亜人ちゃんは語りたい 第3話感想 気をつけないといけないことが多い人の場合。

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なぜなら私は、サキュバスだから。

 ひかり→町→佐藤先生と、ピックアップされる順にどんどんメンドクサさが増していくデミちゃんズ。抱えているものが違っていると世界の見え方もそれだけ違っていて、こういう物語ってやっぱりそういうところが魅力ですね。
 来週は初登場シーンからしていかにも一番メンドクサそうだった日下部さん。

とりとめなく

 佐藤先生宅。見た目ゆるゆるな生活に見えますが、この人結構マメなんでしょうね。床とテーブルの上がほとんど散らかっていません。古い畳敷きに布団っていうのも、私みたいな自堕落だとすぐ万年床にして腐らせちゃうので、それだけで尊敬しちゃいます。
 食器洗いを朝に回すのはひとり酒好きの習性ですね。酔っ払ってから家事するのって、普通にごはん食べてからするよりもよっぽど気合いが要りますから。ちゃんと水につけておくだけ立派。
 ところで今どきブラウン管のアナログテレビって・・・家具付きなんですか、この借家。

 「本当は早く来すぎてすることがないからだ」 時間の潰し方なんてスマホいじりやら読書やら、人によって思いつくものは千差万別です。だからこそ、暇つぶしとして自然と掃除に気が向く佐藤先生はやっぱり立派だと思いますよ。

 「もっと元気よーく!」「おはよーございます!」「合格!」 このしょーもないノリにちゃんと付きあってやるんですから、そりゃ鉄男さん人気出ますわ。懐かれますわ。こんな先生と出会えたら私だってひっつきますわ。
 あと「まーねー」のときのひかりさんかわいい。今話で一番好き。

 「なぜなら私は、サキュバスだから」 キャラクター紹介も兼ねてこのフレーズが何度か出てきますが、こんな言い回しを多用すること自体、佐藤先生最大の特徴な気がします。
 確かに彼女は重大なハンディキャップを背負って生きていますが、鉄男に強く言いすぎたとかマトモに恋ができないとか、このあたりは本当にハンディキャップばかりが原因かな、と。頑張っている彼女には失礼ですが、少しだけ言い訳として便利に使いすぎているようにも見えるんです。特に重いハンディキャップを負っている方の場合、このあたりの線引きって本人にも難しいらしいんですよね。

 佐藤先生に質問に来る生徒。挨拶してくれる子もそうですが、佐藤先生を慕う生徒ってどうも女子ばっかりっぽいんですよね。生徒もサキュバスだってことは知っているようなので自然なことではあるんでしょうが・・・。今後問題にならないか、ちょっとだけ気がかりです。子どもって教師の公平さに敏感ですから。

 「催淫してしまうから」 何気に佐藤先生とすれ違う男子生徒みんな顔を赤らめていますね。彼女を性的対象としないときですら「性欲を昂進」してしまうというのは、なるほど厄介です。

 「それは本当の恋愛ではないと思う。その好意はニセモノだと。でも、私が異性を好きになったとき、その気持ちは異性が私を思う気持ちと何か異なるのだろうか」 サキュバスの特性についてまだちゃんと理解できてはいませんが、今のところ私はそれをニセモノだと思いませんし、異なるかどうかなんてそもそも悩んでもしょうがないと思いますね。
 だって特別な抗体の持ち主でもいない限り、佐藤先生を好きになる人はみんな等しくサキュバスの影響下から逃れられないわけでしょう? だったらみんな条件は同じ。ニセモノもホンモノもありません。そりゃ健常者とは違う条件かもしれませんが、それでもあなたを好きになったということは、あなたのサキュバスとしての特性までひっくるめて、あなたらしさをまるごと好きになったとも言い換えられるんですから。

 飲んだ翌朝。あ、寝る前にちゃんと缶を片付けてる。この人やっぱりマメです。朝ご飯の献立は2日連続同じメニューですが。

 鉄男と佐藤先生の第一種接近。ジェントルマン。この男、学者してないときは人並み以上によく気が回るんですけどね。
 「元々性的な欲の薄い人はその影響を受けづらいのでは」 今枯れ専をカミングアウトしましたか、この人。

 「高橋鉄男は天然のタラシである」 ナレーションに若干トゲがあるように聞こえたのは私だけでしょうか。

 「そうそう。例えばキス以上とか、セックス未満とか」 今話のベストショット。鉄男のこの笑顔サイコー。こんな屈託のない外道な表情を向けられて羞恥に震えない女の子はいない。(羞恥フェチ)

 「お前自身の考えを聞きたいんだけどな」 この学者バカな態度! このデリカシーのなさ! でも実際のところ一般論を見いだすために個別論を収集している段階なので、一般論じみたことをうそぶかれてもしょうがないんですけどね。
 余談。研究者でもない一般人がまともに一般論を語ることなんて不可能です。なのでこのブログも、割り切って私の主観で思ったこと感じたことしか書いていません。割と断定するような強い言い回しも多いですが、それも本当は私の世界観での常識でしかありません。読んでくださっているあなたにおかれては、是非私以外の書き物ともたくさん突き合わせて、あなたなりの世界観を構築する一助としていただきたい。

 「人から血を吸ったことも1回しかないし」「・・・」 鉄男のここでの間の取り方が絶妙ですね。引っかかりつつも、辛うじて話題を流してあげられるぎりぎりの沈黙。

 「でもドラマや映画でそういうシーン観るだろう。それとくらべて・・・あ゛っ」 鉄男は近すぎず遠すぎず、親しすぎず他人すぎないちょうどいい距離感を保ってくれるからこそ、ひかりたちから心を許されています。心理カウンセラーと同じスタンスです。
 だからこそひかりたちはリラックスしてプライベートな話をできているわけですが、だからこそ絶対に開示できないプライベートというのもやっぱりあるんです。性の話なんて極めつけのプライベート、高校生のひかりの口から語るには鉄男は距離が遠すぎます。
 この件に関しては学者バカとかデリカシーなしとか関係なしに、ひとりの人間としての失態1つです。けれどこういう迂闊さもまた愛すべき人間味。この飾らない魅力こそがこのアニメの魅力ですね。

 「人によっては失われつつある伝統的な文化として・・・」 世襲のない亜人においてそういう価値観が根付くかというと微妙な気がしますが・・・。それはともかくとして、色々と知識を仕入れているであろう鉄男がこんなのほほんとしたことを考えているからには、この世界のバンパイアの吸血行動には眷属をつくる副次効果がないってことでしょうね。

 「血を吸うよりキスの方が簡単かもねー」 鉄男が一枚上手だったのか単に鈍感なだけか、微妙なセンですね。具体的にいうなら本気でひかりを子ども扱いしているだけか、いつものイタズラの一環として納得してしまったか。直後のモノローグからすると後者かな。
 少なくともひとつ言えることは・・・ひかりさん、イタズラであれ半分本気であれ、ここで照れ隠しをしてしまったのは完全に失策ですよ。ニヤニヤ。

 「町さんの担任も気付かないものね。荷物運びをあなたひとりに任せるなんて」 たとえ気付いていたとしても難しいんですよね、こういう子の、こういうときの扱い。ハンディキャップのせいでできない子にできないことを要求するのも酷い話ですし、かといってできないからと当たり前のことを取り上げられてしまうのも悲しい話です。
 ノーマライゼーションな模範解答を出すなら・・・例えば町に荷運び用のリュックサックを持たせる、なんてのが適切でしょうか。ちょっとした工夫でハンディキャップがハンディキャップじゃなくなるなら、それが本人にとっても周りにとっても一番幸せ。今日のノーマライゼーションにおける一般的な考え方です。
 もっとも、町の場合は他人に頼ることに慣れていますので、実はこの子に限っては佐藤先生の対応がベストだったりします。ノーマライゼーションの理想型はハンディキャップの形態から福祉を考えるのではなくて、各個人ひとりひとりの個性に寄りそうこと。

 「仮面の告白」「それから」「若きウェルテルの悩み」「青春は美わし」「性の目覚めるころ」「はつ恋」「百年の孤独」「生まれいづる悩み」 なにこの佐藤先生を追い詰めるためだけに存在する図書ラインナップ。
 というか同レーベルでもない和書と洋書を一緒の棚に置くな! いくら高校図書室の規模とはいえNDC910台と930台くらい分けろ! (元図書委員の叫び)

 佐竹君のナンパ。そんなんうまくいくわけねえ! 1対1でも恐いのに1対2て。性差による力関係の話ではありません。引っ込み思案な子にとって、アクティブな子はそれだけでおっかない存在だってことです。せめて頭数だけでも自分の味方が多くなければ絶対についてきませんよ、こういう子は。(というか私は)
 たぶん鉄男もこういうところには気が回らないタイプですね。わからない人には一生わからない話です。

 「子どもから見える大人っぽさって結構タテマエなのよ」 このあたり私は佐藤先生とちょっと考え方が違うかな。カッコつけたいというより、あらゆる意味で子どもたちの幸せに貢献できる大人になりたい。・・・いや、結局同じ意味かこれ。

 「自然体でのんびりしてるようで頼もしくて、誰にでも気さくに接せられるけど踏み込みすぎて傷つけはしない」 上でも書いた「ちょうどいい距離感」ってヤツです。心理カウンセラータイプ。昔読んだ本で「熱くも冷たくもない、ウォームな人」と表現されていました。亜人を「デミ」と表現する言語感覚にもよく似ていて、ちょっとシンクロニシティを感じます。
 この手の男が好きな佐藤先生や町はきっとファザコンに違いない。ちなみに男性の場合はもっとべったりと距離が近い異性の方が人気な傾向。要はマザコンです。(色々とジェンダー論的に問題発言)

 陰口に傷つく日下部。原作未読なので私はまだ彼女のことをよく知りません。けれどまあ、たぶん佐藤先生とよく似たメンドクサさをいっそう拗らせちゃってるタイプじゃないですかね、この子。ハンディキャップが見た目でわからないからこその病理というか。いろんな意味で町と対照的な個性っぽい。
 我ながら悪趣味ですが、実はこの子の抱えている問題に一番興味があります。

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