ゼノブレイド2 プレイ日記 最終話「そして少年は少女と出逢った」その2

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なあ――。生まれてみて、どうだった。

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

絆をつなぎ、前を見る物語。

(主観的)あらすじ

 そして希望と絶望が激突します。生まれてきた目的を果たすために。生まれてきた理由を知るために。
 ここに至るまでたくさんの血が流されました。たくさんの命が損なわれました。たくさんの想い出が失われました。それらが積み重なって、目の前に道ができました。道の果てに自分だけの役目が生まれました。この戦いは、それで全部でした。
 万物を憎む呪いによって生まれたメツは、それでも満足そうにその生涯を終えました。連綿と続いてきた生命たちの絆は、この瞬間、希望とともに未来へと渡されることに決まったのでした。

 ――軋み。
 斯くしてレックスたちの生は未来へと受け渡されます。
 世界で一番近しい人の命を、道に変えて。
 崩れ落ちる旧世界のガレキの塔に背を向けて、レックスたちは最も新しい朝日のその向こうへと旅立っていきます。

 それでもやっぱり、ああ、神様。できることなら、ほんのわずかでいいから、もう一度だけ、たった一言、最後に、どうしても。
 この私の思いを、あなたに。

 いくらネタバレ警告を出しているにしても、さすがに新作ゲームのエンディング内容をたれ流すのはどうかと思ったので、とりあえず全力でポエムってみました。(でもあらすじを書くこと自体はやめない)
 サブイボが止まらない人は思う存分掻きむしればいいと思う。

 やー。プレイ日記(とは名ばかりのいつもの感想文)を書いていたのもあって、なんだかやたらと時間がかかっちゃいました。
 ここまで実プレイ時間220時間くらい。ムービーシアター鑑賞30時間くらい。プレイ日記を書くのに60時間くらい。たった1作、たった16500円(コレクターズエディション+エキスパンションパス)ぽっちでこれだけ遊ぶとは我ながら悪い客です。
 来週か再来週には2周目が実装されるそうなので、それが来るまでは一段落、一休みですね。
 うん、まあ、まだまだ遊ぶんだ。プレイ日記は書かないと思うけれど。
 2周目はお気に入りのレアブレイドを各ひとりずつだけ残して、他は全部リリースして、ホムラやビャッコも傭兵団専門に回して、全く新しいパーティで冒険しなおそうと考えています。・・・リリースした分だけレアブレイド出現率が回復してくれるといいけど。

生まれてきた理由

 そもそもホムラとヒカリ、メツは本来ゲート管理のための専用プロセッサだったわけですよ。人体インプラント用のパーソナルプロセッサを元にしたコアクリスタルとは出自も役割も異なります。
 あくまでコアクリスタルたちの情報共有を統括することが存在意義であり、その目的に鑑みると、彼らにブレイド化する機能なんて必要なかったはずなんです。実装されるべき理由がないはずなんです。
 なのに、マルベーニの手によって地上へ運ばれた彼らはどういうわけか、まるでコアクリスタルのごとく人間と同調し、それぞれひとりのブレイドとして数奇な運命を辿ることになりました。

 それが答えでもいいんじゃないでしょうか。
 ホムラとヒカリ、メツが生まれてきた理由については。
 神様の解説を聞くかぎり“天の聖杯”が受肉する必然性なんて全くありません。彼らは本来コアクリスタルではない別の目的を持ったプロセッサであり、また、マルベーニが持ち去った時点で神様は人類への興味を失っていたため、このタイミングで何か働きかけたとも考えられません。
 それでも、彼らはブレイドの姿をとることを選びました。
 そういう役割だからではなく。なのに、マルベーニとアデル、人間の求めに応じて。

 きっと彼ら自身がなりたかったんじゃないですかね。
 ブレイドに。人のかたちに。人間と直接心を通わせあえる存在に。
 日々新たな進化コードを送信してくるコアクリスタルたちのあり方に興味を抱いたんじゃないですかね。
 量子的な進化コードの授受ではなく、直接自分の目で、肌で、人々の思いに接してみたかったんじゃないですかね。
 望んだんですよ。きっと。ただのプロセッサが、“会いたい”と。

 まったくの想像ですけどね!

 けれど、だったらステキだなと思います。
 「好きにしろ。それが役目だと思うならな」
 「それは俺の意志か? 答えろ。それを聞きに来た」
 「――“お前たち”の意志だ」

 世界の破滅を望んだのはマルベーニの意志。
 けれど同時にメツの意志でもある。
 なぜなら、そもそも彼自身が望んで、マルベーニとの同調を果たしたのだから。

 世界は想像していたよりもはるかにクソッタレで、生まれたことを後悔したり、自分まで醜く思えたり、ときには死にたいとまで思い詰めてしまったり。
 けれどそういう境遇に立たされたそもそもの理由が、神様による強制ではなく、自分自身の願いであったなら。それはほんのわずかながらも救いと呼べるのではないでしょうか。

 数多の悲痛と苦難と後悔にまみれていても、願いは叶う、そんなささやかな祝福がこの世界には確かに存在します。
 「言葉は呪いだ。その呪いに縛られていたがゆえにな。ひどい話じゃねえか」
 友を思う、その憤りはあなたのもの。
 「お主がおらねば、マルベーニがおらねば、シンもラウラも別の道を行っておったろう」
 友を傷つけた、その行いはあなたのもの。
 あなたが自由にものを願える存在であったからこそ、あなたの意志はあなたの心に影響を与え、あなたの意志は世界の有り様に影響を与えました。

 神様の構築したブレイドシステムは正しく機能しています。
 明るい未来を望む意志はコアクリスタルを通じて世界中に広がり、やがて世界に希望をもたらすでしょう。
 暗い過去を呪う意志はコアクリスタルを通じて世界中に広がり、やがて世界に絶望をもたらすでしょう。
 あなたが存在することは無意味ではありません。
 あなたの意志は無価値ではありません。
 願いは叶います。善きにつけ悪きにつけ。わずかながらも。
 あなたが生まれてきた理由は、きっと、あなた自身が決めました。あなたの存在意義はあなた自身が決めていいんです。

 「生んでくれてありがとうよ――」
 神様との別れ際にメツが贈った言葉には、皮肉でもなんでもない、心からの感謝が込められていたと私は思います。

フィーリア

 「なぜそこまでする! 誰のために。何のために!」
 戦いの行方を決したのは“答え”でした。

 「いいかぁ、レックス。お前の戦を、戦えー!!」
 戦争屋に託された命題。戦争も人の死も嫌いだった心優しい青二才が、それでも自ら進んで戦いに身を投じなければならなかった理由。
 その“答え”が勝負を決しました。

 「全てを守る必要なんてない。ひとりの人間にできることは限られている。だが、君にしかできないこともある」
 英雄に指し示された現実。たくさんの人を守りたいと願う強欲な少年が、そのなかのたったひとつだけを選ぶことになった理由。
 その“答え”が勝負を決しました。

 「誰かに定義してほしいのだ。お前は何者なのかということを。なんと孤独な存在か――。しかしそれもまた人なのだろう」
 神様がこの世界を見捨てた絶望。それを、もしかしたら世界は変わるかもしれないと再び希望に立ち返らせることができた理由。
 その“答え”が勝負を決しました。

 「あいつは探している。自分というものを。お前の答えを聞かせてやってくれ」
 悲しい瞳をした男の最後の頼み。その虚ろな心を救い、そしてその全身全霊をもってこの場へ至る道を切り開かせることとなった理由。
 彼に頼まれて運んできた“答え”が、勝負を決しました。

 「なぜそこまでする! 誰のために。何のために!」
 「誰のためでもない! そうすることでみんなが笑えるなら、命がつながっていくなら、それがオレの役目だからだ!」

 何のことはない。レックスはただ、前を見たんです。脇目も振らず、まっすぐに、けれど周りを見失うことなく。
 今の自分がすべきこと、したいこと、望まれていることが、いつだってすぐ目の前にあると。そういうありふれた“答え”を見たんです。
 「それで何人が死んだと思ってる! 許せるのか、お前は!」
 「許せるわけないだろ! でもそれがオレたちのいる世界だ。ならそのなかで前に進むしかないんだ!」

 それがレックスが戦いに身を投じなければならなかった理由。
 それがホムラひとりを選ばなければならなかった理由。
 それが自己本位な人類が、それでも誰かと絆を結ぶことができた理由。
 それが空虚だったシンの生涯に意義を示すことができた理由。
 ただ、前を見ることが。

 「そんな程度で、世界が変わるかよ!」
 変わります。
 私たちは見てきました。この悲しみに満ちた世界を。あなたの暴虐の爪痕を。
 それが、前を見ることで世界を変えることができる証拠です。

 世界を灼く。
 メツの使命はメツ自身が望んだものではありません。マルベーニの世界を呪う意志に引きずられていただけです。
 けれど、彼はその使命にシンを巻き込みました。ヨシツネやベンケイ、サタヒコらとともに徒党を組みました。
 シンたちに生きる目的を与えてやるために。存在意義を見つけさせるために。
 自分の使命に意義を見出すために。
 ――そのために、いつかのあの日、メツはたまたま目の前にいたシンに手を差しのべました。
 あの日あなたが自分に出来ることを為したから、今まさにこの世界は破滅の危機に瀕しています。
 「あんただって、そうやって進んできたんだろうに!」

 世界は変わります。願いは叶います。
 ただ、前を見ることによって。

 だって、私たちはこの世界にひとりぼっちではないんですから。
 この世界にはたくさんの人がいて、だから、私たちの目の前にはいつだって誰かがいて、だから、私たちが目の前の何かを為せば、それはすなわち誰かに影響を与えることになる。絆をつないでいくことになる。
 神様の編みあげたブレイドシステムも似たようなものです。人の経験、人の感情、人の記憶を世界全体に還元し、そして再生産するエコシステム。それはすなわち、世界中全ての生命をつなぐ絆そのものと見ることもできるんです。
 私たちの思いは必然として誰かに伝わり、私たちの行いは必然として誰かに届く。私たちの生涯に無駄は何ひとつない。

 レックスとメツのぶつかるこの場は数え切れないほどの死体を積み重ねた先にあります。
 善いこと、悪いこと、有史以来の全生命数多の思いと行いを積み重ねた先端に、ふたりが立っています。
 それが“答え”です。
 メツは世界の未来を閉ざす絶望などではありませんでした。
 世界を未来へとつないでいく、希望の一翼でした。
 「オレがあんたのドライバーだったら・・・。そうすれば・・・」
 「気色悪ぃことを言うな。俺のドライバーはヤツだ。それはそれで、悪か、ねぇ――」

 たとえその身がどれほどの罪にまみれていようと関係ありません。彼は前を見て、目の前にあったやるべきことに取り組みつづけてきたのですから。
 もはや対立する理由は根こそぎ失われ、希望が未来に渡されました。
 今、目の前に広がる未来は、メツがつくったものです。レックスたちと一緒に。

 さあ、次はあなたが前を見る番です。

そして少年は少女と出逢った

 ここから先は君の目で確かめてくれ!!!!! (ぶち壊し)

 まあ実際、この先は涙腺叩き壊して滂沱滂沱するためのご褒美タイムみたいなものですし。ホムラとヒカリの魂は第7話でとっくに救われているので、今さら言及するのはもはやヤボとしか。
 そんなことよりメツの胸板の厚みについてねっとり語りあおうぜ!

 それでも(余韻のために)あえてヤボを語るのならば・・・。

 それは確かにつかの間の魔法でした。
 凍り付いた時間を動かしたのも、明けるはずのない夜を明けさせたのも、彼の働きかけがあったからです。
 けれど、それでも朝日のなかに溶けていったのは彼女です。
 魔法が解けて、彼の姿が見えなくなってしまったとしても、彼女が朝日の向こう側へ進めたことだけは確かな事実です。
 ならば彼女にはまだできることがあります。

 なぜなら彼女の想い出は世界に還元され、今もここに循環しているのですから。
 なぜならマスターブレイドはこの世界に循環する全ての記憶を統括していて、そしてマスタードライバーはその機能に直接干渉することができるのですから。

 だから。
 どうか神様。神様が残したシステム。無窮悠遠の祝福。最も新しき魔法よ。
 どうか彼女と彼の願いを叶えますように。
 彼女と彼の思い出を、絆を、どうか再びつなぎますように。
 彼女はそれを望んだのだから。彼はそれを望んだのだから。

 人が前を見るかぎり、為すべきことを為そうとするかぎり、彼らには必ず未来が与えられるべきです。
 思いを伝えたいと願うならば、その願いは必ず叶うべきです。
 なぜならこの物語は一対のプロセッサが抱いた“会いたい”という思いからはじまったのですから。

 人格がふたつに分かれていたのなら、そりゃあまあ、記憶をベースに再構成したときには肉体もふたつに増えるわな。

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