スタートゥインクルプリキュア 第19話感想 私は知っている。人の力には限界があるって知っている。

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残っている? 想像力が――心が、残っている!?

(主観的)あらすじ

 今回プリンセススターカラーペンの反応があったのは惑星レインボー。最近噂をよく耳にする、住民全員が石になったらしい辺境惑星です。
 ひかるたちはその、石像と化した住民たちの姿を実際に目撃しました。彼らの姿には話に聞くのとはわけが違う痛ましさがあるように感じました。
 また、プリンセススターカラーペンは洞窟の奥に、数々の宝物と一緒に隠されていました。ひかるたちには見覚えがある宝物でした。宇宙怪盗・ブルーキャットが集めていた宝物たちです。

 そこにアイワーンがバケニャーンを伴って襲いかかってきます。けれどアイワーンの得意技は人の想像力を悪用したノットリガー生成。住民たちが全員石になっているこの惑星レインボーでは大したことはできないはず。
 さらにそのうえ、バケニャーンがアイワーンのもとから離反しました。バケニャーンの正体はなんとブルーキャット。実は彼女はこの星の出身で、住民たちを石に変えた張本人であるアイワーンの身辺をずっと探っていたのです。
 これでプリキュアは圧倒的有利に立った・・・はずでした。

 破れかぶれになったアイワーンは近場にあった石像にノットリガー生成を試します。すると、なんと成功。このことはひかるたちにふたつの驚きをもたらしました。
 ひとつはもちろん今回の戦いが予想外の苦戦になったこと。そしてもうひとつ、石となった人々に今も想像力が宿っているということは、もしかしたら彼らを元に戻す方法があるかもしれないということ。

 アイワーンを撃退したあと、ひかるたちはこの星の住人たちを元に戻すため協力したいとブルーキャットに申し出ます。
 けれどブルーキャットはひかるの手を取ってはくれませんでした。だって、プリキュア・サザンクロスショットの浄化の力ですら住民を元に戻すことはできなかったんです。
 ブルーキャットはひかるたちの力を信用せず、逆に彼女たちの手からプリンセススターカラーペンとフワを奪って、自分ひとりの力でこの事件を解決することを選ぶのでした。

 今年はまたずいぶんと追加戦士の初変身が早いんですね。通常なら6月末~7月頭が初変身なんですが、次回、もうさっそくキュアコスモがお目見えするようです。(といってもそういえば去年も同じ時期だったんですが)

 ブルーキャットは他人を信じることができない子です。
 こういう考えを持つに至った根本の背景事情は未だ語られていませんが、それも仕方ないなと思わされる描写はこれまでも何度かありました。
 彼女は飛び抜けて優秀です。ひとりでいろんなことができます。そして優秀すぎるがゆえに、周りにいる人は彼女の意図をなかなか酌み取ることができません。ブルーキャットだって誰かの力を借りようとすることはあるのですが、普通の人は彼女の発想力や対応力についていくことができず、大抵の場合まごついてしまいます。
 彼女は連携を求めることはあっても、他人の力をアテにはしていません。うまくいかないことを前提に、常に独力でこなせる次善策を用意しています。それができるだけの実力を彼女は持っています。

 だから、彼女は自分にできることしかできません。

プリキュアの限界

 「私たちも協力する! この星を元に戻すためにがんばる!」
 「ありがとう。――でも、気持ちだけで充分ニャン」

 ブルーキャットはひかるたちの申し出を断りました。
 彼女たちの思いを信用できなかったからではありません。これまでのいくつかの出来事を通して、彼女たちが善良な子たちであることはもう充分にわかっています。この子たちなら本当に心からの思いでこういう申し出をしてくれるでしょう。
 ですが、実力が及んでいません。少なくとも石化した故郷を救うためには。ブルーキャットはそう判断しました。
 「サザンクロスショット――。あれでも、戻せなかった」
 現時点でプリキュアが持つ最大の浄化の力。それを持ってしても石化した人を元に戻すことは叶いませんでした。ならば、彼女たちは役に立ちません。その心根はどんなに信用できようとも、残念ながら能力を信用することができません。

 だからブルーキャットはひかるたちではなく、プリンセススターカラーペンとフワの力に期待することにしました。
 集めればどんな願いでも叶うという力。あのダークネストが欲するほどの力。
 何かを成し遂げるためには、心優しいだけの子どもたちより大きな力の方が頼りになる。

 残念ながら、ひかるたちはすでに何度もブルーキャットの期待を裏切ってきました。

 「あなたのレーダーを使えばプリンセスの力も見つかるし、他のお宝のありかもわかるってわけ。ね。だから協力しましょう」
 「まさか、あなたと一緒に泥棒をしろと?」
(第17話)

 「マトモにやっても勝ち目はないわ。でも、プリキュアに変身すれば勝てるかも」
 「それはダメです! ワルモノではないかたがたをやっつけるわけにはいきません!」
(第17話)

 「プルンス!」
 「・・・え?」
(第17話)

 ドラムスの屋敷でのことです。
 彼女たちは善良ですが、愚鈍でした。ブルーキャットが最善手だと考える提案をいちいち一度では理解してくれませんでした。レーザーの罠のときのように丁寧に説明や交渉をする時間があれば役に立たなくもないのですが、つまり、力を借りるにはいちいち手間を要しました。むしろ足手まといになることすらありました。

 今回もそうでした。

 「あんたらの持つペンの反応を追ってきたらいいもの見っけだっつーの」
 ひかるたちのせいでアイワーンに宝物の隠し場所を知られてしまいました。

 「ノットリガーになるヤツならここにいるっつーの!」
 せっかくプリキュアに有利な状況だったのに、みすみす形勢逆転を許してしまうところでした。

 「『返して』と言われて返す愚か者がどこにいます」
 ひかるの目を見据えてみても挑発してみても何も理解してもらえず、むしろこの空白時間が仇となって自分の正体をアイワーンに知られてしまいました。

 「目を閉じて! ・・・早く!」
 ちょっとした策を使うのにも前回同様に手間を要しました。

 「今よ! ペンを取って!」
 好機を理解するのにもワンテンポ遅れて、片方のプリンセスカラーペンを回収し逃しました。

 ひかるたちが善良だということはわかります。
 プリキュアの力がそれなりに強いことも。
 けれど、彼女たちの実力はブルーキャットの信用を得られるほどではありません。

 「だから会場に入れたんじゃない。オークションをかき回して、盗む隙をつくってもらうためにね」(第15話)
 使えそうなときに一方的に利用するくらいでちょうどいい。

 だったら、協力なんて要らない。

1800/∞

 「人口およそ1800人、全員が石になったってデータにはあったルン。数字ではわかっていたけど・・・」
 話に聞くのと実際に見るのとでは印象が違うことってあります。

 たとえば虹の色。
 日本では虹は7色だとよくいわれます。けれど自分で実際に眺めて、ちゃんと7色全てを自分の目で確認できる人ってどのくらいいるでしょうか?
 海外には虹は5色だとか4色だとか、あるいは日本よりもっと色が多くて9色だとかいわれている様々な文化圏があります。その違いは人種ごとに微妙に異なる眼球の性能に由来するものだという説もあるにはあるのですが・・・はて、どうでしょう。
 日本人でも虹の7色を認識できない人はいます。もちろん7色とも見つけられる人だっているでしょう。けれど、同じ日本人、同じ黄色人種であっても、虹を5色だとか4色だとか、あるいは9色だとかいう人はやっぱりいます。文化の違いや身体の違いどころじゃない、ひとりひとりが違う“個性”というものが、私たちにはたしかに存在します。

 JIS規格の定義としては、人間が光の色として認識できる波長域はおよそ380-750nmと定められています。けれど人によって実際に視認できる幅はある程度前後しますし、それぞれの周波数ごとの色の感じかただって実際にはひとりひとりみんな違います。
 物事のありようを客観的にカッチリ定義することは可能です。けれど、それぞれの主観としてその定義が実際に正しいかというと、そうとは限りません。そして私たちはあらゆる事物を自分の主観を通してしか観測することができません。

 ちょっと余談が長くなりすぎましたが、さて、では私たちが認識できるもののうち、何が正しくて何が間違っているといえるのでしょうか?
 惑星レインボーの総人口はわずか1800人。75億の人口を擁する地球1星だけと比較してすらごくわずかな人口。ちょっとした村レベル。不可解な事件とはいえ、たかだか1800人ぽっちの犠牲と数えるなら宇宙の尺度に比して些細な数です。だから宇宙星空連合に所属する大多数の人たちにとっては日々のニュースの具のひとつでしかありません。
 けれど、これを自分の人生を左右する大事件として考える人たちもまたいるわけです。
 ブルーキャットがそうでした。そして今日からは、ひかるたちにとっても。

 はたしてどちらの認識が正しいのでしょうか?
 たかが1800人。
 あるいは、目の前に広がる凄惨な光景。

 「来てみて初めてわかったルン。いろんな人がいたルン。この星の人たちはデータや数じゃないルン! “たかが”で済ませられるものじゃないルン!」
 今日からのひかるたちにとってはもちろん後者。けれど、昨日までのひかるたちにとっては、あるいはこの光景を知らない大多数の人たちにとっては、あくまで前者こそが正しい認識です。

 私たちは自分が主観で観測した物事しか知りません。

 「この星のヤツらは石になってるっつーの。だからノットリガーにできるヤツいないっつーの」
 だから、いかにデータ上たしかな事実といえど、それはあくまでひとつのものの見かたでしかなくて。
 「ノットリガーになるヤツならここにいるっつーの!」
 たとえばフワをノットリガーにするという発想があれば、目の前の事実は急激に反転します。
 「こうなったらイチかバチかだっつーの!」
 たとえば失敗を承知で試してみれば、意外と予想外のことが起きることだってあります。

 正しいことも、間違っていることも、私たちの目の前に広がる事実というのは変幻自在に流転します。
 私たちが日々観測しているこの世界は、本来、そういうあやふやなものです。

ララのイマジネーション

 「私の星では13歳で大人ルン。だから、ロケットを直してプルンスたちを連れていくっていう、大人の責任があるルン」(第2話)
 羽衣ララは大人です。
 明らかにヘッポコで、子どもっぽくて、いろいろ実力不足で、あざとイエローの系譜であったとしても、少なくとも本人の自己認識のうえでは大人です。
 だから彼女は常に大人であろうと自分を律し、いつも大人として責任あるふるまいを心がけてきました。
 たとえ実際には力及ばず、なかなか思うようにできないことばかりだったとしても。

 だから、彼女は大人です。
 少なくとも彼女自身にとっては。そして彼女のそういうありかたをカッコいいと思う私にとっては。

 これまでの彼女の物語はままならないことばかりでした。
 大人の責任としてフワたちを守ると決めていたのに、プリキュアに変身して最初にフワを守る力を得たのは、見るからに子どもっぽいひかるでした。
 ひかるのわけのわからない発想に振りまわされて、子どもみたいに腹を立ててしまったことも何度もありました。
 「学校に通うならこうあるべきだ」と思っていたやりかたでみんなに迷惑をかけたことを気にして、不本意な学校生活を自分に強いてしまうこともありました。

 ララの「自分は大人である」と自認する世界観は周りのみんなによる評価とのギャップが大きくて、彼女はそのチグハグのなかでなおも大人としてあろうとするために、これまでずっともがきつづけてきました。
 そのおかげで彼女は知っています。
 「・・・『私は私』と言ったけど、違うルン。星奈ひかる。あなたがなれたから、私もプリキュアになれると思ったルン」(第2話)
 「スターは遠く離れた宇宙からフワを呼んだルン。イマジネーションの力で。すごい想像力ルン。スターの想像力のおかげで、私、プリキュアになれたルン!」(第11話)
 必ずしも自分の考えかただけが正しいとは限らないことを。
 自分の他にもいろんな考えかたをする人がいて、そのどれもが安易に毀損されるべきではない輝きを放っていることを。

 ララは知っています。誰かの影響を受けて変わることができる、思いのほか柔軟な自分のありかたを。そしてそれがいかにステキなことなのかを。

 「“たかが”じゃないルン。『惑星レインボーは住民が石化して滅んだ』ってデータにはあったルン。ただ『およそ1800人石化した』って。――でも、違ったルン。来てみて初めてわかったルン。いろんな人がいたルン。この星の人たちはデータや数じゃないルン! “たかが”で済ませられるものじゃないルン!」
 ほんのついさっきまで違う考えかたをしていた自分が、ひとつの光景を目にした瞬間から全然違う考えかたを持つようになった。
 ララにとってはこういうの、日常茶飯事です。ララにとっては自分の信じていたものが覆されることこそ日常です。

 だから彼女はこういうとき、強い。
 「だからなんだっつーの。今はただの石の塊だっつーの!」
 「そんなことないルン! ノットリガーは想像力を塗りつぶすルン。ノットリガーになったってことは――」
 「! 残っている? 想像力が――心が、残っている!?」
 「ルン! みんな戻せるルン!」

 ありえないことが起きたとき、彼女は誰よりも早く、その意味について想像力をはたらかせることができます。

 かつて、ララのように機転を利かせることが得意なプリキュアがいました。
 「そんなことで私たちの心が折れると思ったら大間違いよ! 私たちはあなたの力でトランプ王国に送り込まれた。それはあなたに自由に時空を行き来できる能力がある証拠。鏡なんてなくっても、あなたに元の世界に送り届けてもらえばいいだけの話よ!」(『ドキドキ!プリキュア』第7話)
 相田マナ。
 彼女は幼いころ自分の正義感を振りかざしてイジワルな子たちを正していましたが、ある日、そのことが原因で自分が彼らに嫌われてしまっていたことを知りました。みんなのために正しいことをしているつもりだったのに悪意をぶつけられて深く傷つきました。
 だから、その後の彼女は自分の正しさを押しつけるのではなくみんなのやりたいことを手助けする、とびきりのおせっかい焼きに変わりました。自分は自分の信念を貫くけれど、その一方でちゃんとみんなの話を聞いて、それぞれの役に立てる方法を柔軟に考えるようになりました。
 「親が子どもを助けたいって思うのは当たり前じゃない。そんなのジコチューでも何でもないよ。――だからね、私はレジーナと亜久里ちゃん、アイちゃんをもう一度お父さんと会わせてあげたい。そのためならこの生命が燃え尽きるまで、私は絶対に諦めない! なぜなら私は――私は、みなぎる愛・キュアハートだから!」(『ドキドキ!プリキュア』第48話)
 ララの柔らかな精神は、かつて世界と一組の親子を救った大きな愛によく似ています。

 「私たちも協力する! この星を元に戻すためにがんばる!」
 「ありがとう。――でも、気持ちだけで充分ニャン」

 ブルーキャットはひかるたちプリキュアの持つ力の限界を見定め、それでは惑星レインボーを救うには足りないからと協力を断りました。
 けれど、その判断はブルーキャットという一個人から見たひとつの主観でしかありません。
 その判断は今の彼女にとっては真実かもしれませんが、他の誰かにとっては、あるいは明日のブルーキャットにとっては、もしかしたらそうではないかもしれません。
 正しさは流転します。
 だって、この世界には人の数だけ主観があって、しかもそれぞれのものの見かたがお互いの影響を受けながら刻々と変わっていくんですから。

 だから、ブルーキャット。
 あなたとあなたの周りにいるみんな誰も、きっと限界なんてない。見限る必要なんて、諦める必要なんてない。ひとりで全部を抱えこむ必要なんてない。どうして他人の力を借りることを知っているあなたが、最後にはひとりぼっちにならなきゃならないのか。
 あなたが思っているほど未来の可能性はそんな狭いものじゃないはずです。
 自分の目に見える以外の世界のかたちに目を向けることができたなら、きっと。

 私は自分の解釈が正しいと思って、毎週このブログでこの長ったらしいアニメ感想文を書いています。
 けれどその一方で他の感想ブログを読むのも大好きです。自分で書くのと同じくらい、あちこち読んでまわるのを楽しみにしています。
 私とあなたは違う人間です。これまで生きてきた人生も、培ってきた信念も、好きなものも嫌いなものも、きっと何もかも違う。だから、きっとあなたにはこの感想記事を読んで「ここは共感する」「ここは違うと思う」ってことがたくさんあると思います。
 それってステキなことだなと、私なんかはいつも思っています。

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    コメント

    1. ピンク より:

      信じるとか信じないとかは友達になるところから始める追加キュアのお約束展開ですが、なんとなく見てて心配になっちゃうんですよね。
      自分も大概人嫌いなのに、つくづく勝手なもんです。

      どっちかというと移住者でもなさそうなブルーキャットが他の住人と明らかに異なる系統なことに、生々しい懸念が……。
      「映らなかっただけでそういう見た目のレインボー星人もいる」ってことでお願いしますだー!

      • 疲ぃ より:

         自分にソレを言う資格があるか? という視点を持つのは辞めました。とりあえずこのブログでは。
         そりゃ行動が伴っていた方が説得力も増すというものですが、だからといって誰もが身の丈に合った言葉しか語らないのでは世のなか不幸の再生産を繰り返すだけですし。
         ダメ人間にだってキレイゴトに憧れる気持ちはあるし、できれば子どもたちにはキレイゴトがまかり通る世の中に生きてほしいと願う。

         レインボー星人、2つ耳タイプのケモでしたね。そしてブルーキャットは4つ耳。つまり・・・! (共存している作品も割と多い)

    2. 東堂伊豆守 より:

      公式サイトに掲載されている上坂すみれさんのコメントで「(ブルーキャットには)ひとりで何でも出来てしまう故の孤独さが見えかくれ」すると指摘されてはいるんですが……。
      今話において彼女が星奈ひかる/キュアスター達を遠ざけようとした理由は、むしろ「遵法精神旺盛で、しかも他人への思いやりに富む善良な市民」であるひかる達をこれ以上犯罪(窃盗どころか強盗、詐欺、誘拐まで)の共犯にし続けることに負い目を感じ始めたから、ではないかと思えました。
      15話や17話前半のブルーキャットは躊躇い無くキュアスター達を利用している雰囲気なんですが、17話後半で彼女達の優しさや思いやりを理解し始めた辺りから徐々に利用することを控えだしてきているんですよね。そして、今話ラストでの傍若無人”過ぎる”態度には、敢えてひかる達の反感を買って彼女達の方から(心が)離れていってくれるように仕向けている節がある。
      やっぱりブルーキャットは「石にされた同胞を救う為」とはいえ犯罪に手を染めていることに強烈な罪悪感を感じていて、彼女が自分に過度の孤独を強いたり、特に「自分の抱える苦悩を理解して手を差しのべてくれた人」に敢えて露悪的な振る舞いをして自分から遠ざけようとするのは、「泥にまみれるのは私一人で十分よ」という意識が強いからなのではないか、と思えるんですよね。
      さて……、今話はララ/キュアミルキーが「データからは見えてこない”現実”に直接向き合う」ことの重要さに気付くエピソードでもあるんですが、”上役”から与えられた情報や方針を鵜呑みにせず、自
      分自身の印象や信念を大切にして行動するーーーーーーことに覚醒していく姿は、父(の仕える日本政府)の方針に背いて宇宙人ララやフワ達を守る途を選んだ香久矢まどか/キュアセレーネとも重なる。
      そして、このミルキーやセレーネの覚醒は、「法(を司る権力)が”理不尽”を適切に処置出来ないならば、”理不尽”に対処する為に法を犯すことも辞さず」という考えにつながる可能性を秘めていて、……プリキュア”公務員”コンビが何と”犯罪者”ブルーキャットに”共鳴”し始めているような状況なんですね。「”堅気の衆”にこれ以上は罪を重ねさせたくない」ブルーキャットの思いとは裏腹に。
      そもそも、”宇宙の権力機関”である惑星サマーン政府や宇宙星空連合には「何故ノットレイダーの脅威に全く対処出来ていない(対処する気さえ無さそう)のか?」という(スターパレスの異変に対して非武装の女性調査員一名を派遣しただけ。未加盟星レインボーの災厄には全く対応せず。そのくせ不法入星の取り締まりには厳しい)疑問点がありまして……。まさか1月の最終決戦で「諸悪の根源は無能な宇宙星空連合!敵は星空連合にあり!!」とか言ってプリキュアが謀叛起こすんじゃなかろうね?!

      • 疲ぃ より:

         地球の警察や軍隊もプリキュアがらみだと動かないので・・・。
         でも実際宇宙星空連合が辺境にはノータッチだという不公平感、理不尽さがカッパードたちをノットレイダーにはしらせたっぽい雰囲気も見え隠れしているので悩ましいところですね。

         第17話後半からはむしろひかるたちが積極的に協力を申し出るようになったというのに、今度はブルーキャットの方が一歩引いてしまっているという構図がメンドクサイ。お前は猫か。(猫だ)
         その理由が罪悪感によるものかどうかはさておき、そうやってひとりで背負い込んでしまうところに彼女の病理があるんですよね。
         ひとりがババを引いたら他のみんな幸せ? いやいや、今話で描かれたように人的損害というのは数で数えるものじゃないから。誰かが不幸になったらみんな悲しむ。ひとりの不幸は悲しみとして広く連鎖していって、結局集団全体の不幸として共有されるものだから。ちょうど、ひかるのワクワクするイマジネーションが友達みんなに共有されているのと同じように。

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