歌って、聞いた人が笑顔に、キラッキランランになってくれるなんて!」(第1話)

 つまり「光」とはごく単純に、活力に満ちたポジティブな心の状態のことだといえます。

 ならばその対である「闇」はネガティブな心の状態のこと。
 カッティンやザックリンは身勝手なふるまいを仲間の妖精たちに咎められて落ち込み、その結果ダークイーネに見出されることになったので、この解釈はおそらく合っています。

 ただ、この解釈にはひとつ疑問が残ります。
 根本的な話、ネガティブな気持ちだなんて、そんなもん好き好んで抱えていたいと思う人がいるわけないという点です。「誰かを嫌な気持ちにしたい」ならまだわかります。でも、カッティンたちは悪意があってわざと周りに咎められるようなことをしたわけではなく、ダークイーネに見出されたきっかけも自分自身に対するネガティブな感情でしたからね。この部分が意味わかりません。

 その不思議は、劇中で下記のように説明されています。

 「俺は昔からザックリしてて相手の気持ちも考えられない・・・。それで何人も傷つけちまった。この間の、お前に『嫌いだ』って言ったみたいに。こんな自分嫌いだ。俺には世界をクラクラの真っ暗闇にする、チョッキリ団がお似合いだ! 俺にキラキラは似合わないんだよ!」(第25話)

 「カッティー! 今日のライブのためにみんなでがんばってきたの。だからもうやめて、カッティー! たくさんの人が楽しみにしてくれてたのに・・・」
 「自分はなんということをしてしまったのですぞ・・・! 誰か、誰か自分を止めてくれですぞ!!」(第17話)

 チョッキリ団の行動原理はルサンチマンにあると。
 今まさに自分の意志で悪いことをしている自覚があるザックリーはまさしく他人の喜びや楽しみを憎んでいて、しかし他人の心のキラキラを奪ったところで自分自身の心が満たされることはありませんでした。
 ダークイーネに強制的に悪いことをさせられていたカッティーもやっていたこと自体は同じ。ただし心にキラキラを取り戻した結果、自らの行いにむしろ自らが一番傷ついていました。

 チョッキリ団の活動が構成員自身を幸せにすることはありません。
 自身が幸せになるような行いとはつまり、どういうかたちであれ心のキラキラ(光)を生む行いだからです。
 彼らは自身を幸せにしようとせず、不幸ばかりを拡大再生産しようとします。じぶんはもう幸せになれないんだと決めつけ、周りの幸せを呪って、救われない自分の慰みに使っているだけ。

 きわめて不自然で、不毛で、だけど現実に確かに存在する心の動き。
 自分は不幸せだと感じていながら、それを解消しようとは思わない。それが今作における「闇」の定義の核心です。
 「光」が活力に満ちたポジティブな心の状態であるなら、「闇」は自発的に現状を変えようとする活力が失われたネガティブな心の状態。そういうかたちで相互に対称を成しているといえます。

 光と闇が共存しつつも互いに打ち消しあっている奇妙な関係も、これで理解できますね。
 自分を幸せにしようとがんばる健全な意志が光で、そうじゃないものは闇。前向きでいられるかどうかを「光」と「闇」という言葉で表現しているんです。
 人間、常に前向きでいるのも疲れてしまいますから、闇がどんなに不毛だとわかっていても完全に捨て去ることはできません。反対に、普通はネガってばかりいても自分がしんどいだけなので、そのうち自力で立ち直るものでもあります。

 「あの子たちは光。メロロンは闇。交わることはない。だからお友達になんてなれない。ずっとひとりぼっち。寂しいメロ。悲しいメロ。でも、闇のなかならダークイーネ様が一緒にいてくれる。ひとりじゃないメロ」

 「メロロンが一番ねえたまを好きなのに。メロロンにはねえたましかいないのに。許せないメロ。許せないメロ!」

 だから、メロロンの心の闇は自らの現状が不幸だと認めていながら、そのくせ現状維持ばかりを望むのです。本質的ではない救いにすがりつき、何の解決にもならないのに周りに当たり散らそうとするのです。
 メロロンが光に目を向けないように。

ハートキラリロックは邪悪なアイテムなのか?

 「メロロンは特別な子なのです。世界に闇の兆し現れしとき、闇を知る者が伝説のハートキラリロックとともに生まれる。その言い伝えどおりに生まれたのがメロロンです」

 闇色の触手といい、言い伝えの不穏さといい、メロロンがやっと前に進めるようになったタイミングで取り立てに来る性格の悪さといい、おおよそプリキュアの変身アイテムとは思えない邪悪さがにじみ出るハートキラリロックさん。
 でもまあ、アニメってこういうベタベタな「意外な展開」でこそ印象操作を仕掛けてくるものなので、とりあえず一旦(半ば思考実験的に)、雑に疑ってかかってみましょう。

 一番引っかかるのはダークイーネの介入を許したところです。
 同じ闇属性の存在だから親和性があった、と解釈するのが自然なところではあります。

 「闇を知る者よお前を迎えに来た。お前を我らの仲間にしてやろう。世界に闇の兆し現れしとき、闇を知る者が生まれる――。我らはともに生まれ、ともに在る定めなのだ。お前は闇の子だ」

 ダークイーネ本人もメロロンが自分と同属であることにこだわっている様子ですから、なおさらそういう印象を持ちます。

 ただ――。
 作劇としては、なんでわざわざヨゴレ役としてダークイーネを連れてきたんでしょうね? 私はそっちのほうが気になります。
 ハートキラリロックに対する視聴者の印象(といっても主にネットに入り浸るオッサンオバサンが言っていることですが)は第17話の時点ですでに最悪でした。そのうえで前話、わざわざあんな不気味な姿が描写されたんです。だったらメロロンを精神的に追い詰める役目も、そのままハートキラリロックさんにやらせておかしいところなんてないじゃないですか。
 それも、描写上の憎まれ役はメロロンの心の闇です。描写上はダークイーネが直接メロロンを追い詰めるんじゃなくて、わざわざ心の闇を召喚して、心の闇に代弁させています。ダークイーネを登場させた意味、なし! これだったらなおさら、ハートキラリロックがメロロンにトドメを刺そうとしたって設定でもよかったじゃないですか。

 でも、ここをダークイーネの仕業として切り離すと、むしろハートキラリロックがやっていることに一貫性が見えてくるんですよね。

 「そのハートキラリロックを使ってはいけません。それはとても恐ろしいアイテムなのです。願いを叶えるためには、ふたりそれぞれが一番大事にしているものを、ハートキラリロックに封印しなくてはならないのです」
 「封印、メロ?」
 「願いを叶える代わりに一番大事なものを失うということです。いいですね、メロロン。そのハートキラリロックをけっして使ってはいけませんよ」
(第17話)

 ハートキラリロックの道具としての機能は、代償をひとつ支払う代わりに願いをひとつ叶える、というものです。
 ストーリー展開と見た目の描写が悪辣すぎて印象はすこぶる悪いですが、この部分はちゃんとフェアに動作しています。

 プリルンはキュアアイドルを守りたいという願いを叶えるため、うたとの想い出を封印することとなり、結果、うたと出会ってからの記憶を全て失いました。
 メロロンはプリルンの願いを叶えてあげたいという願いを叶えるため、プリルンとずっと一緒にいられる未来を封印し、結果、その願いが成就しそうになった時点でプリルンたちから引き離されました。
 代償が先払いか後払いかの違いはありますが、プリルンの封印すべきものが“想い出”というすでに持っているものだった一方、メロロンのものは“未来”というその時点ではまだ手に入れていないものだったので、徴収のタイミングがズレることはむしろ合理的で納得できる話です。

 また、この2つの代償は(メチャクチャ心をかき乱したあとで)最終的にプリルンとメロロンに返還されています。それも、プリキュアへの変身能力(=「キュアアイドルを守りたい」という叶えられた願い)はそのまま残されたままで。
 ハートキラリロックが邪悪なアイテムだとしたらここが不思議。ハートキラリロックさんに得がありません。
 まあ、苦しんでいる人を見て愉悦に浸りたかっただけの可能性もありますが、今作のテーマ(人と人とがつながることのお互いにとっての価値)の対立軸としては噛み合わない行動原理なので、可能性は低いでしょう。
 もしダークイーネに連なる闇の眷属だったとしたらなおのこと不思議。プリキュアを増やしているので、ダークイーネの野望の妨害にしかなっていません。

 プリルンやメロロンとは最初に示した契約条件どおりにフェアな取り引き(むしろ温情つき)をしている一方、ダークイーネに対しては一方的に損害を与えることしかしていないんですよね。

 今回、明確に「闇」の立場からメロロンに干渉したといえるのってダークイーネ(メロロンの闇)が語ったセリフだけなんです。
 逆に考えると、その部分さえダークイーネのせいにしてしまえば、ハートキラリロックは(見た目のマズさ以外)中立で公平な立場だったと見ることができます。封印したものを返還したところまで含めると味方寄りですらある。

 「闇。それはキラキラを消してしまう暗い気持ち。メロロンは生まれながらにそれらを感じ取り、誰とも分かちあうことなくひとりで抱えて過ごしていました。だからこそ大切なものを失うことの重みも理解できる。伝説のハートキラリロックとともに生まれるのもそのためでしょう」

 これだけ聞くと実に真っ当な、善のアイテムであるように聞こえます。光側のピカリーネ様が言っていることなので、ひいき目を差し引いて考えなきゃいけないところではありますが。

 ハートキラリロックは使用者の一番大事なものを一時的に封印し、最終的には返還しています。
 これ、むしろよくあるヒーローの視野を広げる試練なんじゃ? 全て終わった今となってはそう思わなくもありません。

 いやまあ、あんまり素直な解釈じゃないのは重々承知ですけどね。
 私は感想文を書くとき、こんな感じでできるだけたくさんの見かたをしてみるようにしています。(いろいろ検討したうえで最終的にはいずれか偏った立場を選んで書くようにもしていますが)

闇を知る私

 「アイドルプリキュアは、キラキラーっと闇を照らす救世主プリ! ・・・って、キラキランドの女王様が言ってたプリ」(第1話)

 キラキランドの妖精たちはそもそも闇を知らないんだそうです。メロロン以外、闇を感じ取ることもできないんだそうです。
 ・・・普段チョッキリ団の出現を感知しているのはプリルンですが、それはそれ。

 「なぜキラキランドの救世主が“アイドルプリキュア”と呼ばれているのか――。少しだけわかった気がします。この輝きが、いつかキラキランドを救うことにつながるかもしれませんね」(第5話)

 田中が初めて見たうたたちのアイドル活動はきわめて危なっかしいものでした。たまたまクライアントが親切で熱意もある人だったので無事に終わりましたが、いつどこで大きな失敗をしても不思議ではありませんでした。
 でも、それこそクライアントに逆に支えられながら最終的にはいいコマーシャルに仕上げてみせたとき、むしろ田中はアイドルプリキュアのこういうところが世界を救うかもしれないと感じました。

 「闇。それはキラキラを消してしまう暗い気持ち。メロロンは生まれながらにそれらを感じ取り、誰とも分かちあうことなくひとりで抱えて過ごしていました。だからこそ大切なものを失うことの重みも理解できる。伝説のハートキラリロックとともに生まれるのもそのためでしょう」

 メロロンは生まれつき闇を認識することができた特別な妖精なんだそうです。

 そのせいで周りの妖精たちと噛み合わなくて、プリルンと出会うまでひとりで引きこもっていたわけですが。
 彼女の成長を見守ってきた(と思われる)ピカリーネ様は、彼女をこう評します。「だからこそ大切なものを失うことの重みも理解できる」と。どうやって覗いていたのか謎ですが、メロロンがプリルンと一緒にハートキラリロックを使った一部始終もなんか把握していましたね。

 「あなたのぬくもり。今も、あのときも、私を強くしてくれるのはあなた――。だから大丈夫メロ。ねえたまと一緒にいると、メロロンがんばれるメロ!」(第17話)

 キラキランドが襲われたときひとりで怖い思いをしていたメロロン。うたたちのためにがんばらなければならなかったプリルンと違って、あの日恐怖心に耐えてまであちらの世界に行かなければならない理由は薄かったでしょうに、メロロンはがんばりました。
 あるいは、恐怖に打ち勝つための絶対安全な聖域(プリルンの隣)を手に入れられたことが大きいのかもしれません。いずれにせよ、いわれてみればあのときすでにメロロンは闇と戦いはじめていたといえました。案外、キラキランドに言い伝えられていた伝説の救世主とはメロロンのことだったのかもしれません。(『ひろがるスカイ!プリキュア』のエルちゃんとネタ被りしてしまいますが)

 「世界に闇の兆し現れし時、闇を知る者が生まれる。我らはともに生まれ、ともに在る定めなのだ。お前は闇の子だ」

 雑にもほどがある。

 「ともに生まれ」たということは、ダークイーネは「闇の兆し」の立場だということです。それ、同属の可能性だけじゃなくて勇者と魔王の宿命パターンも考えなきゃいけないやつでしょうに。思考を誘導しようとしてんな。

 「あの子たちは光。メロロンは闇。交わることはない。だからお友達になんてなれない。ずっとひとりぼっち。寂しいメロ。悲しいメロ。でも、闇のなかならダークイーネ様が一緒にいてくれる。ひとりじゃないメロ」

 もうひとつおかしなこと。

 ハートキラリロックはメロロンの「プリルンとずっと一緒にいられる未来」を封印し、その履行のためメロロンをひとりぼっちの空間に閉じこめました。
 本来封印したものと関係ないうたたちとの関係までついでみたいに引き離されたのに、どうしてダークイーネとだけは一緒にいられるという話になるんでしょうか。
 「光と闇は溶けあわない」? その前提条件をこの場に適用させようとしているのもあなたよね。何か根拠あって言ってます?

 カッティンやザックリンの身に起きたことを総合すると、つまり「闇」とは心が活力を失った状態のことです。
 自分の身の上を不幸と捉え、それでいて問題を解消しようとも思えない、どこまでもネガティブな気持ち。不幸なのに現状維持を求め、幸せそうにしている他人の足を引っぱることで気を紛らわせているだけの人たち。
 傷の舐めあいなんてできていましたかね、「闇」だったころの彼ら。それで満足できるようならそもそもルサンチマンなんて滾らせないのでは?

 「メロロンが一番ねえたまを好きなのに。メロロンにはねえたましかいないのに。許せないメロ。許せないメロ!」

 ・・・それは本当。
 たしかにメロロンはそういう暗い感情を抱いていたことがあります。
 プリルンひとりに依存していたところでどうせ未来を封じられるだけなのに、それでもプリルンへの依存をやめられませんでした。
 メロロンは闇を知ることができる特別な存在なんだそうです。自分自身の暗い気持ちを自覚し、不用意に他人にぶつけてしまわないようにひとりで生きることを選んでいました。向こうからグイグイ迫ってくる距離感のバグった陽キャと出会うまでは。いざ暗い気持ちを相手にぶつけてしまったとき、それを屁とも思わないマイペースガールがこの世に存在すると知るまでは。

 メロロンは闇を知っています。

 「メロロンが許せないのは――、メロロンメロ! お友達になりたいって言ってくれたのに!もうお友達だって言ってくれたのに! ずっと本当の気持ちを伝えられなかった・・・、メロロンメロ!」

 メロロンは闇を知っています。
 メロロンは闇を知ることができます。

 自分の心のなかにある闇がどういうものか、どうしてそういう思いを抱いてしまうのか。
 その闇の正体を、メロロンは知ることができます。

 「だから、メロロンは絶対にみんなに本当の思いを伝えるメロ! ねえたま。こころ。なな。うた。――メロロンとお友達になってメロ! みんなと一緒にいたいメロ!!」

 たとえ光に満ちたキラキランドに生まれたとしても。プリルンやうたたちみたいな優しい人たちの近くにいたとしても。どんな強い光とともにあっても、闇というものはシミみたいにどこにでも生まれ出てしまう。
 メロロンは闇を知っています。
 どうすれば闇の呪縛から逃れることができるのか、どうすれば闇を光に反転させることができるのか――。闇との向きあいかたを、メロロンはこれまでずっと学んできました。
 きっと光の化身であろうプリルンやうたたちとともに。光しか知らないに違いない彼女たちがしてきたことを通して。

 だから、闇を知るメロロンが帰るべき場所は、光あふれる世界でした。

 「メロロン。おかえりプリ」

 キミはこの世界に唯一の――、2つめの合鍵。

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    コメント

    1. ピンク より:

      >メロロンの出自
      スイプリの響と奏が、メイジャーランドとほぼ無関係な地球人にして『ハートのト音記号』なる特殊なもん持ってるけど、多分普通にお母さんのお腹から産まれてるよね〜的な感じでしょうか(適当)
      そういやプリルンはアイドルハートブローチを持ってましたが、あれも生まれつきだとすれば、察知能力と何らかの関連性があるんですかね。

      とりあえず今持ってる情報だけで
      『ダークイーネは先代・闇を知る妖精。何らかの事情でキラキランドを離れ、ハートキラリロックを怪物化能力に転用し、今に至る』
      という仮説を組み立ててみましたが、今度はどこまで当てられますやら。まあまた何か分かり次第、軌道修正は入ると思ってます。

      • 疲ぃ より:

         プリキュアの設定まわりは整合性より展開への適合性みたいなところがあるので確かなことはいえませんが、それはそれとして展開予想は楽しいですからね。

         私としてはやはり“闇を知る妖精”=魔王に対する勇者的存在とする説を推しますね。普通の妖精が心の闇を認識できないなら、そういうものを積極的に生みだす存在に対して無抵抗すぎますから。運命の女神的な存在(ビッグキラキラリボン?)が対策を用意していても、私は納得できます。
         運命に反して闇に共鳴してしまう勇者が現れるのもまた、よくある話ではありますが。

    2. 与方藤士朗 より:

      メロロンは言うならばキラキラント(独語読みです)のミュータントというにふさわしい宿命を持って生まれてきたように思われました。

      光だけを知っている者にとって、闇はあってもその概念はない。それは一見幸せにも思えるが、実のところおめでたい見立てでしかない。そりゃあ、光と闇が溶け合わない=相互不干渉 であれば、闇を知らなくても飯食って寝ていれば日も経つでしょうが、それではそのバランスが崩壊した時、もしくは崩壊した時、さあ、どうなるか。
      闇を知る者でなければ、その時勢に対応できない。
      メロロンは、そのようなときのために生まれてきたのであろうかと。

      実のところこの私も、メロロンの持っているような要素を持っていることを改めて自覚させてくれたことに、この回には感謝しています。

      それから、ハートきらりロックですが、何か封印しろというのは、要は欲ドオシイ要求を全部聞いてやるなんてことはないことと、もし何かを求めるなら何かを犠牲にしてでもやっていく気があるのかということを常に利用者に説いている存在であるかと。
      何だかんだで、その苦難を乗り越えたら新たな状況を切り開かせてやっているところを見ると~プリルンにせよメロロンにせよ、かのアベックにせよ~、悪魔なんてことはなさそうですね。
      目的達成のために悪魔とでも平気で手を結ぶような大物や狂人が利用しようとすれば何の物語もなく話が進んでおしまいになるかというと、どうかな。
      インド独立の志士の一人・チャンドラ・ボース(インドの留学生の人に私、似ていると言われたことがあります~苦笑)なんかが使ったら、いろいろな意味ですごいことになりそうです(汗汗~あまり人のこと言えそうにないや、私も)。

      • 疲ぃ より:

         実際闇のほうから能動的に干渉してきていますし、大昔からメロロンみたいな存在を生む仕組みがあるってことを考えてみても、無抵抗のままではカフェオレ不可避ってことでしょうからねえ。

         力をくれる代わりに対価を要求するっていうのは、現実に喩えてみれば武器商人みたいなものですから、もしハートキラリロックが第三勢力ならああいう拝金主義的なムーブにもおかしいところはないんですけどね。
         ハートキラリロック、思いっきりキラキランド側の出自ですけど。しかも封印したものを最終的に返却していますけど。そこ考えるとやっぱり、ねえ。

        >目的達成のために悪魔とでも平気で手を結ぶような大物や狂人が利用
        いわゆる先物取引ってやつですね。大局観や覚悟を金(=力)に変えられる人は有能だと思います。(個人の思想はさておいて)

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