HUGっと!プリキュア 第39話感想 未来にだって未来はあるから。

ただ絶望するための未来など必要ない。

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(主観的)あらすじ

 なんかハリーたちのいた未来の世界に来ちゃいました! どうして来てしまったのかはともかくとして、とりあえずハリーの兄弟たちと遊んでいたところ、リストルが襲いかかってきました。
 リストルは何度も「無意味だ」と言ってきます。ですがハリーは、はぐたんは、プリキュアは諦めません。

 リストルははなたちに現実を突きつけます。未来のはぐくみ市は荒れ果てていて、そうじゃない平和な街に住む人々も時間を止められていました。世界はトゲパワワであふれていて、オシマイダーもいつも以上に強力です。この未来の世界はハリーが望んでいた未来ではありませんでした。
 ですが、プリキュアは諦めません。それでも未来は自分がつくるものなんだと信じます。だからハリーも自分の未来を諦めません。誰も未来に絶望なんてしたくないから、未来はとっても愛おしいものなんだと、みんなで信じて戦います。

 その思いによって新しい未来が生まれ、ミライクリスタル・ホワイトはミライクリスタル・マザーハートに生まれ変わりました。
 ミライクリスタル・マザーハートの力によってリストルを撃退し、はなたちは元いた時間へ帰ります。未来のプリキュアに大切な願いを託されて。

 あんまりプリキュアらしくない考えかたなので本文に入る前にここで書いちゃいますが――、絶望したっていいことなんかひとつもありませんよ。

 そりゃもちろん夢を信じていたってそれが叶うとは限らないわけですが、どうせ仮に失敗したって最悪死ぬだけです。これが最初から絶望していたところで結局最悪死ぬのは変わらないわけで、訪れうる未来の可能性の下限なんてどっちにしろ一緒なわけですよ。
 だったら素直に夢見ていたほうがおトクってもんじゃないですか。どっちにしてもリスクなんざ変わらないんですから。

 夢見たところで現実は変わりません。そのくらい夢の力なんてちっぽけなものです。
 でも、だからといって夢に代わる力なんて他にありません。現実を変えうるのはいつだって夢だけです。
 私たちの世界を良くしてきた便利な道具や発明、文化、宗教、社会制度、哲学・・・それら諸々、どこかの誰かがこの世界を良くできると夢見てつくってくれたものです。彼らが幸せな未来を夢見てくれたおかげで、私たちは彼らの生きた時代より少しはマシな生活を営むことができています。

 だから、私は夢見ることに決めました。私が死んだあとの世界をほんのわずかでもステキなものに変えられたらいいなと。それはきっと私にとってもステキな人生だろうなと。
 夢見たところで現実は変わりませんが、現実を変えることができるのはいつだって夢だけです。

理不尽から身を守るために

 「メガめちょっく!」
 なんかすっげー味のホットケーキを食べたらなんか未来にぶっ飛んで来ちゃいました。あるある。
 一応あとでドクター・トラウムの発明のせいみたいな説明もされますが、ぶっちゃけすこぶるどうでもいいことです。そのへんの細かい設定は今回マジどうでもいいものとして扱われます。
 とりあえずはなたちが一足先に未来へ行っちゃったのは事実なので、現実の重力に魂を縛られている人たちも早く適応しましょう。この程度で置いてけぼり食らうようじゃ女児向けアニメを楽しむことなんてできませんよ。モフデレラって知ってますか? 『ジュエルペット』や『プリパラ』という言葉に心当たりは?
 常識に逃げるな。魂を解き放て。

 「強大な力に抗っても無意味。お前もよく知っているだろう」
 残念なことに、リストルはその手の理不尽な流れに適応できない頭でっかちさんです。
 彼はクライアス社によって押しつけられた理不尽な未来を受け入れられないまま、さりとて自分ではどうすることもできずに屈服しています。自分のなかでうまく折り合いをつけられていません。
 「お前は本当は知っているはずだ! 小さな力を必死に集めたとしても、強大な力に勝つことはできない!」

 未来の時間は止まっていました。未来のはぐくみ市は荒廃していました。ハリーとリストルの愛した兄弟たちは病に倒れ、帰るべき家も燃やされてしまいました。必死に抗ったにも関わらず。
 「未来とは夢見た結果だけを運ぶものではないからね」
 未来は無限大。なんでもできる、なんでも叶う。
 だからこそ、あなただけに都合のいい未来ばかりが訪れるとは限りません。この世界で何かを夢見ているのはあなただけではありません。ときには他人の都合で理不尽に蹂躙されてしまうこともあるでしょう。それもまた誰かの夢。
 「俺は・・・明日など要らない! ・・・ただ絶望するための未来など必要ない」
 理不尽に望まぬ未来を押しつけられて、そんな未来がどうしても好きになれなくて、だからリストルは未来を恐れるようになりました。

 「雨は美しい花を咲かせ、恵みとなる。だがときには凍えるような寒さを与える」(第16話)
 「傘は嫌いなんだ。息苦しい」(第23話)
 冷たい雨から身を守るためには、ひとり分の傘を差すより、いっそ雨そのものを止めてしまった方が確実です。たとえその雨が誰かにとっては恵みの雨となるとしても。
 そうとも。誰も夢見ることがなければ、これ以上誰も傷つかずに済むはずです。
 「新たな苦しみがなければ皆笑顔でいられるだろう? だから、時間を止めよう。皆が笑顔のまま暮らせるように、ともに終わらぬ永遠を」(第23話)
 理不尽から身を守るために。
 夢から身を守るために。
 明日への希望よ、消えろ。

 「リストル。僕が憎いかい?」
 「忠誠を誓った日から変わりません。私のすべてはクライアス社のもの」

 「俺は・・・俺は・・・、お前が――憎い」

未来の明日へ

 「これが、あなたがたが守ろうとしている未来ですよ」
 なまじはなたちから見て未来の世界の話だからややこしく見えるんです。
 まるでここから先の未来全部が否定されてしまったかのように、今から努力したって無意味だって言われているかのように感じるんです。
 未来の時間は止まっていました。未来のはぐくみ市は荒廃していました。ハリーとリストルの愛した兄弟たちは病に倒れ、帰るべき家も燃やされてしまいました。必死に抗ったにも関わらず。
 そう。
 それってつまり、リストルにとっては過去の話なんでしょう?

 「みんな覚えてる? ずっと前にみんなで見た夕日、とってもきれいだった」
 「夕日が沈んだらみんなおうちに帰る時間。でも新しい朝が、明日が来れば」
 「“また会える” 夕日がきれいなのは、そう信じているから」
(『魔法つかいプリキュア!』第48話)

 未来の時間は止まりました。未来のはぐくみ市は荒廃しました。ハリーとリストルの愛した兄弟たちは病に倒れ、帰るべき家も燃やされてしまいました。必死に抗ったにも関わらず。
 だからどうした。
 それでも、明日は来ます。
 確定した未来がどんなに理不尽なものだろうと、明日にはまた新しい未来が待っています。明日の次は明日の明日。明日の明日の明日。明日の明日の明日の明日。過去と現在が連続しているように、現在と未来が連続しているように、未来はその次の未来とも連続しています。
 どうしようもないことがあるのは百も承知。それをわかったうえでプリキュアは戦ってきました。それをどうにかするためにプリキュアは戦ってきました。
 「諦めない、負けない!」(『キラキラkawaii! プリキュア大集合』)こそがプリキュアの合言葉。勝てない日だってあります。それでも、明日も勝てないとは限らないんです。

 「フレフレ! ハリー!」
 「ハリー。たとえクライアス社に力を貸した過去があっても、未来は変わる!」
 「大切なのは今のハリーの心なのです!」

 この未来の世界はリストルやハリーからすると未来ではありません。過去の出来事です。過去だからこそこの現実は変えられない。でも、未来なら変えることができます。諦めないかぎり。

 「お前は本当は知っているはずだ! 小さな力を必死に集めたとしても、強大な力に勝つことはできない!」
 リストルと同じ過去をハリーも持っています。自分の夢がどうしようもない理不尽に押し流されてしまった日のことを覚えています。
 「俺は未来を信じるって決めたんや。どんな強大な力にだって、仲間を信じて手を取りあえば奇跡は起きる。それを、お前らが教えてくれた!」
 けれど同時にハリーは別の過去も持っています。はなたちがとてつもない理不尽と戦って、跳ね返してみせた日のことを覚えてきます。
 相矛盾するふたつの過去が現在のハリーをつくります。過去というものは変えられませんが、新たに積み上げていくことならできます。別の視点と出会って見かたを変えることならできます。
 ハリーはリストルと同じ理不尽を知っていますが、リストルと同じように諦めるとは限りません。
 ぶっちゃけ普段はプリキュアの味方の割にやたらと諦めがよくて「何言ってんだコイツ?」と思うこともしばしばでしたが、そんな彼だって変わることができるんです。
 「フレフレ! プリキュア!」
 未来は無限大。なんでもできる、なんでもなれる。
 諦めなければ、負けなければ、いつか必ず。

未来をつくる

 「ただ絶望するための未来など必要ない」
 「そうだね。だから、未来はステキなものにしなくちゃね」

 リストルが知っているものは未来などではありません。過去です。

 昨日絶望したからって、明日も絶望させられるとは限りません。絶望するのがイヤだから現在において努力するんです。幸いなことに、未来は無限大なんですから。
 「はぐたんがダンスをできるようになったり、大きくなっておしゃべりすることが増えたり。――それが未来」
 はなは知っています。どうすれば未来をステキなものにできるのか、ずっとはぐたんを見つめてきた過去から学んでいます。
 「だから。未来はとっても愛おしいものなんだ!」
 だからはなは未来の輝けることを信じます。信じて、努力して、そうすれば自分で輝く未来に手を伸ばせることを過去から学んでいるからです。

 「明日・・・? 俺の願う明日は・・・」
 それはまだ訪れていません。
 過去にどれほどの理不尽に翻弄されてきたとしても、過去にどんな取り返しのつかないものを奪われてしまったとしても、それでも、明日どうなるかはまだ決まっていません。“未来”は“未だ来ていない”から未来なんです。

 「未来へ向かう物語。その道筋を描くのに正しいのは僕か、君か」(第23話)
 誰もが幸せな未来を掴むための努力をしていて、ときにそのとばっちりで理不尽な不幸をもらってしまうこともあります。けれどそれはみんなが幸せになろうと夢を抱いているからで、たくさんの人が実際に夢を叶えているからです。
 だったらあなたもみんなと一緒に夢を抱いてみてもいい。あなたの夢はみんなと同じようにいつか叶うかもしれません。諦めずに努力しつづけるかぎり。
 もしかしたらそのせいでまた別の誰かを不幸にしてしまうこともあるかもしれませんが・・・、そのあたりにはなはどういう答えを示すんでしょうね。(私としては全体として少しずつでも幸せになれる人が増えていけばそれでいいと思っちゃっているのだけれど)楽しみに見守りましょう。

 「また新しい未来が・・・」
 最も新しいプリキュアのひとり・野乃はなは、現在を楽しく過ごす努力を重ねた先の未来に憧れます。

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『HUGっと!プリキュア 第39話感想 未来にだって未来はあるから。』へのコメント

  1. 名前:東堂伊豆守 投稿日:2018/11/11(日) 23:42:37 ID:589fc6ab0 返信

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    ハリハリ地区を災厄が襲う前日、リストルやハリー達が抱いていた明日への希望は、災厄によって無意味なものとなってしまったのか?
    昭和20年8月8日、長崎の人々が抱いていた明日への希望は……?
    明日に向けて、いつ打ち砕かれるかもしれない希望を抱くことなど無意味なのか…..?
    勿論、我らがキュアエール/野乃はなの答えは決まっています。「断じて無意味ではない」。……ただ、彼女のエールを、前日まで抱いていた希望を明日に打ち砕かれた人々に届かせるには、まだまだ彼女は未熟で、無知で、力が足りない。ようやくハリーにはエールが届いたけど、リストルやジョージ社長にはまだまだ届かない。……ロバート・オッペンハイマーには、届くのかな……。
    いよいよ本作も残り後10話ほど、果たしてキュアエールは希望を打ち砕かれた人々にもう一度希望の力を信じさせることが出来るのか?それだけの説得力を持ちうる存在となれるのか?じっくり見届ける必要がありそうですね。

  2. 名前:疲ぃ 投稿日:2018/11/13(火) 01:55:07 ID:589fc6ab0 返信

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     なんだかんだでさあややほまれを再起させたときと同じ構図がクライアス社相手にも整ってきましたね。失敗上等。
     まあジョージさんが未だヘラヘラと他人事気取りでいるので、彼を巻き込むためにはもう一歩踏み込む必要もあるんでしょうけれど。
     最後の個人回で何やるんでしょうね。今作は相手の事情に首を突っ込まなくても成立するスタイルでやっているので、ここから何が飛び出してくるのか正直予想がつきません。割といろんなことができそうな気がします。楽しみですね。

  3. 名前:東堂伊豆守 投稿日:2018/11/13(火) 04:15:32 ID:589fc6ab0 返信

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    部活モノに例えれば、最終決戦が「高校三年最後の大会」、最終個別回が「部員の高校卒業後の進路決定」みたいな感じなんでしょうね。特にさあやは役者やるのか医者やるのか年内エピソードで確定しておく必要があるだろうし。
    えみルールーは最初「大きな古時計」ルートかと思っていたんですが(おばあさんと一緒にチクタクチクタク、今はもう動かない、そのアンドロイド)、予告編の涙目えみるを見ると「ドクタートラウムからルールーが未来に帰還しなければならないことを告げられる」ルートもありそう。
    一方、全くわからんのが最終決戦の内容でしてね……。時間停止はあくまでも"次善の策"でジョージ社長の真の目的は別にありそう(クライアス社もハナから計画倒産させるつもりだった?)なので、それが判明しない限り推測のしようもない。それにジョージ社長とプリキュア陣営(特にマザー)との間に因縁がありそうなのが(ハッ?!ルミエルノワール……)またなんとも。
    そもそも時間停止装置の動力源がミライクリスタルであるなど、クライアス社のテクノロジーとプリキュア側のテクノロジーが共通基盤で成り立っている雰囲気で、例のジョージ社長愛読書も元々はプリキュア(マザー)の所有物"プリキュア秘伝書"とかじゃないかと。で、ジョージ社長にプリキュア秘伝書を奪われて掲載されているデータを悪用されてしまった、とか……。