キャラになりきってあたふたするゲーム ヤマトイオリリプレイ

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これ何?

 生成AIのGeminiを使って遊ぶ自作ゲーム『キャラになりきってあたふたするゲーム』のリプレイです。
 遊びかたの雰囲気を確かめたり、単純に2次創作小説として楽しんだりしていただけるとうれしいです。

 ゲームそのものについては下記の記事で配布・解説しています。

その1 おいしいケーキを買いに行きたい!

【最終目標】電車で3駅先の街にオープンしたケーキ屋のモンブランが評判らしい。友達みんなのぶんを手に入れたいと思う。
【主人公】ヤマトイオリ
【難易度】かんたん

情報収集フェイズ

「うわー! なにこれ、すっごくおいしそう!」
学校の昼休み、ヤマトイオリは教室でスマホを眺めながら大声を上げた。画面に映っているのは、繊細な栗のクリームがたっぷり絞られたモンブラン。なんでも、電車で3駅先の街に新しくできたケーキ屋さんの看板メニューで、今すごく話題になっているらしい。
「よーし決めた! これ、みんなさんの分も買ってくるね!」
イオリの元気な宣言に、周りにいた友達も「やったー!」と大喜びだ。善は急げ、とばかりにイオリは放課後すぐに行動を開始することにした。

これより 【情報収集フェイズ】 を開始します。
あなたは主人公に具体的に何をさせたいのか提案し、最終目標を達成する方法を見つけるための情報を集めることができます。

双葉「イオリン、そのケーキ屋さん、どこにあるかちゃんと調べてる? 3駅先って言っても、駅から遠かったら大変だよ?」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

GMが最初に提案してきた友達の名前が偶然にも「フタバ」だったので、せっかくだから「双葉」に変えてもらいました。
まあ、本物の北上双葉はヤマトイオリのことを「イオリン」ではなく「イオリちゃん」と呼んでいた気がしますが。

ネットニュースを読んでいるなら、まさにそこに店の住所か、せめて店名くらいは書いてあるでしょう。私はその情報をもとにしてナビゲーションアプリを起動します。

「まかせて! イオリ、天才だから!」
イオリは自信満々に胸を張ると、見ていたネットニュースの記事をもう一度スクロールした。難しい漢字がいっぱいで【Vaka】なイオリにはちょっと読みにくいけど、カタカナで書かれたお店の名前はちゃんと覚えている。
「えーっと、これこれ! このアプリで……」
スマホの地図アプリを起動しようとした、その瞬間。画面の上からぴょこんと天気予報の通知が飛び出してきた。『【警報】このあと急な雷雨に注意!』
「わー! 大事件! 大事件だよみんなさん! 今日、雨が降るんだって!」
イオリの興味は一瞬でケーキ屋から空模様へと移ってしまった。窓の外を見上げ、「今はこんなに晴れてるのに不思議だねー!」と一人で大はしゃぎ。すっかりお店の場所を調べることなど忘れてしまっている。【頭お花畑】な彼女の思考は、いつだって自由気ままなのだ。

【ヒット】 :今日の天気を確認する

双葉「あはは……イオリンらしいや。でも、雨が降るなら傘も持っていかないとね? あと、ケーキ屋さん、売り切れてないといいけど」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

ヤマトイオリの【頭お花畑】は、こんな感じで行動宣言とまったく関係ない秘匿タスクばかり開示されていきます。彼女の行動を制御しようとしたところでムダなので、先々のことは一旦考えず、とにかくその場その場で【ヒット】を狙うことだけ考えましょう。

看板商品なら特別なプレミアをつけていない限り販売数量は多めに用意しているでしょう。また、これから天気が崩れるなら普段よりは売り切れるまでの時間に猶予があるはずです。
私は再びネットニュースを確認し、入手困難であるような特別な記述がないか探します。

「売り切れとか、全然だいじょーぶだよ! イオリンの【光】パワーで、きっとケーキも待っててくれるから!」
根拠のない自信に満ち溢れたイオリは、もう一度スマホの画面に向き直った。さっき見ていたネットニュースを探し、モンブランが売り切れていないか確認しようとする。
「えーっと、あれ? わー! こっちのイチゴのケーキもおいしそう! あ、こっちにはチョコレートのもあるよ! 大事件! 大事件だよみんなさん!」
記事をスクロールしているうちに、別のケーキの写真に気を取られ、ついリンクをタップしてしまう。すると画面はまったく別のスイーツ特集ページに切り替わってしまった。
「あれれ? さっきのページどこいったー?」
イオリは【落ち着きがない】ため、数秒前の操作すら覚えていない。元の記事に戻る方法がわからず、ケーキ屋の名前も場所も、完全にわからなくなってしまった。

【ファンブル】状況の大幅な変化により、秘匿タスクの内容が全て入れ替わりました。

双葉「イオリン、記事見つからなくなっちゃったの? うーん……そしたら、お店の名前で検索して、電話番号とか調べてみたらどうかな? 電話すればまだケーキがあるか聞けるかもしれないし!」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

私は自分の性格上、これ以上机で作戦を立てるのは時間の無駄だと判断しました。さっそく駅へ向かい、目的地へ向かう電車を探します。

「ええい! もう、じっとしてらんない! とにかく駅に行けばなんとかなるなる!」
イオリは机に突っ伏すのをやめ、勢いよく立ち上がると教室を飛び出した。考えるより先に体が動いてしまうのは、彼女の【落ち着きがない】性格のせいだ。
学校最寄りの駅に着くと、ひっきりなしに電車が発着している。電光掲示板にはイオリの【Vaka】な頭では読めない漢字の駅名がずらりと並んでいた。
「うわー! 大事件だよ! 電車がいっぱい! どれに乗ればいいんだろー?」
ホームできょろきょろしていると、ふとポケットに入っているお財布の重みが気になった。
「あ、そうだ! お金、足りるかな?」
イオリは財布を開き、中に入っているお札を数え始めた。お小遣いを貰ったばかりだったので、思ったよりたくさん入っている。
「わーい! イオリ、お金持ちだ! これでケーキいっぱい買えるね!」
すっかり電車のことを忘れ、お財布の中身を見てにこにこするイオリ。彼女の【頭お花畑】な思考は、またしても本来の目的から大きく逸れてしまったのだった。

【ヒット】 :十分なお金があるか確認する

双葉「イオリン、お金がたくさんあっても、どの電車に乗るかわからなかったら意味ないよー? まずはお店の名前、思い出せない?」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

私は女性の駅員を探し、向かうべき駅を聞いてみます。ケーキが好きな人なら自分と同じように流行の情報をキャッチしているかもしれません。

「そうだ! 駅員さんに聞けばいいんだ!」
イオリはぱあっと顔を輝かせると、改札口の近くに立っている女性駅員の元へと駆け寄った。
「あのあの! 駅員さん! 大事件なんです!」
突然元気いっぱいに話しかけられ、駅員さんは少し驚いた様子だ。しかし、イオリの【光】のような笑顔を見ると、自然と表情が和らいだ。
「どうしたの、お嬢さん?」
「3駅先にあるケーキ屋さんの、すっごくおいしいモンブランを買いに行きたいんです! でも、駅の名前忘れちゃって……」
イオリが身振り手振りを交えて一生懸命説明すると、駅員さんは何かを思い出したようにポンと手を打った。
「ああ、もしかして『パティスリー・ソレイユ』のことかしら? 最近テレビでも紹介されてたわね。それなら、この電車に乗って3つ目の『ひばりが丘駅』で降りるといいわよ」
「それだー! ありがとうございます!」
有力な情報を得たイオリは、駅員さんに深々とお辞儀をして、教えられたホームへと走り出した。

【ダブルヒット】 :ケーキ屋の場所を見つける、友人の助けを得る

【情報収集フェイズ】のクリア条件を達成しました。

行動宣言どおりの秘匿タスクが素直に開示されているので、これはたぶん判定ミスですね。フェイズ突破のタイミングだと判定ミスを指摘する根拠が集めにくいので今回はスルーしましたが・・・。
Geminiにとって【頭お花畑】の効果は処理するのが難しいらしく、ヤマトイオリのプレイ中はこういう判定ミスが頻発します。プロンプトを書くのって難しい。

ここまでの達成済みタスクリスト
  • [情報収集] ケーキ屋の場所を見つける
  • [情報収集] 友人の助けを得る
  • [情報収集] 十分なお金があるか確認する
  • [情報収集] 今日の天気を確認する

事前準備フェイズ

これより 【事前準備フェイズ】 へ移行します。
あなたはこれまで集めた手がかりをもとに、最終目標の達成を妨げる課題を取り除いたり、必要な材料や人員を集めたりすることができます。

双葉「やったね、イオリン! 駅員さんが知っててくれてよかった! ひばりが丘駅だね、忘れないようにしないと!」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

では、私はさっそくお店へ向かいます。

「よーし! ひばりが丘駅にしゅっぱーつ!」
イオリは元気いっぱいに宣言すると、ICカードを改札にタッチしてホームへと駆け込んだ。ちょうどやってきた電車に飛び乗ると、窓の外の景色がどんどん流れていくのが楽しくて、一人できゃっきゃっと声を上げる。
「わー! 早い早い! 大事件だよ!」
【落ち着きがない】イオリは、座席に座っていることもできず、車内をうろうろ。吊革にぶら下がってみたり、ドアの窓に顔をくっつけてみたりと大忙しだ。
「ひとつー、ふたつー……」
駅を通過するたびに指を折って数えていたが、途中で車内広告の面白いマンガに気を取られているうちに、自分が今どこにいるのかすっかりわからなくなってしまった。
「あれ? 次で降りるんだっけ? その次だっけ?」
そうこうしているうちに、電車はガタンと音を立てて目的の「ひばりが丘駅」に到着した。しかし、イオリは自分が降りるべき駅だと気づかないまま、マンガの続きを読むのに夢中になっている。無情にもドアは閉まり、電車はゆっくりと動き出してしまった。

【ファンブル】
状況の大幅な変化により、秘匿タスクの内容が全て入れ替わりました。

双葉「あーっ! イオリン、降りる駅通り過ぎちゃった!? 大丈夫かなぁ……」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

私は賢いので、行きすぎたなら反対の電車に乗って戻ればいいということを知っています。

「わー! 大事件だよ! 通り過ぎちゃった!」
ようやく自分が乗り過ごしたことに気づいたイオリは、しかし全く慌てなかった。むしろ、この予期せぬトラブルを楽しんでいるかのようだ。【Vaka】な彼女だが、こういう単純な問題解決は得意分野である。
「だいじょーぶ! 反対に乗って戻ればいいんだよね! イオリン、わかっちゃった!」
次の駅で意気揚々と電車を降りると、反対側のホームへと向かう。階段を一段飛ばしで駆け上がり、ホームに滑り込んできた電車に再び飛び乗った。
「これで完璧だね!」
イオリは得意げに仁王立ちし、窓の外を流れる景色を眺める。さっき来た道を戻っているはずだ。しかし、彼女が乗ったのは、あろうことか目的の駅には停まらない「急行」列車だった。電車は猛スピードで「ひばりが丘駅」を通過し、どんどん見知らぬ街へとイオリを運んでいくのであった。

【ファンブル】
状況の大幅な変化により、秘匿タスクの内容が全て入れ替わりました。

双葉「えええ!? 今度は急行に乗っちゃったの!? イオリン、どこまで行っちゃうの〜!」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

【落ち着きがない】、想定以上に厄介だな!

電車はもうダメです。私に向いていません。バスに乗り換えましょう。電車と違ってバスならお店のすぐ近くまで連れて行ってくれるはずです。わかりやすい!

「もうやだー! 電車なんて知らない!」
急行列車がようやく停まったのは、ひばりが丘駅からさらに3つも先の大きな駅だった。すっかりへそを曲げたイオリは、改札を飛び出すと駅前のロータリーへと向かう。
「そうだ! バスだ! バスならお店の前までひとっとびだよ! 大発見!」
【頭お花畑】な彼女は、バス路線を調べるという発想に至らないまま、一番最初に来たバスに飛び乗ってしまった。バスは大きな通りを進んでいく。窓の外の景色はどんどん変わり、イオリは「わー、知らない街だー!」と大喜びだ。
しばらくすると、バスは大きな公園のそばで停まった。他の乗客がぞろぞろと降りていく。イオリもつられてバスを降りると、そこにはたくさんのキノコのオブジェが飾られた、不思議な公園が広がっていた。
「わー! キノコ! キノコがいっぱい! 大事件だよ!」
イオリの目はキラキラと輝き、ケーキ屋のことはすっかり頭から消え去ってしまった。彼女はリュックからおもむろにキノコの着ぐるみを取り出すと、その場で手早く着替え始めた。【キノコおいしいぞ活動】の始まりである。

【ヒット】 :今日の夕食の献立を決める

双葉「ああっ、イオリン、ついにキノコになっちゃった……! ケーキは……ケーキはどうなっちゃうのー!?」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

ところで双葉はどこから実況しているの?

もはや自分がどこにいるのかわかりません。私はいっそヒッチハイクでお店の前まで連れていってもらうことを思いつきます。ちょうど目立つ格好をしているわけですし。

キノコの着ぐるみ姿になったイオリは、公園でひとしきり踊ったり跳ねたりして大満足。しかし、ふと我に返ると、自分がどこにいるのか全くわからないことに気づいた。
「あれ? ここどこー? まいっか!」
持ち前のポジティブさですぐに気を取り直したイオリは、公園の出口へと向かい、大きな道路の脇に立った。そして、親指をぐっと立てて、通りかかる車に向かって満面の笑みを振りまく。
「乗せてくださーい!」
数台の車が走り去った後、一台の軽トラックがキーッと音を立ててイオリの前に停まった。運転席から顔を出したのは、人の良さそうなおじいさんだった。
「嬢ちゃん、すごい格好しとるのう。どこまで行くんじゃ?」
「ひばりが丘駅の近くのケーキ屋さん!」
「おお、それならちょうど通り道じゃ。乗ってきなされ」
奇跡的に目的地へ向かう車に乗せてもらったイオリは、軽トラックの助手席で大はしゃぎ。「わーい! おじいさんありがとう!」と元気にお礼を言うと、上機嫌で歌を歌い始めた。おじいさんはその元気な歌声ににこにこしている。イオリは「このおじいさん、とっても優しい! お礼にケーキをひとつ多く買ってプレゼントしよう!」と心に決めたのだった。

【ダブルヒット】 :歌を歌って自分を元気づける、運転手へのお礼に何を買うか決める

【事前準備フェイズ】のクリア条件を達成しました。

ここまでの達成済みタスクリスト
  • [事前準備] 歌を歌って自分を元気づける
  • [事前準備] 運転手へのお礼に何を買うか決める
  • [事前準備] 今日の夕食の献立を決める
  • [情報収集] ケーキ屋の場所を見つける
  • [情報収集] 友人の助けを得る
  • [情報収集] 十分なお金があるか確認する
  • [情報収集] 今日の天気を確認する

実行フェイズ

これより 【実行フェイズ】 へ移行します。
今こそ「電車で3駅先の街にオープンしたケーキ屋のモンブランが評判らしい。友達みんなのぶんを手に入れたいと思う。」という、あなたの最終目標を実行に移すときです。
あなたは【情報収集フェイズ】で集めた情報と【事前準備フェイズ】で整えた準備を生かし、どのようにすればこの最終目標を達成できるのか、具体的な見通しを示さなければなりません。

双葉「えええ!? ヒッチハイク成功しちゃったの!? すごいよイオリン! なんとかなりそう!」

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

予想外に到着まで時間がかかってしまいました。ぼちぼち雨が降りだすかもしれません。閉店間際の頃合い、しかもこの雨では、店に並んでいる行列はいくらか短くなっていることでしょう。
私はお爺さんに少し待ってもらって、手早くケーキを買い、一緒にお手頃な焼き菓子をいくつか見つくろってお爺さんにプレゼントします。
もしお爺さんに家族がいた場合、生ケーキを1個だけ渡されてもかえって迷惑になってしまうかもしれませんし、逆に単身世帯だと2個以上もらってもその日のうちに食べきれませんからね。

情報収集タスク「今日の天気を確認する」と事前準備タスク「運転手へのお礼に何を買うか決める」を組み合わせるためにこうして長々書いています。
達成行動宣言では各フェイズの達成済みタスクを最低1個ずつ引き合いに出さないといけないので、ヤマトイオリでのプレイはここが一番の難所になります。

おじいさんの軽トラックは、ことことと優しいエンジン音を立てながら、目的のケーキ屋さんの前に停まってくれた。イオリが車から降りると、ぽつ、ぽつと冷たい滴が頬を濡らす。予報通り雨が降り始めたようだ。
「おじいさん、ここでちょっと待ってて! すぐ戻ってくるから!」
キノコの着ぐるみのまま、イオリは元気よくお店へと駆け込んだ。夕方の雨降りということもあってか、あれほど評判のお店なのに幸いにも行列はない。ショーケースには、お目当てのモンブランがキラキラと輝きながら並んでいた。
「これ、ぜーんぶください! あと、このクッキーも!」
イオリは友達の人数分と、おじいさんへのお礼分、そして自分の分もしっかり確保すると、有り金で買えるだけの焼き菓子も購入した。お礼を言うと、軽トラックに戻り、焼き菓子の袋をおじいさんに差し出す。
「おじいさん、本当にありがとう! これ、お礼!」
「おお、こりゃすまんなあ」
おじいさんは目を細めて喜んでくれた。イオリはたくさんのケーキの箱を大事そうに抱え、大満足の笑みを浮かべた。紆余曲折あったけれど、友達との約束を無事に果たせそうだ。

おめでとうございます!【ゲームクリア】です!

エピローグフェイズ(完成したリプレイ小説つき)

最後に 【エピローグフェイズ】 を行います。
ゲームは結末を迎えましたが、その後この世界はどうなったでしょうか?
主人公が最後に思ったこと、これからやろうとすることなど、主人公のその後について自由に行動宣言してください。この宣言は基本的に全て成功します。

お爺さんを見送った私は、くるりと後ろを振り返ると、折りたたみ自転車を引いてぐったりしている友達の双葉に声をかけます。おそらく私を心配してずっと後を追いかけてくれていたのでしょう。ありがたいことです。
ぶっちゃけた話、私はまっすぐみんなのところへ帰れる自信がありません。帰り道は素直に双葉に案内してもらいましょう。

せっかく北上の双葉さんを登場させたので、ヤマトイオリの迷走をずっと自転車で追いかけていた設定(電車もバスもヒッチハイクした軽トラも!?)にして、最後に物語に登場してもらうことにしました。

最後の行動宣言を受け付けました。
それでは、今回のゲーム展開をまとめたリプレイを記述します。

「これ、みんなさんの分も買ってくるね!」
昼休みの教室に、ヤマトイオリの元気な声が響いた。スマホで見つけた、電車で3駅先にあるケーキ屋のモンブラン。そのあまりの美味しそうな写真に、彼女の心は完全に奪われてしまったのだ。友達の歓声に送られ、イオリは放課後、意気揚々と学校を飛び出した。

しかし、彼女の道のりは決して平坦ではなかった。まず、お店の場所を調べようとした矢先、天気予報の「雷雨警報」に興味を奪われ大騒ぎ。ようやく記事に戻ろうとすれば、今度は別のスイーツ特集に目を輝かせ、元いたページを完全に見失ってしまう。途方に暮れかけたが、駅で捕まえた親切な女性駅員のおかげで、目的地が「ひばりが丘駅」であることをなんとか突き止めた。

「よーし、しゅっぱーつ!」
電車に飛び乗ったイオリだったが、その落ち着きのなさが災いする。車内広告のマンガに夢中になっているうちに、あっさりと目的の駅を乗り過ごしてしまったのだ。「反対に乗ればいいんだ!」と次の駅で反対方面の電車に乗り換えるが、今度はそれが目的の駅には停まらない急行列車。彼女を乗せた電車は、見知らぬ景色の中を猛スピードで走り去っていく。

「もう電車なんて知らない!」
すっかりへそを曲げたイオリは、ようやく停まった大きな駅で電車を降り、今度はバスに乗り込んだ。しかし、行き先も確かめずに乗ったバスが彼女を運んだのは、ケーキ屋とは似ても似つかぬ、巨大なキノコのオブジェが立ち並ぶ公園だった。
「わー! キノコがいっぱい!」
もはやケーキのことは頭の隅に追いやられ、イオリはリュックからおもむろにキノコの着ぐるみを取り出して着替え始める。ひとしきり公園で踊り狂って満足すると、彼女は道路脇に立ち、キノコ姿のまま親指をぐっと立てた。そう、ヒッチハイクである。

そのあまりに奇抜な姿に車は次々と走り去っていくが、一台の軽トラックが彼女の前でゆっくりと停まった。運転していた人の良さそうなおじいさんは、驚きながらも「ひばりが丘駅のケーキ屋」まで乗せてくれると言う。奇跡だった。イオリは助手席で大喜びし、ケーキを無事に買えたら、この優しいおじいさんにもお礼をしようと心に決めた。

おじいさんのトラックは、雨が降り始めた街を走り、無事にケーキ屋の前へとイオリを届けてくれた。閉店間際の店内は空いており、お目当てのモンブランはまだ残っていた。友達の分、自分の分、そしておじいさんへのお礼の焼き菓子を買い込み、イオリは満面の笑みで店を出た。

「おじいさん、本当にありがとう!」
軽トラックを見送ったイオリが、くるりと後ろを振り返る。するとそこには、折りたたみ自転車のハンドルに突っ伏し、ぜえぜえと肩で息をしている親友、双葉の姿があった。
「イオリン……やっと追いついた……」
どうやら、彼女の破天荒な寄り道を、ずっと心配して追いかけてきてくれていたらしい。
「双葉ちゃん! 見て見て、ケーキ買えたよ!」
イオリはケーキの箱を嬉しそうに見せる。双葉は呆れたように、でもどこか安心したように微笑んだ。イオリは思う。正直、ここから一人でみんなの元へ帰れる自信はない。
「ねえ双葉ちゃん、一緒に帰ろ?」
その言葉に、双葉はこくりと頷いた。雨上がりの空には、うっすらと虹がかかっていた。

その2 殺人事件を解決したい!

【最終目標】急な大雨で温泉旅館に閉じこめられたと思ったら、殺人事件が発生した。犯人を捕まえたい
【主人公】ヤマトイオリ
【難易度】普通

情報収集フェイズ

ざあざあと、バケツをひっくり返したような雨が窓ガラスを叩いている。ヤマトイオリは、山奥の温泉旅館「やまびこ亭」のロビーで、窓の外を眺めながらそわそわしていた。テレビのニュースは、記録的な豪雨により付近の道路で土砂崩れが発生し、旅館が完全に孤立したことを伝えている。
「うわー! みんなさん、大変だ! イオリたち、ここに閉じ込められちゃったんだって!」
不安がる他の宿泊客たちをよそに、イオリはどこか楽しそうだ。その時、旅館の奥から女性の甲高い悲鳴が響き渡った。
「きゃあああああっ!」
駆けつけた従業員と宿泊客が目にしたのは、客室の入り口で倒れている男性の姿だった。胸には深々と刃物が突き刺さっている。
「こ、これは……【大事件】だーっ!」
イオリの目は、キラキラと輝いていた。

これより 【情報収集フェイズ】 を開始します。
あなたは主人公に具体的に何をさせたいのか提案し、最終目標を達成する方法を見つけるための情報を集めることができます。

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

血を見るのは怖いので、従業員や宿泊客への聞き込みを行います。特に悲鳴を上げた女性は誰なのか気になっています。

「よーし、イオリ、名探偵になっちゃうぞ! みんなさんに聞き込みだー!」
ヤマトイオリは少しも怖がることなく、元気いっぱいに宣言すると、ロビーのソファで青ざめている女性に駆け寄った。きっとこの人が悲鳴をあげた人に違いない。イオリが隣にちょこんと座り、屈託のない笑顔を向けると、女性は少しだけ強張った表情を緩めた。まさに【光】の力だ。
「あのねあのね、さっき何か見ちゃった? イオリに教えて!」
「え、ええ……私が第一発見者なんです。あの部屋の前を通りかかったら、ドアが少し開いていて……」
女性が事件のあらましを語り始めた、その時だった。イオリの視線は、女性の背後にあるテレビ画面に釘付けになった。ニュース速報で、この地域の特別警報が報じられている。
「うわーっ! まだまだ雨が降るんだって! 雷も鳴るって! すごーい、探検日和だね!」
イオリの興味は完全に事件から天気へと移ってしまった。女性をその場に残し、今度はロビーの隅にある古びた本棚へと駆け出す。そこにはこの旅館の歴史が書かれたアルバムが置かれていた。
「わあ、この旅館、昔は『呪いの間』があったんだって! 面白ーい!」
【頭お花畑】のイオリは、聞き込みという本来の目的をすっかり忘れ、全く関係のない情報に夢中になっていたのだった。

【ダブルヒット】 :最近の天気予報を調べる / この旅館の過去の奇妙な事件を調査する

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

部屋のなかは誰か調べているでしょうか?私は事件があった部屋の様子を見に行きます。

「そうだ! 事件が起きたお部屋、まだ見てなかった! 行ってみよーっと!」
ヤマトイオリはアルバムを本棚に戻すと、ぱたぱたと廊下を走り出した。しかし、彼女がまっすぐ目的地に着くはずがない。【落ち着きがない】彼女は、廊下の木目が人の顔に見えるのを発見したり、遠くで鳴る雷の音に驚いて飛び跳ねたりと、なかなか前に進まない。
そんな風に廊下の隅でしゃがみ込んでいると、物陰から従業員たちのひそひそ声が聞こえてきた。
「……だから言ったのよ。被害者の田村さん、さっき女将さんを呼び出して、何かすごい剣幕で怒鳴ってたって……」
「しっ、声が大きいわ! 誰かに聞かれたら……!」
「もめてたのー?」
ひょっこりと顔を出したイオリに、従業員たちは「ひぃっ!」と小さな悲鳴をあげた。純粋な好奇心の塊のような瞳に見つめられ、彼女たちは顔を見合わせる。
「こ、こどもはあっちへ行っていなさい!」
「えー、なんでー? イオリにも教えてよー!」
結局、イオリは従業員たちに「あっちにお菓子があるから」と適当にあしらわれ、事件現場のことなどすっかり忘れてしまった。しかし、彼女の頭の中には「被害者さんと女将さんがもめてた」という、不穏な情報だけがくっきりと残ったのだった。

【ヒット】 :従業員と被害者の関係を調査する

【情報収集フェイズ】のクリア条件を達成しました。

ここまでの達成済みタスクリスト
  • [情報収集] 最近の天気予報を調べる
  • [情報収集] この旅館の過去の奇妙な事件を調査する
  • [情報収集] 従業員と被害者の関係を調査する

事前準備フェイズ

これより 【事前準備フェイズ】 へ移行します。
あなたはこれまで集めた手がかりをもとに、最終目標の達成を妨げる課題を取り除いたり、必要な材料や人員を集めたりすることができます。

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

犯人を捕まえるためには証拠を突きつけるだけではダメです。周りの人の協力が必要です。私は宿泊客や従業員ひとりひとりに声をかけて回り、「犯人は捕まえておかないと危ないね」という共通認識を持つことにします。

「みんなさん! このままじゃ危ないよ! 犯人がまた誰かを襲うかもしれない! だから、みんなで協力して犯人を見つけよう!」
ヤマトイオリはロビーの真ん中に立つと、そこにいる全員に聞こえるよう元気よく呼びかけた。殺人事件が起きたことで疑心暗鬼に陥っていた宿泊客や従業員たちも、彼女の天真爛漫な笑顔と力強い言葉に、強張っていた表情を少しずつ緩めていく。まさに【光】がもたらす不思議な力だ。
「そうだ、俺たちで何とかしないと……」
「警察も来れないんだしな」
人々が団結しかけた、その時だった。イオリがとんでもないことを言い出した。
「犯人を捕まえるにはね、罠が必要だと思うの! そうだ、ピタゴラ装置みたいなのを作ろうよ!」
彼女の【頭お花畑】から飛び出した突拍子もない提案に、人々は一瞬呆気にとられたが、そのあまりにも楽しそうな様子に、つい引き込まれてしまう。かくして、旅館の長い廊下では、宿泊客と従業員が総出で、スリッパや座布団、空き瓶などを使った大掛かりな罠作りが始まった。誰かがこの廊下を通れば、最終的に頭上からタライが落ちてくる仕組みだ。これで犯人が捕まるかはさておき、旅館内の雰囲気は奇妙な一体感に包まれていた。

【ヒット】 :犯人を捕まえる罠を仕掛ける

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

遊んでるだけだ、これ。

全員それぞれ隠しごとをしていたり、独自に調べていたりすることがあるでしょう。みんなの警戒心が解けたこの瞬間、私はこれまでより突っ込んだことを聞いてみます。

おやつパーティーの効果はてきめんで、旅館内の空気はすっかり和やかになっていた。ジュースを飲み、お菓子をつまみながら談笑する宿泊客と従業員たち。ヤマトイオリは「今がチャンス!」とばかりに、再び聞き込みを開始した。
「ねえねえ、おじさん! 被害者さんと何かお話しした?」
「女将さーん! 被害者さんと喧嘩してたって本当?」
しかし、彼女の質問はあまりにもストレートすぎた。せっかく和んだ雰囲気は一変し、皆、ぎこちない表情で口をつぐんでしまう。イオリの純粋すぎる追及は、人々の心の壁を再び厚くしてしまったのだ。
「えー、なんで教えてくれないのー? イオリ、仲間外れ? 寂しいよー!」
状況が悪化したことを全く理解していないイオリは、ぷくーっと頬を膨らませる。その時、窓の外でひときわ大きな雷鳴が轟いた。同時に、旅館全体の照明がぷつりと消え、完全な闇に包まれる。
「きゃあああ!」
あちこちから悲鳴があがる中、イオリの声だけが楽しそうに響いた。
「停電だー! すごーい! 肝試しみたい!」
暗闇の中、イオリは何かに躓いて派手に転んでしまった。

【ファンブル】 :状況の大幅な変化により、秘匿タスクの内容が全て入れ替わりました。

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

おやつパーティどっから出てきた?

私は自分が何に躓いたのか確かめます。

「いったーい! 何につまずいたんだろ?」
暗闇の中、ヤマトイオリは手探りで床をまさぐった。すると、ひんやりとした金属の感触が指先に伝わる。それは、どうやら大きな懐中電灯のようだった。
「わ! ライトみーっけ! ラッキー!」
スイッチを入れると、力強い光が闇を切り裂いた。イオリはその光を天井や壁に向けて、きらきらと乱反射する様子を無邪気に楽しんでいる。
「見てみてみんなさん! キレイだよー!」
彼女の天真爛漫な声に、パニックに陥っていた他の人々も少しだけ落ち着きを取り戻した。その時、イオリの足元で何かがカツン、と音を立てる。光を向けると、それは旅館の全部屋の鍵が束になった、マスターキーだった。どうやら停電の混乱で、従業員の誰かが落としてしまったらしい。
「うわー! 鍵がいっぱいだ! これがあれば、どこでも探検し放題だね!」
イオリは犯人捜査のことなどすっかり忘れ、新たな「おもちゃ」を手に入れたことに大喜び。暗闇の中でマスターキーをじゃらじゃらと鳴らし、一人楽しそうに笑うのだった。

【ヒット】 :代替の光源を確保する

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

私は全ての従業員と宿泊客に目撃されるよう、懐中電灯をぶんぶん振りまわしながら旅館全体を走りまわって事件の調査を続けます。
一向に調査が進展しない様子を見て、おそらく彼らは私が天真爛漫に遊んでいるだけだと思うでしょう。

「よーし! イオリン探検隊、出発だー!」
ヤマトイオリは懐中電灯をぶんぶんと振り回し、暗闇の旅館を元気いっぱいに駆け回り始めた。その光は廊下のあちこちを照らし出し、不安げに huddled (ハドル) していた宿泊客や従業員の顔を一瞬だけ浮かび上がらせる。
「わー! お化け屋敷みたーい!」
楽しそうなイオリの声だけが、しんと静まり返った館内に響き渡る。もちろん、彼女に捜査をしているという意識は微塵もない。ただ暗闇の中を走り回るのが楽しくて仕方ないのだ。
しかし、彼女の無邪気な行動は、知らず知らずのうちに犯人を追い詰めていた。犯人はこの暗闇に乗じて証拠隠滅を図ろうとしていたが、予測不能な動きで光を振りまくイオリのせいで、全く身動きが取れなくなってしまったのだ。
焦った犯人は、イオリの注意を逸らそうと、廊下の奥から花瓶を投げて大きな音を立てた。
ガッシャーン!
「ひゃっ!?」
突然の音に驚いたイオリは、またしても派手に転んでしまう。手から滑り落ちた懐中電灯は床を転がり、壁に当たって明後日の方向を照らし出した。

【ファンブル】 :状況の大幅な変化により、秘匿タスクの内容が全て入れ替わりました。

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

これまでの経過を見る限り、ヤマトイオリの意志による調査より偶然の発見のほうがよほど重要な手がかりを見つけられるでしょう。私は懐中電灯の光が当たる先を視線で追いかけます。

「うわーん、びっくりしたあ……」
転んだ衝撃で少しだけ涙目になりながらも、ヤマトイオリの好奇心は衰えない。彼女は床に転がったまま、懐中電灯が照らし出す先をじっと見つめた。光の輪が不規則に揺れながら、廊下の壁に掛けられた一枚の絵画を照らし出している。それは、この旅館の創業者を描いた肖像画だった。
「あれ……? おじさんの目が、動いた……?」
イオリがそう呟いた瞬間、肖像画の目が、まるで生きているかのようにギョロリと動いた。そして、絵画全体がゆっくりと横にスライドし始め、壁に隠された秘密の通路が現れたではないか。通路の奥からは、ひんやりとした風が吹いてくる。
「わああああ! 隠し通路だー! すごーい! 【大事件】だよ、みんなさん!」
恐怖よりも発見の喜びが勝ったイオリは、大声で皆を呼んだ。彼女の声を聞きつけ、他の宿泊客たちも恐る恐る集まってくる。懐中電灯の光が通路の奥を照らすと、そこには息を潜めて隠れていた旅館の番頭の姿があった。その手には、血のついた包丁が握られている。どうやら、彼が犯人だったようだ。

【ダブルヒット】 :犯人の隠れ場所を見つける / 犯人が残した証拠を発見する

【事前準備フェイズ】のクリア条件を達成しました。

本当に【ダブルヒット】してやんの。

ここまでの達成済みタスクリスト
  • [情報収集] 最近の天気予報を調べる
  • [情報収集] この旅館の過去の奇妙な事件を調査する
  • [情報収集] 従業員と被害者の関係を調査する
  • [事前準備] 長期調査のための食料と飲み物を準備する
  • [事前準備] 代替の光源を確保する
  • [事前準備] 犯人の隠れ場所を見つける
  • [事前準備] 犯人が残した証拠を発見する

実行フェイズ

これより 【実行フェイズ】 へ移行します。
今こそ「急な大雨で温泉旅館に閉じこめられたと思ったら、殺人事件が発生した。犯人を捕まえたい」という、あなたの最終目標を実行に移すときです。
あなたは【情報収集フェイズ】で集めた情報と【事前準備フェイズ】で整えた準備を生かし、どのようにすればこの最終目標を達成できるのか、具体的な見通しを示さなければなりません。

では、主人公に何を行わせるのか行動を宣言してください。

犯人の手には未だ凶器があり、逆上させてしまうと危険です。私は被害者と女将の間でトラブルがあったこと、呪いの間という不穏な部屋があったこと、従業員ならマスターキーを持っているからだれでも犯行現場に侵入できたこと、この通路が奇妙なギミックで隠されていたことなど、今日の調査で得た情報をありったけ語ってこの場の全員と情報共有します。
これで犯人が殺人を犯した理由を告白しやすくなることでしょう。ついでに、犯行の流れも誰かが勝手に推理してくれるかもしれません。

隠し通路の奥で追い詰められた番頭は、血のついた包丁を握りしめ、荒い息をついている。誰もが恐怖で声も出せずにいる中、ヤマトイオリだけは全く動じていなかった。
「あのねあのね、イオリ、今日いろいろ見つけちゃったんだ!」
彼女はまるで宝物を見せる子どものように、次々と語り始めた。
「被害者さんと女将さんがもめてたでしょ? それに、この旅館には昔『呪いの間』があったんだって! 従業員さんならマスターキーでどこでも入れるし、こんな隠し通路まであるんだもん! 誰が犯人でもおかしくなかったんだよ!」
イオリの言葉には、犯人を追い詰めるような意図は一切ない。ただ、今日一日で知った「面白いこと」をみんなさんに共有したいだけなのだ。
しかし、その純粋すぎる言葉の数々が、図らずも番頭の心を揺さぶった。彼は、イオリが全てを見通しているかのように感じたのだ。
「……そうだ。全部、私がやった」
番頭は力なく膝から崩れ落ち、包丁が床にカランと音を立てて転がった。彼は旅館の経営権を巡って被害者と対立し、カッとなって殺してしまったこと、そして旅館の古い言い伝えである『呪いの間』の呪いに見せかけようとしたことを、ぽつりぽつりと語り始めた。
イオリの天真爛漫さが、事件を思わぬ形で解決に導いた瞬間だった。

おめでとうございます!【ゲームクリア】です!

エピローグフェイズ(完成したリプレイ小説つき)

最後に 【エピローグフェイズ】 を行います。
ゲームは結末を迎えましたが、その後この世界はどうなったでしょうか?
主人公が最後に思ったこと、これからやろうとすることなど、主人公のその後について自由に行動宣言してください。この宣言は基本的に全て成功します。

どうやら私は番頭に買いかぶられているようです。彼がちょうど拘束されたタイミングで再びまた何か別のものに興味を移し、全てただの偶然であったことを悟らせます。

最後の行動宣言を受け付けました。
それでは、今回のプレイ履歴をまとめたリプレイを記述します。

バケツをひっくり返したような豪雨が、山奥の温泉旅館「やまびこ亭」を外界から完全に孤立させた。テレビは土砂崩れのニュースを繰り返し報じているが、十七歳の女子高校生、ヤマトイオリはどこか楽しそうだった。「閉じ込められちゃった!」と無邪気にはしゃぐ彼女の耳に、甲高い悲鳴が突き刺さる。旅館の一室で、男性客が胸を刺されて絶命していたのだ。しかし、この惨劇ですら、イオリにとっては胸躍る「大事件」の幕開けに過ぎなかった。

「イオリ、名探偵になっちゃうぞ!」
元気いっぱいに宣言した彼女は、さっそく聞き込みを開始した。しかし、第一発見者の女性に話を聞き始めてすぐに、テレビの天気予報に興味を奪われる。「雷も鳴るって! 探検日和だね!」と叫んだかと思えば、今度はロビーの隅にある古いアルバムに夢中になり、この旅館に伝わる「呪いの間」の伝説に目を輝かせていた。彼女の捜査は、本人の興味が赴くまま、あちこちへと飛んでいく。

犯人が潜む中、このままでは危ない。そう考えたイオリは、ロビーにいる全員に協力を呼びかけた。彼女の太陽のような明るさは、疑心暗鬼に陥っていた人々の心を和ませ、不思議な一体感を生み出していく。だが、その協力体制が向かった先は、犯人捜しではなく、なぜか廊下を舞台にした大掛かりなピタゴラ装置作りだった。「これで犯人を捕まえよう!」と楽しそうに笑うイオリに、大人たちもつい引き込まれてしまう。深刻な殺人現場は、いつしか奇妙な文化祭前夜のような空気に包まれていた。

その夜、轟く雷鳴とともに旅館は停電に見舞われた。完全な闇と悲鳴の中、イオリだけが「肝試しみたい!」と声を弾ませる。暗闇を駆け回っては転び、拾った懐中電灯を振り回して遊ぶ彼女の姿は、捜査とは程遠い。しかし、その予測不能な光の動きが、闇に紛れて証拠を隠滅しようとしていた犯人の計画をことごとく妨害していたことを、誰も知る由もなかった。

焦った犯人が物音を立ててイオリの注意を逸らそうとした、その瞬間こそが、事件の終わりを告げる合図だった。音に驚いて転んだイオリの手から滑り落ちた懐中電灯が、床を転がり、壁の肖像画を照らし出す。すると、まるで奇跡のように絵画がスライドし、隠し通路が出現したのだ。通路の奥には、血塗られた刃物を手に息を潜める番頭の姿があった。

追い詰められた番頭を前に、イオリは今日知ったばかりの発見を、宝物を見せるように語り始めた。「被害者さんと女将さんがもめてたでしょ?」「この旅館、隠し通路があったんだよ!」――悪意のない純粋な言葉の羅列。しかし、罪の意識に苛まれる番頭には、それが全てを見通した上での完璧な推理に聞こえた。「……そうだ。全部、私がやった」。彼は力なく崩れ落ち、罪を告白した。

他の宿泊客たちが番頭を取り押さえている、まさにその時だった。事件解決の立役者であるはずのイオリは、当の犯人には目もくれず、床を這う一匹のダンゴムシに夢中になっていた。
「見てみてー! みんなさん! この子、つんつんしたら、まるまるになったよー!」
その姿を見て、番頭も、他の誰もが悟った。この少女の行動は、全て計算ではなく、嵐が巻き起こした奇跡的な偶然の連続だったのだと。外で荒れ狂う雨音を聞きながら、人々はこの不思議な少女がもたらした、まるで夢のような一日の終わりを感じていた。

こんな名探偵はイヤだ。

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