超人女子戦士ガリベンガーV 第7回感想 レディに年齢の話は地雷原?

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生徒役:電脳少女シロ、探偵オレンジ、神楽すず

・・・すずちゃん普通の人やね。

出演バーチャルYouTuber

電脳少女シロ

「竹生えた! 机から竹生えた!」

 そろそろ電柱よりも大きくなったと評して過言ではない気がする電脳1歳児。活動開始からわずか1年半の間に特筆すべき場数を踏みつづけ、そしてその経験を後輩たちの成長のために惜しみなく注いできました。アイドル部の上に立ち、前に立ち、ときには隣にも立ち。
 やたらと語録が豊富、そしてやたらと逸話も豊富。というのも彼女は多趣味・多芸なうえ、やたらと柔軟な発想力も持ちあわせ、ついでに傍若無人な性格なため、自由にさせると大抵常人に理解できない奇矯な言動をしはじめるからです。彼女の動画を見てなんともいえない気持ちになったときは「シロちゃんの動画は為になるなあ」と、とりあえず納得しましょう。彼女はあなたが為になることを望んでいます。
 まるでアブない人のようですが、そして実際アブない人なのは確かなのですが、こう見えて彼女は共演者をよく見ています。聡明です。共演者の対応力を推し測り、ギリギリ捌ききれる程度のムチャ振りを仕掛けるのです。きわめてタチが悪い。

探偵オレンジ

「この番組乗っ取りに来たよ。そだよー」

 同じテレビ朝日の番組『お願い!ランキング』からの特別ゲスト刺客。どうやらゼネラルプロデューサーが共通しているという縁から番組間交流に至ったようです。
 見た目こそ同じ3DCGですが、彼女はあくまで番組キャラクターであって、バーチャルYouTuberとは出自から異なります。この出自の違いというのが意外に大きく、今回彼女の何気ない発言からバーチャルYouTuberという文化の本質に触れる良い機会につながっていきました。

神楽すず

「や、すごい! ファミリーですね。へー。ねー!」

 飾り気ない自然体から飾っていないはずの熱血語録を山ほど繰り出す男子小学生系清楚なお姉さん。ついに非公式wikiに単独の名言集ページがつくられました。なにがイカれてるって、“つくり”っぽさゼロでアニメみたいな発言を吐くところよね。
 人気のコンテンツはウクレレ弾き語りとロボットゲーム実況プレイ。あと最近はゴリラも。やたら両極端な並びですが、実際配信のたびにガラッと空気が変わります。歌っているときは深窓の佳人そのもの。ロボットに乗っているときはまるで富野アニメの悪役。なまじっか透き通った声質と豊富な語彙力を持ちあわせているからタチが悪い。いずれも代わりがきかないってくらいよく似合っています。
 どうやらバイオリン奏者として楽団に参加しているらしく、そこで培われた鋼の舞台度胸も彼女の魅力。多少固くなることはあってもけっして萎縮しません。いつも威風堂々。転ぶときは上手に転ぶべし。

授業構成おさらい(+ 補足事項)

超難問:なぜ竹の成長は早いの?

 オーソドックスな超難問ベースの授業構成。講師が替わってもガリベンガーVはガリベンガーVのままでした。
 導入として竹の成長がとても早いということを確認しました。1日で100cm以上伸びることもあります。ここで押さえておくべきは「本当は竹ではなくタケノコが早く成長する」というタナカ名誉教授の発言。今回の授業の要点は後々全てここに収束しました。

ポイント1:竹の太さ

 竹はどれだけ成長してもタケノコの時点から太さがほとんど変わりません。これは竹が単子葉類であり、双子葉類によく見られる“形成層”を持たないことが原因です。形成層というのは主に横方向への成長を司っている細胞組織です。これが竹にはありません。
 つまるところ、普通の植物なら横に太くなるために使われるエネルギーを、竹は全て縦方向に伸びるために使うということです。

ポイント2:竹の節

 植物の横方向の成長を形成層が司るなら、縦の成長は“成長点”と呼ばれる組織によってもたらされます。通常、これは植物の先端部分にあります。
 さて、竹やタケノコの内部にはたくさんの節がありますが、実はこの節の数は成長しても変わりません。成長するごとに節と節との間隔がどんどん広がっていきます。
 これがどういう意味かといえば、つまり竹の成長点は先端だけでなく節ごとに存在するということです。竹は他の植物と違って節ごとに成長点を持っているから成長が早いのです。ちなみに竹の場合は節自体が成長点の役割を担っているということで、“成長点”ではなく“成長帯”と呼びます。

 ところで植物が縦に伸びるのは周囲の植物の影に隠れず光合成を行うためなのですが、竹の場合は周囲の竹と同じ背丈まで伸びるとそこで成長を止めます。横並びになろうとします。
 それがどうしてなのかというところで、さて次のポイントへ進みます。

ポイント3:土の中

 竹林の地下はどうなっているかという質問に対し、神楽すずが「竹ネットワーク」という予想を立てました。本人は少々違うイメージからの発言のつもりだったようですが、結果的にこれが正解。
 竹林の地下にはおびただしい数の地下茎が複雑に張り巡らされており、全ての竹がこの地下茎でつながっています。そしてタケノコもこの地下茎から生えてきます。タケノコは周囲の竹から養分をもらって成長するのです。
 講師や生徒が口々に「親兄弟」「ファミリーみたい」「仲がいい」と感想を述べます。
 竹ではなくタケノコが成長するという話も、周りと同じ背丈になると成長を止めてしまうという話も、全てここにつながってくるわけです。竹は竹林全体でひとつの株になっているのでこのように仲よしに見えるのです。

 ちなみに1本の竹の寿命は20年ほどですが、60~120年もの長い周期で花を咲かせることがあります。寿命を超えた周期で活動できるのも竹林全体でひとつの株だからこそですね。

回答:竹の成長が早いのは、みんなで栄養を分けあい、上にしか成長せず、節がたくさんあるから。

感想

 タケノコの姫皮っておいしいですよね。ちなみにこれからの時期スーパーによくタケノコが並ぶようになって、そしておつとめ品のワゴンに入っていることが多くなりますが、授業からお察しのとおりタケノコって味が落ちるのがたいへん早いです。基本的には入荷したての新しいものを買うのがオススメ。

 タナカ名誉教授の授業はどちらかというと知識を伝えることに寄っていて、正直ちょっと普通の講義っぽいというか、お堅い感じ・・・と最初は思っていたんですが、ちゃっかり素晴らしい伏線を仕込んでいましたね。
 「『竹が早く成長する』って言っているけども、さっきあの映像見てはったように、ホントはタケノコが早く成長するんですね」
 
最初聞いたときは正直細かいところにこだわるなあと思いました。地下茎の話題に入ってからガラリとイメージが変わりましたね。 そうそう、これこれ。この教わったこと全部がつながっていく感触よ。

 特別ゲストの探偵オレンジはさすがアナウンサー。(バーチャルYouTuberとは違う出自のキャラクターなので演者の名前が公開されている) さりげなく追加情報を引き出しにかかる、ソツのない進行フォローでした。
 「知らなかったですー」
 「え、これ何倍速ですかー?」
 「寿命はどのくらいなんですかー?」

 
もっとも、この番組のノリからするとあまりにもセオリーどおりすぎるのでちょいちょいコトウゲ教官からツッコミ刺されていましたけども。
 「『何倍速なんですか』って、なんか冷めたこと言うよね」

 神楽すずは前回出演のときと同様、相変わらずいい活躍を見せますね。
 いくつかの発言はできすぎていて、さすがに構成台本で指示された段取りなんじゃないかって気もするんですが、それを差し引いたとしても撮れ高が多い。彼女、ワイプに使われる頻度がすごく多いんですよね。どうしてかっていえば、常に何かしらのリアクションをしているから。相づちとかちょっとしたつぶやきとかも今回多かったですし。
 やっぱりこの萎縮知らずのクソ度胸こそが神楽すずですよね。カッコいい。
 タナカ名誉教授が「“形成層”。言ってください」と復唱を求めたとき、ノータイムで「せーの」と言いだしたのが誰だか気付いたでしょうか? 神楽すずです。他の回ではこういうの大抵リーダー格の電脳少女シロが受け持っていたんですが、今回しれっと彼女が言いました。

 ホントなんなんでしょうね、この物怖じしなさ。なお恐ろしいことに彼女これで自然体ですし。
 「なんかアレよね。すずちゃんだけ、もう、声が素だよね」
 
電脳少女シロなんかはカッチリとキャラをつくっているからこそ(そういうキャラとして初視聴者や共演者からも了解されているからこそ)ああも尖った言動ができているわけですが、神楽すずの場合はそういうの無いですもんね。さすが普通の雑談と同じテンションで「防弾チョッキしてるのかコイツ・・・盾としては優秀ですね」とか言いだす人はひと味違う。

 ちなみにアイドル部には神楽すず並みの舞台度胸の持ち主がもうひとりいます。前回出演したカルロ・ピノです。彼女も授業中相づちをたくさん打っていましたね。それでいてカルロ・ピノの場合は神楽すずと対照的に徹底してキャラを演じきるタイプだというのがまた面白い。

余談:バーチャルであるということ

 「え、そんなわけないでしょ。だって喋ってんじゃん」
 
探偵オレンジのこの発言、本来バーチャルYouTuberにとっては禁句です。
 そしておそらくはこの部分こそが、バーチャルYouTuberを知らない人にとって最も理解の難しいところなんだろうと思います。
 「いや、そういうこと、そういうこと言わずにやって来たんじゃねえのかよ。なあ」
 「そんなこと言うかね。俺言わなかったよ。1歳半って聞いたとき『バカげたこと言ってんじゃねえよ』って思ったけど、『あんたしっかり喋ってんじゃん』とか俺言わなかったよ」
 「ダメだよ。そういうのを触れずにうまくやっていかないと、VTuberは」

 
コトウゲ教官がどうしてここまで激しくツッコミを入れているのかといえば、それはバーチャルYouTuberにとって自分の設定を否定されるというのがアイデンティティの崩壊と同じ意味を持つからです。

 バーチャルYouTuberは字のとおり虚構の存在です。
 外見はつくりもの。ほとんどは本人が描いたものですらありません。
 声も借りもの。演じている俳優ならいますが、俳優=キャラクターそのものではありません。
 そして設定はウソっこです。こんな流暢にものを言う1歳児なんて現実にありえるわけがありません。
 外見も、声も、設定も。彼女たちを構成するものことごとく全て、実際には存在していません。

 バーチャルYouTuberのファンももちろん彼女たちが実際には存在していないことを知っています。知ったうえで、まるで実在しているかのように彼女たちと接しています。その方が楽しいから。
 バーチャルYouTuberとは、虚構でしかない存在をあたかも実在しているとあえて錯誤する、いってしまえば視聴者が自分で自分を騙すことを前提としたコンテンツです。
 だからこそ、虚構でしかないはずの外見も声も設定も、他人がおいそれと否定していいものではなくなるんです。それを誰より大切にしているのは(それを頼りに彼女たちの存在確認をしているのは)本人以上に彼女たちのファンだから。

 これが元々実在している生身の人間であるなら、肉体さえ確認できれば「この人はここにいる」と自信を持って言えるでしょう。
 けれどバーチャルYouTuberにはそれがありません。生身の肉体のような絶対に確かな存在証明となるものがありません。だからこそ、ファンが彼女たちの実在感を確かめるには外見も声も設定も、全部が大切になるんです。

 ちなみに。
 実は電脳少女シロが1歳児だという話は彼女を彼女たらしめる設定というより、どちらかというと笑えるネタのひとつとして認識されています。ぶっちゃけこの設定(ネタ)に関してはむしろツッコんでもらえた方が彼女のファンにとってもおいしい。
 だからこそ禁句といえどカットされなかったし、だからこそこの機会に乗じてバーチャルYouTuberとの接し方についてコトウゲ教官からちょっとしたレクチャーがあったわけですね。

 もうひとつちなみに。
 神楽すずは自分の年齢を17歳だと言っていましたが、より正確には17.001歳となります。
 アイドル部のプロデューサーが(たぶん思いつきで)アイドル部は100年に1歳しか歳を取らないとか言いだしたのを受けて、後に誕生日を迎えた北上双葉がなぜか桁を1個増やして自称しだしたのがはじまりです。
 一応高校の部活動だという設定を守るための方便でもあるんですが、こんな感じで年齢設定にネタを仕込んでいるバーチャルYouTuberは意外と多かったりします。

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