キラキラプリキュアアラモード第4話感想 スイーツをつくるのって楽しい! ・・・それでも楽しい!

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女の子はね、「大好き」から気持ちが始まるの。だからときどき思い出すのよ。

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(主観的)あらすじ

 憧れのまりこお姉さんからバレエリサイタルに招待されました。いちか、ひまり、あおいの3人は彼女に大好きな気持ちを届けるため、シュークリームに挑戦します。ところがシュークリームはとても難しいスイーツ。何度挑戦しても失敗ばかりで、時間と疲労ばかりが積み重なっていきます。諦めて解散する3人。
 トボトボと家路をたどるいちかのところに偶然まりこお姉さんが通りかかります。うまくいかないときどうしているのか質問するいちかに、まりこお姉さんは始まりの気持ちを思い出すようにしていると答えます。シュークリームに挑戦することにしたとき、みんなで頑張ろうと誓いあった。みんな笑顔で楽しかった。いちかたちは再び集まり、協力しあって今度こそシュークリームを完成させます。
 悪い妖精・シュックリーがシュークリームを狙って現れますが、いちかたちは負けません。だって、3人で協力しあえばどんな困難だって絶対に乗り越えられるんですから。

 名前呼び回・・・と見せかけて、今回の主役はいちかたちではありません。皆さんも忘れてはいないでしょうが、キラキラプリキュアアラモードはスイーツをモチーフとし、スイーツをテーマに据えた作品です。本作においてスイーツはプリキュアと並び立つ主役。今話はその忘れてはいけない大切な主役のひとり、スイーツのキャラクター性を掘り下げる物語となっています。

 少しずつキラキラプリキュアアラモードならではの独自性が見えてきましたね。本作のスイーツづくりにおいては贈る相手に何を伝えるのかではなく、作り手がどんな思いでスイーツをつくるのかに力点が置かれています。既存の料理ドラマでは前者を重視し、後者はむしろエゴと見なして敬遠されがちだったんですけどね。さすがに1年間通してここだけに注目するということもないでしょうが、しかしここに目をつけ積極的に肯定する態度はいかにもプリキュアらしい。
 プリキュアシリーズは女の子が自分たちの日常を守るために戦う物語です。実はけっこう利己的。思想的にあんまりヒーローらしくありませんが、だからこそ子どもに見せたいヒーロー像となっています。
 世のため人のために己が身を犠牲にするなんて、そんな悲しいことを子どもに期待する親はどこにもいません。どうか健やかに生きてほしい。幸せになってほしい。そんな大人たちの願いと祝福を受けて、いちかたちは今日も「自分のために」スイーツに挑戦し続けます。

不毛のキッチン

 第4話にしていきなりシュークリーム。難易度欄に燦然と輝く3つ星。シュークリームは市販の初心者向けレシピ本でも大抵最後の方のページに載っているスイーツです。ですがアニマルスイーツにステップアップとか難易度勾配とかいう概念は存在しません。

 「だってこの思いを伝えるには、まりこさんの大好きを贈るしかないもん!」
 「大好きなものが一番うれしいですよね」
 「へへっ、あえていくってか」

 そんなわけで、いちかたちの当初抱いていた熱い思いは当然のようにへし折られてしまいます。
 「どうしてだろう。全然うまくいかないね」
 「ダメだ、完全にタイムオーバーだ」
 「全然思い通りにいかなかった」

 気持ちに結果が追いつかないことというのはよくあることです。

 お菓子づくりは楽しいことばかりではありません。むしろ失敗の連続です。なんといっても普通の料理より計量も調理法もずっとシビアですからね。しかもどこかで失敗したらそうそう挽回できず、大抵はまた1からつくり直すしかありません。
 工程が多くて疲れますし、洗い物も多いですし、時間だってものすごくかかります。いちかたちは色々と度外視していますが、バターや生クリームなど、材料費だってバカになりません。1回つくったらもうヘトヘト。なのに、ちょっとしたミスだけで手間も時間もお金も全部ムダになってしまいます。お菓子づくり、恐るべし。
 (実は自分用として多少の不出来を許容するなら、目分量のテキトークッキングでも案外どうにかなるんですけどね。しかしいちかたちの目指すところはそこではありませんし、そもそもシュークリームに限ってはテキトーじゃそれらしいかたちにすら仕上がりません)

 色々とリソースをたっぷりつぎ込んで、なのにリターンは一切ない。こんな辛いことはそうそうありません。しかも次はうまくいくという保証すらない。
 趣味でお菓子づくりに挑戦する人は大抵この不毛さに挫けそうになってしまいます。いちかたちの見せる暗い顔はお菓子づくりをする人誰もが一度は通る道。
 では、それでもお菓子づくりをやめない人はどうやってこの辛い気持ちを乗り越えているんでしょうか。

初心のありか

 「そういうときはね、いつも思い出すの。始まりの気持ちを」
 いちかたちにお菓子づくりの先生はおらず、従って、助言を求める相手はお菓子づくりの門外漢になります。ですが幸いなことにいちかが助言を求めたまりこお姉さんはバレエダンサー。彼女のようなパフォーミングアーツのアーティストはアスリート同様の地道な努力が要求されるため、いちかがぶつかっているような不毛さもしばしば経験するものです。

 そんなまりこお姉さんがくれた助言は、初心を思い出すことでした。
 いちかたちの初心といえば・・・
 「だってこの思いを伝えるには、まりこさんの大好きを贈るしかないもん!」
 「大好きなものが一番うれしいですよね」
 「へへっ、あえていくってか」

 このあたり?

 ・・・いいえ。まりこお姉さんはさらに言葉を繋げます。
 「女の子はね、『大好き』から気持ちが始まるの。だからときどき思い出すのよ。気持ちが始まったそのときを、大切な思いの始まりを。思いは女の子の輝く力になるの」
 いちかたちの初心とは、まりこお姉さんに喜んでもらうことだったでしょうか。もちろんそれも大切な気持ちのひとつです。ですが、一番の気持ちが本当にそこだったかというと、実はそんなことはありません。

 ひまりはひとり振り返ります。みんなで笑いあった時間を。みんなで手を重ねて「みんな頑張ろうって」誓いあったときの気持ちを。
 あおいはひとり振り返ります。リサイタルのチケットをもらったときみんなで共有したうれしさを。「みんな一緒に笑顔になったのに」 みんなと一緒に楽しんでいたお菓子づくりの過程を。
 いちかたちはまりこお姉さんに贈るためにシュークリームに挑戦しました。けれどそれはきっかけでしかありません。彼女たちのお菓子づくりにかける情熱の源泉はそこではありません。それはもっとずっとシンプルで、利己的ともいえるくらいに個人的な都合。
 いちかたちは「大好き」だからシュークリームに挑戦しました。何が「大好き」かって? それはもちろん、みんなでお菓子づくりをする楽しさが、です。

 「やっぱり諦めたくなんかない!」 だって、楽しかったから。同じ楽しさをこれからも楽しみたいから。
 「やっぱりみんなとつくりたいです!」 だって、楽しかったから。みんなと過ごせる時間が嬉しかったから。
 「みんなでもう一度頑張るか!」 だって、楽しかったから。辛くても難しくても、それでも楽しかったから。
 楽しくなければお菓子づくりなんてやってられるもんか!

 第1話、ショートケーキに初挑戦するいちかはテンション高く、自らの手でスイーツをつくる喜びに満ち満ちていました。
 第2話、幼い頃のひまりは心からプリンを愛していて、それ故に語りだすと止まらない悪癖となってしまっていました。
 第3話、いちかにはあおいの悩みを解決しようという意図なんて毛頭なく、ただ自己表現として彼女に見立てたアイスクリームをつくりました。
 お菓子づくりは難しいです。苦労することもたくさんあります。ただ食べたいだけとか、ちょっとした贈り物に使いたいだけとか、その程度の気持ちじゃ到底やってられません。それでもお菓子づくりを続けられるなら、それはきっと、あなたがお菓子づくり自体を大好きだからです。

 「やっぱりみんなでつくるのは楽しいペコ!」
 スイーツはみんなで協力しあってつくるもの。つくること自体が楽しいもの。
 こうしてキラキラプリキュアアラモード序盤におけるスイーツの立ち位置は定義されました。
 おそらくプリキュアたちの担う個別テーマと同じく、彼の立ち位置もまた年間を通して少しずつ変わっていくことでしょう。なにせスイーツはこの物語における主役のひとりですから。その立ち位置が変遷するごとに、この物語はそれ自体どんどん味わい深いものへと進化していくはずです。
 来年1月が楽しみですね。

その他細々したことをとりとめなく

 パティスリーシュガー。今回登場したお店は第1話でキラキラルを奪われた被害者です。スタッフロールで特別扱いされているだけあって、さっそく再登場しましたね。
 公式サイトの次回予告に「いちかとひまりが出会った洋菓子店の娘~」とあったのでてっきり第2話のヴィテラスさんかと思っていたんですが、「出会った」のはいちかとひまりのことではなく洋菓子店の娘の方だったんですね。ニホンゴムツカシイ。

 「明日バレエの発表会なの」 このセリフが何気にヤヤコシイ。ここで彼女が言っているのは公園での青空ダンスのことだと思われます。(なんでこの人板張りじゃない原っぱでバレエできるの・・・?)
 その後いちかたちにチケットを渡して、別の日程の「Ballet Recital」にも招待してくれるわけですが、困ったことにいちかたちはこちらのことも同じく「発表会」と呼んでいるんですよね。ヤヤコシイ。
 今回ちょっと時間の経過がわかりにくくなっているので軽く解説してみました。日中にバレエ見て、シュー生地何度も失敗して、それでなお一晩猶予あるってすごいなと最初思っちゃいましたよ。

 キラキラパティスリー。特に説明もなくいきなりカバンから再出現しましたが気にしちゃいけません。子どもたちはオモチャ売り場でこのギミックを見慣れているんです。不思議なことなんて何ひとつありません。オッサンオバサンは頭を柔らかくして早く子どもたちの思考に追いつきましょう。(熱弁)

 スイーツノート。かわいい。ひまりさん見せ場が少なくてもこういう部分であざとイエローっぷりを存分に発揮できるのでお得な子ですね。それにしてもモフルンさん、魔法つかいプリキュア!50話といい、映画といい、そして今回のイラストといい、この子何回スイーツ化されるんですかね。

 「ホントに透けてる!」 そこにツッコミ入れるのも大事ですが、あなたはまずしれっとペコリンに馴染んじゃってる自分に対して自己ツッコミ入れてください。

 木べら、泡立て器。いちかさん、あおいさん、なんで今回あえて逆手で持ってるんです? いえまあ私も子どもの頃はこういう持ち方してましたが。絶対使いにくいですよその持ち方。

 洗い物。ボウルはふきんで拭かずに自然乾燥させたがいいんじゃないかなーとか思ったり。お菓子づくりだとメレンゲのように(ふきんから移る)ちょっとした汚れが失敗の原因になることもあるので。

 「レッツ・ラ・クッキング!」 そういえば第1話の実写演出、あれ1話限りだったんですかね? どう見てもバンク化を意図した演出だと思ったんですが。

 キラキラパティスリー入口。あんな暗くて長い廊下があったらお客さん入りにくいなんてもんじゃないっス。

 映画CM・キツネ仮面。モコモコじゃない衣装でここまでしっかりスカートの中を見せるのは・・・はしたないですよ、シなんとかさん。

 シュークリームづくり再チャレンジ。BGMのドラムの入りが完璧。今年の音響は心情表現が特に表情豊かですね。

 あおちゃん/ひまりん、いちか/ひまり、いちかちゃん/あおいちゃん。いわゆる名前呼びイベント。ですが今年はそもそもみんなで仲よくお菓子づくりをするのが大前提なので、ここにはあえて大きくフォーカスを当てないようです。

 シュックリー。まさかあの見た目で高速キャラとは。もしエクレアを食べたらまさに電光石火ですね。
 ところでこの人オープニングでは色合い白いんですがどういうこと? あれ別人とか? 次回またオープニング未登場の妖精が現れるようですし、いったい何人いるのやら。

 「あれ、今笑われちゃったかな?」 下り階段でぴょんぴょん跳びはねるようなアクロバットを見せられたら、そりゃ、まあねえ。次回、たぶん今作一番の問題児主役回。

 スワンシュークリーム。圧巻の難易度星3つ。これでも上にはまだうさぎショートが君臨しているというステキ。あちらは明らかにデコレーションの難易度がトンデモでしたからね。
 加熱しながら生地を練る。焼き加減を間違えるとしぼむ。シュー皮の一番難しいところは劇中でしっかり描写されていました。あれ見てつくりたいと思ったお母さんはぜひ頑張ってみてください。難しい難しい言われているイメージよりは・・・そこまでいうほどのものでは・・・ない気がしないでもない・・・はず・・・。
 ちなみにスワンシュークリームは他のアニマルスイーツとは異なり、昔からあるデコレーションのひとつです。昔ながらのケーキ屋さんを探せば今でも売っているところがありますよ。

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