超人女子戦士ガリベンガーV 第18話感想 男の子ロマンと女の子メルヘンの食い合わせ。

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生徒役:電脳少女シロ、メリーミルク、もこ田めめめ

宇宙から!?

宇宙から!?

宇宙から!?

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「そいつぁわからねえや!」

 マジメな共演者が多いとふざけだし、破天荒なキャラがウキウキしてるときはサポートにまわる(ときどき翻訳も受け持つ)、フレキシブルなもうすぐ2歳。当初は扱いが難しいバーチャルYouTuber筆頭格と見られていた彼女でしたが、フタを開けてみればこのみごとなバランサーっぷりです。“縁の下の力持ち”ならぬ“縁の上の力持ち”、いやさ“縁を貫通した力持ち”、すなわち電柱少女。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

メリーミルク

「えっと、宇宙から、掘るんだと、思います」

 ちっちゃくてピュアな絵本の住人。11歳。もともと絵本の森のなかでひつじさん(視聴者)たちと遊んでいたのですが、つい先日、不思議なことにその森が電脳世界にあるバーチャル学園とつながりました。ときどき学園の図書室へ絵本を読みに来たり、お姉さんがたをパンで餌づけしたりしています。
 1年以上個人で活動してきたバーチャルYouTuberで、実はアイドル部のメンバーより先輩さんだったりします。配信ではストーリーテリングなオープニング / エンディングムービーが特徴的で、物語づくり、動画、イラスト、パンづくり、服飾デザインなど多岐に渡る興味と技術を持ちあわせているキャラクターです。特に服飾デザインではファッションブランドとコラボレーションした経験があるほど。
 ちなみに、羊モチーフのデザインではありますが、キャラクター設定としてはあくまで人間なんだそうな。儚げな印象に反して意外と力技で乗り切ろうとしたがる傾向もあり。11歳なので仕方ない。ピュアなのです。

もこ田めめめ

「あのねー。・・・あいつなんていうんだっけ。あの、あいつ。あいつだよ。あの地下に潜るあいつだよ」

 新しくもうひとり羊キャラが参入してきたことで、結果的にマトンとしてのイメージ(大きい / 食肉用)がいっそう強固になったイジられマトン。でも本人はそんなことよりかわいい女の子の友達が増えたことの方が重大事件なので、今日も今日とて「えっとねー」。
 とにかくキャラクターとしての面白さ自体が無敵のアドバンテージです。まず「もこ田」ときて、直後「めめめ」ですよ。めめめ。めめめめめ。はいかわいい。はいわかりやすい。見た目もふわもこヘアー&シュッとしたスタイリッシュな衣装、そしてウルトラハイセンスな靴下ときた。さらには天性の(ムダに湿度の高い)人なつっこさ。ピコピコ16bitな音楽センス。そしていちいち調子に乗ってはすぐ悲鳴を上げるテンドン芸。ディズニーやサンリオのごとく、マスコットに求められるもの全部がバランスよくまとまっているキャラクターです。いるだけでもうかわいい。
 最近は大舞台にも慣れてきたようでリラックスした様子が見られるようになってきました。とはいえ、そもそも頭の使いかたが草を食むようにまったり進行な羊なので、急なネタ振りにパニックを起こしているようであれば「靴下ダサいもこ~」などと鉄板ネタを振って落ち着かせてあげましょう。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:東京湾アクアラインの謎を解明せよ!

 今回の授業テーマは東京湾アクアライン。コトウゲ教官のリクエストだそうです。海底自動車道としては世界最長という一大プロジェクト(鉄道を含むと上にユーロトンネルや青函トンネルなどもあります)。自動車道であるぶん鉄道より幅が必要なため、掘削に使用したシールドマシンの外径は現在でも世界最大級だそうです。この満43歳、前々から思っていましたが男の子ロマンを隠そうともしませんね。
 アカイケ先生はユニバーサルデザイン総合研究所という会社の取締役で、テクノロジー系のジャーナリストです。授業内でも「バイオミミクリー」というキーワードが出ていましたが、特にそういった方面の先端技術への造詣が深い人物のようですね。昆虫の生態を新技術に応用した事例を紹介する本をいくつか手がけています。

トピック1:海底トンネルはどこから掘ったの?

 「えっと、宇宙から、掘るんだと、思います」
 メリーミルクが初手から謎メルヘンをかましましたが、意外と当たらずとも遠からず。
 アカイケ先生が「実は人工衛星の技術も関わっている」と反応していましたが、これは測量のことですね。土木の世界では実際の施工と同じくらい測量精度もすごく重要なので(スケールが大きいぶん、ほんの0.1度の角度の狂いでもとてつもない影響が出ます)、たとえば浮島の位置ひとつとっても絶対に正確に測らなければなりません。

 それを抜きにしても、普通に考えて水平に延びるはずのトンネルを鉛直から掘りはじめるというのは、実はナイスな発想でした。実際アクアラインはまず海上から鉛直のトンネルをつくってから、そこを通してシールドマシンを海底へ運んでいます。
 どうして陸上から掘りはじめるのではなく、わざわざ海上からシールドマシンを下ろさないといけないかというと、それはこの機械の進むスピードが私たちの想像するより遅いから。実は1日10mくらいしか掘り進むことができません。意外とそんなものです。ついでにいうと機械の寿命自体も最大5kmを掘るくらいまでしか持ちません。ちなみにスピードが遅い理由は、そもそもこの機械がどんな作業をしているのかを知れば納得できると思います。次のトピックで解説します。
 とにかく、シールドマシン1台あたりそのくらいゆっくりにしか進まないので、この規模の大工事だと複数台を同時に働かせないといつまでたっても終わらないんです。(そして複数台で同時に掘りはじめたトンネルを最終的に1本につなげるので、なおさら事前の測量が重要になります)
 総延長9.5kmのアクアライントンネルの場合は合計8台ものシールドマシンが手分けして掘り進めてやっと完成しました。あの巨大なワンオフの機械を、8台。男の子ロマンですね。

 ちなみに先生の言う、水に触れるリスクというのは、自分なりに調べてみても私では正直よくわかりませんでした。地上付近で浸水する可能性は上から掘っても下から掘っても大して変わらないのでは・・・? どっちかというとジャッキで押し出して進む構造上の都合のような気が。

トピック2:シールドのヒントになった生物は?

 イギリスのマーク・イザムバード・ブルネルがフナクイムシの生態をヒントに発明しました。
 こういう、自然界の生物の生態にヒントを見出す研究をバイオミミクリー、生物模倣工学というそうです。

 ちなみにもこ田めめめが予想したモグラは残念ながら割と盛大に不正解です。
 なにせヤツら、トンネルは掘るけど割としょっちゅう落盤させてるし。むしろ既存のトンネルの壁面からうっかりこんにちはしてきた虫たちを捕食して暮らしているので、トンネルはある程度脆いほうが都合が良いとすらいえます。以下に書くシールド工法の特徴とは真逆の生態をしているんですよね。

 シールド工法の画期的なところは、掘りながらマシンそのもので掘りたての脆い壁面を支え、その間にトンネル壁面の補強工事を進められることです。
 ゲームなんかによく出てくる昔の坑道を見ると、木材の柱や梁でトンネルを補強してあるのがわかります。ですが、それでは柱や梁を敷設しおわるまで落盤の危険が避けられないというのはイメージできるでしょうか。そして、作業員が一番たくさん働いているのって、当然坑道の先っぽなわけですよ。補強工事が行き届いていない剥き出しの土のなか。危ない。
 シールド工法はそういう落盤の危険を減らすために考案されました。

 シールドマシンは、まず、先端についているドリル(え、あれドリルでしょ?)で土を掘ります。
 次に、あのバカでかい金属の円柱で掘った穴を支えます。
 そして支えている間に、マシンの内側でトンネルを丈夫にするための壁を組み立てます。
 壁が組みあがったのを確認したら、またドリルを進めます。
 この繰り返し。こういう慎重なプロセスを経ているから、1日10mくらいしか掘り進められないわけです。

 ブルネルがフナクイムシからアイディアを得たのは、この“トンネルを掘りながら壁をつくる”という発想でした。
 フナクイムシは木材を餌にすると同時に、巣穴にもして住みつきます。ところが木材というのは弾力があるので、一度穴を開けてもすぐにその穴が狭まってしまうのです。(だからまっすぐな釘を打ちつけるだけでも簡単には抜けなくなるわけです) そこで、フナクイムシは貝殻に含まれる石灰分をトンネルにこすりつけて丈夫な壁をつくりながら木材を食べているんだそうです。
 ・・・「そいつぁわからねえや!」

トピック3:どうやってヘドロを掘ったの?

 東京湾の海底にはヘドロが溜まっているので、普通に掘るのではほとんど液体のようにトンネル内へ流れ込んでしまいます。

 「ずばり、ゼラチンか寒天を振りまいて、ぷるっぷるにして掬って食べました!」
 これが東京湾でなければ電脳少女シロの言うようなやり方もあります。
 ゼラチンというか、土壌改良材(セメント)を投入して固めてしまえば、たしかにトンネルを掘ることは可能です。ただ、それで東京湾ほどの広さを横断するには材料がいくらあっても足りませんね。

 シールド工法では掘りながら壁をつくっていくため、掘りはじめてから壁が組みあがるまでのわずかな時間だけトンネルの崩壊を食い止められれば問題なく工事できます。土壌改良材を用いて長期的に地盤を固める必要はありません。
 だから一時的にでも凍らせてしまえば・・・というのが地盤凍結工法です。必要な強度の壁さえ完成できれば、そのあとで氷が溶けてしまっても平気、へっちゃら。
 肝心の凍らせる原理ですが、これはまあ、ざっくりいうと冷蔵庫やクーラーと同じ。というか人類が発明したモノを冷やす方法なんて、今のところこれくらいしかありません。でっかい冷蔵庫から伸ばしたパイプで冷気を伝わせて凍らせたと考えれば大丈夫です。

 「今、水のなかにトンネル掘っちゃおうって。そこまで今技術開発が進んでいるんです」
 極端な話、もし建設中のトンネルや建設機械の重さを支えられるだけの氷を(低コストで)つくる技術さえ確立したなら、海水のド真ん中にだってトンネルを通すことができるわけですよ。
 実際のところ先生の言っていることにどのくらい実現のメドが立っているのか私は知りませんが、とりあえず未来技術感はすごくて、これもまた男の子ロマンですね。

トピック4:海底トンネルからの避難方法は?

 車道の下に緊急避難用の通路があります。

 現代のシールドマシンの大半は丸い穴を掘るつくりになっているのですが、実際に道路として使用するのは円の底部分ではなく、ある程度円の中心に近いところになります。底部分なんて使っても道路幅が狭くなっちゃいますからね。そんなわけで、シールド工法でつくったトンネルの底部分にはどうしてもある程度のデッドスペースができてしまいます。
 特にアクアラインの場合は円径がとても大きいため、一般的なトンネルとは比較にならないくらい大きなデッドスペースが空いてしまうわけです。
 今まで通してきたシールド工法の話題から離れて、なんかいきなり避難経路の話が持ち上がったように見えたのは、それがこのデッドスペースをムダなく活用できるナイスアイディアだったからですね。徒歩で通行したり、統制のとれた緊急車両を走らせるだけなら、広い道路なんて必要ないわけです。

感想

 土木技術は元々関連企業や技術者たちが盛んにネットで情報共有しているので、見つけるのは簡単なのですが、それだけに業界人向けの記事ばかりで何気に難解なのが泣きどころ。用語をひとつひとつ調べながら解釈していくのって楽しいから、それはそれでいいんですけどね。
 (そうやって素人が調べた結果のこの記事の正確さについては・・・知らない)

 「絵本のなかに全部閉じこめちゃったんじゃないですか?」
 この突拍子もないメルヘン、実はメリーミルク自身の誕生秘話そのものです。この手のダークメルヘンが好きな人は今すぐ彼女のアーカイブをひととおり観にいきましょう。なあに、大した量でもない。
 もっとも、私は善いように善いように解釈しちゃったので、そんないうほどダークとも感じられなくなっちゃったのですが。だって・・・今のメリーミルクがあんなに幸せそうだから・・・。

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