魔法界の友達、ナシマホウ界の友達、みんなが仲よくしてる。私、私なんだか・・・、とっても嬉しい!
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(主観的)あらすじ
みらいの発案で、魔法学校のみんなとナシマホウ界のハロウィンイベントにやってきました。ハロウィンなら魔法学校の制服でも本物の魔法つかいだとはバレません。
ちょうど津成木第一中学校のみんながクレープ屋さんをやっているということで、忙しそうな彼らのために魔法学校のみんなでお手伝いします。ところがついついいつもの調子で魔法を使ってしまって大混乱。失敗にみんな落ち込んでしまいますが、「魔法を使わなくても手伝えることはたくさんある」というみらいのアドバイスを受けて再チャレンジします。お店はふたつの世界の友達が仲よく入り交じって、とっても楽しい時間になりました。
プリキュアはこのステキなお祭りを守るために戦います。
今回タイトルコールがとっても可愛いんですがどうしたらいいでしょう。ふたつの世界を繋ぐハロウィン回。キュアモフルンも本編にサプライズ登場して映画の売り込み体制万全です。ステキな映画なのでぜひ観に行きましょう。
物語としては予想どおり直近2話の魔法界編を総括していましたね。バーベキュー回やはーちゃんのお部屋づくり回の系譜でもあり、文句なしのミトメールです。物語を貫く線のひとつが完結した感がありますね。本当に終わりに向かっているんだなあと、少し寂しくも思います。
なれるよ
「モフルンはー、みらいみたいにプリキュアになってみたいモフ」「ププー! お前がプリキュア? 面白すぎるぜー!」 明らかにキュアモフルンをやりたいがためのセリフですが、同時にチクルンの問題にも触れているようでもあります。
今作は敵幹部と思想的対立がない(というか名前すら知らない)ので、「さっきからハロウィンハロウィンって何なわけ?」のようなその場限りの煽りを除くと思想戦が起こりません。おそらくこれは前作以前のプリキュアの物語とは違う着地点を得るためにあえてやっていることです。「手を繋ぐ」物語の着地点に既存のプリキュア像は、ある一点において、まるで似つかわしくないでしょうから。
しかしその弊害として、プリキュアの思想を深掘りするための思想戦を描きにくくなっています。その代わりとして用意されたキャラクターが、おそらくはチクルンなんでしょうね。
彼の基本的な立場は固定観念の代弁者です。「ええっ、お前喋るぬいぐるみってことか!?」「なんでそこまですんだ? 冷凍ミカンってそんなにうめえのか?」「やめろ、食われちまうぞ!」・・・などなど。魔法つかいプリキュア!は「見方を変える」物語を内包しているので、こうしていちいち固定観念に縛られてくれるキャラクターがいるとスムーズに進みます。(ちなみにチクルン登場以前は主にリコが担当していました)
「プリキュアになってみたい」というモフルンの夢をチクルンはバカにします。これもまた固定観念。さっそくいつものように見方を変えましょう。100年に一度の奇跡でもなければプリキュアになることは確かに難しいでしょう。けれど、例えば衣装だけなら。「なれるよ」
もちろんモフルンはそういう意味で言ったわけじゃないでしょうし、チクルンだってコスチュームでごまかされたところで本音では納得できないでしょう。モフルンが本当の意味でプリキュアになるのは映画でのお話なので、今回は別のかたちで彼を納得させなければいけません。ちゃんと「なれるよ」と。
できること、してあげられること
「魔法界のヤツがナシマホウ界のヤツを手伝う? そんなのうまくいくわけない」 そのあとでわざわざ「違う世界のヤツと~」と一般化させて言い直しているあたり、チクルンにはこれとは別に思うところがある関係性があるのでしょうけれど、そこはまあ、情報が足りてないので保留しておきましょう。
とにかくチクルンはひとつの固定観念として、それぞれ違う人間が仲良くなれるわけがないという意見を示しました。今回プリキュアが戦うべき論戦テーマです。
とはいえ、本当はそんなのとっくに克服しているんですよね。だってみらいとリコがそうなんですから。「人はね、みんな違う。愛し方や痛みも違う。でもその違いがステキだって今ならいえる」 オープニング曲でも歌われているとおりの関係に、すでになれています。
それでもあえて今こんなテーマを提示されたのですから、何かしら物語上の意図がちゃんとあるはずです。少しノってみましょう。せっかくだから、すでに出している答えとはまたちょっと違う答えを探してみましょう。
魔法界のライフスタイルに慣れているジュンたちは「これくらい大丈夫」「バレてないって」と気安く魔法を使ってしまいます。ところがここはナシマホウ界。向こうでは当たり前に見ることができる、果物が空を舞ったり泡たて器が勝手に回ったりする光景も、ナシマホウ界では驚かれてしまいます。「生まれた国が違う。ギャグのツボや文化が違う」 彼女たちはそこに考えが至っていませんでした。
まあそれ抜きにしても、ジュンが使ったクレープを焼く魔法はそもそもが明らかに大失敗ですけどね!
前回、前々回でみらいたちも苦労したことです。アイスドラゴンの気持ちを考えずになんとかため息をついてもらうアイデアを考えて、結局失敗ばかりを繰り返しました。カボチャ鳥が本当は追いかけられるのを嫌がっているんじゃないかと想像して、でも実際は虫歯を痛がっていただけでした。
解決できたのはそれぞれ、はーちゃんが素直な思いやりによってアイスドラゴンに恋心を抱かせたことと、モフルンがまっすぐありのままのカボチャ鳥の気持ちを知ろうとしたことによってでした。
実はこれらはみらいとリコの関係のあり方と少し異なります。みらいとリコは、お互い影響を受けながらも、それぞれがそれぞれらしく、お互いに全然違う存在であることを前提として関係性を築いています。対してはーちゃんとモフルンがしてみせたことは、アイスドラゴンやカボチャ鳥に寄りそって、相手の気持ちに合わせてあげることでした。
みらいとリコのお互いを深く知り合った関係はステキです。分かちがたい絆で繋がっています。けれど関係構築するまでに時間がかかります。とてもじゃないけれどアイスドラゴンやカボチャ鳥・・・一期一会の相手と結ぶには向きません。今回のようにいきなり大勢の人と協力するにも不適当ですね。
だから、ときには相手に合わせてあげる柔軟さも必要になります。人はそういうこともできます。
アクアマリンは母なる海を象徴し、優しく包み込むような穏やかな気持ちを育みます。あなたが誰かと繋がろうとするとき、あなたの穏やかな気持ちは、きっと思いやり深い関係を構築してくれるでしょう。
「ププー! お前がプリキュア? 面白すぎるぜー!」「魔法界のヤツがナシマホウ界のヤツを手伝う? そんなのうまくいくわけない」 このふたつともが、ここに係ってきます。
「魔法を使わなくても、手伝えることはたくさんある」 人は変われます。繋がりたい相手に合わせて。だから得意の魔法がなくたって、ふたつの世界の違いを乗り越えて、何かしてあげられることをきっと見つけることができます。
必要があるなら、もしかしたらプリキュアになることだって。みらいやリコやはーちゃん、歴代プリキュア45人はみんなそうしてプリキュアになりました。だから、モフルンだってそういう必要に迫られたならプリキュアに「なれるよ」。
「住む世界が違っていても仲良くなれる、か」 チクルンが抱えている問題がどういうものかはまだよくわかりません。どうしてモフルンが差し出してくれた手を掴むことができなかったのかもわかりません。
けれど大丈夫。あなたは変われるし、私たちも変われます。あなたがいつかそういう関係性を必要とするならば。「なれるよ」
みんなで
「私、今とっても嬉しいんです。リコに会えたから魔法界に行けた。モフルンとおしゃべりできた。はーちゃんに会えた。それが、それだけじゃなくて、いろんなことがあって、たくさんの人に会えて、仲良くなって、その人たちも仲良くなって、みんなが楽しそうで、それが嬉しくて・・・」
とりとめのないみらいの言葉が、むしろ際限なく広がっていく輪をよく表しています。手と手を繋ぐ、奇跡の魔法。はじまりはたったふたりのちっぽけなもので、できることも限られていました。
自分の限界にぶつかりました。それをふたりで乗り越えました。異種族と交流しました。ふたり一緒にいるためにカタツムリニアに飛び乗りました。学校に行きました。新しい価値観に触れました。ふたつの学校の友達とみんなで遊びました。大切な友達を助けられませんでした。いくら探しても見つかりませんでした。3人で暮らすために大人たちを説得しました。言葉の力を学びました。内緒の魔法でみんなを楽しませました。家族の愛を知りました。友達が立派になっていることに驚きました。6人で力を合わせました。新しい伝説をつくりました。友達の悩みを一緒に乗り越えました。みんなで恋の応援もしました。生徒会選挙の応援もしました。また新しい友達と知り合いました。それから、みんな揃ってハロウィンパーティーをしました。
はじまりはふたりで手を繋ぎあっただけの小さく閉じた輪でした。それが3人になって、傍にいる友達とも手を繋ぐようになって、新しい友達も増えて、もっと遠くの友達とも手を繋ぐことができて。いつのまにか、とっても大きな輪をつくっていました。
「みらいくん、リコくん。ふたりの出会いに始まる奇跡。今、大きく広まりつつある」
手を繋ぐことは奇跡で、魔法です。ひとりではできなかったことが、今ではもう当たり前にできるようになって、それどころかみんなで力を合わせてより大きな事を成し遂げられるようにまでなったのですから。はじめは祝福を受けるばかりだったのに、今はもうすっかりみんなに振りまく側にいます。なんて不思議なこと!
みらいたち自身はまだまだ未熟です。魔法でできることも限られています。自分の中の問題すらまだ解決できていません。大人たちに守ってもらっています。まだまだ輪の中に加えていない人たちが大勢います。
それでも、手と手を繋いだ輪は着実に大きくなっていきます。
全ての生命は、元を辿ればみんな同じひとつの海から生まれました。どんなに遠く離れた人も、心を閉ざしている人も、だからきっと、いつか必ず打ち解けることができる。お互いに穏やかな気持ちで求めあえたなら。アクアマリンのパワーはそういう祈りから生まれています。
今週の魔法文字
リアンの研究室の本:「DEFG」「12345」「WXYZ」「STUVW」「ABCDE」「MNOP 4567890」「JKLM」
開いてある本:「HARUKA MUKASI HAHOKAITO NASIHAHOKAI NO THUNAGIHA NANEN HOHAE HAHOKAI TONASIHAHOKAI TOHA KANKEI NO ARU KOTOGA AKIRAKA NI NARUKAHO」
「はるか昔、魔法界とナシマホウ界のつなぎは何年も前、魔法界とナシマホウ界とは関係のあることが明らかになるかも」
よりにもよって珍しく重要なことを書いているときに限ってこの誤字の山です。担当している人がいつもと違うのでしょうか。
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