徒然チルドレン 第4話の感想兼カップルまとめ

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 恋愛はまるで五里向こうまで霧の中にある樹海のよう。
 迷える冒険家たちが手探りでそれぞれ自分だけの道を切り開いていきます。

幼馴染みペア

「そんなにしたければすればいいじゃない!」
「そ、そういうのはもっと段階踏んでからだろ」

内山千秋(茶髪ショート) × 飯島香奈(茶髪ロング)

関係性:長いことツルんできた幼馴染み
チグハグ要因:恋愛観の相違

 夫婦漫才が持ち味と見せかけて意外と重い話だらけのペア。
 千秋くんの言動にいちいちサイテー感が付きまといますが、これ本人の人格に問題があるわけではなくて、ふたりの「好き」の質が根本的にズレているのが原因なんだと思うんですよね。
 千秋くんの恋愛観は、例えるなら自宅でまったり過ごす夫婦みたいな感じ。恋人関係に求めるものは安定した関係性で、飯島さんとはいつまでも気の置けない付き合いがしたい。一方飯島さんの恋愛観はテレビドラマのようなロマン。キスにこだわることからもうかがえるように、彼女は恋人というものに劇的な変化、刺激を求めています。恋愛に求めるものが180度違うのですから噛み合うわけがありません。

 このふたりは相変わらず難しい。
 いつまでも気の置けない付き合いがしたい千秋くんと、ドキドキするようなこいびとらしいことがしたい飯島さん。千秋くんには飯島さんがどうして急に身体を許したのか理解できません。飯島さんはどうして千秋くんがいつまでも手を出してくれないのか理解できません。あまりにも大きすぎる価値観の相違。そのギャップがふたりともを焦らせてしまうのです。
 飯島さんはヘタれな千秋くんにも恋人らしいことができるよう、精一杯の勇気をふりしぼって彼に全てを委ねます。千秋くんは性急な飯島さんの期待に応えられるよう、精一杯の思いやりを込めて彼女の望んでいることを考えます。けれど彼らを隔てる溝はあまりに深く、結局行為は未遂のまま。

 セックスって難しいですよね。まあね、自分が気持ちよくなるだけならね、ぶっちゃけ、相手の身体にひたすら自分の粘膜を擦りつけるだけで充分気持ちよくなれるんです。37度のやわらかねっとりディルド / オナホ―ルは素晴らしい! だけどそんなひとり上手じゃ、せっかくふたりで身体を重ねているのに寂しいだけなのですよ。本当はお互いにお互いの嬉しいことをしあえたら一番幸せなんだけれど・・・。
 恋人といってもしょせんは多少距離が近いだけの他人なわけですよ。そこを忘れちゃいけない。相手のことをよく知らなければ、喜ばせてやることのひとつもしてあげられやしないんですから。

鬼畜眼鏡&流され乙女ペア

「じゃあどうしてほしいんだい?」
「だ、だから・・・。なんで私が、そんな」

赤木正文(黒髪眼鏡) × 梶亮子(脱色ロング)

関係性:支配する側とされる側
チグハグ要因:要求がいちいち率直すぎて戸惑ってしまう

 テンプレ生徒会長キャラとテンプレ不良キャラです。シチュエーションもこの組み合わせのテンプレ。今後も全く期待を裏切りません。このアニメにおいてテンプレは褒め言葉(のはず)。
 赤木の梶さんへの態度は完全に固定されているので、梶さんがどこまで相手の要求に応えられるかがこのペアのお話の核になります。何気にふたりとも思いやり深く献身的なのでチグハグ感はあまりありません。

 直前のカップルからの落差がヒドい。赤木の言動がいちいち梶さんに刺さるのは、彼が彼女のことをいつも見ていたからなんでしょうね。「確かに僕も梶さんと寝られるなら寝たい!」とか言われても、ハタから見ている私からするとハハハ何言ってんだコイツってな具合ですが、ところが梶さんの乙女心にだけは刺さる。
 怒濤のクリティカルラッシュを受けて梶さんが順調にデレていきます。ラストのキスシーンを見ながら、なんとなくミートハンマーで丁寧に叩きほぐされたステーキ肉のイメージが思い浮かんでいたのはナイショ。

お姉さん弄び系ペア

「私には古屋くんの方が本気か遊びかわからないわ。・・・いいの。諦めるわ」
「・・・いや待てよ。これも本当は皆川さんの演技で、本当は僕が引き留めるのを待ってるんじゃ――バカか! 僕が悪いんだ!」

古屋純(緑髪坊ちゃん刈り風) × 皆川由紀(赤髪ストレートロング)
+ 古屋ほたる(三つ編み)・・・小姑

関係性:からかう側とからかわれる側
チグハグ要因:からかわれすぎて素直になれない

 同い年なのにちょっぴりオネショタ風。強烈な個性みなぎる皆川さんがぐいぐいリードしていくペアです。ただし、ほたるちゃん参戦以後はイジりのターゲットが専らほたるちゃんに。似たもの兄妹ですね。オネ・・・ロリ?
 このペアがうまくいくかどうかの鍵は古屋くんが握っています。皆川さんは賢いくせに、相手に素直になってもらえないのをわかっていながらついついからかってしまう難儀な子です。そんな彼女を受け入れてあげられるかどうかだけが恋人関係に至る唯一の障害になります。他に障害があってもハイスペック皆川さんが全部クリアしちゃうし。
 ちなみにほたるちゃんああ見えて1個下です。

 赤木押せ押せラッシュの次は、また雰囲気ひっくり返ってひたすら受け身な古屋くんのターン。
 いつもは皆川さんに振り回されっぱなしで主体的に行動できなかった古屋くんですが、皆川さんの素っ気ない態度を受けてひとつ自覚します。
 「本当は僕が引き留めるのを待ってるんじゃ――バカか!」
 「皆川さんだって少しは未練とか――違う」

 今までの自分は皆川さんに一方的に甘えていただけだったんだなと。この子、やっぱり誠実ですよね。カッコイイ。

 賢いくせに素直に求めることだけはできない、きわめてメンドクサイ性質の皆川さん。彼女が本当に欲しかったものを受け取れるまでもう少しだけ時間を要します。今はほんのひとカケラの幸せだけ噛み締めて待ちましょう。
 「・・・よかった。ちゃんと見ててくれて」

難聴系ヒロインペア

「人づてだけど、ちゃんと告白した勇気に応えたい」
「菅原くんは優しくて本当にいい人だよ。私だったら・・・」

菅原卓郎(赤髪ショート) × 高野千鶴(栗色ツインおさげ)
+ 吉永倫子(ココア色髪デコ出しスタイル)・・・菅原にフラれた高野の友達

関係性:思いを伝えたい人と伝わらない人
チグハグ要因:自分が恋愛対象になりうると考えてもいない

 決して耳が悪いわけではないのですが、この娘の言動は明らかに難聴系ラブコメ主人公のソレ。とにかくどうがんばっても好意が伝わらないセメント女子に精一杯好意を伝えようとする男子という構図がほほえましいペアです。とはいえ涓滴岩をも穿つ。セメント女子にも最近やっと変化が表れはじめました。
 難聴系ヒロインとしての魅力大爆発な高野さんにばかり目がいきがちですが、菅原くんの健気さも注目すべき点だと思います。少年向けラブコメ作品らしく男子側にやたらとヘタレ(と朴念仁)が多いこのアニメですが、そのなかで彼は初期から積極的に告白に挑んでいます。肝心なところではやっぱりヘタレだけれど。
 吉永さんはせっかくラブコメ友人枠的に超おいしい立ち位置にいるんだから、もっとガッツンガッツン目立てばいいのにー。

 お互いまるで気持ちが届いていないチグハグ、片方だけ一方的に気持ちを届かせているアンバランス、気持ちを伝えるために必要な事前段階と、十人十色のギクシャクした恋模様を映しだして、さて今回もトリを務めるのはこのペア。気持ちが伝わらないもどかしさに誰よりも苦しんでいる菅原くんほど今話のトリにふさわしい人はいませんね。
 どれだけ一緒にいても、どれだけ勇気をふりしぼっても、決して気持ちを届かせることができなかった菅原くん。けれど告白を諦めてしまった最後の最後に奇跡が起こります。高野さんの背中に向けて祈るように空を掴んだひとりぼっちのハグ。その切なる思いは時間差を置いて、本人のあずかり知らぬところで思い人の心を抱きしめるのでした。
 剛壁無疵のセメントに見えて、実は菅原くんの恋心はちゃんと高野さんの心にも響いていたんですね。何度もコイバナを聞いているうちにアテられたというか。
 たとえ伝わらないように見えても、ずっとひとりを思い続けていれば、その思いはいつかきっと届く。届いたらいいよね。どうか届きますように。その優しく甘い余韻は、ラブコメというどうにももどかしい物語の行く先に一筋の希望を探り当て、今週もまた4つの掌編を締めくくります。

 ところでこのエピソードの後日談、私大好きなんですが、はたして映像化はされるのでしょうか。今までの感じだと無理そうかなー。

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