プリキュアはなぜ変身するのか? 『キラキラプリキュアアラモード』の場合。

元気と笑顔をレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!
知性と勇気をレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアカスタアード! できあがり!
自由と情熱をレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアジェラート! できあがり!
美しさとトキメキをレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアマカロン! できあがり!
強さと愛をレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアショコラ! できあがり!
夢と希望をレッツ・ラ・まぜまぜ! キュアパルフェ! できあがり!

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※ このブログは基本的にネタバレに配慮しません。

 スイーツでみんなを笑顔にする『キラキラプリキュアアラモード』。
 本作は『Go!プリンセスプリキュア』の個人を鍛え高める考えかたと『魔法つかいプリキュア!』の世界の祝福を信頼する考えかたとの統合を試みました。
 個人の心の問題がその人自身をも不幸にしてしまうのはどうしてだろう? →きっと、自分を“大好き”になれずにいるからだ!
 どうしてみんな私のことを助けてくれるんだろう? →きっと、みんな自分にはないあなただけの個性が“大好き”だからだ!
 ざっくりいえば基本はコレです。自分に向かう気持ちも、みんなに向かう気持ちも、“大好き”というひとつの言葉に集約できるというのが『キラキラプリキュアアラモード』の基本の考えかたです。
 だから、自分の“大好き”なものをトコトン突き詰めていけば、自分を好きになれるし、みんなともつなぎあえる。たくさんの個性が協力しあえばどんな問題にも立ち向かえる。もしもみんながそういうふうになれたなら、もう誰も悲しい思いをしなくて済むよね、と。
 これは私の個人的な所感ですが、この“大好き”の論理をもって『ハピネスチャージプリキュア!』が残した命題はようやく解を得たように思います。

 本作のプリキュアにはそれぞれふたつの“大好き”が与えられます。変身するときの口上のことです。これがそれぞれ“自分に向かう大好き”と“みんなに向ける大好き”に対応するのですが――絶対長くなるのでここでは省略。そこらへんの話は総括感想の記事でふわっと(※ ごめんなさい、ふわっとです)語っているので、もし興味があればそちらを参照ください。
 とりあえず今回の主題である初変身に関しては、ふたつのうちの後者が特に重要になります。意外にも、自分のためというより他の誰かとのつながりのために変身していたんですよね、本作のプリキュアって。

宇佐美いちか / キュアホイップ

「――どうでも、よくない。やっぱり、どうでもよくないよ。このケーキはお母さんへの“大好き”って気持ちを込めたものだもん。これをあげたらすべて捨てることになっちゃう。――だから、あなたには渡さない!」(第1話)

 いちかは自分の思いを守るために変身しました。
 いちかにとっては初めてのスイーツづくりでした。いっぱい失敗して、いっぱい挫けそうになって、それでも諦めず、やっとの思いで焼き上げました。久しぶりに帰ってくるお母さんを喜ばせたかったんです。
 けれど、さあいよいよデコレーション!というタイミングで、お母さんの帰宅が延期になってしまったことを告げられます。悲しい気持ちでいっぱいになります。食べてもらえないショートケーキなんてどうでもいいような気がしてきます。
 でも、たとえ食べてもらえないとしても、いちかのお母さんを笑顔にしたいという気持ちはずっと続いていました。それを否定したくはありませんでした。自分がそう思っていることに気付きました。

 だからいちかは変身します。ショートケーキに込めた大切な思いを守るために。

有栖川ひまり / キュアカスタード

「待って。待って。待って。待って、ください! ――私は、せっかくできた友達をなくしたくないんです!」(第2話)

 ひまりは友達を守るために変身しました。
 ひまりには友達がいませんでした。趣味がディープでコアだった彼女はクラスメイトと話が合わず、いつもひとりで過ごしていました。でも、本当は同じ趣味の友達がほしいと思っていました。困ったことに彼女は語りたがりでもあったのです。
 そんなひまりの厄介な趣味を、いちかが受け止めてくれました。言っている内容はよくわからず、正直ちょっとヒキ気味でもありましたが、それでもひまりの“大好き”の気持ちだけはちゃんと理解してくれました。彼女はひまりの友達になってくれました。

 さて、そんな大切な友達であるいちかが怪物と戦っています。ならばひまりは彼女との縁を繋ぎとめるために勇気をふりしぼらなければなりません。
 ひまりが変身したのはそういう事情でした。

立神あおい / キュアジェラート

「おい、お前! ステージを邪魔したうえにアイスまで奪るつもりかよ! この空みたいなアイスは、私の、大切なアイスなんだよー!!」(第3話)

 あおいは友達に教えられたものを守るために変身しました。
 そのころ彼女は自分を見失っていました。憧れの人にカッコいい歌を聞かせるため、今までの自分のままではいけないと考えていました。けれど、考えても、考えても、どうすればカッコよくなれるのかわかりませんでした。
 そんな彼女のために、いちかがステキなアイスをつくってくれました。これはあおいをイメージしてつくったものだと言って。それを食べてあおいは自分を取り戻します。

 そのアイスを怪物が横から奪おうとしたので、あおいは怒って変身しました。
 いちかがカッコいいと気に入ってくれた、情熱的なあおいらしさを身に纏って。

琴爪ゆかり / キュアマカロン

「あなたといると調子が狂うみたい。イヤになっちゃう。でも――あなた、好きよ」(第5話)

 ゆかりはようやく見つけた面白いものを守るために変身しました。
 いちかのことです。より正確には、いちかの瞳に映る世界の見えかたのことです。
 ゆかりは何でも器用にこなせてしまうせいでいつも退屈していました。けれどある日、やたら何でもかんでも楽しそうにしているいちかと出会いました。よくよくつきあってみると彼女自身は案外普通の子で、なのに不思議と、彼女と一緒にいるとなんだか少しずつ、ゆかりの目にも面白いものが見えてくるような気がしてきました。

 いちかと一緒に見つけたトキメキ(たとえばマカロンづくりとか面白かった!)を守るため、ゆかりはプリキュアに変身したいと思いました。

剣城あきら / キュアショコラ

「これは・・・いちかちゃんが、妹のために、私のために、一生懸命手伝って、守ろうとしてくれた、大切なチョコなんだ! このチョコは渡さない!」(第6話)

 あきらは守りたいものを守るために変身しました。
 というか、あきらはそもそもいつだって周りのみんなを守ろうとする子でした。
 元々そういう性格だったんですが、いちかがあきらとあきらの妹のために一生懸命がんばってことを思うと、なんだかいつも以上に力が湧きあがってきて、どうしても守ってあげなければならないという気持ちになるのでした。

 あきらは愛を受け、そして自分からも愛を返すためにプリキュアに変身しました。

キラ星シエル / キュアパルフェ

「ピカリオ。私のためにおいしいワッフルつくってくれて本当にありがとう。あと、ごめんなさい」
「お前のせいじゃない。今さら謝るな」
「やっぱり私、スイーツでみんなを笑顔にしてあげたい」
「・・・お前の勝手にしろ」
「うん! 勝手にする!」
(第23話)

 シエルは預けられた希望を守るために変身しました。
 彼女には大切な弟がいました。同じ夢を共有していた弟でした。けれど、シエルの方がちょっとだけ早く進むことができて、しかもそれに夢中になって弟を置きざりにしてしまったために、弟はひとり絶望に身を堕としてしまいました。
 夢と同じくらい弟を大切にしていたシエルは、犯してしまった過ちの重さを知って自分も絶望に染まることを選ぼうとします。けれど、その弟が言ってくれたのです。自分には叶えられなかった夢を代わりに叶えてほしいと。

 シエルは夢を叶えるために変身します。伝説のパティシエ・プリキュアになることこそが姉弟ふたりの夢でした。
 弟に託された希望をその背に背負い、シエルは夢に向かって羽ばたきます。

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