魔法つかいプリキュア!第48話感想 みんなで手を繋いで、明日を希望で照らそう。

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夕日が沈んだらみんなおうちに帰る時間。でも新しい朝が、明日が来れば――。

「また会える」。夕日がきれいなのは、そう信じてるから。

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(主観的)あらすじ

 みらいたちが目を覚ますと、そこは魔法界とナシマホウ界が混じり合った世界でした。魔法界の人は魔法を見せることを躊躇しませんし、ナシマホウ界の人も魔法を見て驚きません。ここはデウスマストの混沌の力によって混ぜ合わせられ、マザー・ラパーパの祝福によって秩序を保つ最後の一線を守られた世界です。
 デウスマストを倒さなければ世界は混沌に飲まれてしまいますが、しかしデウスマストを倒してしまうと魔法界とナシマホウ界は離ればなれになってしまうでしょう。けれどプリキュアは迷わず戦います。夕日の下で友達とお別れしても明日の朝にはまた会えるように、いつかみんなで再会できることを信じているから。
 彼女たちの長い長い旅路が、今、最後のリンクルストーンを輝かせます。

 3人がそれぞれの答えを導く仕上げ回。思ってたよりあっさり進行しましたね。とはいえ元々材料は揃っていたので答えを出すこと自体はそれぞれ一言ずつで足ります。あとは悲しいお別れに対峙して、その答えの強さを証明するだけ。デウスマスト程度の小者に長々と付きあってやる必要はないのです。

デウスマストの混沌、マザー・ラパーパの祝福

 ずいぶんと人間味のないラスボスです。(まあテーマ上は前座なのですが) 人並みに感情豊かだったオルーバたちの口を借りているのでなおさらそう感じますね。キャラクター造形としてはやはりデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)なんでしょう。
 そのいかにもつまらなそうな表情、それだけで「混沌」は否定するに足ります。あんな顔をしてお鍋をつっつく家族はいません。あんな顔でおしくらまんじゅうをする友達はいません。「混沌」は「手を繋ぐ」ことの対極にあります。

 そんな彼がつくりあげた世界で、それでもジュンたちが笑っていられるのは、「何か懐かしいものに守られている、そう感じていた」 校長先生の言うとおり、マザー・ラパーパが守ってくれていたからでしょう。
 子どもたちが笑って遊んでいられるのは、傍でお母さんが見守ってくれているからです。途中でお母さんが家事をしに離れると、不思議と子どもたちの遊びはつまらないものに変わってしまうものです。逆にお母さんさえ傍にいてくれたら、ガラガラを振り回す程度の単純な遊びですら子どもたちには何にも代えがたい楽しみへと変わります。
 混沌に包まれるというおそろしい状況に身を置きながら、それでもジュンたちが混ざり合った世界を楽しめているのは、ひとえに母の愛があるからこそ。マザー・ラパーパの祝福は未だこの世界に息づいていました。

運命の出会い、新しい伝説

 みらいが初めて手にしたリンクルストーンは、不思議な巡り合わせによって母親の店の在庫に紛れていました。
 リコが受け継いだリンクルストーンは、彼女が星の祝福を受けて生まれたときから約束されていました。
 ふたりの出会いは「運命」と呼ぶにふさわしい、必然的なものでした。私自身は運命がどうとかって考え方、あんまり好きじゃないんですけどね。けれど事実としてふたりの出会いは運命的なものでした。プリキュアとして戦うことではありません。出会うことこそが運命でした。
 今にしてみると、これもまたマザー・ラパーパの祝福のたまものだったんでしょうね。人はみんな誰かしらの祝福を受けて生まれてきます。少なくとも、そうであるべきだと私は信じたい。

 一部では魔法つかいプリキュア!序盤の展開は幼児の友達づくりに例えられていました。初めて出会った子どもたちが無邪気に手を繋ぎあう物語。だとしたら、その舞台には子どもたちを見守るお母さんの存在が不可欠です。大地が、星が、大人たちが、マザー・ラパーパが見守っていてくれたからこそ、みらいとリコは出会えて、友達になれました。
 そう考えると、運命という言葉もそれほど悪いものではありませんね。魔法つかいプリキュア!の物語において「運命」は「祝福」に言い換えることができます。

 決戦の舞台に連れてきてくれたのは母なる大樹。けれどマザー・ラパーパにできることはここまで。樹は姿を隠します。
 お母さんに見守ってもらえる時間はもうおしまい。子どもたちは少しだけ大人になって、これからはお母さんのいないところでも楽しく遊べるようにならなくてはいけません。新しい伝説は子どもたち自身の手で紡がれるべきものです。
 だって未来は彼女たちのものなんですから。「ラパーパの意志は私の中に!」

 それができるだけの力を、すでにみらいたちは蓄えています。
 リンクルストーン・アレキサンドライト。たくさんの出会いと、手を繋いだ友達、大きな悩み、不安、そしてそれに打ち勝つための未来への希望。いくつもの要素を綯い交ぜにして、いくつもの色を見せる、「二面性」を象徴するパワーストーン。

 「混ざりあって」「ひとつになるだなんて」「生命の輝きはそれぞれ違う。ひとつとして同じものはありません」
 プリキュア名物の思想戦は早々に終了。今年の敵は弁論相手ではなく、プリキュアに内省を促すための障害物でしかありません。
 「混沌」ごときのために足を止めている暇なんてありません。そいつは彼女たちの新しい伝説をはじめるための単なる緞帳。さあ、今こそ幕を切って落としましょう。

巡り会う奇跡、繋がる魔法、育まれし幸福

 「私の力はラパーパから受け継いだものだけじゃない。みんながくれた優しさ、そして愛情。その全てが私の力」
 その一点を根拠に、はーちゃんはマザー・ラパーパの悲劇から解放されます。
 幸せを運ぶ妖精、海水浴、手づくりクッキー、壮太やゆうとくんの応援、ドラゴンとのサーカス・・・。彼女はいつだって誰かを笑顔にするために力を使ってきました。かつてのマザー・ラパーパのように、彼女はいつだって周りの人に祝福を振りまく存在であり続けました。
 けれど同時に、みらいたちの愛情をたくさん受けてきました。やりすぎちゃったときはフォローしてくれたし、心性を認めて無闇に叱らないでくれたし、一緒にいてほしいと望んでくれました。その助けがあったからこそ彼女は誰も傷つけず、誰にも傷つけられず、天真爛漫に祝福を振りまいていられました。
 出自はマザー・ラパーパに由来するものかもしれませんが、そのあり方はすでにマザー・ラパーパとは違っています。彼女は祝福を振りまく側でありながら、同時に祝福を受ける側でもあります。なんて幸福な女神。はーちゃんはどこまでもはーちゃんです。

 「ふたつの世界のみんながあんな風に仲よく笑顔でいられる世界。でも」
 「それはただ待ってて手に入れられるものではないわ」
 リコが担っているテーマについて少し誤解していました。「何になれるか、なりたいか」が問題ではないんですね。彼女の物語はあくまで未来と現在を地続きに繋げるためのもの。だからこそ現在の「見方を変える」ことが重要になったんですね。
 「立派な魔法つかいになる」という空虚な夢を抱えて始まった彼女の物語。けれど思いつく限りの努力を尽くしても、彼女は夢に近づくことができませんでした。それどころか同年代の友達に比べても遅れていました。
 みらいと出会って、現在に目を向けることを覚えて、彼女は変わりました。「立派な魔法つかい」や「留学生」の看板を背負うためにひとりで努力するようなことをやめて、みんなで楽しみながら成長していくことを学びました。
 デウスマストとマザー・ラパーパの相克によって偶然生みだされた世界はひとつの理想です。均衡が崩されるのはわかりきっていた儚い世界でしたが。だったら今度は自分の力で同じ理想を実現すればいいだけです。現在を毎日少しずつステキに変えていけばいつか理想にも繋がることを、リコは知っています。そういう幸せな努力のしかたを彼女はよく知っています。

 「夕日が沈んだらみんなおうちに帰る時間。でも新しい朝が、明日が来れば――」
 「『また会える』。夕日がきれいなのは、そう信じているから」
 「取り戻さなくっちゃ。みんなの夕日」
 みらいはみんなに希望をもたらす子です。けれどその気持ちはなかなか自分自身には向けられず、例えばリコとのお別れに際してはじっと堪え忍ぶことしかできませんでした。その後はーちゃんとのお別れも経験して、ついには「悲しいお別れはもうしたくない」という枷を心に締めてしまいました。
 フタを返してみれば簡単な話でしたね。いつも周りのみんなにしてあげていることを、今度は自分のためにすればいい。彼女はそのあたりをどう変換するかで長く苦労していましたが、これなんかもっと簡単な話。「みんな」の中に自分を含めてしまえばよかったわけですよ。「見方を変える」 大切な考え方です。
 巡り会ったたくさんの友達が、みらいのために力を貸してくれます。自分ひとりじゃ届かなかった明日の暗がりも、みんなで照らせばくまなく見通せます。明日の先に再会が見えているのなら、お別れなんてちっとも恐くない。

 エメラルドは愛による繋がりを象徴するパワーストーンです。友人愛、夫婦愛、そして親子愛。愛情で結ばれた関係性を強固にし、そして愛情そのものも幸福を導くパワーへと変えてくれます。
 人を愛すれば愛しただけ大きなパワーを生むこの石は、劇中において大いなる母の意志を象徴し、絶大な力をもってみらいたちやはーちゃんを守り続けてきました。今度はマザー・ラパーパに替わって、みんながみんなの繋がりを守り続けていくとき。

 ダイヤは天と地、相異なる力を統合し、未来を切り開いていくパワーストーンです。持ち主のエネルギーを正と負ありのままに拡大し、莫大なパワーとしてひとつに繋ぎます。
 お互いに違う人間だからこそ、ときに悩み、ケンカもして、お互いをより深く知り合い、その過程でみらいたちは少しずつ成長してきました。全てをひとつの存在に混ぜ合わせてしまうムホーには決してマネのできない力です。明日が続く限り、みらいたちはこれからもどんどん大きく成長し続けることでしょう。

 「性格も考え方も違って、ケンカすることもある。だけど」
 「私は私で、その隣に誰かがいてくれる。それがなによりもステキなの。手を取りあって繋がれる誰かが、みんなが」
 「私たちに力をくれる!」
 手と手を繋ぎましょう。そうして前を向きましょう。みんなでお互いを祝福しあい、みんなで明日の希望を照らし、みんなでその希望に向かって歩き続けることができたなら、きっと大概のことは達成できます。
 敵は「悲しいお別れ」。見た目グロテスクな終わりなき混沌さんも目の前にいますが、そっちとの戦いは実質終わりました。
 今プリキュアが成すべきことは、自分たちが導いた答えの確かさを証明し、明日の暗がりから「再会できる未来」を実際に照らし出してみせること。

 かくして手を繋ぐ奇跡の魔法は明日を待ち望む希望と統合され、太陽の魔法へと発展します。

今週の魔法文字

 校長室でみらいたちの後ろにある本の背表紙が読み取れますが、全部ABC・・・のアルファベットの羅列なので省略します。

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