超人女子戦士ガリベンガーV 第5回感想 勉強って、楽しいんだなあって。

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生徒役:電脳少女シロ、牛巻りこ、金剛いろは

先生あれを肯定する気ですか。授業を妨害されたわけですよ、先生。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「せめてテロップだけはかわいくしてください!」

 意外にも真っ当な乙女らしく、実は汚いもの気色悪いものが大の苦手な物騒大権現。その性格は逃げることしかできないタイプのホラーゲームがてんで苦手なくせに、武器を手に入れてバケモノに反撃できるようになるととたんに生き生きしだすところなんかにもよく表れています。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。きわめてタチが悪い。

牛巻りこ

「目くそ耳くそ鼻くそ歯くそブラザーズたちも」

 牛巻りこはバイト戦士です。高校生ながら電脳システム会社の電脳アルバイトをしているそうで、Twitterなどに出没する時間帯が大抵23時以降というキャラクターです。察してください。ただし本人がやりたくて就いている仕事なので別に不憫というわけではありません。
 プログラマ独特のやたら仕様の限界に挑みたがる好奇心、それから妙に舞台慣れした飄々とした立ち居ふるまいが魅力。YouTubeでの配信内容も毎回コンセプトが明確で事前準備もよく整っており、それでいてアドリブも利き、スズムシの鳴きマネなど不思議な特技まで持っており、エンターテイナーとしてのきわめて高い素養が感じられます。いったいどこでこんな経験を積んできたのやら。今回も八面六臂の大活躍で番組をぐいぐいリードしていきました。
 見た目どおりカッコいい王子様系な言動が多いキャラクターですが、その割にボケたがりツッコまれたがりの芸人気質、どちらかというと愛嬌あるかわいい系の女の子ですね。しれっと腰に差してある哺乳瓶に注目。

金剛いろは

「いろははウェット派の耳くそが出ます」

 金剛いろはは一種の天才です。牛巻りこと対照的に明らかに経験不足、準備不足な面が目立ちますが、それらを覆しておつりが倍以上来る面白い子です。動物的な嗅覚で視聴者のツボを的確に捉え、持ち前のユニークさでゴリゴリに猿連打してきます。
 キャラクターとしてはとにかく下品、無教養。ですがバカではありません。感情の機微にはきわめて聡く、機転も利くのでいちいち的確な対応をしてくれます。拙いゲームプレイにイライラしはじめた視聴者をイジって笑いに変えた逸話はもはや伝説。また、映画鑑賞が趣味で幅広い作品に触れているのでイメージに反して語彙も豊富だったり。このためヘッタクソな謎解きゲームや何も考えずに買ってきたバカゲーをゲラゲラ笑いながらプレイする配信が人気です。
 引き笑いをすればニワトリか南米のサルのごとく、普通に笑えばジブリ映画に出てくるババアキャラのごときガハハ笑い。とことんかわいげのないキャラクターですが、その一方で妙な人なつっこさもあり、悔しいけれどかわいいことを認めざるをえない。しばしばボルゾイの仔犬に喩えられている愛されキャラです。

授業構成おさらい

タイトル:耳くその謎を解明せよ

 さりげなく今回は超難問の表記が若干変更されています。これまではひとつの超難問の下にいくつかトピックがある形式だったのですが、今回は超難問3本立ての構成です。
 とはいえ授業構成自体は前回までとまったく変わっていません。いつもどおり最初に大きなテーマを提示し、そこに向かって論理を積み上げていきます。これまでとの違いは最初に提示される超難問が3つめのトピックと同じものになったことくらい。

 おそらくはぱっと見の堅苦しさを消すための工夫でしょう。
 この番組、バーチャルYouTuberを起用した見た目のキャッチーさに反して授業構成がものすごくガチで、だからこそ面白いのですが、正直ちょっとアカデミック臭も目立っていました。「プレートテクトニクス」だの「エクリン腺とアポクリン腺」だの、勉強嫌いの人に見せたら拒否反応を起こしそうなテロップを堂々と出していました。せっかく学校の授業が苦手だった人にこそ楽しんでもらえそうな番組なのに。
 各トピックのタイトルが「正体は?」「役割は?」などになったことで、見た目の印象がずいぶん柔らかく、興味を引きやすくなりました。最初に提示する超難問が授業後半のトピックとリンクするようになったおかげで“論理を積み上げて回答に近づいていく”という授業の意図もわかりやすくなりましたね。

超難問1:耳くその正体は?

 「耳くそ」とかいうやたらめったら汚ったねえ言葉にこだわっていたのは深夜バラエティらしいキャッチーさを醸すための工夫でしょうか。
 さしあたって1つめの超難問では、そもそも耳くそとは何なのかを勉強しました。
 残念ながら汚すぎる絵面が放送倫理に抵触したのか、外耳道内の映像は修正まみれでわけわからないことになってしまいましたが、この超難問において押さえておくべき内容は2点ありました。

 ひとつは金剛いろはと電脳少女シロが指摘した、耳くそがウェッティになっているということ。
 耳くその材料は、新陳代謝で剥がれた古い皮膚と、アポクリン腺から出た脂質混じりの汗が混ざったものです。
 これを裏付ける例としてクジラの耳くそを観察しました。クジラの耳くそは生涯排出されないのですが、エサが豊富な夏期に生成された耳くそには脂肪が多く含まれ、そうではない冬期の耳くそには脂肪があまり含まれません。これによってクジラの耳くそはまるで年輪のような模様を描いています。

 もうひとつは牛巻りこが指摘した、外耳道の入り口が耳毛や耳くそだらけでキモチワルイ一方、奥の方は意外とキレイであること。
 こちらの指摘は次の超難問に密接に関わっていくものでした。

超難問2:耳くその役割は?

 耳くそには“免疫グロブリンA”と呼ばれる抗体が含まれます。実は耳くそはこの抗体によって病原菌の体内への侵入を阻止してくれているのです。また、耳くそ自体も脂肪を含んで粘性があるため、耳から侵入しようとする埃や小虫なども絡め取ることができます。
 この役割があるからこそ、耳くそは外耳道の入り口付近に集中して生成されるわけです。

 ここでまた牛巻りこが(汚ったない表現ながら)鋭い質問。耳くそに免疫グロブリンAが含まれているのと同様に、目くそや鼻くそ、歯くそなどにも免疫作用があるのだろうかと疑問を投げかけます。
 答えはノー。耳くそ以外のくそたちはただの老廃物です。言い換えれば、耳くそだけは体を守るための大切なシステムの一部であるということでもあります。

超難問3:なぜ、耳くそ掃除をすると気持ちいいの?

 最後の超難問を解くためのキーワードは“迷走神経”。迷走神経は気分を落ち着け体をリラックスさせる機能を司っており、刺激を受けると幸せホルモンを分泌します。この迷走神経が表皮近くを通っている数少ない場所が、外耳道の入口付近。
 つまり、耳くそ掃除をすると気持ちいいのは耳くそを取り除ける機能上の価値によるものではなく、単純に迷走神経を刺激できるからということになります。

 ここでまたまた牛巻りこが唐突にスズムシのモノマネを披露。
 スズムシの声を聞くと心が安らぎますが、耳くそ掃除もこれと似たようなものだと結論されます。ただ気持ちいいからしているだけ。
 前述のとおり耳くそは体を守る免疫システムの一部であるため、あえて取り除く意味はほとんどないのです。

回答:耳くそ掃除をすると気持ちいいのは迷走神経を刺激しているため

感想

 第3回と同様、論理を積み重ねていくほどに、実は深い意味のないことだと気付かされる変則的な結論。自然科学者の地道な苦労を追体験するという意味でも、深夜番組独特の脱力感を味わうという意味でも、いろいろと優秀な授業テーマでしたね。
 必ずしも当初の仮定が合っているとは限らないからこそ勉強は面白い。教科書を丸暗記するだけではなかなか気付けない醍醐味だと思います。

 それにしても今回は牛巻りこがよく活躍しました。頻度の少ない彼女の配信を待ち焦がれているファンとしては嬉しいかぎり。
 全体的に授業の腰を折ろうとしているとしか思えない言動ばかりでしたが、よくよく整理して考えてみると、意外にもちゃんと授業の流れに沿ったものばかりだということに気付かされます。

 「外側、最初のほうめっちゃ気持ち悪いなあと思ったんですけど、なんか玄関だけ汚いけど中入ったら、意外とあの、お掃除してる人だなっていう感じがしましたね」
 
この部分は最初のVTR(ワープ)で絶対に押さえておくべき最重要の内容でした。これがあるからこそ耳くその持つ免疫機能が理解でき、ひいては耳くそ掃除が本来は必要ない行為だという結論につながっていきます。

 「目くそ耳くそ鼻くそ、みたいな言葉あるじゃないですか。それぞれのくそたちも――、やっぱりそういう、免疫的な作用を持って生まれてきたくそなんですかね?」
 
この発言も(あまりにもワードチョイスが秀逸すぎましたが)耳くそ掃除の必要性を語るうえで役に立つユニークな視点でした。ただの老廃物である他のくそたちという比較対象があるからこそ、耳くそだけが持つ役割が際立つというものです。

 終盤でナガヌマ教授とコトウゲ教官が迷走神経と幸せホルモンについて語っているところにスズムシのモノマネで乱入していったシーンもそう。
 耳くそ掃除と同じ作用のある(同じく幸せホルモンを分泌させる)スズムシの声を提示することで、耳くそ掃除が純粋に快楽のためにやる行為だと印象づけようという意義がありました。
 まあ、あまりにも芸として出来が良すぎたせいで話題がそちらにシフトしてしまい、実際に視聴者に対して意図した効果が与えられたかは怪しいところもありますが。

 さすがに辻褄が合いすぎているので構成台本で指定された言動なんだろうとは思いますが、それにしても与えられた役割を充分以上に全うしていたと思います。いや、本当にそういう台本だったのかどうかは知りませんが。
 こういう全体を見据えた視点と瞬発的なアドリブの両方が要求される言動は、普段の動画にもよく表れている、いかにも彼女らしい魅力のひとつですね。カッコいいと思います。

 今回は牛巻りこがそういう番組進行上の役割を一身に受け持ったので、金剛いろはの方も彼女らしい活躍を見せることができたように思います。
 「いろははウェット派の耳くそが出ます」
 「なんか、浜辺に流れ着いた原木みたいに見える」
 「え、なんか珍味として売られてそうだなって思いました」
 「・・・オシャレ!」

 
彼女は少々下品なところのあるキャラクターで、言い換えるならアイドル部でも随一の庶民派です。こういう、いかにも視聴者が抱きそうな率直な感想に寄り添うことができるのは彼女ならではですね。
 実は電脳少女シロもああ見えて意外と清純路線寄りなところがあるので、こういうことができるキャラクターは本当にオンリーワンだと思います。
 授業の進行上はそこまで重要な役割を担っているわけではありませんでしたが、視聴者の共感を得るというのも(エンタメとしても、授業としても)とても重要なことです。だって、どんなに高い価値のある情報だって、身近に置いてもらえなければそれは存在しないと同じですから。

 それはこの『超人女子戦士ガリベンガーV』という番組自体の価値そのものでもあります。
 この番組で扱っている超難問はぶっちゃけすでに雑学として広く知られているものばかりです。最終的に得られる回答に、情報としての価値はさほどありません。この番組の趣旨は単純に情報を伝えるためのものではなく、順序立てて論理を積み上げていくことで答えにたどり着くことができる、勉強の楽しさそのものを教えてくれるものです。
 本来なら学校なり市民講座なりでしみったれた空気のなか行われるような授業を、こうしてエンタメ混じりにテレビ番組として放送することに価値があります。視聴者が面白いなと思ってくれて、生徒役のキャラクターと一緒に自分も考えてみようと思ってくれることが何よりも重要なんです。
 そこを達成して初めて“勉強って楽しいんだ”という大切なことを伝えることができるんです。

 その意味で、今回の牛巻りこと金剛いろははどちらも大切な役割を演じきってくれました。もちろん電脳少女シロやナガヌマ教授、コトウゲ教官もいつものとおりに。
 やりたいことが明確で、本当にいい番組だなあと、毎回心から思います。

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