アクティヴレイド2nd第10話感想 偶像崇拝なんかするもんじゃないね、稲城さん。

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多くの人々の幸福のため、君は公私とも僕にすべてを捧げるしかないんだ。

 うへぁ、気っ持ちわるーい。人の心がわからない独裁者と思いきや、存外男の子らしいロマンチストぶりを暴かれたアダルトチルドレンの物語。
 四面楚歌のなかでボスに言い放った口説き文句には変な笑いが止まりませんでした。考えてみれば、愚直に理想を貫こうとする彼の生き方はいかにも男の子。政治家としての態度は誉められたものではありませんが、ここに来てぐっと人間的魅力を明らかにしてきましたね。
 私は彼のように崇拝する何かを持っている人が大好きです。なにか不変のものを胸に抱いていれば、きっと折れても曲がっても、ずっと自分らしさを保っていられると思うから。愚直で盲目ながら、それでも黒木が稲城への信仰のおかげでまっすぐ育ってこられたように。

凜とした女神

 ボスは本当に聡明な人ですね。稲城という人物をよく理解しています。ひょっとしたら彼以上に彼のことをわかっているのではないでしょうか。稲城がここまで傲慢な人物でなかったら、きっとお互いに良いパートナーになれたでしょうに。

 稲城は彼女を二度求めます。二度とも自分が「何か大きな決断に迫られている」ときに。ボスという女性の美点は、聡明であること、果断であること、それから法律の信奉者であること。きっと彼は、そのなかでもとりわけ3つ目に惹かれたのでしょうね。彼女はこの点で揺るぎません。法学部を首席で卒業し、警視庁のキャリアにあっては若輩者ながらメキメキと頭角を現していった、稲城の知るかぎりの彼女なら。
 「大丈夫。警察官は正義じゃないから。あなたに正義があるのはいい。でも、私たちが守るべきものは法律なの。個人の正義を職場に持ち込んじゃダメよ」 胸を張ってそう言い切る彼女は、法が普遍の正義である限り揺らぐことはないでしょう。
 だから縋りたくなるのです。きっと彼女は大切なことを間違えないから。いつも普遍のルールを胸に携えているから。仮に彼女が間違うなら、それはきっと世の中の方が間違っていると、そう信じることができるから。
 そういう揺るぎない存在を、人は「神」と呼びます。そういうものに縋って、常に流転する世界の流れを凌ごうとします。
 ・・・本当は稲城も「揺るぎない存在」なんですけどね。「稲城くん変わってないなあ」 揺らがないボスが保証するように。「あの人は俺に道を示してくれた人なんです」 黒騎の信仰対象たりえているように。自分のことばかりは、どうにもなかなか信じきれないものです。

 そんな稲城だから、狭いチャペルに呼び出されてダイハチに包囲されたとしても、彼は逃げようとしません。それはきっと彼女が選んだ最良の選択で、自分にとって最良の道だから。彼が自ら求めた答えだから。あとボスが神々しいから。
 女神の託宣は、彼を悪と断じます。法的証拠たりえない細かな状況証拠を積み重ねたあげく、最後は「勘」によって。
 言い逃れはできません。彼にとって彼女の答えは絶対普遍なのですから。
 従って彼は女神の託宣に従って自ら悪としてふるまいます。己の悪徳に胸を張り、正義の鉄槌を正面から退け、誰よりも愛おしく思う女性の本質たる法律を正面切って否定します。彼女が悪と断じたなら、彼は悪になるしかありません。それが彼を彼らしく生かしてきた、彼にとっての信仰なのですから。悪になることこそが彼の正義。
 メンドクサイ言い方ですみません。言うほどややこしい話ではないのですけれど。要するに幼い子どもが大好きな母親に「お前は悪い子だ」と叱られたようなものです。そういえば彼は流砂現象によって早くに家族を亡くしたんでしたね。

 唯一彼が間違っているとしたら、それはボスの信じる法律が不変のものではないということですね。「だけど僕がしたことは法律的にどれほどの罪に問えるかな」 そう彼自身が否定してみせたように。
 彼の信奉する女神は、彼が思うほど普遍ではありません。彼女が揺らがないでいられるための法律は、彼が言うようにときに無力だし、ときに変化します。
 いつか近い将来、具体的にいえばあと2話(3話?)以内に、彼は彼の女神に裏切られるでしょう。ボスだって今は法律信奉から脱却しなければいけない岐路に立たされているのですから。だいたい、今回すでに法律をぶっちぎって「勘」で断罪していますし。
 偶像崇拝なんてするものじゃありませんね。第5話の感想でも書きましたがナマモノなんてもってのほか。人は変わります。あなたが思うほど、誰かは「誰からしく」ありません。

不定なる悪魔

 八条が人格転写によって生きながらえているのは確実でしょうね。ミュトスが今さら彼の私生活を知りたがっているのはそのための布石でしょうか。
 ミュトスに倣って改めて前期から今までの彼を振りかえてみると・・・いやはや、なんともオカマくさいですねこの人。頬に手を当てて「あらあら」みたいなポーズ何回するんだ。相変わらずバードとしての彼は正体を知られた相手にすら女の声で連絡していますし。
 たぶんこの人、すでに一度人格転写を受けているんじゃないですかね。中身は正真正銘の女性。

 問題はその正体が誰かということですが・・・未登場の女性といえばミュトスの母親か妹くらいのもの。困った、どちらもいまいちピンときませんね。物語の顛末は未だ不透明です。
 そして彼は再び人格転写を行っているはずですが、さて、相手はスリ子でしょうか、稲城の秘書でしょうか。あるいはポジション的に胡散臭いまりもかアビゲイルかはたまたLIKOか。(それはないか) 一応確認してみましたが、いずれも八条っぽい仕草は見せていないんですよね。第7話で女性の声が八条に連絡してきているので、少なくとももうひとりはすでにバードが存在していると思うのですが。

 とりあえず、第11話で頬に手を当てた人が八条ということで。
 はるかさんが前々からその仕草たまにやってる? まっさかー・・・。

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