エリーのアトリエGB 反抗期イベントの感想

どうしてボクこんなことしたのかなあ。お姉ちゃんのことこんなにも大好きなのに。

 キラキラプリキュアアラモード第23話の絶望したシエルとピカリオのやりとり見ていたらなんとなく思い出しちゃいまして、懐かしのゲームを掘り出してきました。いえまあいうほど似てないんですけどね。

とりあえずゲームの概略

 なにやら2017年はアトリエシリーズ20周年とかなんとか。いやはや私も歳を取るわけです。
 今作はアトリエシリーズ初の携帯機派生作になります。メインシリーズ第1作と第2作の外伝がポケモンみたいに一部差分有りな感じで同時発売されました。私が買ったのは2作目の方。
 アトリエシリーズの携帯機展開は昔から外注でして、今作はイマジニアが製作担当しています。まあ外注の割には悪くない出来です。元のタイトルがプレイステーション向けなのにゲームボーイで展開するって結構な無茶だと思うのですが、これがなかなかどうして色々と工夫されていて、多少テンポは悪いながらもそれなりにそれっぽく遊ぶことができます。
 あと音楽がすごくいい。当時のアトリエシリーズはゲーム性の新しさとともに、BGMやフルボイス対応といった音響周りが高く評価されていました。その名曲群がゲームボーイのピコピコ音アレンジで聞けることに感動したものです。
 もっとも、その後ワンダースワンカラーやゲームボーイアドバンス向けに発売された後継シリーズが本編に勝るとも劣らない名作揃いだったので、結果的にこちらの知名度は微妙なものとなってしまい・・・あ、嘘です。後継シリーズなしでもこのゲームはテンポ悪すぎで当時から投げ売り状態になっていました。さっきネットで検索したらレビュー記事が少なくて悔しかったので見栄張りました。

 物語としては元のタイトルのエンディング後、主人公エリーが見習い妖精さんを預かり修行を施すことになるというものです。やる気ブイブイで子どもらしい性格の妖精さんがとにかくかわいらしい感じ。暖かな住人の多いザールブルグの街を舞台にハートフル(たまにハートフルボッコ)な物語が楽しめます。
 ちなみに漫画化もされました。ゲームが2000年発売なのに対して、恐るべきことに最新刊2015年発売です。ゲームボーイ版オリジナルキャラがほとんど出てこない(レギュラー化したのは妖精さんとミリィとウーナくらい?)ので、もしかしたら原作がゲームボーイ版だと知らない読者も少なくないのかもしれませんが。

本題:反抗期イベント

 このイベント、好きなんですよね。冷静に見るとなんてことのないイベントなんですが、どうしてか私がプレイしてきたゲームの中で一番好き。

 (あらすじ)エリーと妖精さんが一緒に暮らしはじめて3年目。たくさんの想い出を重ねてだいぶ仲よくなったふたりですが、ある日を境に何故だか時折妖精さんが不機嫌そうな顔を見せるようになります。気にはなりますが、すぐに機嫌が直ることもあってエリーには様子見することしかできません。
 ところがある日、何の前触れもなく妖精さんの不機嫌が爆発します。「・・・もういいよ。何かしたいならお姉ちゃんがひとりでやったら。ボクなんかほっといてさ」 思い当たることのないエリーはどうしたらいいものか困り果て、何かしてあげられることはないかと自宅中を探し回ります。ですが妖精さんの機嫌は直りません。エリーに冷たい言葉を吐き続けます。それでもエリーは挫けません。大好きな妖精さんのため、楽しかった日々のために必死で何かできないかと考え続けます。
 やがて妖精さんは不思議に思います。こんなに冷たくしているのに、どうしてお姉ちゃんは一生懸命にがんばってくれるんだろう。エリーの努力する姿に心を解きほぐされた妖精さんは泣きじゃくりながら彼女に抱きつくのでした。

 このイベントの発生条件は特定の期間に入っていることだけです。何か特別なフラグを立てる必要はありません。実質的にほぼ強制イベントです。
 一度イベントが発生すると、解決するか一晩眠るかするまで何もできなくなります。ちなみに一晩眠ると妖精さんはすっかり機嫌を直していて、どうしてあんなに機嫌を損ねていたのかはわからずじまいになります。
 イベント中主人公は自宅中のあらゆるものを調べることでイベントを進行させていきますが、その中に調べるべき正解はありません。妖精さんが機嫌を直すまで総当たりで何度も何度も同じ場所を調べて回ることになります。実際にプレイしていると本当に何をするべきかわからずひたすら右往左往するしかないんですよね。イベントトリガーの一部が気づきにくいところにあるせいもあって八方塞がりな気分も味わったり。

 要するにこれ、子どもの第二次反抗期をモチーフにしたイベントなんですね。何が目的だとか何が原因だとかそういうものは一切なくて、ただ心の発育に伴って、今までのようではなんとなく嫌だと思うようになってしまう。
 目的も原因もないのですから、彼らに接するための絶対の正解はありません。絶対の、というかむしろ正解そのものがありません。そのくせ放っておくのだけは間違いなく悪手です。ときが過ぎれば反抗期は収まりますが、そのときどんな対応をしてもらえたかを子どもたちは一生忘れません。
 ヤヤコシイですが、ある意味ではどんな自分でも受け入れてくれる広汎な愛情を求めているんだという見方もできるでしょう。まあ実際は受け入れるだけなのも反発されがちなのですが。

 エリーは努力します。何が起こったのかすらわからず、それでもとにかくがむしゃらに。自分にできること全部を検討します。
 「ねえ、どうしちゃったの?」
 「黙ってちゃお姉ちゃんわからないよ・・・」
 「どうでもいいなんて悲しいこと言わないでよ」
 「なんとかしなきゃ。・・・ううん、なんとかしよう!」
 「ねえ、これ好きだって言ってくれたよね」
 「何か、何かなかったかな・・・」
 「あの子が喜びそうなもの・・・」
 「こんなにたくさん本があっても何の役にも立たないなんて」
 「・・・泣くもんか」
 「また一緒に参考書読むんだもん」
 「でもどうしたらいいの?」
 「私、君のこと好きだよ。がんばって当たり前でしょ」

 結局何ができたというわけではありません。ただその一生懸命な姿から妖精さんが愛情を感じ取っただけです。
 それだけのイベントではあるのですが、プレイヤー自身がエリーと一緒に自宅中を右往左往することで、自分がどんなにか妖精さんのことを好きになっていたのか、じんわりとと気づかされるんですよね。そしてそれを自覚したタイミングで妖精さんに言ってもらえる「大好き」。
 もうキュンキュンですよ。ああ、がんばった甲斐があったなあって。この子と一緒に過ごせてよかったなあって。

 灰色化するのをわかったうえでシエルのためにワッフルを焼いたピカリオの姿を見てふと思い出しちゃいました。
 数年ぶりにプレイしましたが・・・やっぱりこのイベント、いいなあ。

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