超人女子戦士ガリベンガーV 第57話感想 星たべよだったり加薬だったりする星の誕生秘話。

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生徒役:電脳少女シロ、御伽原江良、燦鳥ノム

頭がカオスだな。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「シロ、すごい、ブラックホールや星の素をつくってたってことですよね」
「カオスだ・・・」

 休日はだいたい家事しているかゲームしているかのどっちかだという専業主婦みたいな幼児。先日、後輩のアイドル部に家の合鍵を預けて寝込みを襲う許可を出していましたが、身も心も間違いなく英二に捧げています。つまり同棲している小峠教官の寝首も掻きほうだいということですね。
 「いるだけで○○な子」という表現がこれほど似合わない人物もなかなかいないでしょう。いればだいたい何かしています。傍若無人に暴れてみたり、賢く機転の利くトークを繰りひろげてみたり、斜め上にカッ飛んだ名言を連発してみたり、他の共演者を気遣ったり、イジりたおしたり、あるいはゴキゲンにキュイキュイ笑っていたり。ちょくちょくワケワカンナイこともやりたがりますが、そういうときは「シロちゃんの動画は為になるなあ!」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、ああ見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。おかげでいつのまにか人脈の輪がずんどこ広がってきました。タチが悪いったらありゃしない。

御伽原江良

「やめとくか?」
「うぅー。・・・うん」
「うんじゃねえよ!」

 現代に蘇ったシンデレラ。清楚ながら少しばかり夢見がちなところがあり、いつか王子様が迎えに来てくれることを夢見ていました。大学では手芸サークルに所属しており、料理や掃除も含め何でもこなすことができる家庭的な女性でした。デビュー後30分くらいまでは。
 実態はとりあえずよく叫ぶ人。リアクション芸の総本家・にじさんじに所属しているとてもやかましいバーチャルYouTuberです。設定崩壊上等のにじさんじにおいてひときわ早くバーチャルな自分をかなぐり捨て、過去の自分の痴態を古傷として胸に戒めながら、札束風呂に入ったり小学生アイドルに大興奮したりコオロギの姿揚げを食わされたりと好き勝手生きています。
 ちなみに、料理できる設定の虚勢として「得意料理はビーフストロガノフ」みたいなことをでっちあげていましたが、あんなもの厚めにスライスした牛肉をタマネギとマッシュルームと一緒に生クリームでテキトーに煮込めば簡単にできあがるお手軽料理なので、今度ぜひつくってみてください。

燦鳥ノム

「先ほどのノムさんの答え、たいへん良かったですね」
「ありがとうございまーす」

 言っていることは常に清楚なのに、どういうわけかいかなる胡乱な共演者を相手取ってもキャラを崩すことなく対応できる絶対的勝者。むしろ負けそうになると強引に相手を負かしにかかります。今回、星に詳しいという新たな一面を開示してみせたわけですが、別に意外でも何でもないあたりがまた本当に清楚。
 楚々とした佇まい。凜として朗らかな人柄。そして明け方の瑠璃鳥のような爽やかな歌声。まるで清楚という言葉が正しい意味で(!)具現化したかのようなキャラクターです。一方で茶目っ気も相当強く、一切打ち合わせしていないゲームのルール説明を同僚に丸投げしたり、お笑いタレントの持ちネタを強奪して本当にあちこちで披露してみせたりと、数々の武勇伝を持っています。
 実は(※ 実はも何も衣装にロゴが入っていますが)大手飲料メーカー・サントリーの公式バーチャルYouTuberだったりします。クラフトボスや特茶などのキャンペーンキャラクターに起用されたり、デカビタCのweb CMに出演したりと、そちらの方面でもなかなかの活躍。気がつけば日本最大の広告賞であるACC TOKYO CREATIVITY AWARDSにおいて、ちゃっかりシルバー賞まで受賞していました。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:星の謎を解明せよ!

 山岡均先生は国立天文台の広報室所属准教授です。もちろん研究者ではあるのですが、どちらかというと広報や教育活動を本業としているかたですね。宇宙についての学問は理論や数学の話が多くなってしまって小難しく、せっかくの画期的な発見があっても私たち一般市民にその重要性を理解させられなければ次の研究予算はなかなか下りません。その点、山岡先生はよく工夫されていて、2回目以降の授業からは徹底的に数式の話を省いてロマンだけを取り扱うようにしています。授業に絡めて必ず国立天文台の実績をアピールするのも先生の特徴のひとつ。
 改めて科学研究費助成事業データベースを検索してみると、本当に星の死に関する研究を専門にしているみたいですね。星の進化テーブルとか突発天体現象とか、用語が独特すぎて、今回までこれが全部超新星爆発(など)の研究だとは気付けませんでしたよ。

 今回の授業テーマは星。意外にも、過去3回の授業では恒星の話題はほとんど扱ってこなかったんですね。1回目第15話は宇宙の成り立ちについての授業。2回目第32話は宇宙規模での安全保障についての授業。そして3回目『ヒロイン危機一髪!筋肉&妖怪大進撃!!』では惑星についての授業でした。
 恒星の話題なんて天文学におけるメインディッシュみたいなものなのに、どうしてこんなにも出し惜しみされてきたのかといえば・・・、それはやっぱり、この話題こそ数式を避けては通れないメンドクサイものだからですね。山岡先生、なんかうまいことそういうの避けきっていますけども。

トピック4:星が死んだあとはどうなる?

 「爆発のときのエネルギーでまた新たな星になるのではないでしょうか」

 正解に最も近かったのは燦鳥ノムの回答。
 2つの意味があります。

 1つは星の構成物質としての面。
 「星が死ぬ直前に表面から漏れ出したり、また、超新星で吹き飛んだりした物質ってのがあります」
 赤色巨星が縮小して白色矮星になるとき、あるいは超新星爆発が起こったとき、いずれの場合も星を構成していた元素が宇宙空間に散逸することになります。このあたりの話は前回の感想文でもうちょっと詳しく書きました。こうして散逸した元素がもう一度集まると、新たな星として誕生することになるんです。

 もう1つはエネルギーとしての面。
 「エネルギーっていうのもそのとおりで、超新星爆発の衝撃波が次の星を生み出す引き金になったりします」
 星というものは水素やヘリウムといった元素が高密度に集まって生まれます。では、どうやって集まるのかといえば、それは万有引力の作用によるものです。引力はあらゆる物質に備わっている力なのですが、これには大きな物質であればあるほどより強くなるという特性があります。
 雪だるまをイメージすると良いでしょう。小さな雪玉を転がしても少しの雪しか巻き込めずなかなか大きくなりませんが、大きな雪玉を転がすと相応にたくさんの雪を一気に巻き込んでどんどん大きくすることができます。これと同じで、宇宙空間にある程度元素が集まった塊が生まれると、それを中心にどんどん周囲の元素が集まっていきます。集まれば集まるほど加速度的に塊が巨大化していき、最終的に星になります。
 では、最初の小さな塊はいったいどうやって発生するのかという話ですよ。ここで出てくるのが超新星爆発による莫大なエネルギー余波。この爆発の衝撃波はまるで風のように周辺空間の元素を吹き飛ばし、風に巻かれた埃や落ち葉がそうなるのと同じように、宇宙空間に元素密度の濃い空間と薄い空間という偏りを生み出します。この元素空間の濃い空間というのが、つまり先ほどから出てきている元素の塊。
 はじめに超新星爆発のエネルギーによって凝集された元素たちが、集まったがゆえに自身も強い引力を持つようになり、さらに周囲の元素を巻き込んで巨大化していくという流れですね。やがて重力による圧縮のエネルギーで核融合反応が起こりはじめ、恒星と呼ばれる天体になるんです。(※ 同時に、恒星の周りでは巻き込み損なった元素が集まって惑星もつくられます)

 “化学進化”という言葉が出てきました。
 ちなみに電脳少女シロがサルのモノマネをしていた理由は本人に聞いてみないとちょっとよくわかりません。頭為。進化と聞いてサル→人間の進化を連想でもしました?
 化学進化というのは、星の核融合反応によって、もしくは超新星爆発によって、水素原子がヘリウム原子に、ヘリウムが炭素に、炭素が酸素に・・・と、原子番号の大きな原子に変わっていくことを指します。どっちかというと先週のトピック2や3により関わりの深い用語ですね。
 では、どうしてこの用語が星の再誕生に関するこのトピックで話題になるのかといえば・・・。
 「宇宙が生まれたときには水素とヘリウムしかなかったんですね」
 それは、星の構成物質を調べたらある程度その宙域の歴史を推測することができるからですね。水素やヘリウムが多い宙域はそれだけ星の消滅と誕生が少なく、鉄などの重元素が多ければそれだけ多くの世代を重ねてきた証拠。観測することで宇宙の起源や行く末を研究するための材料になるんです。

 「好きなんですね、ポケモン。――ちなみに、僕あんまわかんないんですけど、好きなキャラクターみたいなのいるんですか?」
 「いやもう、普通にミュウツーとか。究極のポケモンですね」

 第一世代から知っているファンにとってはやっぱり特別なポケモンですよね。なにせ理不尽に強かった。極端に強かった。当時のエスパータイプって実質的に弱点となるタイプ技が存在しませんでしたし。最高威力がダブルニードルとかどうしろと!
 しかも今と違って第二世代に移行するまで3年半もありましたし、ミュウツーが主役となった映画も反響が大きかったですしね。
 ミュウツーというのは遺伝子工学によって人為的に生み出された最強のポケモンです。研究者のエゴによって進化の頂点を極めさせられたがゆえに孤独で、己の存在意義を見失った悲しい存在でもあります。
 山岡先生がこのポケモンを好きなのは“進化”というテーマが星の死と共通するからだとかさすがにそういうわけではないんだと思いますが、・・・まあ、なんというか、男の子ロマンよね。“進化”ってもの自体が。

 「見たことのないお写真がたくさん登場してロマンチックだったんですが、どっかで既視感あるなと思ってたら、インスタントラーメンの加薬を持ってて転んでぶちまけたときの景色でした。すごいカラフルだったんです」
 「何と比べてんだよそんなの。インスタントラーメンの加薬ね。・・・先生、大爆笑じゃないですか」
 「なんか、木目の付いた机の上に慣れないインスタントラーメンの加薬をぶちまけたら完全に一致してて、すごーい!って思って。シロ、すごい、ブラックホールや星の素をつくってたってことですよね」
 「カオスだ・・・」

 山岡先生、そういえば先週も燦鳥ノムの唯一意図が読み取れない回答にやたら大ウケしていましたね。やっぱりカオス系のネタが好物だったんですね。FLASH動画とかニュー即vipとか好きそう。

トピックex:先生に聞いてみよう!

 「先生も何か星を発見してお名前をつけられたことありますか?」
 「発見をしたことはないんですが、Yamaokaという名前の小惑星が太陽を回っています」

 調べてみると、円舘金と渡辺和郎という有名なアマチュア観測者が1994年に発見した小惑星のようですね。それ以上のことはちょっとわかりませんでしたが、特に弟子だとかそういう関係もないようなので、純粋に研究活動を評されての命名だったんだと思われます。昆虫や植物もそうですが、博物学全般、この手の新発見はやっぱりアマチュア研究者が強いですね。
 ちなみに国立天文台webサイトによると、彗星は特に申請等なくとも発見者の名前がつけられ、太陽系小惑星は発見者が自由に命名できるルールとなっているようです。

 そういえば、ガリベンガーV出演者のなかではカルロ・ピノのファンがカルピスの懸賞企画で恒星命名権を得てpinoという名前を申請していたり、もこ田めめめファンの某ピンキーポップヘップバーンがホワイトデープレゼントとしておひつじ座の星のひとつにSpicaめめめと命名していたりしますね。命名権の相場としてはだいたい3万円くらいのようです。
 ただし、こういうのは実は各団体が勝手に命名権を主張し販売しているだけであって、残念ながら学会等で公式に使われることはないようなのでそこは注意。(※ そもそも名付けるほどの学術的な重要性がないからこそ命名権販売業者以外に名付け親がいないわけですが)
 プレゼントとしてのロマンは間違いなくあるので、私としては別に悪いことだとも思わないですけどね。

トピックsp:配信イベントの厳選シーン

 3月1日に行われたイベント『ヒロイン危機一髪!筋肉&妖怪大進撃』から授業シーンを紹介。

 電脳少女シロはこういうイベントに出演するといつも以上に溌剌としていて、いかにもキラキラとアイドルらしく見映えしますね。相変わらずバーチャルYouTuberとして最高峰の立ち回り。なお、前日は寝付けなくて徹夜明けの状態で本番に挑んだんだそうです。

 花京院ちえりはこのイベントの前後で見違えるほど成長しました。特に所作。全身を使ったリアクションやポージングはこの手のステージイベントでは最重要のスキルのひとつです。ちゃんと周りを見てどう動くべきか判断しているところも良い。
 本物のステージだと客席から遠すぎて細かい表情なんて全然見えませんからね。このイベント自体はネット配信のみだったのでまだいいほうですが、バーチャルYouTuberは着ぐるみと同じでどうしても顔の動きや指先での感情表現が不得手なこともあり、これができるかどうかで見映えが全然違ってきます。
 あとはポーズが終わったあといちいち自信なさげに縮こまる悪いクセと、若干猫背気味なところだけ改善できたら、いよいよ電脳少女シロやキズナアイにも並ぶアクターになれるはず。

 神楽すずはこのイベントでも相変わらずの“普通の子”ぶり。大舞台に立っても変なキャラづくりせず素のままでいられるというのは、それだけで大きな個性です。緊張感に飲まれずガンガン発言していける鋼のクソ度胸もすばらしい。管弦楽で上手に転ぶことを教わったというのは間違いなくウソじゃありません。
 ・・・ここまでやれるくせに、どうしてダンスやアドリブには露骨に照れが出てしまうのか。(※ 私もそのタイプなので気持ちはわかる)

 北上双葉はかの有名なタイタニックネタをはじめ、このイベント全体を通して魅力大爆発していました。論理的な回答でいつもどおりのマジメなキャラクターをアピールしつつ、なのに不正解。ほわほわした口調にナイフのような暴言も健在。そのうえでてんねんぼけという新たな強みを切り開いていました。

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