スタートゥインクルプリキュア 第41話感想 誰を信じるのも、何を決めるのも、自分自身。

この記事は約12分で読めます。
スポンサーリンク

お父様。私は、自分で自分の未来を決めます!

(主観的)あらすじ

 先日、お父さんに反発してまでララのことを庇ったまどか。お父さんはいつも香久矢家の娘として正しい道へと導いてくれていたのですが、今回に限って、まどかの行動を正しかったとも間違っていたとも言ってくれません。答えをくれないまま、ただ、留学という次の道だけを示してきます。
 まどかは思います。そういえば、私は自分では輝けない子だった。お父さんが言うから観星中に進学し、生徒会長にもなった。えれなが観星中の太陽と呼ばれていたから自分も月と呼んでもらえた。ひかるたちと出会ったからたくさん笑顔になることもできた。・・・けれど、自分には何も無い。

 ガルオウガ襲来。
 ダークネストに身も心も捧げて得たという強大な力を振りかざし、今度もガルオウガはプリキュアを圧倒します。
 力の差は歴然。けれど、まどかは諦めずに抵抗を続けます。フワを守るために。「守る」と自分で決めたことのために。・・・抵抗むなしく、結局は圧倒的な暴力によって吹き飛ばされてしまうのだけれど。

 ガルオウガは言います。「宇宙を乗っ取るためならば、自分など必要ない」と。
 まどかはイヤだと思いました。その言葉は、上の命令に従うだけだとふてくされていたお父さんと重なり、自分では輝けないとうつむいていた自分に重なり、つまり、最近まどかがイヤだなと感じていたこと全部と重なりました。
 ふと顔を上げると、そこにフワがいました。守りたいと思って、だけど力及ばずにいる、フワが。

 これまでまどかはずっと自分の気持ちを抑えてきました。自分で何かを決めるより、お父さんに決めてもらったほうが正しいと思えていたから。
 でも、今はもう、そうしてはいられません。まどかにはやりたいことができました。お父さんに導かれるなかで、そして一方ではひかるたちと出会えたこともあり、まどかはいつの間にか自分のなかに自分だけの意志が育まれていたことを発見したのでした。
 トゥインクルイマジネーション。

 輝く力でガルオウガを打ち倒し、そしてまどかは改めてお父さんに向きあいます。
 これまでと違い、子どもとして導きを求めるのではなく、ひとりの人間として自分の意志を伝えるために。
 かつて子どもだったまどかが大きな成長へ向かって前進した、偉大な第一歩でした。

 お父さんお母さんの言っていることは間違っているのかもしれない、と、あなたが初めて感じたのはいつだったでしょうか?

 私は母に「お前がどんな犯罪を犯したとしても絶対味方でいるからね」と言われたとき、初めて違和感を覚えました。いや、親ならむしろ責任を持って子どもに正しいことを教えろよ、と。自分の母親はこんな卑怯な人間だったのかと、この人の腹から生まれた自分の身までも穢れた心地がしました。
 けれど、そのときは何も言いませんでした。言えませんでした。当時の私はまだ幼くて、どんなにおかしいと感じたことでも、親が言うならきっとそっちの方が本当は正しいんだろう、と、盲目的に信じていたからです。

 私が初めて両親に反抗したのはそれから何年も経ったあと。このとき言われたことよりもずっとしょうもないこと(恥ずかしすぎて具体的に書けない!)がどうしても腹に据えかねて、生まれてはじめて親に向かって声を荒げたものです。
 不思議なものですね。自分が間違っていると感じるときと相手が間違っていると感じるときがある。言えるときと言えないときがある。気付く日と言える日に時間差がある。内容なんて関係なく。

 子どもの不思議。人間の不思議。私の不思議。
 きっと誰もが経験していくことで、きっと誰もがそのときの気持ちを理解できるもの。
 「“誤り”ではないわ。これは“成長”って言うのよ」
 だから、きっと大抵の親は我が子が自分たちに初めて反抗した日のことを喜びます。
 私の母なんてそれはもう盛大に喜んで、職場やら親戚やらご近所さんやらあっちこっちに言いふらしていたものです。ひどい辱めを受けました。

 ちなみに子どものころ違和感を感じていた「お前がどんな犯罪を犯したとしても絶対味方でいるからね」という言葉。今では一周まわってむしろ人間として正しいありかただと思えるようになりました。
 これもまた、成長していく私の不思議。

That’s one small step for [a] man,

 「なぜですか。なぜ、何もおっしゃらないのですか」

 まどかが珍しく、お父さんに「なぜ」を求めます。
 これまではそんなこと気にする必要がありませんでした。だって、お父さんの言うことはいつも正しかったからです。
 ピアノを弾けば入賞できました。弓を引けば優勝できました。観星中に入学すれば豊かな出会いに恵まれ、生徒会に入れば貴重な経験を積むことができました。ひかるたちとも出会うことができました。お父さんの指示に従えばまどかはいつも正しく成長することができ、お父さんの指示に従うたびまどかは多くの人に慕われるようになりました。
 「香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め」(第5話)
 お父さんはいつも、まどかの将来にとって必要な成長をするための道を示してくれていました。

 お父さんの言うことはいつも正しかった。
 だから、教えてほしかったんです。
 「みなさんの言うとおりです。ララは私たちの友人です」(第40話)
 初めてお父さんのいる場で、お父さんの意向に沿わないことを言った自分。
 あのときの自分の行動は、お父さんから見て正しかったのか、それとも誤りだったのか。

 教えてほしかったのに。

 「もういい」
 「もはや異星人のことはいい」

 なのに、お父さんは今回に限って何も教えてくれませんでした。
 まどかが知りたかった“正しさ”を、お父さんは何ひとつ示してくれませんでした。

 揺れます。
 まどかのなかのお父さんに対するイメージが大きく揺さぶられます。
 はたしてこの人の言っていることは本当に全部正しいんだろうか?
 この人の言うことを信じて、本当に私は正しい道を歩めるんだろうか?

 追い打ちをかけるかのように、お父さんがさらに情けない言葉をつづけます。
 「上から調査しろと言われていたからしたまでだ。異星人を排除しろと言われればそうするし、友好関係を築けと言われれば友となろう。言われたとおり動く。私は香久矢のためにずっとそうしてきた」
 そして、今のまどかにとって明らかに嬉しくない言葉も。
 「もうすぐロンドンへ留学だ。――彼女たちともそれで終いだ」

 私は、この人を信じていいんだろうか?

 自分より立派な人の言うことなら素直に信じて間違いない。私たちはついつい、そういうふうに自己判断を放棄して、盲目的に誰かを信じてしまいたくなることがあります。
 けれど実際には、たとえ著名な偉人であろうと間違えるときは間違えるもの。
 「That’s one small step for man, one giant leap for mankind」
 世界で初めて月面着陸に成功した宇宙飛行士・ニール・アームストロングの有名な言葉です。けれどよく見ると、この名言は日本の中学生でも気付けるような初歩的な文法ミスをしていますね。
 「有名な言葉ですね。でも実は、文章としては間違っています。『for man』では“人類”という意味になってしまうので、“ひとりの人間”とするには“ひとり”を意味する『a』を入れなければなりません」
 どんなにすごい人であっても案外そういうもの。間違うときは間違う。失敗するときは失敗する。

 ・・・だとしたらなおのこと、私たちはいったい誰を信じたらいいんでしょうか?

 「“月”というのは正しいのかもしれません。月は太陽の光を受けて輝く。私はどう進むべきか・・・。これまで父の言うとおりに観星中に通い、生徒会長にもなりました。素晴らしい経験をさせていただきました。全て父のおかげです。ですが――、私は、自分の意志では輝けない・・・」

 誰よりもまず、自分自身を信じられないというのに。
 そのうえ他人まで信じられないとなったら、いったい誰を信じて歩めばいいのか。

儚くあやふやなもの

 「じゃあさ、生徒会長のまどか。まどかのパパやママの前でのまどか。ひかるや私たちといるときのまどか。どの自分が一番の笑顔になれるかで、進む道を選べばいいんじゃないかな」

 今のまどかにとってお父さんと同じくらい信じられる人、友達であるえれなが、ひどく曖昧なアドバイスをくれます。
 ちょっぴり自己中心的で、ある意味では刹那的な考えかた。将来を見据えたお父さんの教えとは明らかに異なっていて鵜呑みにすることはできませんが、なんだか聞いていて安心できる、優しさに満ちた言葉でした。

 ただ、“笑顔”と言われてもちょっと困ってしまいます。
 「私の笑顔はみんなのおかげです。えれなが見ているのはみんなと一緒にいるときの笑顔ですから」
 まどかには自分というものがありません。お父さんがいるときはいつもお父さんの教えに従っていて、生徒会にいるときは生徒会に与えられた仕事をこなしていて、そしてひかるたちと一緒にいるときはひかるたちが見つけてくれた楽しいことを一緒に楽しんでいるだけです。いつもどこにいても、まどかが自分で何かをしたということは、きっと一度たりともありませんでした。
 だから困ってしまいます。
 きっとどれも本当の私じゃない。水面に浮かぶ波紋のように、きっとどの私も儚いもの。笑顔の私は誰かのおかげで笑顔になれているだけで、その誰かがいなくなったら私の笑顔も消えてしまうかもしれない。そのくらい儚くて、とてもあやふやなもの。
 えれなはそれでも一番を選べばいいと言ってくれるけれど、そんな儚いものを、自分でも信じられない自分というあやふやなものを信じて、はたしてそれで歩んで大丈夫だろうか。

 まどかの不安を表すかのように、その正反対、確たるものを信じきって揺るがないガルオウガがやって来ます。
 まっすぐに。まっすぐに。彼の目的であるフワを目指してまっすぐに。

 「また『守る』か。では守ってみろ!」
 「ムダなことを。力なき者がどう守る!」
 「わかったか。これがダークネスト様のお力。宇宙を統べる者の力だ!」

 揺るぎません。迷いません。どんなに攻撃しても怯みません。だって彼はまどかと違うのだから。
 少し前までのまどかもこんな感じでした。たくさんの習いごとで結果を出して、生徒会長としてもみんなに慕われ、“観星中の月”と呼ばれるのにふさわしい穏やかなほほえみをいつも絶やすことがありませんでした。優秀でした。まっすぐでした。宇宙人は危険だと聞けば自主的に調査もしました。それが小さな赤ちゃんであってもお父さんに伝えるべきだと迷わず考えられていました。
 「お父さんのことはわかったけど、先輩はどう思ってるんですか? フワが悪い宇宙人だと思う?」(第5話)
 ほんの少し前までは。

 「何が『守る』だ! 自分を捨てる覚悟もない者が! 私はダークネスト様に全てを捧げた! この身も、心も、全てを!」
 信じられるものを持つ人が揺るがず襲いかかってきます。
 恐るべき力。
 恐るべき形相。
 ふと、身近な、そして誰よりも優れていると思っていた人の顔がガルオウガと重なります。
 「香久矢のためにずっとそうしてきた。全て私に任せればいい」
 どういうわけか、これまであの人が見せたなかで一番情けなかった表情を。あの人が初めて弱さを覗かせた瞳の色を。

 「私は自分自身を捨て、この力を手に入れた。宇宙を乗っ取るためならば自分など必要ない」
 だから、でした。
 だから、まどかはあの瞬間、あの人のことを信じきれなくなったのでした。

もし仮に間違っていたとしても

 「なぜ立とうとする。この力には勝てぬ。たったひとりで何ができる」

 まどかはどうしてこれまでお父さんのことを信じられていたんでしょうか?
 「お父さま。・・・ごめんなさい」(第5話)
 それはけっして、彼が常に正しかったからではありませんでした。かつてお父さんの言うことより正しいと思えることがあって、まどかは彼の言うことに背いたことがありました。
 「私も勝ちたいです。父のためにも」(第16話)
 それはけっして、彼が誰より優れているからではありませんでした。むしろ仕事がうまくいっていないお父さんを励ますために、まどかは教わった技の優れていることを示そうとしたことがありました。
 まどかの信じていたお父さんはけっして過ちを犯さないわけじゃなく、揺るがないわけじゃなく、なのに、まどかは彼に教えられたことをずっと大切に信じてきました。

 なぜ立とうとするのか。それは――。
 「お父さまは上に立つために人々の気持ちを知るようにとおっしゃいました。知ったからこそ、私は――フワを、みなさんを、放ってはおけません!」(第5話)
 まどかは、本当は自分の意志に従って行動できる子だからです。
 自分の意志でフワを守ることを決めました。
 自分の意志でお父さんを励ますことを決めました。
 自分の意志で、自分なりの解釈によって、大好きなお父さんの教えを信じつづけることを選びました。

 「何ができるかわかりませんでした。みんなと出会う前は。でも、今は、わかります。私はみんなと一緒に笑顔でいたい。だから、私はもう自分にウソはつかない!」
 自分のしたいこととすべきこと、本当はとっくにわかっていました。まどか自身が認めていなかっただけです。
 正しいばかりじゃないお父さんの姿、本当は最初からわかっていました。まどか自身が目をつぶっていただけです。
 お父さんに見せたい自分の本当の姿、けっして昨日までの自分ではありませんでした。自分を持たず、お父さんの教えに従うだけの情けない自分がずっと嫌いでした。
 ひかるたちと出会って、多様な視点から自分や他人を見つめなおす機会を得て、やっと自分が何者だったのかがわかりました。
 自分がどんなものを、どうして信じたいと思っているのか、やっとわかりました。

 「お父様。私は、自分で自分の未来を決めます!」

 「That’s one small step for man, one giant leap for mankind」
 「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」

 アームストロングの名言には、当時からすでに文法ミスを指摘する声が相次いでいました。
 その声を受け、自分の過ちを認めたうえで、後年の彼は以下のような言葉を残しています。
 「もし仮に間違っていたとしても、歴史が私の言い間違いを許す寛容さを持ち、人類がひとつになる方向に向かって進むことを希望する」
 実際、彼の言葉をあえて文法ミスがある原文のままで解釈しようとする人はいません。「for man」は当たり前のこととして「for a man」と読み換えられ、彼が言葉に込めた本来の意図通りの意味で多くの人に親しまれています。

 誰かの言葉は、それが正しいから従わなければならないのではありません。
 その誰かを好きになるから、その誰かの言葉が好きだから、受け取った人が自分の意志で自分の心に刻むんです。

 「お父様。私はひかるたちと交流を続けます。わかっていないからお父様に従ってきました。ですが、わからないからこそ、自分で見つけたいのです。観星中に行って、みんなを知ることで、私は気付くことができました。これもお父様のおかげです」

 「そんな勝手が通るとでも? 留学はどうする」
 「それもどうするべきなのか、自分で考えます」

 お父さんの言うことが常に正しいとは限りません。
 えれなたちに見えているものが必ずしも正しいとは限りません。
 どんな人も、どんな言葉も、絶対に間違いないなんてことはなくて、だから、私たちは考えるんです。
 自分で。自分の意志で。自分の目で見て。自分でたくさんの人や物と触れあって、心の宇宙を広げながら。
 考えるんです。自分なりに。

 まどかはようやく、大好きなお父さんの教えてくれたことを自分のものにできました。

よろしければ感想を聞かせてください

    記事の長さはどうでしたか?

    文章は読みやすかったですか?

    当てはまるものを選んでください。

    コメント

    1. 東堂伊豆守 より:

      もし、宇宙開発特別捜査局が羽衣ララを異星人として検挙した場合、当然、香久矢まどかをも「異星人に味方する者」として検挙しなければならなくなる。そんなことになれば、香久矢家の名誉は失墜し、まどか自身の経歴にも致命的な汚点が残ってしまう。
      とはいえ、ララだけを検挙し、まどかを放免することは、もはや不可能(目撃者が多すぎるし、何よりまどか自身が羽衣ララを見捨てようとはしないはず)だ。
      では、どうするか?
      ……政府上層部に「異星人はいなかった」と虚偽の報告をし、異星人捜索の打ち切りを宣言すれば良い。そうすれば羽衣ララの身柄の自由を侵す必要はなくなり、さらに香久矢家の”不祥事”をも隠蔽することが出来るではないか!自分の出世のチャンスをフイにしても、香久矢家の名誉と後継者・まどかの将来を温存させられれば、香久矢家の未来に希望は残る!
      全てを、無かったことにすれば良い。何も見なかった、何も起きなかった、何も……。
      ーーーーーーてなことを算段したんでしょうね、冬貴氏。まー、「香久矢家を守る為に職責を放棄し国益をないがしろにした不良公務員」のそしりは免れないんでしょうが、自分が本当に守りたいモノを守る為に法や規則や命令を破ることも辞さない姿勢は、フワ達をどんな手を使ってでも守ると決意した娘・まどかの姿勢と重なるわけで……うん、やっぱり血は争えんな、この親子。ちゃんと父親の”教え”を娘が受け継いでおるわい。
      ただ、冬貴氏の”隠蔽工作”のおかげで、政府が何故「異星人も、異星人に味方する者も絶対に容赦しない」方針を打ち出したのか、その理由が視聴者にも明かされない格好となってしまったのは、いささか残念な感じもしますね。ここら辺、最終決戦と絡める形ででも明らかにしてもらえると私としてはうれしいんですが。もしかするとこの点が冬貴氏名誉挽回の取っ掛かりとなるかも知れないし、ねぇ。

      • 疲ぃ より:

         現場の人間がろくな成果物持って来れないってことは、上の人間にとってもろくな判断材料がないってことなのですよ。逆説的にいうと現場の報告を聞かない=上の判断基準も更新されない。一般的に批判されるところの思考停止ってこういうのよね。(荒み)
         ちなみにお父さん、最初から一貫してまどかに家格との折り合いをつけさせつつ苦労もさせたくない派ですよ。思いっきり公務員思考。
         「香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め。たかだか学校事で心を乱されている場合ではないぞ。私の言うとおりにすれば間違いない」(第5話)

    2. ピンク より:

      過去に左遷されたあと挽回できていないらしき言いまわしに続く言葉で「まどかは冬貴さんの言うとおりにすればいい」というのが私には無茶苦茶に聞こえてしかたなく。
      序盤で自ら率先して動くことを説いたかと思えば「上の指示に従ってただけ」なんて。
      つくづく人間って分からないものです。

      ひとつだけ確信を持って言えることは、まどかの最も素敵な笑顔はドーナツより、自分の優勝より、昔お父さんが弓道で優勝した時というのが素敵だなと思いました。
      いっそ彼の秘書になるとか、そういう道もあったり?

      • 疲ぃ より:

         あの人元々功名心とか野心とか無い人なんですよ。まどかに対する教育方針を見てるとわかります。
         「乱れているな。香久矢家の一員たる者、常に常に落ち着き、平常を保たねばならない」(第5話)
         家格の話をするときはいつも事なかれ主義なこと言ってるんですよね。とにかくうまいこと折り合いをつけろと。婿養子か?と疑ってます。(偏見)
         「香久矢家は代々人の上に立つのが定め。先々君は人々の上に立つのが務め。たかだか学校事で心を乱されている場合ではないぞ。私の言うとおりにすれば間違いない」(第5話)
         アレよく聞くと「率先して動け」じゃないんですよ。「率先して動かざるをえない家だからうまいこといなすことを覚えろ」なんですよ。

         「お父さまは上に立つために人々の気持ちを知るようにとおっしゃいました。知ったからこそ、私は――フワを、みなさんを、放ってはおけません!」(第5話)
         本当は、トゥインクルイマジネーション的な(自分の未来と周囲との関係性を変える)心のエネルギーは第5話の時点ですでにまどかのほうが強かったんです。ただ、お父さんを敬愛するあまり自分では絶対勝てない人だと思い込んでいただけで。

    3. 東堂伊豆守 より:

      ちょいと与太話をば。
      香久矢冬貴氏によると香久矢家は代々”武”を以て国家と民を支えてきた家系であるそうな。
      てことは、ノットレイダーの侵略から宇宙難民・フワ御一行と地球を守る為に弓を手に取り立ち上がったまどか嬢の方が、泰平の世にシコシコ事務仕事に勤しむ冬貴氏よりも香久矢家本来の在り方に沿った振る舞いをしている……ことになる訳で。
      フワ御一行と出逢ったまどか嬢を戦いに駆り立てた「直感」の正体は”武門の名家”香久矢家の人間に流れる「荒ぶるもののふの血」だったのかもしれず、逆に冬貴氏は泰平の世に迎合してしぶとく生き延びるべく「荒ぶるもののふの血」を鎮めることに腐心してきたのかもしれません。つまり……冬貴氏よりまどか嬢の方が”香久矢の血”に強く呪縛されている、と。
      ……まあ、こんな伝奇ロマン的設定をプリキュア作品に盛り込んでくるとは少々考えにくいんですが、ただ”やぎ座セレーネアロー”のビジュアルの禍々しさとか、今回のバトルシーンにおけるセレーネの鬼神のごとき表情とか、時折まどか嬢がみせるスリルジャンキーな側面とか……ええい、戦いに魅入られし呪われた一族め(オイ)。

    スポンサーリンク
    タイトルとURLをコピーしました