ゼノブレイド2 プレイ日記 第9話「雨」

俺たちの役目は次へと渡されたんだ。

1802101.jpg

※ 注意:このブログは基本的にネタバレに配慮しません。
※ 掲げてあるセリフと画像がチグハグなことには何の意図もありません。

背中に隠れていた思いを垣間見る物語。

(主観的)あらすじ

 マルベーニは神が世界を消滅させたがっていると理解しました。弱者が弱者を虐げ、不幸が不幸を呼ぶこの醜い世界において、神の御座には圧倒的な破壊の力・天の聖杯が置かれていたからです。だから彼は神の意志の代行者として行動することにしました。・・・本当は神様は一言も語りかけてくれなかったと自覚しながら。
 シンは自身とよく似た境遇であった天の聖杯と行動を共にすることにしました。大切な人を失い、生存しつづけること以外に生きる目的を失っていた彼にとって、世界を消滅させるというメツの使命はある種の救いでした。・・・本当はメツ自身も使命の意味を知らないのはわかっていたけれど。
 何のために生まれてきたのか。何をしたいと望んでいるのか。迷い子たちの間をレックスたちが駆け抜けます。
 誰もが誰かの意志を継いで生まれてきた。ならば自分の意志も未来の誰かが継承してくれるはず。
 レックスはこの世界に数多広がる生命たちの絆に進むべき道を見いだし、シンとマルベーニ、ふたりの屍を越えて、楽園へと答えを運んでいきます。

 予想してはいましたが、我ながらいよいよ“あらすじ”としての体を成さなくなってきました。監督の趣味丸出しなマクロス変型とかね、各国のアルス大集合怪獣大決戦!とかね、迫力の空中戦とかね、サタヒコのキザな見せ場とかね、ヨシツネとベンケイの出自とかね、あらすじに盛り込むべき見所はいっぱいあったはずなんですけどね。
 でも、さてこれを受けてどんな感想を書こうかと考えると、私の場合はこうなるんですね。私の目から見た第9話はマルベーニとシンの迷走がコアとなっていました。このブログの“あらすじ”は基本的に私の視点がどこに向いているのかを示すためのものです。

エゴイズム

 マルベーニの母親との死別から神の意志の代行者へと至る流れ、ちゃんと連続性がありましたね。それでもやっぱり好かんのだけれど。

 「これがあなたの望んだ世界なのかーー」
 か弱き母子が理不尽に命を狙われる世界。善意の施しを受けた誰かが別の誰かを悪意で蹂躙する世界。こんな醜い世界を望んでいる者なんているわけがない。だというのに、この世界をつくった神様は沈黙したまま。
 神様は沈黙したまま、マルベーニに天の聖杯を授けました。世界を消滅させられるほどの力を秘めた、極めつけの暴力装置を。

 たぶん時系列はどこかで前後するのでしょうが、とにかくマルベーニのなかで“世界の醜さ”と“世界を滅ぼせる暴力装置の存在”が結びついちゃったんでしょうね。
 要するに、「こんなものを用意していたということは、やっぱり神様もこんな世界なんて望んでいなかったんだ!」と。「神様も私と同じ考えだったんだ!」と。
 神様への共感――を一足飛びですっ飛ばして、神様と自分を同一視するところまで一気に行っちゃったわけですね。だから天の聖杯はじめブレイドやら何やら世界中のことごとくを自分の所有物めいた驕った言い回しで語る。オレのものはオレのもの。神様のものもオレのもの。(ちょっと違う)

 「神よ。私こそあなたが望んだ存在であったはずだ。あなたの望みどおり私は生きた」
 マルベーニは世界を憎んでも神様は憎んでいなかったんですね。そこ、読み違えていました。むしろ愛していたからこそ神様の気持ちを自分と重ね合わせて、神様に褒めてもらえるくらいに一生懸命良い子で頑張っていたと。
 最後のシーン、蝕腕で世界樹を抱きしめるようにしていたところ、あれは見たまんまお父さんに抱っこをせがむ子どもみたいな心境だったんでしょうね。
 「父よ・・・。まだ届かぬのですか・・・」
 あくまで神様の気持ちも天の聖杯の意義も彼の想像でしかなく、当の神様が沈黙している以上は独りよがりでしかなかったわけですが。
 だから最後の最後まで神様は彼の頑張りを褒めに来てくれず、代わりに抱きしめてくれたのは彼のお母さんだったわけですが。
 純粋だったんでしょうね。聖職者にふさわしく。

 結局マルベーニの迷走の原因は、どれだけ心を憎しみで満たしても邪悪にはなりきれなかった、いつか誰かに救いの手を差しのべてもらえることを心のどこかで信じていた、そういう甘ったれた性質にあったんだと思います。
 どうして引きこもりの神様なんかに自分の全身全霊を委ねてしまったのか。

 聖職者とは清らかな信仰と善き生き様によって荒んだ人々の心を雪ぐ、尊い仕事です。そのどんなときでも救いを信じられる純粋さは、神様ではなく人間に向けられてこそ尊い役目を果たせたというのに。
 「嫌いなんか、人間が」
 「――いや。世界だよ」

 あなたは確かに人間を愛していました。
 憎んでいたくせに、同時に深く愛していました。
 「遠い昔に同じような光景を見たような気がしてね。あれも人の姿だったのだろうか・・・」
 遠いあの日のあなたは確かに人間でした。
 神様じゃないあなたは、人間でした。

オルトリズム

 「約束なんだよ。あいつの願いを叶えてやるのが」
 文脈のせいでヒカリたちは十中八九「あいつ」=メツだと思っていそうですが、実際のところはラウラ――彼のドライバーだった女性との約束です。
 「あなたに忘れられるのが、絆が消えるのが、さびしいよ・・・」
 死に瀕した彼女のその嘆きを受けて、「忘れない」と約束したのがシンの物語のはじまりでした。その後の彼の人生は、彼女との思い出を忘れないためだけにありました。

 ふり返ればこの人、徹頭徹尾ひたすら他人のためにばかり行動する人でした。
 どうりでいつまでたっても世界を滅ぼす頑とした決意が見えてこなかったわけです。どうりでストーリー上ヨシツネたちの存在感がやたらと薄かったわけです。どうりでニアがイーラの目的を知らなかったわけです。
 世界を滅ぼすのはあくまでメツの使命につきあってのことであり、ニアやヨシツネたちを仲間に迎え入れたのは行くあてのない彼らを哀れんでのことだったんですね。組織の首魁っぽくふるまっていながら、実のところ彼は空虚で、何の目的も持っていなかったわけです。
 マンイーター化したことすらも自分のための行動じゃなかったくらいですから。

 「願わくばこの日記が“君”の手に渡ることを願う」
 日記をつけることすら他人のため。今の自分と非連続の、新しいシンの助けになることを願ってのことでした。
 「私が私であるための方法を、我が伴侶との絆をこの身に刻む方法を遺そうと思う」
 当時のシンはその方法を知りながら、なのに自分で試す気はなかったんですね。「伴侶」と呼ぶほどには大切に思っていたくせに。やはりこの人は生来こういう人だったようです。犬みたいな。コモンブレイドも全体的になんかそういう忠犬感ありますよね。あとクビラあたりも。

 そんなシンの、ほとんど唯一といってよさそうな願望。
 「神と呼ばれる者が本当に存在するのなら、私は問いたい。私は何者なのか。どこから来てどこへ行こうとしているのか」
 ああ、メツに協力した理由にはそういうのもあったのね。(ここまで書いてようやく気づいた)
 肉体は悠久なのに、精神は刹那。その悲しい宿命の理由を彼は知りたがっていました。

 だからこそレックスの示した答えは彼の心を震わせます。
 「お前が死んだあとはどうする。誰がそれを止める」
 「そのためにあんたたちがいるんじゃないか。そしてそれを一緒にやり遂げるのはオレじゃない、誰かだ!」

 どこから来てどこへ行こうとしているのか。レックスはその答えを個という刹那ではなく、絆という悠久に見出しました。・・・いいえ。レックスが初めて発見したのではありません。これはレックスが英雄アデルから受け継ぎ、その思いを発展させたものです。
 ある人の思いや記憶は別の誰かが必ず受け継いでくれる。それはひとりの女性のためだけに500年もの歳月を耐え忍んだシンにとって、革新的な考え方です。そしていつも誰かのために心を砕いてきた彼にとっては、とても喜ばしい話でもあります。それら全てが無意味ではなく、自身が消滅したあとも世界に息づきつづけるのですから。

 「俺たちはここまでだ。無駄は何ひとつない。ここまでが俺たちのすべきことだったのさ」
 「俺たちの役目は次へと渡されたんだ」

 シンはレックスに全てを託しました。
 この期に及んで全部自分ひとりで背負い込もうとする神様気取りのバカヤロウがいたので、ついでに露払いしました。
 大切な人との約束のために耐え忍んだ500年は、きっとこの瞬間へとつなぐためにありました。
 彼女との思い出がなければレックスをホムラと出会わせることもなかったし、強大な敵が立ち塞がるこの場に古王国イーラ最強のブレイドが居合わせることもなかった。
 たくさんの悲しみやたくさんの憎しみに染まった500年ではあったけれど。
 それでも彼と彼の伴侶の生涯に、きっと無駄はひとつもありませんでした。

 「メツを止めるんだ。あいつは探している。自分というものを。お前の答えを聞かせてやってくれーー」
 そしてシンはレックスに託します。
 友情を。
 いつか自分の心を救ってくれた友人に、あの日の恩に見合うだけの救いを返したいという、思いを。

 ところでシン相手に20回くらい全滅しました。回復アーツがミスるせいで一度戦線崩壊したらなかなか立て直せないんですもん。
 マルベーニは1回で完勝しました。最初から最後までアンカーショットが無限ループして周り一面ポットの海でした。

シェアする?

フォローする!