フリップフラッパーズ 花言葉と、ついでにその他細々したこと(第5話~第8話)

 思いのほか長い記事になってしまったので分割しました。(そもそも完結できるんでしょうか・・・?)
 別に私は花に詳しいわけじゃなく、ネットで仕入れたニワカ知識で書いているので信憑性はお察し。大事なことなのでこっちでも書きました。

→ フリップフラッパーズ 花言葉と、ついでにその他細々したこと(第1話~第4話)

→ フリップフラッパーズ 花言葉と、ついでにその他細々したこと(第9話~第13話)

ヴィクトリアンの花詩集―花言葉に寄せて

第5話 ピュアエコー

 「反響」 壁などから跳ね返ってくる音。反響と残響って別物なんですね。どう違うのかうまく説明できませんけど。今回深掘りされるヤヤカは言動と感情が一致していないキャラクターです。反響音が元の音とは少し違って聞こえるように、彼女は登場するたびに少しずつ違った側面を見せていきます。少しずつ裏に隠れた感情が見えてきます。

至るところに登場する花・・・白いユリ 「純潔」「威厳」

 一応花言葉を書き出してはみたものの、実際のところ今回花言葉は関係ありません。女性同性愛者という意味での百合です。

※ 百合

 男性同性愛者という意味での「薔薇」という言葉が先にあって、それに対比するイメージから女性同性愛者を「百合」と呼ぶようになりました。薔薇の赤に対して百合の白、というわけです。
 女性同性愛者を描いた文学は当初、主に女学校の少女たちの間で流行しました。校内に同年代の男子がおらず、卒業しても見合い結婚が待っているという、自由に恋ができなかった少女たちです。恋愛面で抑圧されていた彼女たちが物語に求めたものが同性愛でした。男性とは容易に出会えないのですから、普通の恋愛小説にはリアリティがありません。その点、女性との恋ならば、というわけです。
 そういう背景があるので、古い百合作品には格式高い名門校、口うるさい教師、窮屈な寮生活といった、陰鬱なイメージがつきまといます。女性同性愛は抑圧された日常の中で営まれる秘め事。現実と地続きのファンタジーでした。自由恋愛と男女共学が一般化した近年では少し共感しにくい世界観かもしれませんね。

※ タイプライター風キーボード

 サユリ愛用の逸品。キー配列は・・・何でしたっけ、これ。この人変なところでサブカル趣味拗らせてますよね。タイプライター風は結構なお値段がするイメージでしたが、最近はメーカーさえ選ばなければ1万円で買えるようです。
 ちなみにヒダカはノートパソコン派の様子。あの人あっちこっちで端末いじってますもんね。

※ 入浴、着替え

 いずれも神道では禊ぎのひとつとされます。垢と一緒に心のケガレを落とし、衣服に溜まった外側のケガレを脱ぎ捨てるのです。神社の境内は神様の世界ですから、境界である鳥居をくぐるときはこの世のケガレを持ち込まないよう、とりわけ気を使います。
 顔なし女学生たちはココナとパピカを百合の園に引きずり込むために(ある意味逆の)禊ぎを行ったわけですね。木造校舎に連れ込んだあとはヨモツヘグイまでさせて支配を盤石にします。なんて段取りのいいヨモツシコメ。

※ 午後3時

 生真面目なココナが制服でいるということは、この日は平日で学校上がりにフリップフラップに行ったんだと思われます。とするとピュアイリュージョンから帰ったときの時刻が午後3時というのは時間がほぼ経過していないか、むしろ幾分巻き戻ってすらいそうですね。

第6話 ピュアプレイ

 「再生」 記録しておいた音声や映像などを再び元のように取り出すこと。実際には再生するだけでなく上書きまでしちゃったわけですけどね。(長いことこれを第1話のタイトルとして紹介しちゃっていたのはヒミツ)

※ ヒダカのテント

 ブーちゃんの生体脳に記録したピュアイリュージョンのログを抽出しているってところでしょうか。でっかい機材を山ほど詰め込んで、テントの利便性が全くない作業環境ですが、ヒダカは狭くて暗いお一人様スペースが好きなんでしょうね。なにせ男の子ですから。脇に積まれた本のタイトルは「NEW WORLD」「Anothet GATE」と読めます。

※ 先輩の絵

 感想記事の方でも一度解釈しましたが、改めて。この絵は3段組の構成となっています。
 下段は坑道のような風景を明るい色の階段が通り、何だかキラキラしたものがいっぱい。ついでにこの部分にだけ日光が当たっています。
 中段は猥雑な都会の風景に、階段を見下ろす黒い人影。
 上段は何もない平原を曲がりくねった階段が地平線の向こうまで伸びていき、上空を白い鳥たちが飛び交っています。
 大きく描かれた黄色い人物は、髪のなびきかたや足の向きをみると、ひょっとして下段(手前側)へと降りてきているところなんでしょうか。・・・感想記事を書いたときは人物の向きまで考えていませんでしたよ。
 地平線の向こう側がルーツというのも変な感じですし、彼女の精神状態を鑑みても、この絵は下段を過去、上段を未来と解釈するべきでしょうね。
 「過去はキラキラしていたけれど、現在はなんだか息苦しい。未来に至ってはどうなるか想像もつかない」 そんな強い不安を感じさせる絵です。
 さらにいうなら階段よりもさらに上空を飛ぶ鳥。これを白く描いているところからは、彼らの自由への羨望を感じさせます。
 中段に黒い人影を置いたのは、両親の不和をはじめとした対人ストレスに辛さを感じているというサインでしょうか。見下ろされているという構図は決して気分のいいものではありません。
 そして下段。黄色い少女の向かっている先が過去だとしたら・・・。
 「自分が未来をのびのびと生きられるなんて考えられない。現在だって他人の目を気にして磨り減るばかり。ああ、幸せだった過去に帰りたい」 こんな感じにも読み取れますね。
 それから、階段の根元には思い出のマニキュアで書かれた自分の名前。どこにマニキュアを使ったんだろうと探してみれば、よりにもよってそこですか。
 ・・・やっぱり、私はココナが先輩を変えてくれてよかったと思いますよ。

※ 「フジツボみたい。・・・甘い。合うね」

 変えてくれてよかったとは思うものの、けれどこういうセリフが言える先輩がステキなのもまた確か。不格好で甘すぎるクッキーでも、紅茶の渋みにはむしろよく合うんだよと。誰かの恥にちゃんと向き合ってくれて、それでもふさわしい居場所はきっとあるんだよと言ってくれる人。
 人の弱さを知っているからこそこういう気づかいができるんでしょうね。そりゃココナのような張り詰めた子は懐きますよ。

サボテン・・・「忍耐」「優しさ」「暖かな心」

 今度はちゃんと花言葉が機能していますね。サボテンは辛抱強く優しい心で育ててやらないと花が咲かないといいます。家庭内不和に心を傷つけられたイロちゃんが笑顔を見せるようになるまで、おばちゃんはどれだけ心を砕いたんでしょうね。

居間の窓ぎわに飾ってある花・・・ツツジ? 「慎み」

 イロちゃんはせっかく描いた絵を隠そうとします。こういう絵は変だと両親に言われたから。だったら描かなきゃいいのに、それでも描かずにはいられないんですね。イロちゃんの隠した本心をおばちゃんは開花させていきます。

仏壇の花・・・キク「高貴」、ヒガンバナ「悲しい思い出」

 試しに花言葉を調べては見たものの、どう考えても物語に関係のないただの仏花ですね。

色紙の額に飾られた造花・・・アサガオ「固い絆」「愛情」

 物語には直接関係ありませんが、おばちゃんの元生徒たちへの愛情を感じさせるチョイスです。

色紙に描かれた絵・・・ツクシ、スギナ「向上心」「努力」

 先生がいなくなっても頑張ろうという前向きな気持ちの表れでしょうか。色紙の内容からすると中学校ですかね? 27人学級とはまた小規模な。

居間のガラス棚に飾ってある花・・・アカシア「秘密の愛」「友情」

 イロちゃんとおばちゃんの交流を表したものといえなくもないですが、ここまで扱いが小さいものはさすがに特段の意図がない気がします。

玄関の花・・・ペチュニア「あなたと一緒なら心がやわらぐ」

 まさにイロちゃんにとってのおばちゃんをズバリ言い表す花言葉ですね。おばちゃんがいなくなったシーンでは萎れています。

トンボが留まったソーセージみたいな草・・・ガマ「従順」「素直」

 劇中の扱いとしては単に時間の経過を示す装置ですね。花言葉は考えなくてもいいかもしれません。穂が茶色くなるのが秋口、綿毛になるのは中旬から終わり頃ってところでしょうか。

おばちゃんの家の門に植えられている花・・・サルビア「家族愛」、ニチニチソウ「楽しい思い出」

 玄関先でおばちゃんの帰りを待つイロちゃんに、両親が「もうここへは来るな」と言うシーンですね。イロちゃんにとってどちらが本当の「家族」だったのかと考えると・・・。

イロちゃんの病床の花・・・ヒマワリ「愛慕」、ルピナス「想像力」

 花言葉ではなく、花の性質でのチョイスでしょうね。ヒマワリの明るく大きな花は見るだけで元気づけられますし、ルピナスは荒れた土壌でもよく育つ強い花として有名です。誰が差し入れたんでしょう。両親だったなら少しは救いがあるのですが。
 ※ 無粋ではありますが、実際に生花を差し入れるときは看護婦さんによく相談しましょう。花瓶の水は雑菌の温床となるため、持ち込みを禁止している病院が少なくありません。

おばちゃんの病床の花・・・マリーゴールド「絶望」「悲嘆」

 一応前もって書いておきますが、お見舞いとして人気のある花ではあります。かわいらしく華やかですからね。名前のとおり聖母マリアを象徴する花でもあることですし。
 それにしてもキッツイ花言葉です。この病室はイロちゃんのトラウマ。この日以来、彼女はマニキュアを塗る資格を失いました。
 花言葉もさることながら、この花を贈った人は悪意がありすぎです。なんのつもりで病人に鉢植えを贈ったんでしょう。鉢植えは根付くものであり、病床に寝付く(=入院が長引く)という意味に繋がります。こんなの一般常識レベルのタブーですよ。なんて残酷な!

第7話 ピュアコンポーネント

 「構成要素」 オーディオ用語でコンポーネントといえば、プレイヤーやアンプ、スピーカーなどがそれぞれ独立しているオーディオシステムのことを指します。個々に買い換えることができるので拡張性高め。同じく拡張性が高い自作パソコンと同様、今ではすっかりニッチになりました。
 今回は物語の転換点であり、従ってテーマ的にきわめて重要な問題提起がなされます。先輩を変えてしまい、たくさんのパピカと出会い、困惑する中で問われる「変わっちゃダメなの?」。ひとつの人格は、時と場合で使いわけられる無数の顔によって構成されています。その中のどれが「本当のあなた」なのか、あるいは。

※ 地獄

 三角木馬とかいうあからさまにアウトな絵をこっそりねじ込んでくる、相変わらずなStudio 3Hz。それはともかくとして、ここではココナがニンジン嫌いだという点だけ頭に入れておきましょう。

※ 「ピュアコンピッタンタン?」

 twitterで公開されたコンテによると、パピカは「ピュアコアコンピタンス」と言いたかったようです。core competence。ビジネス用語です。なんか色々と定義があるようですが、要するに「ある領域において圧倒的な優位性をもたらすもの」のことのようですね。要するにピュアイリュージョンを何に使えばスゴイことができるのかって話題。
 何の話かといえば直後にヒダカが語る「シンギュラリティ(技術的特異点)のこと。 「ピュアイリュージョンはサブジェクトとのインタレレーションシップによる一種のパーセプション、イデアワールドだと考えられている」 ピュアイリュージョンの正体は主体同士の相互関係によって形づくられる一種の共有認識、要するにプラトン哲学でいうところのイデアのようなものです。相互に関係しているという点で多少違っていますけど。
 これに干渉すれば全生命の世界観や価値観を変えてしまうことも、あるいは特定個人の心のあり方を改竄することすらも可能だということになります。その恐ろしさは後にラスボスさんが存分に見せつけてくれます。「何でもあり」というにふさわしい力。ヤヤカが語っていた「世界征服」は嘘でも誇張でもなかったということですね。

※ シベリア

 サユリが用意してくれたおやつ。羊羹をカステラで挟んだもの。元々関東地方で広まった食べ物らしく、他の地方でも知られるようになったのは割と最近のこと。初めて食べたときはカステラと羊羹がどちらも同じくらいダダ甘くて、これ組み合わせる意味があるのかなと困惑した記憶があります。

※ ペレットストーブ

 ココミネさん家は小洒落たものを持っていますね。おがくずや間伐材を固めてつくったペレットを燃料とするストーブです。地域のイベントなんかでよくブースを見かけることができますね。窓から炎が覗けてなかなかロマンチックなシロモノですが、いかんせん吸排気口工事が必要なのでアパート暮らしの身には縁がありません。ところでココミネさん家ではなぜか柱の前に設置していますが、吸排気口はどこに開けているのでしょう?

※ さすけね

 「ごめんね」「気にしないで」というニュアンスの福島方言、だそうな。たまに東北方言として紹介されていますが、北東北では全く通じません。私は初めて聞きました。なにせ北東北と南東北じゃ人の交流が全くありませんからね。学生時代に青春18きっぷで青森から東京まで移動してみたことがありましたが、始発から終電まで丸一日がかりで福島に到達するのがやっとだったほどですし。ただでさえ距離があるのに、乗り換えの待ち時間が1時間半とかザラなのでどうしようもありません。何の話でしたっけ。

※ 無響室

 ソルトの席がある部屋。吸音材で室内を覆い、残響が一切出ないようにしてあります。無響室ではありませんが、私も吸音材が使われた部屋に入ったことがあります(劇場の裏方)。音の聞こえ方が違うと思った以上に戸惑いますね。気圧は変わらないはずなのに登山した時のような耳の奥がきゅっとする感覚がありました。

※ 手水舎

 「イケメンかよ」のパピヤが手水を頭から被っていました。本来神社の境内に入る時はお風呂なり水浴びなりして身を清めなければならないのですが、参拝のたびにいちいちそんな用意をするのも面倒なので、せめて手と口だけでもと簡略化したのが手水です。その意味では頭から水浴びするのは意外と本義に合っているのかもしれません。

※ 花畑にいたソルト

 第11話で使用する装置の調整に来ていたんでしょうね。パピカの記憶が戻ったことを知ったのもおそらくこのときです。

花畑・・・シロツメクサ 「私を思って」「約束」「私を忘れないで」

 感想記事を書いた時点ではミミとパピカの関係がはっきり見えていなかったので別の視点から読み解きましたが、この花はミミを象徴する花です。ツル性の植物ということもあって、全体的に相手を束縛しようとする花言葉が多いですね。ミミは甘えん坊の寂しがり屋です。
 また、シロツメクサの花冠を贈るという行為自体に「私を忘れないで」という意味が乗ります。だからパピカがココナに花冠をつくってあげたとき、ミミについての記憶が蘇ったんですね。

第8話 ピュアブレーカー

 「遮断機」 ある条件下で電流を遮断する装置。同時使用電流量を制限する目的のものから落雷などの過電流から電子機器を保護するためのものまで、色々とあります。Aパート冒頭でフリップフラップのブレーカーが落ちてさっそくタイトル回収・・・というわけではなくて、作劇的には昂ぶる気持ちを邪魔するものはぶっ壊せ! なんてノリですね。つまりはヤヤカのフリップフラッピング。

※ パピカの足輪

 外れないのはこう見えて元々拘束具だったから。けれど欠片を収納できるくらいのゆとりはある様子。

※ ヒダカのラボとオッちゃんの城

 やはり男の子の秘密基地は狭くあるべきです。これ大事。

※ オウム

 今回の敵がどうしてオウムなのかなとずっとわからないでいたのですが、これたぶんオーム(Ω=インピーダンスの単位)と掛けているんですね。今回さりげなくインピーダンスの扱いについて価値観の反転が行われます。だからオームについての常識的な見解は敵だッ!

※ 「インピーダンスを解き放てッ!」

 普段はインピーダンスをゼロに近づけることを要求されていますが、オッちゃんは逆に昂ぶらせることを推奨します。第4話の花言葉記事で書いたとおり、インピーダンスは低い方がノイズを拾いにくくて電送上有利なのですが、単位時間あたりの情報量(電圧)でいうなら高インピーダンス環境に分があるからです。普通なら低インピーダンス環境でも情報量は充分足りているので、ノイズ対策の方を重視するんですけどね。常識的な文脈で熱血ロマンを測れるものかッ!
 ピュアイリュージョンへのアクセスについてはアスクレピオスが優位なのに、彼女たちが変身できずにいるのはこのあたりに原因があるのでしょう。「フリップフラッピング!」は大切な宝物をキーとします。宝物を見てテンション上げようって発想ですね。だからノリノリの芋でも代用できる。単にお互いの気持ちを一致させるだけでは夢の本当の力は生かせないのです。熱いパッションだけがッ! ボクらの夢を燃え上がらせるッ!!

※ 「ストックも少なくなったなあ」

 結局ヒダカが何をやっていたのかは最後までほとんど語られませんでしたが、この「ストック」というのはおそらく生体脳のことでしょう。第6話でブーちゃんの脳から何らかのログを抽出していましたね。ピュアイリュージョンは全生命と相互に関係するイデアなので、そこにアクセスするためには最低限生きた脳が必要となるのだと思われます。おそらくミミのいた研究所が行っていた研究をソルト経由で引き継いでいるんでしょうね。ブーちゃん、一見何の役にも立っていないただの賑やかしに見えますが、彼の役割はおそらく観測機なのでそれでいいんです。セクハラのせいでちょくちょく無力化されているのだけはどうかと思いますが。

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