プリキュアはなぜ変身するのか? 『HUGっと!プリキュア』の場合。

みんなを応援! 元気のプリキュア! キュアエール!
みんなを癒やす! 知恵のプリキュア! キュアアンジュ!
みんな輝け! 力のプリキュア! キュアエトワール!
みんな大好き! 愛のプリキュア! キュアマシェリ! キュアアムール!

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※ このブログは基本的にネタバレに配慮しません。

 現在までのところ、『HUGっと!プリキュア』は前作『キラキラプリキュアアラモード』の“大好き”の論理を継承しているように思います。自分と向かいあうにはみんなの助けが必要で、みんなを助けるためには自分の個性を磨かなきゃいけない。“自分のため”と“みんなのため”を同じひとつのテーマでつないでいます。
 また、ほまれとさあやのストイックな自分探しは『Go!プリンセスプリキュア』を連想させますし、えみるとルールーによる自他の愛の循環を信じる姿勢は『魔法つかいプリキュア!』に似ているようにも思います。直近3作品の総括をしようとしているように見えなくもないです。
 そのうえで現在と未来の連続性をとにかく大切にするという独自のカラーもあって、逆に秋映画では過去にフォーカスを置くっぽい雰囲気。いわれてみれば春映画も過去との向きあいかたが重要になっていましたね。最終的にどういう着地をするつもりなのやら楽しみです。
 まあ、まだ半分しか放送されていませんし、作品全体について語るのはほどほどにして・・・。

野乃はな / キュアエール

「お前じゃないもん。はなだもん。ここで逃げたらカッコ悪い。そんなの、私がなりたい野乃はなじゃない! ――心が、あふれる!」(第1話)

 はなは“イケてる大人のお姉さん”に憧れている女の子です。とはいえ、どうやら具体的に特定の誰かに憧れているわけではない様子。目指している理想のイメージは割とふんわりしています。とにかく今の自分から変わりたいという気持ちが先行しているんですね。
 ただ、理想像が曖昧な割に価値観はやたらと明確です。いくつか確たる信念も持ちあわせています。誰よりも早く困っている人を見つけ、誰よりも早くその解決に取り組みはじめることができます。即応即決、判断の早さこそがこの子の最大の美点です。

 はなは不思議な赤ちゃん・はぐたんを怪物から守ろうとして変身しました。
 怪物の恐ろしさに足はすくみ、身体の震えも止まらずにいたけれど、怪物の近くに赤ちゃんを置いたまま自分だけ逃げるのは“らしく”ないと思いました。そんな調子ではなりたい自分になれないと、自分にフレフレして立ち上がることにしました。

薬師寺さあや / キュアアンジュ

「――心が、あふれる! ・・・私がプリキュアに? 私にそんなことできるのかな。ううん。できるよね。私のなかにも、きっと勇気が!」(第2話)

 さあやは今の自分がしっくり来ないでいる女の子です。友達からは優しくて天使みたいだとよく言われますが、自分ではただそれだけしかないんだというように感じられて、最初は素直に喜べずにいました。今はいくつか自分らしさを見つけて自信をつけつつありますが、まだまだ発展途上です。
 さあやの優しさは賢さでできています。周囲が自分に期待していることを敏感に感じ取り、それに合わせて最良の気づかいをするのが彼女の基本的なスタンスです。そういう器用な生き方をしているせいで自分の個性がかえってわからなくなってしまうのですが・・・。賢いからこそ、そのうえで“優しい”というだけの評価では自分らしくないと違和感を感じていたわけですね。

 さあやははなと一緒に未来を守るために変身しました。
 はなはさあやに勇気があると言ってくれました。“優しい”以外のことを見つけてくれました。そのうえで、はな自身もただの女の子というだけではなく、戦うヒーローとしての意外な一面をも見せてくれました。さあやはそんなはなみたいになりたいと思いましたし、なれると言ってくれたはなを信じたくもなったのでした。

輝木ほまれ / キュアエトワール

「私は、私は・・・もう一度跳びたい! もう一度輝きたい! ――心が、あふれる! 跳ぶのが怖い。応援されることも。けど、もう自分から逃げない。私は私の心に勝つ。未来へ、輝く!」(第5話)

 ほまれは自分の輝きをみんなに見せる女の子です。なにかにつけ周りの人たちからよく憧れられていますが、実際ひとたび氷上に立てば、フィギュアスケーターとして見る人に圧倒的な感動を与えることができます。
 一度、夢に挫折したこともありました。思うように跳べなくなったとき、周囲の期待が重たく、苦痛に感じるようになってしまいました。ほまれはみんなに見てもらえてはじめて自分も輝ける子なのですが、ときにその視線は彼女の不安をくすぐってしまうこともあるんです。なかなか難儀な子ですね。

 ほまれははなとさあやの応援を受けて変身しました。
 はじめはプリキュアの絶対に諦めない姿に憧れて変身しかけました。が、失敗しました。変身アイテムは彼女に跳んでもらいたがっているとしか思えない高い場所に現れ、そしてその手が届かないとみると消えました。
 みじめな気持ちになったほまれははなたちの応援を拒絶しますが、はなたちはそれでも繰り返し応援しつづけました。初めは苦痛だったその応援が、最後にはほまれを跳ばす勇気となりました。

愛崎えみる / キュアマシェリ
ルールー・アムール / キュアアムール

「がんばれ! がんばれ!」
「フレフレ! エール!」
「心が、あふれる!」
(第20話)

 えみるは極度の心配性でした。みんなの安全を守ろうとするその気持ちは立派なものでしたが、極端すぎ&実力が見合わないせいでかえって迷惑をかけてしまっていました。だから彼女はみんなを守ることができるプリキュアに憧れました。同様に、えみるの心を守るために怒ってくれたルールーにも憧れを抱くようになりました。
 ルールーは心を知りたがっていました。敵組織のアンドロイドであった彼女はプリキュアの力の秘密を知ろうとはなたちに接触し、そしてその秘密が人間の心にあると気付きました。次第に心というものに惹かれていった彼女はやがて自分にも心があることを知り、組織を裏切ってはなたちの傍で生きることを選びました。しかしアンドロイドである自分の心は人間のそれとはどこか違う気がしてならず、心の情動が非常に強いえみるに自然と憧れるようになりました。

 えみるとルールーは奇跡によって変身を果たしました。
 追加戦士初のふたり同時変身をする彼女たちですが、意外にも最初に心があふれさせたのはお互いを思う気持ちによってではなく、ひとりで怪物と戦うはなを応援したいと思ったことがきっかけでした。
 ふたりはお互いだけではなく、たくさんの人に助けられてきました。そんなたくさんの人たちと相互に愛をつなぎあいたいという気持ちが、世界に奇跡を起こさせたのでした。

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