ファイアーエムブレム 風花雪月 プレイ日記 蒼月の章Ep.22「短剣の誓い」

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先を越されたから・・・。

このブログはあなたがプレイ済みであることを前提に、割と躊躇なくネタバレします。

(主観的)あらすじ

 清らかな皇帝は己が手を味方の血で染めぬよう全ての業を独りで背負い、寂しがり屋の国王は誰も血の海に沈まぬよう皆で業を分けあいながら戦いました。
 きっとどちらが正しかったというわけではありません。どちらにも世界を統べるに足る信念がありました。ただ、今回はたまたまディミトリが勝利を収めただけであって。
 死力を尽くし、抜け殻のようにうなだれるエーデルガルト。そんな彼女にディミトリは日なたから手を差しのべます。いつか自分がそうやって救われたのと同じように。
 顔を上げた皇帝は義弟の大きな手のひらに安堵したように薄く微笑み、そして――。

 間に合わない。そう、思いました。
 シンファニカは先ほどまでの激戦で刻を戻す神力をすでに使い果たしていて、エーデルガルトの最後の一手からディミトリを庇うにはあと数歩、どうしても届きそうにありませんでした。
 たくさんの後悔が頭をよぎります。元教え子たちの死体を踏み越えてきた先が、これなのか。ロドリグらの頼みを託されておいて、この無様か。悲しみに身を千々に引き裂かれるようだった父の死を、ここでまた繰り返してしまうのか。・・・ああ、そもそもあの日、自分がこの女を庇いさえしなければ!

 エーデルガルトの微笑みがそのまま床に崩れ落ちたところで、ようやくシンファニカは我に返りました。
 ディミトリは無事でした。エーデルガルトが最後まで足掻くことを予想していた彼はとっさに身をよじって急所を外し、返す手で今度こそ孤高の皇帝を黄泉に送りました。

 ・・・そうか。この人はもう、私が教えるべき何もかもを越えて行ってしまったんだな。
 戦争の終わりと同時に、シンファニカの教師としての日々も、ついに終わりを迎えたのでした。

感想

 最終マップ、なんだかんだで苦戦しました。エーデルガルトのところに辿り着くまでで本当に天刻の拍動を使いきりました。(エーデルガルト自体はイングリットとフェリクス、ディミトリ、シンファニカが各1本ずつ削りきってくれて1ターン撃破しちゃいましたが)
 なにあのイヤらしい敵配置! 敵の物理ユニットを誘い込もうと思ってドゥドゥーで敵の間合いに入るとだいたい別の魔法ユニットが飛んでくる! フレンで魔法ユニットを誘うと今度は物理ユニットが! 大半の敵の射程範囲が物理と魔法でちょうどツーマンセルになるよう配置されていましたね。
 しかもうまいことボルガノン持ちのエピタフだけ連れてこれたと思って油断していると、ヤツら勇者の剣に持ち替えて斬りかかってくる。今作、遠距離攻撃の命中率と威力がやたら高いので、砲台とメティオの射程が重なるところにいると大抵アウト。ドゥドゥーで釣る戦術がうまくいかないからって力押しで攻めようにも、敵の攻撃を1発でもまともに食らった時点で即死するのでそんな大味プレイは許されない。舐めてかかっていいのは魔物だけ。
 楽しかったです。誰かが死ぬたび時間を巻き戻して、そして状況のどうしようもなさに頭を抱えつつも、ごまかしごまかし運命を変えていく試行錯誤。これぞファイアーエムブレムの醍醐味です。『紋章の謎』のころはこんな便利機能がなかったので、失敗したらその都度全部最初からやりなおしでしたけどね。そしてうっかり同じ局面を再現して同じ死を繰り返す。いい時代になったものです。

 ディミトリとエーデルガルトの決着はあれでいいのでしょう。
 ディミトリは世のなかろくなものじゃないことを知りつつも自分の信念に従って最後まで手を差し延べることを諦めなかったし、エーデルガルトのほうもたとえ理不尽な世界に己の力が及ばないことを痛感しつつそれでも信念を貫いたまま果てました。
 彼らはもはや自分の人生に疑念や不安を抱くことはないでしょう。彼らの人生は間違いなく彼らのものです。道半ばにして倒れたエーデルガルトですらも、きっと。

 その意味で、当初目標に掲げていたシンファニカの願いはこのうえなく果たされました。教師として為すべきこと全てをやりとげることができました。
 いつか自分が彼にそうしてあげたのと同じように、ディミトリがエーデルガルトへ手を差し出してくれた! あんな嬉しいことはありません。まさかここまでぴったり来る結末をもらえるなんて。シンファニカとともに戦ってきたゲームプレイヤーとしても満足です。
 どうか、誰の身にも自分の人生に納得できる瞬間が訪れますように。

キャラクター雑感

シンファニカ / ホーリーナイト

 ニルヴァーナはクラスマスターした時点で存在を忘れていました。やはり馬はよい。
 中盤以降パラメータが見事にヘタれ、弓と霞斬りによる削り役兼リカバー係に落ち着きました。まともに前線に出すとすぐ死ぬ。その意味でも、もう完全に生徒たちに追い抜かれたなあという感傷が湧きあがってきて、少し早い老兵気分でウキウキとみんなを見守るようになっていました。
 本当はエーデルガルト最終形態にもただの削り役としてぶつけただけだったのに、まさかクリティカルを出してくれるとは。・・・最後くらいは活躍したかったの?

 第一部の途中で最初は表情がないキャラクターだったと語られてしまい、ロールプレイ的にちょっと頭を抱えることになりましたが、最終的に自分のことを無意識に棚上げしてしまうちょっとしたおマヌケさんとして脳内補正。生徒たちに対して無表情でふざけたことを言う絵面を想像すると、これはこれで魅力的なキャラクターになれたんじゃないかと思います。プレイ日記(日記?)にはあまり反映させられませんでしたが。

ディミトリ / マスターロード

 クリアレベル42までほとんど力の伸びなかったことがなかった愛すべきパワーゴリラ。終盤はこちらの物理攻撃が有効打にならなくなりがちなので正直助かりました。終盤は置物を卒業してちゃんと活躍していただきました。そういえばこの腕力にもちゃんと紋章がらみで理由づけされているんですよね。

 キャラクターとしての魅力はここまでのプレイ日記で散々語りつくしたところなので今さら語ることもないか? いや、ある。ほとんどの支援会話が最終的にディミトリへの保護者宣言ばかりになっていたのは正直笑いました。私も同じ気持ち!

ドゥドゥー / グレートナイト

 その硬さときたら、最後の最後まで攻略の要でした。最近のファイアーエムブレムってこんなにアーマーナイトが強くなっていたのか・・・。盾として役に立つだけじゃなく、鎧打ちで敵を粉砕する役としても大活躍。昔のアーマーナイトと違ってちゃんと命中するし。攻守両用となるといよいよ再移動スキルが輝きます。

 キャラクターとしても最後までブレない子でした。なんて硬さだ、びくともしないぜ! 他のクラスメイトがこぞってディミトリの保護者に手を挙げるなか、一周回って友人の立場に納まってくれたのもまた良し。
 最終的には何故かイングリットとペアになっていて、自ら王国民とダスカーの雪解けの象徴となってくれました。ドラマとして完璧な立ち回りだな、キミ。

フェリクス / エピタフ

 序盤中盤のエースアタッカー。終盤の堅すぎる敵相手で剣はなかなか通用しませんでしたが、それならそれでとトロン使いに鞍替えして順調に活躍しつづけてくれました。クリティカルを狙っていけば終盤でも通用する? え、だってウチのフェリクスさんクリティカル率70%の2回攻撃を普通に失敗する子ですよ?(私は自分の運に多くを期待していません) むしろ周りの騎乗率が高すぎて進軍に追いつけないことのほうが玉に瑕。

 なんだかんだで青獅子学級最大のネタキャラ枠でした。ひどいツンデレでした。キモチワルイ笑顔でした。なんでこの人女性キャラとの支援会話がコメディばかりなの? 彼女らにもそういうふうに見られていたというの? そいつは納得だ。
 ディミトリを叱咤する役としても充分な活躍でしたが、おそらく彼の最大の功績はアネットの謎ソングを引き出してくれたことにこそあります。

メルセデス / ホーリーナイト

 戦績を見ると普通にヒーラーとして運用していたはずなんですが、討ち漏らした重装兵にボルガノンを撃ち込んでいた印象しか残らない不思議な人。終盤はパラメータが伸び悩んでいたので前線に立たせちゃいけないユニットだったんですけどね。立っていました。

 最初から精神的に安定していたので、どこかで挫折するか隠していた闇を漏らしはじめるかのどちらかだと思っていたのですが、最後まで気丈なままでしたね。経歴的には辛い経験が少なくなかったはずなのに、本当の意味で強い人です。

アッシュ / ボウナイト

 最初から最後までパラメータが伸び悩んでいたかわいそうな人。便利な鍵開けスキルも今作のマップではさほど重宝する場面が無く。ひたすら地味でした。けれど地味なりにしっかり勝利に貢献していた便利屋さんでもあります。1撃で倒しきれない場面、ファイアーエムブレムにはいくらでもありますからね。槍の攻撃力と弓の射程距離両方を使えるのはなんだかんだで助かりました。ほんと、ひたすら地味でしたが。

 ストーリーでは重苦しい展開が続くなか、一服の清涼感を添えてくれるナイスな活躍でした。やっぱり地味ではあるんですが、彼の変わらない前向きさはまさに光明と称して差し支えありませんでした。

シルヴァン / ダークナイト

 ディミトリ、ドゥドゥーと並ぶ、終盤でも物理攻撃がまともに通用したひとり。フェリクスが息切れしはじめたタイミングで連撃を習得してくれて、一気に才能開花した感じです。序盤の地味さがウソのよう。終盤は完全にエースの貫禄でした。

 意外と女々しくて割とメンドクサイキャラクターではあるんですが、なんだかんだでうまいこと折り合いつけて自力で立ち上がってくれるので、悪い印象は全然ありませんでした。むしろあの責任感の強さであのタフさはカッコいい。
 ストーリー終盤の重い空気をちょうどいいタイミングで混ぜっ返してくれるので、そういうところでも頼りになります。こういう人をムードメーカーというのだろうか。教師として仲よくしておこうと思ったシンファニカの目に間違いはなかった。

アネット / ダークナイト

 一度として武器を握ったことがないくせに、最後までムダに力が伸びつづけた魔法使い。一時期はフェリクスより力持ちだったことすらありました。早さとかHPとか、欲しいパラメータはちっとも伸びてくれませんでしたが、魔力だけはまともに伸びてくれたので、誰も追撃できなくなってきた終盤は一撃で敵をすり潰すウインドの威力が頼りになりました。
 ・・・次は斧使いとして育てよう。

 ストーリーではどこまでも普通の子として凜とした強さを放っていました。戦争の空気のなかであれだけほのぼのしていられるのはそれだけで価値がある。この子だけは絶対に泣かせたくないと、俄然士気が上がります。
 戦後は一緒に肝試しをした仲のアッシュと結婚したようです。さぞかし明るい、日だまりのような家庭を築いたことでしょう。

イングリット / ファルコンナイト

 終盤の魔法攻撃が恐すぎる? 耐えたらいいじゃん! 物理攻撃も痛すぎる? 避けたらいいじゃん!
 気がついたらドゥドゥーと並ぶ軍の守護者になっていました。魔法に対応できるので状況によってはドゥドゥーすら庇う立場になることも。ただしこっちからの攻撃はてんでダメ。まともにダメージを通せたのはエーデルガルトにクリティカルを2回撃ち込んだときくらいじゃないでしょうか。倒し負けしないで済むので壁役としてはこれでいいんですが。

 それにしても・・・乙女でしたね。支援会話がいちいちかわいらしい人でした。ディミトリとの支援会話Aとか、シルヴァンとのBとか本当に最高でした。でもくっついたのはドゥドゥー。

ドロテア / エピタフ

 何気に自軍唯一の長射程魔法持ち。けれど私がエリクサー症候群にかかっているので全く使いませんでした。今作のメティオ、相当強いのはわかるんですけどね。
 せっかく剣の舞を覚えたのでエピタフにしてみましたが、終盤の敵にはさすがに通用しませんでしたね。フェリクスと一緒にトロンを撃つ係でした。

フレン / グレモリィ

 射程外から攻撃できる強みを生かして削り役。それに尽きます。魔防が自軍トップでしたが、足が遅すぎて壁として活躍する機会はほとんどありませんでした。足を止めたくないのでちょっとした治療のときでもリザーブ、リザーブ。

マリアンヌ / ホーリーナイト

 殴り巫女。ヘタしたら魔法攻撃より治癒魔法より訓練用剣を握って魔斬していたことのほうが多かったかもしれません。敵の反撃が来ない状況では天下無双のアタッカーでした。

イグナーツ / ボウナイト

 スキルに反して何故か妙に攻撃を外していた子。アッシュ以上に地味でした。なかなか本格的なモブっぷりに愛おしさすら感じました。どこで活躍していたか思いだせません。ごめん。

ベルナデッタ / ボウナイト

 ボウナイトの宿命か、力も早さもすこぶる伸び悩んだパラメータ凡人。けれどボウナイト3人のなかでは一番目立った活躍をしていました。だいたい囲いの矢のおかげ。それ以外は魔物に聖なる弓を撃ちこむ係。
 次は槍使いとして育ててみたいと思います。

エピローグ

 手のかかる生徒が卒業してしまった。さて、今の私には彼のためこれ以上何をしてあげられるだろう?
 戦後の慌ただしさのなか、シンファニカの胸にあったのはそんなちっぽけな思いでした。教師としての役目が終わったのを自覚して以来、なんだか自分が何者でもなくなったような気がして。ぽっかりと空虚な気持ちがどうにも落ち着かなく、月日が矢の早さで過ぎ去っていくのを焦燥とともにただただ見送るばかりでした。
 ・・・そもそも、私はどうしてこんなにも元教え子に執着してしまっているんだろう? 彼はもう、私が何もしてあげなくても充分に強いのに。

 その答えはとてもありふれていて、呆れるくらい簡単なもの。
 その心の空隙は小さなリングひとつでぴったり埋まってしまうもの。
 「先生。戴冠式の前に渡しておくものがある。・・・手を出してくれ」
 ――まさかこんな簡単な課題ですら、この人に先を越されてしまうだなんて!

 教え子が教師を超える。こんな喜ばしいことは他にありません。
 シンファニカは、自分自身の不可思議な心の動きにやっと得心しました。
 そうだ。私は喜びたかったんだ! 誰よりも、いつよりも、私はまず私自身がたくさん笑っていたかったんだ!

 かつて生徒たちに人生を面白おかしく過ごしてほしいと願っていたひとりの教師は、教師生活の終わりに、こうして元教え子から一番大切なことを教えてもらったのでした。

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