ゼノブレイド2 プレイ日記 最終話「そして少年は少女と出逢った」その1

ありがとう。オレたちを生んでくれて。

1802171.jpg

※ 注意:このブログは基本的にネタバレに配慮しません。
※ 掲げてあるセリフと画像がチグハグなことには何の意図もありません。

神様に「ありがとう」を伝える物語。

(主観的)あらすじ

 神様は人間に絶望していました。
 己の身勝手のために他者を犠牲とし、そのために互いに武器を握り、殺しあい、大地も天上も焼き尽くしてなお飽くことない、人間の愚かさに絶望していました。
 だから神様は世界を最初からつくり直すべく、遙かなる創造主の御力の一端に手を伸ばしたのでした。
 神様はかつてクラウスという名の人間でした。
 神様は人間に絶望していました。
 身勝手な理想のため世界を滅ぼした自分に、そしてその運命を繰り返すかのようなマルベーニに、神様は絶望していました。

 その身勝手な心性はレックスたちも密かに抱いているもの。
 大勢を巻き込んで楽園を目指す独善。他の誰よりも自分を見てほしいという貪欲。同胞を犠牲にされたことへの憤怒。自分にない才能を持つ者への嫉妬。無関係な立場から他者を糾弾しようとする高慢。それら全てを投げだそうと思う怠惰。
 ここまで力を合わせて旅してきたレックスたちとて、一歩間違えたら互いに武器を向けあっていた可能性は常にありました。
 けれど彼らはそうしませんでした。
 それら己の身勝手を、彼らは恐怖していたからです。

 神様はそんなレックスたちの姿に希望を見出しました。
 絶望からはじまり、人間の身勝手ばかりを見てきた神様の生涯に、それでも無駄は何ひとつありませんでした。
 神様はレックスたちを送り出します。
 この世界に残された最後の絶望、メツの元へと。

 対メレフ戦? ええ、苦戦しましたとも!
 スザクさんのキズナリングって傭兵団がらみが主で、キズナ上げのために同調する必要がほとんどないんですもん。初期装備のまま武器の更新をサボっていたせいで戦力にならないのなんの。
 他のブレイドがよりにもよってライコとイブキというハンマー祭りだったせいでなおのことシンドイ。でも防御アーツのヒール効果がメレフのDPSを上回ってくれたおかげで案外ゴリ押しできました。ありがとう、ハンマー。(どっちだよ)

運命

 そういえば前作ゼノブレイドでのクラウス(の成れの果て)はろくな人物じゃありませんでしたね。アレに至る流れとそっくり同じ運命を歩もうとしていたなら、なるほど、どうりでマルベーニが好きになれないわけです。

 「だから放置したのだ。500年の昔、あの男がここへとたどり着いた際、ロゴスとプネウマを持ち去ったことを。ブレイドとして実体化したロゴスが世界を消滅させようとしたことを」
 祝福すべきことなのかどうなのかちょっと悩みますが、マルベーニの神様への共感は正しかったんですね。神の意志の代行者という自称どおり。
 ヒカリとメツが世界を滅ぼすための力だという推論は大ハズレだったわけだけれども。相当する機構はアイオーンとして別に用意されていたわけだけれども。あの男、論理もへったくれもなく直観だけで正答にたどり着きよった。
 本人にそのことが伝わっていないのがなんとも報われない話ですけどね。

 もしかしたら神様がマルベーニに会っていたなら、すべての運命は違う道を進んでいたのかもしれませんね。
 思いを同じくする彼らはきっと意気投合したでしょう。だからーーバカバカしい話をしますがーーふたりで肩でも抱きあって、白木屋あたりで安いつまみ片手に安いお酒をグビグビ飲んで語りあえば、ひょっとしたら彼らの胸のうちの絶望は解消されたかもしれません。
 「アレは神が我々に差し伸べた手だ。アレは扉だ。アレさえあれば新たな地平へと旅立てる」
 「父よ・・・。まだ届かぬのですか・・・」

 神様もマルベーニも、結局のところ自分を認めてくれる存在が欲しかったわけですから。
 「人を憎んで、自分を憎んで、やがては世界を憎む――」
 ふたりでお互いを認めあって、憎しみを拡大していくプロセスの途中で踏みとどまって、もう少し前向きに希望を信じられたかもしれないのに。
 「サルベージャーの合言葉その6。殴りあったあとは飲んで忘れろ。忘れたあとは肩を組め」
 ああ、衛星軌道上に営業中の白木屋さえ残っていれば・・・!

 まあ冗談はともかくとしても。
 結局のところこの神様、自分を嫌っていたせいでしょうもない運命論を信じちゃったわけなんですよね。
 「また繰り返すのではないか? また私のような者が現れるのではないか? その疑念を払うために、私はもうひとつの計画を実行した。それがブレイドだ」
 「私はロゴスとプネウマにブレイドの管理を任せた。ブレイドの中核であるコアクリスタルは、外界からの淘汰圧や同調した人間の生命体としての情報だけでなく、その人間との間に培われた経験や感情までをもロゴスとプネウマへ送る機能を持っている。送られた情報は蓄積され、新たな進化コードをコアクリスタルへと送り返す。送り返された進化コードはさらなるブレイドを生みだし、そのブレイドはやがてアルスとなり、次なる生命体を創出していく。命の記憶の循環を、私はつくりだしたのだ」

 やたらと長くて回りくどくて難解ですが、要するにこのブレイドシステムがどうして第二のクラウスを生むことに対しての抑止力になりうるのかといえば、それはこのシステムを通せば人間の精神的営みにおける異端の発生リスクを極小にできるからですね。もっとざっくり言ってしまえば、どうやらブレイドシステムとはサイコパスが生まれないようにするための機構のようです。
 あるブレイドが善い人間と同調したなら、その人の思想はコアクリスタルを通じて世界中のブレイドに共有されることになります。それら善い思想を抱いたブレイドたちがやがてアルスとなり、新たに生まれる人間たちを育んだなら、ブレイドが共有している善い思想は人間たちにも共有されることになります。そうなれば新たなブレイドと同調する次世代の人間はまた善い人間であるはずで、ブレイドシステムにはどんどん善い思想が集積されていくことになるわけです。
 この神様はそうやって、新世界の人類全体の精神活動を緩やかに方向づけようとしたんですね。

 このやり方だと、もし最初のブレイドと同調する人間が悪党だったなら、世界中の人類が望ましくない方向へと進化してしまうことでしょう。そのあたりは賭けでした。彼が「運命」と表現したのはこの部分のことです。
 もしこれで第二のクラウスが生まれてしまったなら、それはつまり人間という存在の本質自体が悪性のものだといえるわけです。人間に存在する価値なんかないと諦めもつくわけです。
 逆に人間の本質が善性であったならば、ブレイドシステムを使う限り、第二のクラウスが生まれてくることは絶対にありえません。世界中全ての人類が例外なく善人となるのですから。

 どんだけ自分が嫌いなのよ、という話です。
 こんな二者択一のギャンブルで自分と同じ人間が生まれてくるかどうかを占えると考えちゃうのは、自分のことを純粋悪としか見なせない人間だけです。「嫌い」以外の言葉で自分を評価できないペシミストの発想です。善人 / 悪人の薄っぺらい二元論でしか世界を認識できないアホウの考え方です。
 ホント、白木屋さえあれば・・・! (クドい)

 人間の精神活動というのはそんな単純なものではありません。
 この神様、前提から思いっきり勘違いしています。
 その証拠に、ほら、ブレイドシステムはマルベーニとレックス、ふたりの対照的な人物を同時に産み落としたじゃないですか。
 マルベーニとレックス、そのどちらにもそれぞれ善い心と悪い心、ふたつの相反する精神性が同居していたじゃないですか。

恐怖

 そう。我らが主人公・レックスとその仲間たちですら善い心と悪い心、その両方を持ち合わせています。

 レックスには大勢を巻き込んでおきながら自分とホムラのためだけに楽園を目指した独善。
 ニアには大好きなレックスに他の誰よりも自分だけを見てほしいと願う貪欲。
 メレフにはスペルビアに生きる同胞たちを犠牲にされたことへの行き場のない憤怒。
 トラには自分が持たないドライバーとしての才能を持つレックスへの嫉妬。
 ジークには無関係な立場を装って上から目線で他者を糾弾しようとする高慢。
 それから、それら全てを投げだして楽な場所に引きこもろうと思う怠惰。

 たぶんこのシーン、各国アルスの名前と同じく七つの大罪をモチーフに構想したものだと思うんですが、適度にハズしていますね。実際このタイミングで“暴食”とか“情欲”とか語られても困るし。

 「お前たちの姿をずっと見てきた。何を考え、何を望み、何を為しえてきたのかを」
 どこかでボタンをかけ違えて、それぞれが自分の身勝手に従って行動したとしたら、あるいは互いに殺しあう可能性すらありました。
 そういう可能性があったことを神様は知っています。
 ブレイドシステムは彼の思惑どおりの結果を生まず、人間の心には前世界と同じく善い心も悪い心もまぜこぜの多様性を抱かせました。

 「今、私の前にいるのは今のお前たちだ。それで充分だ」
 けれど、彼は目の前にいるレックスたちを見て、それを良しとしました。
 自分たちが殺しあう可能性があることを、彼らはそれぞれ心のどこかで恐怖していたからです。
 それらに対して恐怖するということは、つまりそうならないように自分を律しているということなんですから。
 この旅路でレックスたちは何度も何度も挫折を経験しました。彼らは知っています。自分の弱さを。人の心の脆さを。けれど、その末にこそ彼らがたどり着いた答えがあります。
 レックスたちは前世界と変わらない多様性を持ったまま、前世界で神様が直面した絶望を乗り越えてみせました。
 身勝手に心を支配されずに、絆でお互いを支えあいました。

 彼らがこれからつくろうとしている世界のかたちは、神様がつくったこれまでのものとは明らかに違っています。
 「クラウスさん――この世界のこと、まだ諦めてる?」
 自分を憎み、世界を憎んだ神様は、それ故にありのままの世界の世界のあり方を信用できず、憎しみの元凶が生まれないよう、ひどく回りくどいブレイドシステムを構築しました。
 一方でレックスたちは自分を生んでくれた世界を愛しています。どれほど多くの不幸や理不尽を目の当たりにしても、それでも世界は今のままで善くしていけると心から信頼しています。神様が余計な心配事のために世界に組み込んだブレイドシステムを、別の目的のために再定義しようと考えています。
 その違いがゲートを再び動かし、神様の目には希望を映しました。

 世界は何ひとつ変わっていない。
 人間の心には相も変わらず身勝手な思いが染みついているし、第二のクラウスも生まれてきてしまった。
 けれど、運命は違った。
 世界を憎むか、愛するか。たったそれだけの違いで運命の見え方は大きく変わった。
 「今は――、お前たちに出会えてよかったと思っているよ」
 血にまみれたシンの生涯がレックスとホムラを出会わせたように。
 絶望に苛まれつづけた神様気取りのクラウスの生涯もまた、「無駄は何ひとつない」のでした。
 「ありがとう。オレたちを生んでくれて」

 すべての人間とブレイドをつないでいく絆は、たったひとりの絶望から生まれました。

シェアする?

フォローする!