光の使者! キュアブラック!
光の使者! キュアホワイト!
輝く生命! シャイニールミナス!
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すべてのはじまりである第1作は、今改めて観てみると本当にゼロからのスタートだということがよくわかります。
「日常を守る」「絆を大切にする」「絶対に諦めない」など、現在では当たり前のように描かれている“プリキュアらしさ”が、本作序盤の段階では意外にも曖昧なんですよね。これらの要素はなぎさとほのかの紡ぐ物語のなかでゆっくり自然に、あるいは必然に、醸成されていったものだったんです。
なぎさとほのかは本当にごく普通の日常を生きる、どこにでもいる中学生で、襲い来る怪物は本当にただ日常を脅かすばかりの外敵でした。(知識とか身体能力とかがときどき規格外なのは目をつぶりましょう)
一応、彼女たちの戦いには世界の命運が懸けられていたのですが・・・彼女たちはそれどころではありませんでした。
ほとんど話したこともなかったようなクラスメイトとバディを組まされ、ひっきりなしに怪物に襲われ、中学生らしく日常のなかでもうんと悩み、それでもなんとか自分なりに今の生活を楽しめるようになってきたところで、いきなりいつもの怪物よりもさらに恐ろしい巨悪が現れたりもする。
「ぶっちゃけありえない!」と、ぼやきながらも、彼女たちは目の前の問題に対していつも一生懸命になるしかありませんでした。
はじまりのふたりがそういう等身大の女の子らしいスケール感で物語を紡いでくれたからこそ、今の“プリキュアらしさ”があります。
美墨なぎさ / キュアブラック雪城ほのか / キュアホワイト
「わ。わ。もうダメー!」
「助けてー!」
「ふたりとも、変身するメポ!」(第1話)
そんなわけで、プリキュア15年の歴史のなかでも珍しく、なぎさとほのかは特に変身する理由を持たないまま初変身を果たします。数話経ってもなおそれらしい決意を固める描写が出てきません。
この作品に限っては、たまたまメップルとミップルに出会ったのがなぎさたちだったから、という理由で彼女たちがプリキュアになったんですよね。
「雪城さんのこと、もっと知りたい」
「美墨さんと、友達になりたい」
「私たちがずっとこのままなんて、ありえない」(第8話)
それでもあえて、なぎさとほのかがプリキュアに変身する理由をどこかに求めるならば。
それはやはり、有名な第8話、ふたりがケンカして仲直りする物語のなかにあるでしょうか。
プリキュアに変身する以前、なぎさとほのかのふたりはただ同じクラスであるというだけで、特に会話したり一緒に何かしたりするような関係ではありませんでした。
なぎさは活発な性格でスポーツ(おおむね)万能、反面勉強は苦手で、意外と乙女チック。
ほのかはおしとやかな性格で学業優等、ちょっと天然気味で、恋愛のことにはニブい一面も。
なにもかも正反対で、共通の趣味もなくて、本当なら友達になれるようなきっかけは望めませんでした。
それが、ある日プリキュアという偶然の縁でつながるんです。
ケンカしたり、仲直りしながら、ふたりは友達になっていきます。
理不尽なほどの偶然によってプリキュアになったふたりが、それでもプリキュアになれて良かったと思えることがあるならば、その筆頭はもちろんこの友情でしょう。
九条ひかり / シャイニールミナス
「私・・・ふたりを助けてあげたいのに、何もできないなんて・・・」
「ぷりきゅらを助けるポポ! ひかりー! ひかり、みんなの未来を信じるポポ!」(MH第4話)
なぎさとほのかの物語が2年目に進むとき、『ふたりはプリキュア』の物語はその構造を少々リニューアルします。
1年目はふたりが友情を深めていくさまに結構な比重をかけて物語が描かれていたのですが、その友情は1年目でこれ以上ないほど完成してしまいました。この先も物語を進めるなら新しい視点が必要になります。
・・・と、いうところで用意されたのが、ひかりという新キャラクターでした。
彼女は重い運命を抱えていて、それゆえに敵に狙われていて、そしてそれでなくても儚げな印象がつきまとう少女でした。当初の彼女はなぎさとほのかに守られることを必要としていました。
けれど、そんなひかりは願うのです。守られてばかりではなく、自分もふたりを助けたいと。そうできるだけの力が欲しいと。
いつもふたりきりで戦ってきたなぎさとほのかでしたが、こうしてふたりは守りつづけてきたものから逆に助けられるようにもなりました。
このことが、友情という小さな互助関係に依っていたプリキュアの世界観を拡張し、もっと広く、日常のなかに生きるたくさんの人たちと協力関係をつないでいくようになる転換点となりました。
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