キラキラプリキュアアラモード第32話感想 悪意の闇を打ち破る、バラバラの個性。

見て。私たちもみんな違う。苦しみも悲しみも別々だからこそ、お互いに心を支えあうことができるの。

キラキラ☆プリキュアアラモード! Blu-ray Vol.1

(主観的)あらすじ

 6つのクリスタルが揃いました。けれどいちかたちにはこれをどう使えばいいのかわかりません。どうすればいいのか教わるため、いちかたちは昔のプリキュアに会いに過去へ向かいます。
 その時代はノワールの闇に覆われ、人々は心にキラキラルを失っていました。昔のプリキュア・ルミエルはこの時代、闇を晴らすためにノワールと戦い、そして、みんなの心にキラキラルを取り戻すためにスイーツづくりをしていました。彼女は言います。みんなの笑顔を守るためにプリキュアになった。だからどんなに闇が深くなろうとも絶対に諦めず、スイーツをつくり続ける。それが私の戦い方。
 いちかたちはルミエルを手伝います。いつものように5人の個性を生かしてチームワークを発揮させると、瞬く間にたくさんのスイーツができあがっていきます。それを見てルミエルは理解しました。クリスタルの秘密は個性の輝き。みんな違う個性こそが、いちかたちに目覚めつつある新しい力なのだと。
 今の時代に戻ると、いちかたちは新しい力で、ノワールに騙されていたビブリーを闇から救い出します。輝く個性の新しい力・キラキラルクリーマー。みんなバラバラな個性をひとつの目的のために束ねると、今までは全く違う強い力になるのでした。

 新アイテム販促回。前回から大仰に引っぱっていたビブリーの心の闇は割とさらっと流され、物語の主軸は個性の話にフォーカスして展開します。うん、知ってた。ビブリーとノワールのディスコミュニケーションがノワールの悪意によって形成されている以上、キラキラプリキュアアラモードとしてはそれを解きほぐすのではなくはねのけるのが使命だって。この悪意とビブリーの孤独は全く別の問題として処理されなければいけません。
 ルミエルがいた時代は街の人々の服装からして明治時代中頃でしょうか。そんだけ古かったら時計台の建設ウンヌンはもはや関係ないだろとかそういうツッコミは我慢我慢。子どもにとっては10年前も100年前もどっちも生まれる前の出来事です。ルミエルのプリキュア衣装に至ってはコルセットにバッスル、たっぷりとしたフレアスカートと、まるっきり鹿鳴館の流行。年増圧倒的なお母さんパワー。

ビブリー

 今回、ビブリーの問題はいちかたちが新しい力を求める動機付けとしてのみ扱われます。
 上でも書いたとおり、彼女の心が闇に染まった原因にはノワールの悪意が色濃いからです。きっかけはあくまで彼女自身の孤独感ですが、それを増幅させたのは他人の悪意。きっかけの問題に着手するためにはまずノワールの介入をはねのけなければいけません。
 ビブリーとノワールの関係は、ビジュアル的にはドキドキ!プリキュアのレジーナとキングジコチューによく似ていますが、ノワール側が純然たる悪意という意味ではむしろハピネスチャージプリキュア!のつむぎとブラックファングに近いですね。こころおきなくブン殴れる相手というわけです。
 「ノワール様、見ていてください。私の最後の晴れ舞台を」
 子どもにそんなものを望む大人がいるものか。

 「助けて! 助けてよ! 私、騙されていたのよ! 全部嘘だった。ノワール様の愛が私を救ってくれたと思っていた。でもそうじゃなかった。本当は・・・ノワール様が私をひとりぼっちにしたのよ!」
 かくしてビブリーの心を支えていた愛はその本性である悪意に転じ、後には絶望と他人への不信だけが残ります。
 「これ以上は絶対に許せません。人の心を闇に染める、ノワールの行いを」
 相手が他人への不信(繋がることを拒絶するディスコミュニケーション)なら、「大好き」でみんなの心を繋いでいくキラキラプリキュアアラモードの出番です。けれどその前に・・・他人への不信を助長しようとする悪意があるのなら、プリキュアは何よりも優先してまずそいつをやっつけるための力をつけなければいけません。

 「つむぎちゃん、ごめん。つむぎちゃんを元気づけられること、カッコよく言えたらいいんだけど、どう言えばいいかわかんないや。プリキュアなのにね。つむぎちゃんの気持ちもわからないのに、助ける方法もわからないのに、助けるなんて無責任なこと言って、傷つけて、ホントごめん」
 過去一番に不器用だったプリキュア、愛乃めぐみが語るプリキュアの限界。私とあなたはどこまでも別の人間。あなた個人の問題には、窮極的には誰も、たとえヒーローですら介入することができない。結局ヒーローは他人を救えない。
 だから近年のプリキュアは自分自身を高める方向にテーマをシフトさせてきました。みんなで強くなれば、ヒーローですら救ってあげられない問題も自己救済できるから。
 「でも私、やっぱりつむぎちゃんを助けたい! 友達だから! 何言ってるんだって思われるかもしれないけど、でも諦めたくないんだよ!」
 「私ひとりじゃ頼りないかもしれないけど、プリンセスたちもいるよ。私たちみんなが全力でつむぎちゃんの力になるから!」

 無力なヒーローの存在意義。かつてめぐみが示したその答えは、あなた自身が強くなるための支えにならなれるというものでした。

 3世代後のいちかたちがいよいよこの論理を超えていきます。
 心の弱さと悪意を切り離し、前者には「大好き」の架け橋で、後者にはもっと新しい力でもって別々に戦うことを考案します。
 そうすればもっと主体的にみんなを守れる、もっと強いヒーローになれるから。

 すべてはみんなを笑顔にするために。
 自分自身の「大好き」を育むことから始まり、次に「大好き」を贈りあってみんなを繋ぐ力を手にしたいちかたちの、その次のステップ。
 悪意との戦いに至る論理はこうして繋がりました。

ルミエル

 「教えて! どうしたらこの闇を打ち破れるのか!」
 「昔のプリキュアが呼んでるペコ!」

 ・・・というフリに従って時間まで越えたというのに、いざ来てみればルミエルは知らないと言いだします。呼んだのは当時の彼女じゃなくて未来の昔のプリキュア(ややこしい)だから仕方ないね。

 じゃあ何のためにルミエルがいるのかといえば、それはたぶん、いちかたちを見る外部からの視点が必要だったからなんでしょうね。
 「ルミエルさんってまるで・・・あっ、キラッと閃いた!」
 「街を守るお母さんみたいなルミエルさんをデコレーションしてみました!」

 いちかたちが“ウサギ”や“リス”のプリキュアなら、ルミエルは“お母さん”のプリキュアです。
 お母さんは子どもたちを誰よりもよく見てくれるもの。子どもたち自身よりも深く子どもたちのことを理解してくれる存在です。

 「教えてください。あなたがこのクリスタルを私たちに授けてくれた理由を」
 その答えをルミエルは持っていません。
 けれど代わりに、彼女は今のいちかたちがどういう子なのか見てあげることならできます。お母さんの視点で。
 「はーい! 昔のプリキュアさん、お願いです! 私たちにスイーツづくり、手伝わせてください!」
 「ふふ。それなら叶えられるかも」

 お母さんのお手伝いをしたがるのは子どもが成長した証。

 しかもいちかたちと来たらステキに手際がいい。
 「ハイ! ――ピッタリです!」
 「力仕事は任せて」
 「おっと、今度は向こう。はい、卵追加」
 「ありがとう」
 「ジャストタイミング!」
 「パーツにお顔を描いて、カップケーキにホイップデコレーション、さっきのお顔を乗せて・・・できあがり!」

 ひまりは知識が深くて、あおいは力仕事が得意、あきらは気づかいが上手、ゆかりは何でも器用、シエルは一流の技術を持っていて、そしていちかはステキなデコレーションができる。
 この6人はそれぞれ全く別の個性を持っていて、しかもそれらを息ぴったりに合わせることができます。
 そもそもスイーツに懸ける思いからしてバラバラだったはずなのに、「大好き」をみんなに伝えるというひとつの目的のもと、いつのまにか気持ちをひとつにできるようになっていました。
 ウサギ、リス、ライオン、ネコ、イヌ、ペガサス。6つのバラバラな姿で現れたクリスタル。その意味に、いちかたちを優しく見つめるお母さんの瞳が答えを見つけだします。
 お手伝いをやり遂げたいちかたち6人がそれぞれに見せる、その輝く笑顔は、6つの姿を持つクリスタルと同じ輝き。
 「これが新しいプリキュアの力」
 得心します。

 ノワールの襲撃。
 「私たちも手伝います!」
 「私たちも一緒に!」

 ああ、この子たちはこんなにも優しい。
 けれど今のルミエルは何にも優先していちかたちに示さなければなりません。人にはそれぞれ個性があることを。
 いちかたちが“ウサギ”や“リス”のプリキュアなら、ルミエルはこの時代の“お母さん”のプリキュア。
 「ありがとう、未来のプリキュア。でもあなた方が守るのは未来。この時代は私が守ります!」
 “お母さん”としての自分の個性を示すことでもって、いちかたちにもそれぞれの個性の輝きがあることを伝えます。
 それこそがノワールの悪意の闇すら打ち破る、プリキュアの新しい力であることを。

 「わかったのよ、6つのクリスタルの意味が。それはあなた方ひとりひとりの個性の輝き。それが今目覚めようとしている。クリスタルのかたちは新しい力のかたち。そして気付いたの。私の中にもある、その輝きの力の強さを!」

プリキュア・アニマルゴーランド!

 「大好き」の思いはスイーツに乗って、どこかの誰かに届きます。だからスイーツを食べてもらうことを諦めない限り、絶望した人や孤独な人にすらも働きかけることができます。
 しかしそのパワーは悪意の闇には届きません。彼らには誰かと繋がろうという意志がそもそも存在せず、従って彼ら自身には絶望も孤独もなく、どうやったってスイーツを食べる理由がないからです。
 悪意に対抗するためには、心を繋ぐ「大好き」の思いではなく、断固としてはね除ける強い力が必要です。

 とはいえ新しい力の源泉も、結局のところは「大好き」から始まります。プリキュアですから。
 「何がわかるのよ。あんたたちと一緒にしないでよ。私となんか全然違うくせに!」
 ノワールの影響下にないビブリーの孤独は、今までと同じ「大好き」のパワーで解決可能なもの。
 「そうだよね。みんな違うよ。でも、違うからお互いに助けあって、気持ちを分けあうんだよ」
 だからここまではピカリオを救ったときと同じ論理。
 けれど今回はビブリーに「大好き」が伝わる前に、ノワールの悪意が妨害します。
 「ノワール様はお怒りだぜ」
 さて、そのときどうするか。
 ルミエルが教えてくれました。思い返せばいつもしていたことでした。
 「見て。私たちもみんな違う。苦しみも悲しみも別々だからこそ、お互いに心を支えあうことができるの」
 みんなで助けあうこと。バラバラの個性で補いあって、それぞれの心に闇が入り込む隙をお互いに塞ぎあうこと。
 だからこそ「大好き」で繋がりあった今この新しいステップへ踏み出すのであって、だからこそ今改めて個性がバラバラであることのステキを確認したわけです。

 結局ひとりで強くなる道は辛く険しいものです。ストイックに自分の強さを追求したGo!プリンセスプリキュアの春野はるかですら、隙を突かれて一度は絶望の闇に心を染めてしまいました。
 もしかしたら誰の力も借りずに闇をはね除け、誰の力も借りずに自分の問題に対処できる人もいるかもしれません。けれどみんながそうではありません。少なくとも、最初からそうではありません。
 だから、みんなの笑顔を守るためには、誰もができる方法によって悪意の闇と戦わなければなりません。

 だからキラキラルクリーマー。
 “お母さん”がくれた祝福をベースに、6人それぞれの個性を混ぜ合わせてつくった個性の合成物。あらゆる強さと弱さが混じりあい、闇につけ込まれる隙を徹底的に塞いだ無敵のプロテクト。輝く個性で紡がれた破邪の力。
 「大好き」で悪意はやっつけられませんが、「大好き」でつながるみんなの個性が悪意の闇をはね除けてくれます。

 ヒーローに他人は救えません。あなたの問題は結局あなたにしか解決できないからです。
 けれどそれを理解してなお、愛乃めぐみはつむぎちゃんに寄りそいました。強くならなければならない孤独な魂を支えてあげるために。
 キラキラプリキュアアラモードがその意志を継承し、発展させます。
 「大好き」で心を繋ぎあい、みんな一緒の笑顔を目指します。
 「大好き」で心を守りあい、忍び寄る悪意に打ち勝ちます。
 確かにあなたの問題はあなたにしか解決できないかもしれませんが、だからといってひとりぼっちでストイックに戦う必要なんてないはずです。

 私が支えるから、いいえ、私とあなたで支えあうから、だからどうか、みんな一緒に笑顔になりましょう。

今週のアニマルスイーツ

 カンガルーカップケーキ。難易度星2つ。
 なんだか久しぶりのアニマルスイーツですね。ただしレシピは(バタークリームの味付け以外)コトリカップケーキと全く同じだったりします。

 本編ではカンガルーをあと乗せしていましたが、レシピでは直接カップケーキのうえに絞って成形していますね。まあバタークリームですから、ラップのうえで作業して冷やせばきれいに剥がしてあと乗せすることもできますし、どっちでやっても問題ないでしょう。
 レシピの方が手づくり感あふれる造形をしていますが、なぜかこっちの方が本編よりもカンガルーっぽく見える不思議。そういえばカンガルーの顔の特徴ってどこにあるんだろう。

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