ドキドキした気持ちも、胸がきゅーっとなって流した涙も、今、私の心で輝いてる!
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(主観的)あらすじ
ほまれはずっとハリーに片想いしていました。
この恋が叶わないことはわかっていました。ハリーはいつか未来に帰ってしまうし、なにより他に好きな人がいるようでしたから。
それでも恋する気持ちはどうすることもできませんでした。意識しないようにしていても何故だかキツく当たってしまうし、スケートに集中力を欠いている自覚もありました。
こんな邪魔な気持ち・・・。
けれど周りの人は恋するほまれのことを応援してくれていました。
叶わないことを知らないからではありません。恋する今のほまれが輝いているからです。
ほまれのお母さんは離婚していました。なのにお父さんのことを悪く言いません。むしろお父さんに恋をしてよかったと言います。傷つくこともあったけど、同時にたくさんの宝物も得られたから、と。たとえばほまれが生まれてきてくれたことも、その宝物のひとつでした。
フィギュアスケートの大会、本番直前。ほまれはハリーを呼び出して告白しました。もちろん結果は玉砕。涙がたくさんこぼれます。
けれど、ハリーは誠実に気持ちを受け止めてくれて、はなたちは優しくHUGしてくれて、ほまれはこの恋ができてよかったと心から思えました。
うれしい笑顔も、悲しい涙も、これまであったこと全部がほまれを輝かせていました。ハリーやはなたちも一生懸命応援してくれます。
ほまれは大会に優勝しました。自分らしい、100%の滑りを見せることができました。
「希望とはすぐに絶望に変わってしまうものだと君は気付いている」
どうしてトゲパワワが生まれてしまうのか。
どうして明日への希望を失ってしまうのか。
どうして時間を止めたくなってしまうのか。
それは、過去に悲しいことがあったからです。悲しいことを経験して傷ついたから、だからもうこれ以上傷つきたくないと。未来は現在と過去とつながっています。
世のなか悲しいことだらけです。
涙を流したことのない人なんていませんし、今日笑顔の人も明日には泣き顔になっているかもしれません。誰にも悲しいことは不可避です。そんなのわかりきっています。
それでも。
昨日泣き顔だった人が今日は笑っています。悲しいことがあった次の日にうれしいことが待っていることもあります。
昔悲しかったことをふり返って、今は穏やかに笑っている人だっています。
どうして悲しいことがあったくらいで明日への希望を失ってしまうんでしょうか?
明日になればうれしいことが起きるかもしれない――つまり、悲しいのは今この瞬間だけのことなのに、どうして未来にまで失望してしまうのでしょうか?
「今はスケートに集中したいの。お母さんを安心させたいし、アンリのためにもがんばりたいの。・・・恋はスケートの邪魔だもん」
それは、過去が現在と未来とに繋がっているせいです。
ひとつ悲しいことがあれば、そのせいでまた悲しいことが続くこともあるからです。本来なら笑顔になれたかもしれないことで、余計な涙を流さねばならなくなることもあるからです。
ほまれは失恋を恐れていました。
悲しい恋が、未来の輝きをくすませてしまうような気がしたから。
では、どうして今、笑っている人がいるのでしょうか?
みんな誰でも悲しいことくらい経験しているはずなのに。
確定したバッドエンドへ進む
「人魚姫の物語の結末、知ってるでしょ。王子様には別の思い人がいました。恋に破れた人魚姫は海の泡となって消えるのでした」(第32話)
ハリーには別の思い人がいました。はぐたん――キュアトゥモロー。ほまれはすでにそのことを知っています。けれど、恋する気持ちはどうすることもできません。
理不尽な話です。ほまれがいかに努力しようとこの恋は叶わないでしょう。ハリーの気持ちを変えることはできそうにありません。そのくらい、彼にとって心の深いところにまで根付いた思いなのだということがわかってしまいました。
そしてもうひとつ理不尽な話です。ほまれがいかに諦めようとしてもこの恋心は捨て去ることができません。ほまれだって、この思いは心の深いところにまで根付いています。半年以上ずっと恋してきました。きっかけは何だったでしょうか。明確なきっかけはなかったような気がします。そのくらい、ほまれにとってハリーに恋することは当たり前のことでした。
「ふざけるな! なんで心の痛みに潰れない! 痛みを抱えていくつもりかよ! そんなの辛すぎるだろ!」(第32話)
ほまれは遠からずこの思いを胸に秘めつづけることに耐えかね、ハリーに告白し、そして失恋するでしょう。
ほまれの未来は絶望的なバッドエンドに確定していました。
「好きな人のことを考えていつも心配してるほまれはかわいいよ」
「恋をしてるほまれ、僕は好きだけどな」
なのに、どうしてでしょう。恋するほまれを見てステキだと言ってくれる人たちがいました。むしろこの恋心のせいでカッコ悪いところをたくさん見せてしまっているのに。
「恋かぁ。どう応援したらいいんだろう」
「フレフレほまれさん。たとえ相手がネズミでも愛は勝つのです」
どうしてでしょう。恋するほまれを応援してくれる人たちがいました。むしろこの恋心のせいで最近うまくいかないことの方が多いのに。
もちろん彼女たちはほまれに不幸になってほしいわけではありません。他人事として野次馬気分で遠巻きに眺めているわけでもありません。
みんなほまれのことを好きでいてくれています。心から応援してくれています。それは確信できます。
だったらどうしてみんな、この恋をまるで良いものであるかのように見るんでしょう。
この恋は叶うはずがないのに。辛い顔をたくさん見せてしまっているのに。
いったいどうしてでしょう。
「恋は難しいよね。告白しても絶対に付きあえるわけじゃないし、一度くっついても別れちゃうこともある。けど、お母さんはお父さんのこと好きになってよかった」
恋に破れた経験のあるお母さんは、お父さんと離婚した話を穏やかに微笑みながら語ります。
「一緒にいて傷つくこともあったけど、たくさんの宝物もくれた」
大丈夫。この先に待っているものは、けっして未来を閉ざすバッドエンドなんかじゃない。
どうしてでしょう、みんなそう確信しているように見えます。
地べたに落ちたエトワール
「無理。私・・・、跳べない」(第4話)
かつてほまれはスケートに挫折したことがありました。
身体の成長に対応できなくて、これまで跳べていたジャンプができなくなって、それで一時期スケートを諦めることまで考えていました。
そんな自分を変えたいと思って、プリキュアになれるチャンスを得たことがありました。けれど、スケートでの挫折経験が尾を引いて、そのときはせっかくのチャンスを逃してしてしまいました。
「フレフレほまれちゃん!」
「ほまれちゃん、私まだよくわかんないけど、でも、負けないで! 負けちゃダメ!」(第4話)
けれど今はどうでしょう。
ほまれは力のプリキュア・キュアエトワールとして立派に戦っています。
スケートの方でもたくさんの大会で優勝を飾り、昔のようにたくさんのファンの声援を受けています。
どうしてでしょう。ほんの少し前までは自分の将来は真っ暗だと思って拗ねていたはずなのに。
「昔のムダのない正確なスケートも好きだったけど、今のほまれの気持ちあふれるスケートも悪くない」(第8話)
変わったからです。
変われたからです。
挫折しても、そこから再び立ち上がってこられたからです。
挫折しました。以前と同じようにはできません。
けれど立ち上がりました。以前とは違うものを支えとして。
「跳ぶのが怖い。応援されることも。けど・・・。もう自分から逃げない! 私は私の心に勝つ!」(第5話)
ほまれは力のプリキュア。たとえ何度挫折しようと立ち上がり、見ているみんなに勇気をくれる、いつだって力強い輝きを放ちつづけてきた女の子です。
「スケートを言い訳にしないでくれ。誰のためでもなく、ほまれのために滑ればいい。100%の輝木ほまれを見せてくれ。それが僕らの笑顔になる」
みんな輝木ほまれがどういう人物なのかをずっと見てきました。
だから、誰も彼女がバッドエンドに沈んで終わるだなんて思っていません。
何を経験した先であっても輝木ほまれの未来は絶対に輝くんだと、誰もが確信しています。
だから、フレフレ。
絶望を踏み越えた先に
「希望とはすぐに絶望に変わってしまうものだと君は気付いている」
どうしてトゲパワワが生まれてしまうのか。
どうして明日への希望を失ってしまうのか。
どうして時間を止めたくなってしまうのか。
それは、過去に悲しいことがあったからです。悲しいことを経験して傷ついたから、だからもうこれ以上傷つきたくないと。未来は現在と過去とつながっています。
ひとつ悲しいことがあれば、そのせいでまた悲しいことが続くこともあります。本来なら笑顔になれたかもしれないことで、余計な涙を流さねばならなくなることもあります。過去は現在と未来とに繋がっています。
世のなか悲しいことだらけです。
誰もが悲しいことを経験しています。
それでも、今、笑っている人はいます。
「ほまれちゃんよく笑うようになった。もし傷ついても、その笑顔をくれた友達がその涙を吹き飛ばしてくれる」
ほまれはかつて挫折し、けれど再び立ち上がりました。
いくら放っといてと言っても聞いてくれなかったはなたちの応援のおかげで。
「友達と一緒に学校に行ける時間が好き。かわいい赤ちゃんの温もりを感じる時間が好き。ふたりと一緒に過ごす時間が、私の心を輝かすんだ!」(第8話)
ほまれのスケートは変わりました。
新しい友達ができて、そのみんなとの新しい想い出をたくさん積み重ねて。
「たしかにアンリと私は同じ世界に生きているのかもしれない。けど、私に新しい世界を見せてくれたのは、はなとさあやなの。はな。フレフレして!」(第8話)
「はな。フレフレして! さあやもはぐたんも! 今から私のハート、100%マジアゲするから!」
ほまれのハリーへの恋は叶いません。それは告白する前からわかっていたことでした。
勇気を出して、玉砕して、たくさん涙をこぼしました。
けれどうまくいかなかったあとにははなたちが待っていてくれて、どうしようもなかった思いをぎゅっと抱きしめてくれました。
挫折して。応援されて。また立ち上がって。
それが、いつもの輝木ほまれの強さです。
力のプリキュア
「強がるなよ! お前はもう明日なんて要らないと思ってるんだろ!?」
ほまれの恋は叶いませんでした。その無様な結果だけを見るならバッドエンドです。
けれど、この恋はなにも実らせなかったわけではありません。たとえ外からはわからなかったとしても。
元よりほまれは外見や外聞ばかりを見られがちな子でした。
「フィギュアスケートをやってたのよ」「でも突然辞めちゃって」「学校にも全然来なくなって」「派手な人とツルんでるって噂だし!」「さっきみたいに先生を無視するし!」「こわーい!!」
「お前、天才スケート選手の輝木ほまれだろ!」「なに、有名人か!」「天才で有名人だと!?」「逃げろ! 有名人には敵わねえ!」(第4話)
力のある子だからです。
華々しい経歴や名声が先に目について、周りの人たちはそういう側面からしか彼女を知ることができません。
「ほまれは憧れなんだ。自分の考え持ってて、大人っぽくて」(第16話)
彼女に好意的な人ですらこんなもの。ほまれ自身の思う自分はもっと弱くて、挫折から立ち上がるときも友達の応援を必要としていたくらいなのに。
「そっとしといたれや。充分がんばっとるヤツに『がんばれ』言うのは酷やで」(第5話)
かつて訳知り顔でとんでもないことを言っていた人がいました。
一般論としてはそう間違った意見ではありません。その考えかたで救われる人もたしかにいるでしょう。けれど、ほまれの場合はけっしてそういう接しかたで救われる子ではありませんでした。
「・・・ありがとう。スッキリした! 正直に言ってくれてサンキュ。最高のスケート滑るから見てて」
涙を流しながら、明らかに強がりだとわかる笑顔。
強い子です。こんな強い子のためにいったいどんな言葉をあげられるでしょう。
いっそ何も言わずそっとしておいてあげた方が彼女のためになるのかもしれません。
けれど、これまで長く彼女を見てきたハリーは知っています。
「アイス、溶けるやろ。ずーっと! 楽しみに取っていたんや! 溶けるやろが! ・・・お前が傘も差さんと出ていくから」(第16話)
彼女が強がっているときは、本当は助けが必要なんだということ。
「ムリヤリは聞かない。けど、マジできついときはひとりで抱えこまないで。それだけは約束して」(第23話)
強そうに見える彼女が、本当はひとりでは耐えられない弱さを知っていること。
「守ってくれる人がいるって、マジありがたいと思うよ」(第25話)
本当はずっと周りの人たちに支えられながら戦ってきたこと。
「何が“俺の問題”なの? “私たちの問題”でしょ。約束したじゃん。一緒に、やってこうよ」(第25話)
彼女はひとりで戦うのではなく、本当はみんなと助けあいたいといつも考えていること。
挫折して。応援されて。また立ち上がって。
今のハリーはほまれの強さがそういうものなのだと知っています。
だから。
「ほまれ! がんばれよ!」
「フレフレ! ほまれ!」
ようやく、やっと、彼にも伝わってくれました。
「天使の羽根! あれはさあやの羽根だよ!」
「お花が咲いた!」
「わぁ、ほまれキラキラしてる。まるで流れ星みたい!」(第8話)
「友達と一緒に学校に行ける時間が好き。かわいい赤ちゃんの温もりを感じる時間が好き。ふたりと一緒に過ごす時間が、私の心を輝かすんだ!」(第8話)
「昔のムダのない正確なスケートも好きだったけど、今のほまれの気持ちあふれるスケートも悪くない」(第8話)
「人生にムダな時間なんてない!」(第8話)
輝木ほまれは力のプリキュアです。
それはひとりでどんなものでも打ち倒せる力持ちという意味ではありません。
むしろ彼女は何度も挫折して、みんなの応援を受けて、やっと立ち上がって・・・そういう弱さを持った女の子です。
そういう、この少女が力のプリキュアです。
誰かのために直接何かをしてあげるよりも、自分自身が輝くことでこそみんなに元気を与えられる、ステキな力を持っています。
けれど、その輝く力の源はみんなと過ごした時間があってこそ。
「ずっと思ってた片想い。叶わない恋に意味はあるのかなって――でも、きっとあった」
挫折するたびに新しい出会いがあって、挫折するたびに誰かの真心に触れて。
もちろんうれしいことがあるたびみんなで笑いあって、ときに苦い気持ちで誰かに愛おしさを覚えもして。
たくさん、たくさん積み重ねてきた過去、経験、想い出。
たくさんの人とともに紡いだそれら全部が、輝木ほまれの力。
「私は自分の大好きな人の幸せを、輝く未来を願ってる! だから時間を止めたいなんてイケてないこと、思わない!」
輝木ほまれは力のプリキュアです。
見る人みんなに勇気をくれる彼女の輝きは、彼女自身が辛いときみんなに贈ってもらえた応援の力です。
コメント
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ほまれの告白・玉砕そして復活を描いた今話は、おそらく坪田文さんが脚本を務めた「魔法つかいプリキュア!」第34話が下敷になっているんだと思います。あのときはサブキャラ(長瀬まゆみ)の失恋・一話完結という形で書かざるを得なかったストーリーを、メインキャラでシリーズを通してじっくり描きたかったんだろうな、と。
更に、あの回で失恋した長瀬まゆみを叱咤激励する勝木かなの姿は、"心が無い"コンプレックスに苦しむルールーが持っていた"心"を称賛した愛崎えみるに通じるものがあり、プリキュア過去作における坪田文脚本回を「HUGっと!プリキュア」の"プロトタイプ"として見直してみるのも一興かもしれません。
まあ、その"ふられちゃった"長瀬まゆみを演じた多田このみさんが、本作では"恋敵"はぐたん/キュアトゥモローを演じているのは少々イヤミな偶然ですが(苦笑)。
で、そのキュアトゥモローに惚れているハリーなんですが、彼とトゥモローってまだ相思相愛というわけではなかったんですね。トゥモローのハリーに対する想いは未だ不明で……。
実のところ私はキュアトゥモローがハリーの前に初めて姿を現した時の「ごめんね。過去は返してあげられない」という台詞がずっと引っ掛かっていまして、あれはハリーの辛い気持ちに寄り添ってあげた(ハリーは多分そう解釈している)言葉ではなく、ハリーに降りかかった災厄についてトゥモロー達未来のプリキュアに何らかの原因があって、そのことへの謝罪の言葉なんじゃないか?という疑念が拭えないんですよね。
なにぶん、トゥモローに力を託したマザーの正体や考えが全く不明で……、何故マザーはプリキュア達が剣に頼り、自己犠牲に走るのを止められなかったのか?何故マザーの力を受け継ぐトゥモロー/はぐたんは野乃はなのことを「ママ」と呼ぶのか?何故はなに御執心のジョージ社長はマザーにも同じように御執心の様子なのか?……あまりにも不審な点が多すぎるんですよ。
もし私の嫌な予感が的確なんだとすると、ハリー君の恋はほまれの失恋以上に悲しい展開を辿るのかもしれず……、はなvsジョージの行く末に加えハリー&はぐたん/キュアトゥモローの行く末にも大いに注目していく必要がありそうですね。
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そういえば先日「キュアエール女神マザー説」って検索ワードでいらした方がいましたよ。どこかでそういう話題が盛りあがってるんでしょうか。
魔法つかいプリキュア!第34話もあれやこれや似ているというか、まあ脚本家が同じなら思想的にも似通ってくるのは当然なんですが、そういえばあちらも“なぜ告白するのか”が大きなテーマになっていましたね。情熱的なエピソードでした。
「すごく好きな人ができて、そのために頑張ったんだよ? それを意味がなかったなんて言わないで!」
良いセリフ。
キュアトゥモローはハリーに思いっきり同情で接していたので、恋愛感情は正直どうかなー。あれはそれこそお母さんがイジけた子どもに向けるような愛情ですよ。あそこから付きあいはじめてもロクなことにはならなさそうな。
「過去は返してあげられない」は私も気になっていますが、まあキュアトゥモロー側の事情がどうであれハリーが彼女をどう考えるかはまた別問題なので、はぐたんがあの姿に戻りでもしないかぎりは保留することにしています。