キラやばー!な未来になりますように!
それにしても、去年は反省することいっぱいでした。
記事の数を見ても『スタートゥインクルプリキュア』だけ他のシリーズより明らかに少ないんですもんね。毎週の感想文以外全然書いてない。こんなに好きになった作品なのに!
・・・まあ、自分に余裕がなさすぎた、という話に尽きる。(要は言い訳)
そんなわけで最終話記念くらいは何か書きたいと思った次第。書き上がるまで2週間ほどかかっちゃったのは(かわいくないけど)ご愛嬌。
この記事では1話につき1つずつ、なるべくそのエピソードを象徴するようなセリフを拾いつつ、縦断的に『スタートゥインクルプリキュア』を振りかえっていきたいと思います。
適当な話数ごとに区切って語っていきますが、これは私が個人的に「このあたりでストーリーの流れが変わったな」と感じただけの独断と偏見に満ちた区切り位置です。別に公式の根拠があるような類いのものではありません。
第1話~第5話 はじめての変身 / それぞれの一番やりたいこと
「もう怖くない。大丈夫だよ。フワと一緒なら大丈夫だと思ったんだ」(第1話)
「私は、・・・守りたいルン。私はフワを守りたいルン。私の力で!」(第2話)
「ミルキー、どうすればいい? ミルキーなら分析できるんじゃないかな。・・・お願い」(第3話)
「それよりさ、この子を泣かせるってのが大問題だよ! 弟たちを笑顔にしてくれた、この子は泣かせない!」(第4話)
「お父さまは上に立つために人々の気持ちを知るようにとおっしゃいました。知ったからこそ、私は――フワを、みなさんを、放ってはおけません!」(第5話)
ものっすごく久しぶりに“誰かを守りたい”という動機を前面に出して初変身を果たしたスタートゥインクルプリキュア。(本当にいつ以来? ヘタしたら『スマイルプリキュア!』以来じゃなかろうか) ここ数年の定番だった、個人的な夢や信念からの変身とは若干ノリが違っていて最初に観たときは面食らったものです。
ですが、今改めて振りかえってみれば何のかのいってもそれぞれの“やりたいこと”をしっかり語らせていたんですね。
ひかるは新しい出会いを何より大切にしていました。
ララは何も思うようにやらせてもらえずもがいていました。
えれなはみんなの笑顔を見せてくれる子を好きになりました。
まどかはお父様の教えを土台にしつつ自分で考えようとする子でした。
第6話~第11話 他人という障壁 / やりたいことができない
「ひかる! どうして邪魔するルン!? ・・・私のため? ロケットの修理は私の仕事ルン!」(第6話)
「何描いてたの? 見せてよ、ひかる」(第7話)
「一緒だ! お前らみんな聖なる骨が目当てなんだろ。俺たちから見ればお前らもあの男も、まったく一緒だ!」(第8話)
「心の乱れをお父様に気付かれてはいけない。プリキュアを続けるために、全てを完璧に。完璧に・・・」(第9話)
「ぬくぬくとした環境で生きるお前が知ったようなことを!」(第10話)
「昔、人々は南の空に輝くサザンクロスを目印にして旅をしていた、そう教えたけどね。ただの目印じゃないんだよ。旅人はね、サザンクロスを見ながら遠くで待つ大切な人や、新たな大陸を思い描いたんだ。サザンクロスは人々に進む力を――イマジネーションをくれる星座なんだよ」(第11話)
初変身のあと、ひかるたちが最初にぶつかった壁は、わかりあえない他人という存在でした。
一番顕著だったのは第3話のひかるとララの衝突なんですけどね。あれはもう、主人公のはずのひかるを視聴者すら理解しきれず困惑させられる、ものすごいエピソードでした。相手を理解しようとする気持ちを諦めるとこんなにイライラさせられるものか、と実地で体験させられましたね。
ケンネル星、惑星クマリンと、この時期の宇宙旅行はどこかに相容れない部分がある人や星という描かれかたをされていました。極めつけはノットレイダーたち。ひかるたちの言うことを「何も知らないくせに」と真っ向から否定してきました。
その相容れない部分を、この時期のひかるたちはまだうまく解決できませんでした。自分たちのやりたいことをするだけでは誰かに迷惑をかけてしまい、誰かを尊重しようとすると今度は自分が我慢を強いられてしまう。そういう二律背反に向き合った時期でした。
一方で、ひかるたちの間では比較的すんなりと信頼関係を築くことができました。ひかるのグイグイ行く性格がララをアイスブレークし、ひとり遊びに慣れきっていたひかるはえれながリードして、そんな友達のステキさを知るうちにまどかも打ち解けていって。
お互いどんなことでも話すことができて、お互いどんなことにも首を突っ込んでいける。友達同士でなら、ひかるたちは誰かに迷惑をかけてしまうことも、自分が我慢することもありませんでした。
友達と一緒に過ごすのはとても楽しい時間でした。
うまくわかりあえない他人と衝突して傷ついたときも、友達が支え、励ましてくれる。そういう安心感を得たひかるたちは、ここからもう少し勇気を出して、わかりあえない他人との関係性に踏み込んでいくようになります。
第12話~第21話 ワガママになってみる / 自分を伝えて、他人を知る
「今までありがとう。さ・・・。――ううん。『さようなら』なんて言わない。『さようなら』なんて絶対イヤだよ! 私はララと、ララとずっと一緒にいたい!」(第12話)
「『ルン』? ――あはははは! いやいや、『ルン』って言ってくれよ。俺さ、そっちのノリの方が断然好きなんだよな!」(第13話)
「わかるよ、とうまの気持ち。私も小さいとき『うちの家族は普通と違うのかな』って思ったことあったから。でも、私は笑顔でいっぱいのうちの家族が大好き!」(第14話)
「ペンはプルンスの気持ちが篭もったドーナツで勝ち取ったもの! 返してもらいます!」(第15話)
「みんなの応援を力に、自分を信じて進む。それが私の信じる弓道です!」(第16話)
「みんな。プリキュアに変身だよ! 止めないと!」(第17話)
「好きなものが人と違っていたっていいじゃない。ひかるが好きなものはひかるだけの宝物なのよ」(第18話)
「ずっと・・・騙してたっつーの? 許せないっつーの!」(第19話)
「――わからない。星のみんなは救いたい。でも、その前に。・・・倒れているんだ。目の前で。この子たちが!」(第20話)
「助けてあげないと。――助けてあげないと。だって、苦しんでる! 私、助ける!」(第21話)
ひかるたちはさっそく友達以外の他人にもう一度挑戦してみました。
今度はちょっとワガママになってみました。受け入れてもらえるかわからない相手や状況でも、はっきり自分の思いを主張してみることにしました。
第12話では宇宙星空連合の調査員に。第13話では転入したクラスメイトたちに。第14話ではえれなの弟に。第16話では弓道大会のライバルに。第18話では迷えるお母さんに。
そりゃあもう、ボロッボロに傷つきましたとも!
自分と違う考えを持つ人と正面から衝突して、どうにもならないことに抗おうとして余計に痛い思いをして。・・・だけど、そのおかげで最後にはちゃんと相手とわかりあえる、ステキな結末を迎えることができました。
第17話では、悪の組織ではない一般人相手にプリキュアの力を使うという、ヒーローらしからぬことをしました。ヒーローとして正しいかどうかはわからないけれど、今、目の前で涙を浮かべている誰かを助けることはひかるたちにとって正しいことだと思えたからです。他の誰でもない、ひかるたちとしての判断でした。
ここで自分の判断をしたことは、第21話でアイワーンを救う決断につながり、さらに第32話での“力ある者の責任”に対する答えにもつながっていきました。
そしていよいよユニとの出会い。
悲劇的な環境に身を置いてきた彼女はものすっごく素直じゃない子でした。彼女に騙されることも裏切られることも1度じゃ済みませんでした。それでも、ひかるたちは彼女たちに何度も何度も一生懸命自分の思いを伝えつづけて、やっぱり満身創痍の後にはちゃんと友達になることができたのでした。
第22話~第33話 責任を問われる / やるべきことを見つける
「息子の育て方を間違ってしまった。照美さんやひかるに辛い思いをさせて・・・。私のせいで、こうなってしまった・・・! 家族は一緒にいなければいけないんだ!」(第22話)
「責任って・・・。あのね、責任だとか迷惑だとか、そんなこと思ってない。みんなフワが心配で探してるんだよ。フワだけじゃない。あなたのことも」(第23話)
「きっとユキオを傷つけた。嫌われた。私が笑ったせいで・・・」(第24話)
「みんなといると宇宙が広がるルン。――その宇宙じゃないルン。みんなのおかげで、心のなかの宇宙が無限に広がっていくルン」(第25話)
「でも、わかったんだ。ひとりでいるのも楽しいけど、みんなとこうしているのもすっごく楽しいんだって。みんなで新しい世界を知ったりとかさ、とっても、とーっても! キラやばー!なんだよね! だから、みんなで一緒にもっといろんなところに行きたいんだ!」(第26話)
「自分が何かされたら人を騙してもいいんだ。すっげえなあ!」(第27話)
「自分のことって自分じゃよくわからないんだね。私たち、自分で自分を決めつけてたのかも」(第28話)
「自分がプリキュアだって言えばきっと認めてくれるルン。それに、調査員として全てを報告するのが大人の責任ルン。でも、みんなは・・・」(第29話)
「ひかる。私決めたルン。AIががんばってくれたルン。私もみんなのために、プリキュアになるルン!」(第30話)
「無力な私にも責任はある。だが、力がある者にも責任があるのである。皆を守る責任が」(第31話)
「わかったんだ。・・・宇宙って広いんだなあって。いろんな人たちがいて、いろんな考えかたがあって、まだよくわからないし、あなたのこともメチャクチャ恐い。でも――、フワを守りたい。あの気持ちだけは変わらない。てか、変えられない!」(第32話)
「スター・・・。フワも、助けたい! みんなを助けたいフワ!」(第33話)
ユニがプリキュアの仲間に加わったあたりから、いろんな人が「責任」とか「~しなきゃいけない」、「私のせい」などと自分を追い込むようなことを言うことが増えていきました。
息子一家の家族の絆を憂いていたひかるのお爺さん。笑ったら周りの人を傷つけてしまうと我慢していたアイスノー星のイルマ。たたら踏みに失敗して情けない気持ちになったえれなとまどか。与えられた仕事と立場に不満を抱かず、負わされた職責を素直に全うしてきたサマーン星の人々。無力だった過去を償うために強い力を求めていたトッパーとガルオウガ。
実はこのオッサンオバサンを効果的にゲンナリさせる話題、トッパーが脈絡なく言いはじめたわけではなかったんですよね。そもそもがユニという子からして、最後の生き残りとして故郷を蘇らせなければならない責任、宇宙怪盗として後ろ暗いことをしてきた責任と、二重に自分を追い詰めていた子でしたし。
ここまでのひかるたちは、むしろワガママになることでうまくやれるようになっていました。そんな彼女たちが“責任”を問われ、“責任”について自分たちなりに考えた結論は――。
やりたいことのためにこそ、やるべきことがあるんだという考えかた。フワを守りたいから守るんだ。フワを守りたいと思うから守らなきゃいけないんだ。フワを守っているのは自分たちがそう決めたからだ。そういう、自分本位で素直な、そしてこれ以上なくポジティブな責任観を見出しました。
このドラスティックな再定義には本当に感激したものです。これこそまさに“進む力”だと。「責任」なんて聞いたら誰もが萎縮せざるをえないでしょうに、それをむしろ、やりたいことを実現するための推進力に転換するなんて。
理屈としては筋道の明確な論理ですし、だからここまでワガママなほどに自分らしさを通そうとしてきたひかるたちならこんな感じの答えを出すだろうなと予想もできていましたが、それにしてもこの流れの美しさときたら本当に素晴らしい。
第1話で初めて「フワを守る!」を聞いたときは、「あれ? それだけ? もっと他に何かないの?」と拍子抜けしたものでしたが、まさかこのいかにもド定番なセリフにここまでひかるたちの血が通って聞こえるようになるなんて。
『スタートゥインクルプリキュア』はこういうところの論理が本当にしっかりしていて、思考しつづけることの大切さを物語全体を通して全力で訴えかけてくるところが大好きでした。
第34話~第45話 トゥインクルイマジネーション / 個人の願いと相互理解の調和
「サボロー。私の星では大切な人に心を込めて花を贈るんだ。・・・でも、ごめん。サボローの気持ちを考えてなかった。私、サボローに笑顔になってほしかったんだ。本当にごめん」(第34話)
「私、何も知ろうとしていなかった。姫ノ城さんのこと。でも、今は少しだけわかる。私、もっと知りたい! 彼女のこと! ――違う! 私は、私のことも知ってほしい! わかりあうため!」(第35話)
「正義のためなら変装して騙してもいいの? 理由があれば何をしてもいいんなら、そんなの、誰にでもあるんじゃない? ・・・今のは忘れて。自分に言ったようなものだから」(第36話)
「最初はわからないことばっかりだったルン。でも! スターたちと一緒にいるうちに、だんだんとわかるようになってきたルン。今は地球のこと、もっと知りたいルン」(第37話)
「苦しかったんでしょ、アイワーン! 私、私、決めたニャン。――あなたを許す! 過去だけを見るんじゃなくて、未来へ進んでいきたい。あなたと一緒に。自分だけじゃなくて、私はみんなと一緒に、未来に行きたい!」(第38話)
「翌日、学校へ行って気付きました。人と違うのは私だけじゃないって。背が高い子。足が速い子。話が面白い子。本が好きな子。みんな違う。ひとりひとり違う。それぞれステキな個性があって、その人を輝かせているんです」(第39話)
「『私は大人ルン』。自分にそう言い聞かせてきたルン。家族やサマーンのみんなに認められたくて。――でも、認めてくれたルン! みんなは、ありのままの私を。サマーン星人の私。プリキュアの私。地球人の私。私は私のままでいていいんだって、みんなが認めてくれたルン!」(第40話)
「お父様。私はひかるたちと交流を続けます。わかっていないからお父様に従ってきました。ですが、わからないからこそ、自分で見つけたいのです。観星中に行って、みんなを知ることで、私は気付くことができました。これもお父様のおかげです」(第41話)
「ソレイユ。私たちは信じています。あなたが守ろうとしてきたもののことを」(第42話)
「私は人の笑顔のために自分を犠牲にしているんじゃない! ――あなたのおかげで気付けた。思ったの。私、あなたを笑顔にしたい。だって、笑顔を見るのが嬉しいの。大好きなの。みんなの笑顔が。笑顔が、私の笑顔になるの! だから。だから。私はみんなを笑顔にしたいんだ!!」(第43話)
「フワがいるから大丈夫フワ。みんなといつでも会えるフワ!」(第44話)
「怖くない。あなたのことが少しわかったから。カッパード。他の星の人のこと、信じられないかもしれない。でもさ、私のことやみんなのこともわかってほしい。知ってほしいの! ・・・怖がらないで」(第45話)
このあたりの話数が例年テーマ上の着地点が見えはじめて一番面白くなる時期です。今年も例外ではありません。そして、語りたいことが整理しきれなくなって例年私の感想文がシッチャカメッチャカになる時期です。今年も案の定例外にはなりませんでした。
トゥインクルイマジネーションは奇跡を起こす力。どんな願いでも叶えることができました。
ひかるはあらゆる出会いを恐れることなく純粋に喜べるようになりました。
ララはありのままの自分をみんなに認めてもらえるようになりました。
えれなはみんなと一緒に笑顔になろうとする自分を誇れるようになりました。
まどかはお父様の呪縛から脱し、それでいて自分なりにお父様の教えを実践できるようになりました。
ユニは素直になれない自分を終わらせて、他人と一緒にいられるようになりました。
願い自体は最初から大きく変わっていませんでした。ただ、今度は他人に迷惑をかけず、我慢を強いられることもありません。はじめから周りのみんなと協力して叶えることを前提にしたことで、以前はわかりあうことができなかった他人とも、むしろ相互理解を深めていけるようになりました。
やりたいことをやるだけではダメで、ワガママになってみるのでもまだ足りず、自分のやるべきことを見つける過程を経て。ついに他人という存在は、ひかるたちにとって自分の願いを邪魔する障壁などではない、手を取りあえる仲間になっていたのでした。
第46話~第49話 最終決戦 / 輝く未来の証明
「みんな、『宇宙は渡さない』とか『乗っ取る』とか、そんなのおかしいよ。宇宙にはいろんな人たちがいるんだ。みんなそれぞれ思いや考えかたも全然違う。そんな人たちがたくさん、たくさん、いるんだよ。この宇宙は誰かのものじゃない。みんなの宇宙でしょ。星空連合も、ノットレイダーも、私も、みんな、みんな、同じ宇宙に住む宇宙人でしょ!」(第46話)
「みなさんが心の底から受け入れているのか、私にはわかりません。でも、私はただ前を向いて歩いていきたいです」(第47話)
「イマジネーションはさ。消すよりも、星みたくたっくさん輝いていたほうが、――キラやばー!だよ!」(第48話)
「久しぶりにララやみんなの夢を見てさ。プリキュアになって。フワもいて。いい夢だった」(第49話)
今作のラスボスは創造神。この宇宙に生まれた人々がイマジネーションを歪ませてばかりの失敗作だとして、宇宙ごと消し去ろうとしてきました。
“イマジネーションが歪む”というのは、ノットレイダーたちのように他人のやろうとすることを邪魔するばかりで自分も特に何かするわけではない、非生産的なありかたのことですね。
実際、ひかるたちも周りに他人が存在するせいで自分のやりたいことを思うようにできないこと、やろうとしたら誰かに迷惑をかけてしまいかねないことを経験してきました。けれど、それ以上にたくさんのものを見てきた今となっては、そればかりが正しい認識とも思えませんでした。
一見どうしてもわかりあえなさそうな他人とも、いつかはちゃんとわかりあえる。お互いの願いのために協力しあえるんだということを、長い物語を経たひかるたちは知っていました。
創造神からもらったイマジネーションの力を、この宇宙に生きるひかるたちはまっすぐ前へ進むために使えているんだということを証明して、物語は完結します。
途中でも似たようなことを書きましたが、『スタートゥインクルプリキュア』の魅力は、堅実な論理に沿った物語展開でありながら、ときどきドラスティックに価値観が転換するところにあったと思います。しかもその大転換が、よく考えてみればちゃんと地続きの論理に従ったものであったりもして。
最終決戦でもダークネストとひかるたちは同じものを見ていながらそれぞれ違った印象を語っていて、片方は「みんなバラバラで邪魔しあっている! 歪んでいる!」と主張している一方で、もう片方は「みんなバラバラだけど、だから楽しいんじゃん! それにちゃんとわかりあえるよ!」といった具合。
それでいてどちらの見かたが客観的に見て正しいのか、とか、これはそういう話ですらありません。世界のありようを善いように捉えたひかるたちは自分たちもそのように行動し、結果としてその世界観を現実に具現化させます。
「みなさんが心の底から受け入れているのか、私にはわかりません。でも、私はただ前を向いて歩いていきたいです」(第47話)
これです。前を向いて歩いていきたいと思うから、彼女たちは前へ歩んでいくんです。
「久しぶりにララやみんなの夢を見てさ。プリキュアになって。フワもいて。いい夢だった」(第49話)
これです。あれはいい夢だったと思うから、彼女たちはその夢を叶えにいくんです。
「竜はただのトカゲだが、空を飛ばねばならぬから、空を飛ぶ。火を吹かねばならぬから、火を吹く。最強でなければならぬから最強なのだと。トカゲは、全ての不可能を可能にしても、やらねばならぬことがあったのだろう。不可能を可能にしよう」(『高機動幻想ガンパレード・マーチ』)
どこかの芝村も似たような暴論をぶち上げていましたが、つまりはそういうことです。
大切なのは、まず自分が何をしたいのか。そのために何をするべきなのか。それさえ定まれば、自ずと描くべき未来が見えてくるはずです。
大仰な願いであればあるほどそれをひとりで実現するのは困難になるでしょうが、そのときはまあ、素直に周りに星の数ほどいる他人の助けを求めましょう。他人はしょせん他人なので、あなたがいかに困っているかを理解してもらうことすら一苦労でしょうが――、それをどうにかするくらいの奇跡は私たちにも起こせるはずです。
誰かとわかりあえた小さな奇跡は、あなたが数人分の力をまとめて行使できるという奇跡に連鎖し、やがてひとりでは絶対に成し遂げられなかったことができてしまうという大きな奇跡にまで昇華していくことでしょう。
一見大それた話に見えても順を辿れば案外堅実な積み重ね。そしてそこにはきっと、どこかの誰かの切なる願いがある。そういうふうに考えるだけの理由がある。だから、手伝えば案外叶っちゃうかもしれない。
私から見た『スタートゥインクルプリキュア』とは、そういう物語でした。
コメント
>第18話では、悪の組織ではない一般人相手にプリキュアの力を使うという、ヒーローらしからぬことをしました。
17話のことでしょうか?
追加戦士候補との交流期間は、隔週な分ブルーキャットが話そのものを振り回すというやや変則的な構成でした。
本作ならではの設定上の都合もあるでしょうけど、敢えて視聴者に「ブルーキャットが何を考えてるか」想像させる時間を与えたのかなーと思います。
まあ「さっさと話進めてぇ!」と当時は内心絶叫しましたがw
おおっと、第17話ですね。修正しました。
ユニは仲間になる前も後も主役回の入りかたが変則的でしたねー。まさか平常のエピソードを挟みながらあんな長期間やると思っていなかったので、毎年なんとなく続けてきた感想文タイトル遊びの引き際を見失っちゃいました。
私は記事に書いたとおり、作品全体のテーマの変遷にユニを組み込むため、ああいう構成にしていたんじゃないかなと今では思います。リアルタイムで観ていたときも加入前後で作劇上の立ち位置がガラッと変わったなあとは感じていたんですが。