超人女子戦士ガリベンガーV 第6回感想 プロフェッサー・ナガヌマ・フォーエバー。

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生徒役:電脳少女シロ、花京院ちえり、カルロ・ピノ

皇帝ペンギンは常に肯定だからね。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「先頭のかたが雪を踏みしめ、固め、ツルツルに滑りやすくし、次のかたへの試練としているんです」

 .LIVEのファーストペンギン。彼女の前にもキズナアイという先達はいるものの、それでもこの子を勇気ある開拓者と呼ぶことに異論を挟む人はいないでしょう。ずっと後輩たちを意識した立ち回りを続けてきました。外へ、外へ。その結実のひとつがまさに今この瞬間です。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。きわめてタチが悪い。

花京院ちえり

「んーかわいい? ありがとう! ありがとう! ありがとう! もっと言ってー!」

 今日もちえりちゃんはかわいいなあ! 花京院ちえりはかわいいキャラクターです。この子についてはいずれじっくりガッツリ語ってみたいところ。好みは分かれるかもしれませんが、おそらくアニメオタク層が初めてバーチャルYouTuberと聞いて想像したとき、それに最も近いことをしているのが彼女だと思います。
 人気のコンテンツは操作にクセがあるタイプのゲーム実況と、それからなんといっても視聴者とのじゃれあいトーク。彼女の配信はたいがい視聴者コメントのテンションがおかしいです。よく統率されていて、口をそろえて頭のおかしなコールをしています。一見すると異様。圧倒的な非現実感。
 けれどよく考えてみてください。バーチャルYouTuberはそもそも虚構の存在です。アニメキャラと同じで現実には存在しません。なのに、まるで実在しているかのように向こうから話しかけてきてくれる。・・・種を明かせばアバターの向こうで生身の人間が喋っているだけにすぎないのだけれど。それをわかったうえで、私たちはあえて“花京院ちえりがここに実在している”と錯誤するんです。このコンテンツがただの茶番劇だと理解したうえで、自ら進んで茶番劇に参加するんです。そうした方が面白いから。花京院ちえりの配信は、そんなバーチャルYouTuberというコンテンツの本質を最もストレートに体現しています。
 ちなみに花京院ちえり自身はあがり症です。想定外のことが起きるとコチコチに固まりがち。だからこそ、彼女はよく準備してから配信に臨みます。意外にもチマチマと地味な努力を積み重ねたがる健気な子です。そんな子が虚構劇を仕掛けてくるからこそ、こちらも彼女の狙いどおりに踊ってあげたくなる。

カルロ・ピノ

「もう先生がかわいくて、ずっと見てたいですね。5時間くらい」

 アイドル部唯一の中等部生にして、随一の知性派。特に生きものの生態については並々ならぬ広い見識を持っています。なんと今月、『ぴのらぼ』というバーチャルYouTuber初の著作を刊行するほど。
 この子は鉄壁です。知識の盤石さもさることながら、そもそもどんな話題を振られても動揺するということがほとんどありません。というのも、彼女は日頃からよくものを考えて話すクレバーな子だからです。彼女は自分がどういう人物であり、また周りからどういうふうな期待を向けられているのかを明確に把握しているようです。だからブレません。いつも優雅に穏やかに、ウフフとイタズラっぽく笑っています。
 人気コンテンツは知識を生かした雑学講座と、ゲーム内設定を現実に置き換えて考えてみる考察遊び。なにかと頭が回る子なので、今回のようにゲスト出演するときはちょくちょく気の効いた(こまっしゃくれた)コメントを発します。

授業構成おさらい

タイトル:ペンギンの謎を探れ

 今回はナガヌマ教授の卒業講座。次回からは新しい先生が教壇に上るようです。だからなのか、今回は教授の専門にほど近い極地生物・ペンギンについて語られました。
 今回の授業はオムニバス形式。いつもの論理を積み上げて答えにたどり着く楽しさはないものの、代わりにこれまでもたびたび番組に華を添えてきたナガヌマ教授自身の魅力が存分に発揮されていました。

超難問1:なぜペンギンはヨチヨチ歩きなの?

 今回の授業は全て結論から入っていきました。
 ペンギンがヨチヨチ歩きに見えるのは、ペンギンの骨格自体がまるで空気椅子をしているような形状をしているからです。電脳少女シロと花京院ちえりが指摘したとおり、ペンギンにはお腹周りにぶ厚い脂肪と羽毛が蓄えられているため外からは膝周りが見えませんが、レントゲン写真を見ると意外に長い足の骨格が確認できます。

超難問2:なぜペンギンは1列で歩くの?

 ペンギンが一列で歩くのは、先頭が事故や天敵にによって命を落としたとしても、後続は生き残るようにするためです。
 ちなみにペンギンのコミュニティには上下関係がなく、最初に行動をはじめた個体が列の先頭に立つ仕組みになっています。このことから、アメリカのビジネス界ではリスクを恐れないベンチャー精神の持ち主のことを敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼んでいます。

超難問3:なぜペンギンは裸足なのにしもやけにならないの?

 最初にカルロ・ピノが「血液が温かいから」という予想を立てます。これが部分正解。 ペンギンだけでなく人間を含めた全ての恒温動物は足に温かい血流を流していますが、多くの場合は足が冷えたとき、全身にまで冷たい血液が循環してしまわないように足の血管を細く圧迫します。これにより足がいっそう冷えきってしまうのがしもやけ。
 一方、ペンギンは足の静脈が動脈にまとわりつくように広がっているため、足で冷えた血液が温められながら心臓へ帰っていきます。この機能があるため、ペンギンは足の血管を圧迫する必要がなく、しもやけにならないわけです。この血管の形状をワンダーネットと呼びます。

超難問4:なぜペンギンは毛づくろいをするの?

 花京院ちえりが「トリートメントの役割があるんじゃないか」と予想を立てます。場の空気としては冗談を言いあう流れでしたが、実はこれが地味に正解。
 ペンギンの尾の付け根には皮脂腺があり、ここから出る脂を全身の羽毛になすりつけるため、ペンギンは毛づくろいをしています。脂をなすりつけることで潜水中に海水が皮膚付近まで浸透してくることを防ぎ、体温が低下してしまうことを防いでいるのです。

 余談ですが、ちなみにこの皮脂腺周りの肉のことをぼんじりといいます。八重沢なとりの好物ですね。いつぞやの夜桜たまの配信で「脂が吹き出る部分があるから焼く前に処理しておかなければならない」という話が出ていましたが、それがまさに皮脂腺のことだったりします。(皮脂腺は鳥類全てに備わっています)

超難問5:なぜペンギンは首を左右に振るの?

 常にNo! と否定しているわけではありませんし、逆に皇帝ペンギンは肯定しているわけでもありません。
 海中でエサを摂るペンギンは体内に塩分が溜まっていきます。ペンギンにはこの塩分を放出するための塩類腺が目元に備わっており、首を振ることで塩分を体外に振り払っています。 ちなみにウミガメは産卵するとき涙を流すといわれていますが、その涙の正体も実は塩類腺からの分泌物。産卵が辛くて泣いているわけではないのです。

感想

 「ワープしちゃっていいでしょうか?」
 「こんな感じで、こう歩くから、もういきおいヨチヨチ歩きにしかならないってことですね」
 「オキアミを食べて、それをこう、ゲロみたいにしてヒナに与えるの。オキアミゲロ」
 「あの。あのー・・・。いやー、まあなんというか、いい感じですわ」
 「国道があって、県道がありますでしょ。――南極は極道(きょくどう)っていうんですね。違うふうな呼びかたをしないでくださいよ」
 「『常にNo!』って面白いですけどね。皇帝ペンギンは常に肯定だからね」

 
スーパーナガヌマタイム。ふらっと生徒たちのボケに乗ってみたり、ツッコミ中のコトウゲ教官を後ろから刺してみたり、見た目ちょっと滑稽な実演芸を披露してみたり、むしろ自分から率先して妙なボケをかましてみたり。
 ただ教えるだけの役割にとどまらない、バラエティタレントとしても魅力あふれるナガヌマ教授の魅力を存分に堪能できる回でした。
 またいつか授業に使えるネタが暖まってきたら教壇に立っていただきたいところ。まあ、本来ならこういう深夜番組にチョイっと出演させていいような研究者でもないんですけどね。それでもイチ視聴者としてはこうして素晴らしい巡り合わせができたことに感謝するよりありません。

 今回は完全にナガヌマ教授主導で授業が進行していたので、その分彼の研究者らしいユニークな語りもたくさん楽しむことができました。
 「これヒゲペンギンですね。これ、英語ではChinstrapといって、アゴヒモペンギン。そっちのほうがいいかな」
 
和名英名どちらがより実物に似合っているかの話。
 「ぱっと見てボク気になりました。このペンギンちょっと汚いでしょ」

 フリップに見つけたちょっとした気付きから余談に広げていく面白さ。
 「だから、最初にたまたま行動しちゃった者が業が深いなあと思うわけですよ」
 あんまり合理的とは思えないような不思議な生態にまで、それでも思いを巡らす感受性。
 「今ね、南極も地球温暖化しちゃってて、雪が降る代わりにときどき雨が降るんです。で、雨が降ると、親は撥水するからいいんだけど、ヒナはね、雨水がもう体の奥まで入っちゃう。それで低体温症になって死んじゃうんです」
 人間の営みがもたらす影響を間近に感じる距離感。
 「逆に言うとね、ペンギンが寄ってきた場合に、ボクたちはおーっと逃げるわけですよ。やがてはね、後がなくなっちゃう」
 
南極に行けばペンギンに触れるのかという疑問に対する、経験者ならではのユーモアあふれる回答。(有名なネタではありますけどね)

 今週も楽しい番組でした。
 ナガヌマ教授大活躍の回ではありましたが、それでいて花京院ちえりのかわいさアピールもしっかりしていたり、カルロ・ピノが軽くこまっしゃくれたような発言をぽんぽん出していたりとか、ゲストにもちゃんとキャラクターに合ったスポットの当たりかたがなされていましたしね。もちろん相変わらず獅子奮迅なコトウゲ教官と電脳少女シロの活躍も。
 次回は新しい教授が教壇に立ちますが、いったいどういう授業スタイルを見せてくれるのか、こちらも今から楽しみです。

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    コメント

    1. 匿名 より:

      SECRET: 0
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      非常によいまとめだとおもったのでそれだけ書きます
      今後も書いてくれたら嬉しい

    2. 疲ぃ より:

      SECRET: 0
      PASS: 83849cf6295498c96deb555e00f4c759
       コメントありがとうございます。実はこういうの、ブログをはじめる前は想像もしていなかったくらい元気が湧いてきます。
       きっと.LIVEのみなさんやテレビの向こうの方々も同じような思いなんだろうなと(おこがましくも)感じていたり。

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