デリシャスパーティプリキュア 第3話感想 この思い、あなたに届けたい。

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コメコメのおかげでとってもおいしいカレーができるよ。

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「コメコメのおつかい! まいごで大騒動!!」

Lead Character:がんばったひと

コメコメ

Major Happening:大きなできごと

 自分と違って喋ることができ、ゆいにも頼られるパムパムの登場を受け、コメコメがひとりでお使いに出かけてしまう。様々なトラブルに遭遇しながらもなんとかニンジンを持ち帰ることができ、ゆいにおいしいカレーを食べてもらえた。

Sub Questions:小さなできごと

孤食

 ゆいの家もそうだが、ここねも夕食をひとりで食べることが少なくないようだ。話の流れ的には“にぎやかで楽しい食卓を囲んだほうがいい”という展開に進むのだろう。
 ちなみに、公式サイトでここねは「ひとりで過ごす時間も好き」と紹介されている。今話ではいかにも寒々しい食卓といった描写になっていたが、孤食の問題と子どもが傷ついているかどうかはまた別の話なのでそこのところ厳に注意。

個食

 なんか1話からずっとブンドル団の被害に遭いつづけているらん。いつもひとりでランチを食べているが、公式サイトによると「食べものへの好奇心が旺盛」とのことなので、別に一緒に食べる人がいないというわけではなく趣味で食べ歩きをしているだけなのだろう。
 こういう子をどうやって“にぎやかで楽しい食卓を囲んだほうがいい”展開に巻きこんでいくのかが今後楽しみなポイント。近年のプリキュアはこういう余計なおせっかいと捉えられかねないことをする理由を丁寧に描く傾向がある。

Battle Depiction:どんなバトルだったか

 2人目のプリキュア加入に向けてかピンチの描写多め。ただし解決は力押し。コメコメが自分のためにニンジンを買ってきてくれたうれしさでパワーがみなぎったおかげという描きかた。

Like It Here !:ここ好きポイント

パムパム

 パートナル・フワフワン・コーバシィヌ・イースト・パムサンド。よし! 覚えなくていいな!
 知性派で自信家のパートナー妖精は案外シリーズ初かもしれない。すこぶるかわいい。

コメコメ

 コネクトル・モチモチット・フックララ・グリコーゲン・コメックス二世。覚えなくていいな!
 ちなみに、育つらしい。

 ごはんをつくってくれた人に感謝――といっても、小さい子にはなかなかピンとこない話なんだと思います。
 お母さんは生まれたときからずっと自分のためにご飯をつくってくれているわけですからね。お店の人も結局お金のためにご飯をつくっている側面は否めません。
 感謝したくなるのは、それがどれだけ有り難い行為であるかを理解するからです。あるいは、感謝されることがどれほど相手を喜ばせられるかを理解するからです。そこに想像力が働かなければどんな良い子でも感謝の言葉を伝えることは難しいでしょう。

 そんなわけで、今話はコメコメが感謝されるがわの立場を体験します。
 この役はゆいには務まりません。あの子はもうすでに誰よりもごはんをつくってもらえることの有り難さを理解できているからです。

 「ありがたい」は“有り難い”と書きます。本当はとても貴重なこと。たまたま誰かの好意で維持されているだけで、自分でやってみるとなかなか大変な、辛くて面倒くさくてやってられないようなことが、日常には案外ありふれています。
 それを自分の代わりにやってくれる誰かがいるから、私たちは「ありがとう」と心を込めて感謝するわけですね。
 なんかさらっと語られましたが、ゆいの家には今はお母さんしかいないようです。昔はお婆ちゃんがつくってくれたごはん。今は自分でつくるしかないごはん。この子はよくぞまあ、そのさびしさを前向きな明るさに変えて育ってくれたものです。
 ごはんは笑顔!

くやしくて、さびしくて、手が届かなくて

 「コメコメ、本当に偉いね!」

 たった一言褒めてほしくて大冒険を始めました。
 はじめてのおつかい。あるいは無いものねだり。
 誰もコメコメにお使いができるだなんて思っていませんでした。そもそも自分で行こうと思ってくれること自体想像もしていませんでした。ゆいもマリちゃんもパムパムも、てっきりコメコメは遊びに出かけたものとばかり。

 そんないきなり大それた挑戦を、コメコメはどうしても成功させなければなりませんでした。

 「これからは何でもパムパムに聞いてパム」
 「すごいね、パムパム」
 「当然パム!」
 「頼りになるじゃない」

 コメコメから見たパムパムはすっごく大人で、頼りになって、喋れて、自分よりずっとすごい子だったからです。それで自分と同じエナジー妖精。
 このままではゆいが取られてしまう・・・、とまで思ったかどうかはわかりませんが、パムパムが来てからゆいが少し遠くにいるような気がしてなりませんでした。コメコメはもう少し大人になりたいとおもいました。少なくとも、パムパムと同じくらいには。

 「コメ?」
 「あとでニンジン買いにいくの。忘れないようにメモしてるんだよ。今日は私が晩ご飯つくるんだ。お手伝いするよ! 今日はカレー!」

 コメコメにはゆいも大人のお姉さんに見えていました。とっても優しくて、強くて、とてもしっかりした子で、そんなゆいのことが好きになったから、コメコメは彼女をパートナーに選びました。
 だとしたらやっぱり、自分はもう少し大人にならなければなりません。ゆいにふさわしいエナジー妖精になるために。パムパムがやって来て、そのことがはっきりと自覚できました。今の自分ではゆいの隣は到底手が届かない。

 ごはん食べさせてもらってる場合じゃない!

 当たり前をアタリマエのまま貪るだけの子どもでいるのは、もうたくさんでした。

夢遊少女

 「どうしたの? ひとり? ・・・コメ、コメ? 不思議なワンちゃん。飼い主さんは? ――あら? これは・・・、ニンジン? ひょっとしてひとりでお買い物? ちょっと待ってて」

 動じない女の子でした。

 「コメコメ!」と鳴くけったいな生きものを見かけようと、その子が手提げバッグを引きずって八百屋にお使いに来ていても、あげく空を飛ぼうとも、そういうものかとふんわり受け入れてしまえる少女でした。
 同じくらいの大きさで「パムパム!」と鳴いたり人間の言葉を話したりする犬を見かけたときも、やはり深いこと気にしませんでした。

 気質としては『トロピカル~ジュ!プリキュア』の一之瀬みのりに近いんだと思います。自作の小説を批判される前の、まだ何も恐れることなく純粋にファンタジーを愛せていたころのみのり。
 世界には不思議なものがあふれていて、そして不思議はステキで、自分もいつかそんな世界に飛び込んでいけるのだと信じて疑わない。空想と現実の境い目が曖昧な、あえて悪くいうなら夢見がちな女の子。ここねはそういう子のようでした。
 ひとり遊びが好きな子というのは、飽きることなく身のまわりのものに興味を示せる子のことです。世界は当然に面白いものだと信じているからこそ、ひとりで次々に新しい遊びを見つけることができます。もしも目の前に人魚が現れたとしたら――、きっと尾びれの感触を手で確かめてみるだけでも楽しいことでしょう。

 そして、今日の出会いこそはここねの全人生においても1、2を争うくらいけったいなものでした。

 「ねえ、他にも見たの? この子ぐらいの大きさで、ええと、キツネみたいな仔犬!」
 「キツネみたい――。あ、さっきの子」
 「知ってるの!?」
 「あ、さっき、ここを飛んで・・・」
 「ここを? ありがとう! 行こう、マリちゃん!」

 やたらグイグイ迫って来て、しかも細かいことを気に留めないパワフルな子でした。
 どうしてピンク色のキツネイヌモドキを目撃したことを知っているのか、どうして空を飛んでいたと聞いて当たり前のように納得してしまえるのか、ついでに連れ歩いているお姉さん?お兄さん?は何者なのか。全てのツッコミどころに有無をいわさず嵐のように駆けていきました。
 それから二度目に見かけたときはルパンみたいなコスプレをした少女と怪物と一緒にオーロラの向こうへと消えていき、気がついたときはなんか自分が変身ヒーローの腕のなかでお姫様抱っこされていたりとか。しかも家の場所も知らないクセに送り届けようとしてくれていたりとか。

 わけのわからない一日で、わけのわからない出会いがありました。
 こんな面白い出会いはここねにとってもきっと初めてでした。

 ひとりで過ごす時間もいいものですが、この日、ここねは他の誰かと過ごす不思議な時間の片鱗を体験することになったのでした。

ありがたい助力を経て

 「もしかして。コメコメ、私の代わりにニンジンを買ってきてくれたんだ」
 「え? コメコメが、ひとりで?」
 「ひとりでがんばってお使いに行ってくれたんだね。ありがとう、コメコメ」

 けっしてひとりでできたわけではありませんでした。
 ニンジンを買ってくれたのはここねですし、森で迷子になっていたのを助けてくれたのは拓海。結局ゆいやマリちゃんに探しに来てもらうことにもなっちゃいました。出かける前に思い描いていたほどコメコメはたくさんのことができるわけではありませんでした。
 ただ、精一杯がんばりました。
 そして、助けてくれる人がいてくれることの有り難さに気付くことにもなりました。

 「コメコメのおかげでとってもおいしいカレーができるよ。ありがとう」

 欲しかった手のひらの温もり、大好きなゆいとの距離が、コメコメのところまで届きます。
 「ありがとう」って、ゆいがコメコメのがんばりを喜んでくれます。

 それは、コメコメにとってなにより嬉しいことでした。

 「この世で一番強いのは、誰かのためにがんばる心なんだ」(第2話)

 きっと今ならわかります。どうして誰かのためにがんばる心が強いのか。どうしてゆいがその教えをあんなにも固く信じていたのか。
 コメコメにも実感としてわかります。

 自分ひとりでなにもかもできたわけではありません。
 でも、ゆいのためなら精一杯がんばれました。
 たくさんの人に助けてもらって、まだまだな自分でも立派にお使いをやり遂げてみせました。

 今日のコメコメは、これまでで一番強いコメコメになれていました。

 「えっ!? こ、コメコメ?」
 「でも姿が・・・」
 「まさか人間に化けたパム?」

 だから、願います。

 「『早く大きくなってゆいみたいになりたい』って言ってるパム」

 もっともっと、ゆいみたいになりたい。
 誰かのためにがんばれる、優しくて強くてしっかりした、今日の自分よりずっとステキな女の子に。

「ありがとう」と言った数だけ人は幸せになる

 「コメコメの思いがこもったニンジンでカレーをつくるんだ! 絶対、おいしいよ! 思いのこもったごはんはいつだって! 笑顔、いーっぱい!!」

 ゆいに憧れ、パムパムに触発され、ここねに助けられ、拓海にも助けられ、そしてゆいやマリちゃんに探しに来てもらって。
 たくさんの人の気持ちを繋ぎ、コメコメ自身も精一杯がんばって届けた思いの塊が、今、ゆいのところに返ってきます。ゆいの力となります。

 「ごはんは笑顔」。食べるがわの立場に立って、つくってくれた人のがんばりを受けとり、優しさを受けとり、そして感謝する。受け取った思いに自分の思いも乗せて、つくるがわのところへ再び返す。そんなゆいのありかたがプリキュアの力を大きく引き出します。

 「カレーは、笑顔ー!!」

 こんなエピソードを挟んだうえで、さて次回、いよいよ2人目のプリキュアが誕生します。
 割と独特の空気感を持った子で、たいがいのことに動じず、ひとりで過ごす時間も好きなんだそうです。

 ですが、たとえそういう子であってもごはんをひとりで食べるのはよくありません。

 ゆいならそう思うはずです。もちろん、コメコメだって。
 だって、誰かのためにごはんをつくるからこそ、そしてそういうごはんをつくってもらえることを有り難いと思うからこそ、ゆいは強くなれたのですから。

 「ふたりとも伸びしろ特盛り?」

 ・・・とかなんとか書いておいてなんですが、ゆいはここからさらにもっともっと強くなれるようですよ?

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    コメント

    1. ピンク より:

      ラストシーン、見たまんまの寂しさに加えて「土地代がもったいない……」とか思った次第。
      私自身はあんまり孤食というものを気にしないんですけどね。

      コメコメがあまりにもいじらしくて可愛くて、キュン死するかと思いました。
      また桃のときはそのままお店の人に無断でマリちゃんに届けかねない雰囲気だったのが、今回きちんとお財布とカゴを持ってく描写で、成長を感じたり。
      パムパムの評価を下げてやろうみたいな発想が無いのも好感触(私が邪念にまみれてるだけ?)

      さてキュアスパイシーの変身を敢えて見送った分、次回は変身までの流れをよりじっくり描けそうな予感です。
      ワクワクもんです。

      • 疲ぃ より:

         うちも父がひとりで晩酌するのが好きだった影響か、家族それぞれで勝手に食べる日がちょくちょくありましたね。食べものの好みもバラバラだったので各々自然と料理を覚えました。まあ、それはそれです。

         >パムパムの評価を下げてやろうみたいな発想が無い
         そう。そこですよね。今話のお話、私は下に兄弟が生まれてお母さんを取られちゃった子の構図を連想したんですが、そういう子って結構弟や妹にイジワルしちゃうものだと思うんですよね。もしくは赤ちゃん返りしてお母さんを困らせるか。なのにコメコメにはどっちもない。正の努力でゆいを振り向かせようとしている。エラい!

    2. 亀ちゃん より:

      今日のデリシャスパーティプリキュアはコメコメが1人でお遣いに出掛けた話でした
      (前略)うれしいはプリキュアちゃんねるにアップしているギャンブラーズプリキュアにて、キュアベースボールギャンブラーのお父様がアイカツ!フレンズの主人公に自己紹介すると、アイカツ!フレンズの主人公が(前略)うれしいと返します
      だからプリキュア的に感慨深かったですね!!☆☆♬
      それから拓海のなんなんだアイツらは、日曜の8時30分から始まるアニメ的にも、女児向けプリキュア的にも感慨深かったです!!☆☆♬
      何なんだアイツは魔法つかいプリキュアにて、敵幹部の一角が口にする感慨深さなのです!!☆☆♬
      で、次回は2人目であるキュアスパイシーのデビュー
      待ってました!!☆☆♬
      次回予告の時は感無量のかの字も感じませんでしたが、今では素直に感無量なのです!!☆☆♬

      • 疲ぃ より:

         女児アニメの男の子キャラ、蚊帳の外に置かれがち。
         なんだかんだこういうところは少女マンガの系譜ですね。少女マンガだと恋愛対象の男性キャラはやたらハイスペックなことが多いので、うっかり事件に巻きこんじゃうと全部ひとりで解決されちゃうっていう。まあ、実際拓海は1ネタ抱えたキャラクターなんですが。

         キュアスパイシーと名前だけ聞くと黄色だった気がしてしまうカレー脳。

    3. 東堂伊豆守 より:

      公式サイトのキャラ紹介ってあくまでも当初予定で、製作途中で変更されてしまうことはしょっちゅうあるので、あんまりアテにはならないんですけどね。
      ただ……芙羽ここねの夕食風景に「ステーキのレシピッピ」がいなかったのが、「本当にレシピッピ不在の料理だから」なのか「ここねの目にレシピッピが見えていないだけ」なのかは、現時点で何とも言えないところではあります。レシピッピが見えるのは、和実ゆいのような“特異体質”の持ち主のみであることが既に示されていることでもありますし。
      そもそもプリキュア作品で“孤独”を肯定的に扱うのって、「孤高の冒険者」星奈ひかるのような“攻め”の姿勢が基盤にあるときだけで、「友達の裏切りでひねくれた」滝沢あすかのような“逃げ”の姿勢が基盤にある場合には結構辛辣に否定する傾向があるように思えます。
      いや、もっと言えば人間の“多様性”を肯定する前提として「本人に“攻め”の姿勢があるか。“逃げ”の姿勢ではないか」を基準にしている印象があります。例えば薬師寺さあやが「(呼び方は)委員長でいいよ」と野乃はなに言ったときに「委員長と話してるんじゃない。さあやちゃんと話してる」とたしなめられたのは、さあやの物言いに“逃げ”の姿勢が滲み出ていたからであって、もし毅然と「委員長と呼んでくれたまえ野乃クン(キリッ)」と言い放っていたら、さしもの野乃はなも「アッ、ハイ」と応じたと思える雰囲気があるんですよね。
      つまり――――芙羽ここねの“孤独”にはやはり何らかの“逃げ”の要素があって、それゆえ(今の)彼女にはレシピッピが見えない――――という可能性があるのかな、と。
      ところで、
      華満らんは(公式サイトによると)劇中SNS「キュアスタ」にたべものの情報をアップする趣味があるそうな(今話でも「後で(キュアスタに)あーげよっ」という台詞がありましたが)。
      ひょっとして、これが「SNS時代の“一緒に食べる”形」――――と呈示する腹積もりが東堂いづみにあるんでしょうか、はてさて。

      • 疲ぃ より:

         親の視点からだと子どもに孤高を勧めるのは相当勇気が要ることでしょうからね・・・。『スタートゥインクルプリキュア』星奈ひかるのキャラクター像もアレは相当攻めていたと思います。私もあの子を思いだして、プリキュアスタッフならこういうところ先進的な考えかたをするだろうなって予想しました。『スマイルプリキュア!』黄瀬やよいのころはまだそこそこ否定的な描きかただった印象なんですけどね。

         ここねはまあ、レシピッピは見えてないんでしょうね。そもそもマリちゃんによると「レシピッピが見えるのはあなたがお料理を大切に思っているから」(第1話)だそうなので。いかにも味わって食べてなさそうってことは、ねえ?

         逆にらんは最初から食べること大好きキャラなので、いったいどう展開をつけるつもりなのかって感じですね。今どきSNSに料理写真をアップすることを否定的に描くこともないでしょうし。

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